ビルライブ!サンシャイン!!〜School idol War〜   作:ブルー人

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ジオウ第1話、面白かったですね。
テンポも良くて手軽に見れる感じがかなり好きです。
まさかビルドロスを抱えた人にも1話から戦兎と万丈を出すことで救済するとは……。


第16話 兵器のライダー

「最前線より官邸へ!現在、仮面ライダーと思しき者を含んだ北都軍と交戦中!」

 

「ダメだ……押し切られるぞ!!」

 

「こっちの仮面ライダーは何してる!?増援に来るんじゃなかったのか!?」

 

「いいから進めッッ!!ありったけのガーディアンを持ってこい!!」

 

混乱極まる戦場の真っ只中。

 

当たり前のように弾丸の雨が飛び交う光景のなか、一際その存在感を煌めかせている人物がいた。

 

 

 

《ツインブレイカー!》

 

 

黄金の戦士が駆ける。

 

おびただしく感じるほどに並べられた東都のガーディアン達の壁へ一筋の流星の如く突貫し————

 

《シングル!》

 

《ツイン!》

 

「ぉぉぉォォォオオオラアアアアアアアアッッ!!!!」

 

撃滅。

 

自らの腕が千切れんばかりに放たれたその一撃は、黄金色の螺旋を描きながら機械仕掛けの兵隊を一掃した。

 

「うっ……!」

 

あまりの戦力差にその場にいた兵士達が後退する。

 

もはやここは黄金色のライダーの独擅場と化していた。

 

 

 

 

「……足りねえ」

 

気怠そうに上体を揺らめかせたライダーがこぼす。

 

「足りねえ、足りねえんだよ……全っ然足りねえンだよなぁ……」

 

おもむろに兵士達が集う方向を睨む戦士。

 

その威圧感に東都側の統率は瞬く間に崩れ去った。

 

「ひっ……!」

 

《スクラップフィニッシュ!!》

 

「誰が俺を————満たしてくれるんだよおおおおおおッッ!!」

 

何もかもが葬り去られる。

 

東都だけでなく北都のガーディアンまでもを巻き込みながら前進する。

 

金色の波動が拡散するなかで、ついに動ける者はただ1人になってしまった。

 

 

 

 

「……待っててくれ、ふたりとも。俺が、必ず……この国を——————」

 

 

◉◉◉

 

 

「では私はこれで」

 

「うん、ありがと雷斗さん。うひーつっかれたぁ…………みーちゃん部屋までおんぶしてー」

 

「う、うん」

 

「前から思ってたんだけど、あんた達ってやけにお互いの距離が近いわよね……」

 

「あはは……これだけ長いこと車で移動するのって、なかなかないものね」

 

「Aqoursのメンバー間ではあまり見られないsituationね」

 

難波高校に到着した時には、すでに辺りは暗闇に包まれていた。

 

学生寮を見上げるといくつかの窓に明かりが灯っているのが見えるが、物音ひとつ聞こえない異様な空気で満たされている。

 

年頃の高校生達ならばこのような遅い時間帯に騒がしくなっても何らおかしくはないはずなのだが、そういった類の騒音は一切捉えられない。

 

「ここが……難波高校」

 

「ずいぶんおっきいわね……」

 

大学と見紛うほどの広大な土地に広がる施設の数々。

 

そのひとつに過ぎない生徒達の宿舎だけでも相当な規模で建造されている。浦の星女学院の倍は軽くありそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

やけに豪勢な雰囲気を醸し出している廊下を歩く。学校の施設というよりも高級ホテルにいるような感覚だ。

 

「あ、みーちゃんバスここでストップ」

 

「わたしバスじゃないよ……」

 

ミカの背中に収まったままのユイが横にある部屋を指し示す。

 

空き部屋が三つ。それぞれ梨子と善子、鞠莉のために用意されたものだろう。

 

「奥の方から鞠莉ちゃん、梨子ちゃん、ヨハネちゃんの部屋だよー」

 

「だからヨハっ————あれ?」

 

「本当に、いろいろありがとうねユイちゃん、ミカちゃん」

 

「今後の小原グループは難波重工とも仲良くせねばならないねー」

 

「もう、お礼はいいって何度も言ってるでしょ〜?」

 

ふわぁ、と猫のような欠伸を見せた後、今にも眠そうな瞳を梨子達へ向けながらユイは続けた。

 

「んん……やっぱりちょっと疲れちゃったみたい。もっとたくさんお話したかったけど……今日はもう遅いし、また明日だね」

 

「ええ、おやすみなさい」

 

「では、チャオ〜……。ほらほら、みーちゃんバス発進!」

 

「そろそろ降りてよ〜…………」

 

自分達の部屋を目指して遠ざかっていく2人の背中を見送りつつ、梨子達も与えられた一室の扉を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが私の……束の間の結界……」

 

部屋に足を踏み入れるなり飛び出した善子の一言である。

 

「なーんか実感湧かないのよねえ」

 

堕天使モードから一変して、傍に設置されていたベッドへだらしなさ満点でダイブする。

 

千歌や花丸達————他のメンバーと離れてからそう時間は経っていない。だからだろうか、自分が今西都にいることが嘘のようだった。

 

「Bernageか……」

 

人付き合いが得意ではない自分でも、出会った当初から自然な会話ができる少女達。

 

葛城ユイに氷室ミカ。彼女達がどうしてもというのなら、梨子(リリー)と同じく上級リトルデーモンにしてあげるのもやぶさかではない。

 

「ヨハネって呼んでくれるし」

 

しばらくぼうっと天井を眺めていてふと気づく。

 

移動中の車内では暇つぶしのしりとりを終えた後、運転手以外は皆眠りこけてしまった。目的地に着いたことがまだ千歌達に連絡できていないのだ。

 

「メールメールっと……」

 

ゆっくりと取り出したスマートフォンの画面に映し出されていたのはニュースサイトの通知。

 

一瞬気にせずホーム画面へ移ろうとするが、とある2文字が視界に入った途端に善子の表情は凍りついた。

 

 

◉◉◉

 

 

時は数時間前に遡る。

 

「こ、これ見るずら!」

 

「どうしたんですの?いきなり大声をあげて……」

 

「いいから見るずら!」

 

電車に揺られるなか、花丸が慌てた様子で見せてきたのはSNSに掲載されていたニュース速報。

 

北都が東都と西都に戦争を仕掛けたという情報。

 

「……どういう……こと?」

 

狼狽える花丸、果南、ダイヤを一瞥した風華が不意に顔を背ける。

 

「…………始まってしまいましたか」

 

「風華さん、どうしよう……!」

 

「どうか落ち着いて。……今ある情報で確認しましたが、戦場となっているエリアはすでに通り過ぎました」

 

こんな状況だというのに、冷や汗はおろか少しも焦った様子を見せない。

 

「あなた方を危険な目には遭わせはしません…………そのために、私がいるのですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これは————」

 

そこには瓦礫の山が無数に築かれていた。

 

兵士だったものが倒れ、ガーディアン達の消し飛んだ灰が床に転がり、焦げ付いた匂いを醸し出している。

 

戦地の中心に佇んでいた戦士を————キリオは冷ややかな目で見下ろした直後、やるせない感情を露わにした。

 

「…………お前がやったのか?」

 

「……………………だったらどうする?」

 

金色の鎧をまとった人影がこちらへ歩み寄ってくる。

 

左腕に装備した刃の切っ先が光り、今にもキリオの身体を貫きそうな威圧感だった。

 

そして腰には——————

 

 

 

「……!そのドライバーは……!?」

 

「ああ?……なんだ、お前も“仮面ライダー”ってやつじゃねえのかよ?」

 

水色の素体にレンチ型のレバーが取り付けられており、中心にはゼリー飲料のようなアイテムが装填されている。

 

キリオが使うビルドドライバーとは全く違う————新型のドライバー……?

 

「お前……いったいどこでそんなものを!?」

 

「ごちゃごちゃうるせえよ。…………戦場に自分からやってきたってことは、死ぬ覚悟はできてるんだよな?」

 

強烈な殺意を察知したキリオはすぐさまビルドドライバーを腰に巻き、向こうが仕掛けてくる前にボトルを装填。

 

《ラビット!》

 

《タンク!》

 

《ベストマッチ!!》

 

 

 

《ビームモード!》

 

キリオの身体を覆うレールに奴が撃ち出した弾丸が衝突。火花を散らすなか、彼は静かに問いに答えた。

 

《Are you ready?》

 

「……変身!」

 

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!!》

 

《イェーイ!》

 

 

 

「はっ……!」

 

敵の力は未知数。実力を測るためにも…………

 

「最初から全力でいかせてもらう」

 

ラビットの足を駆使した高速移動で距離を詰め、強襲。そのまま奴の胴体へ連打を加えていく。

 

「……そうか、お前が——————“ビルド”か」

 

「……!」

 

キリオの放った拳を難なく掴み取り、力任せに腕を捻る。

 

 

 

「俺はグリス、仮面ライダーグリス。…………覚えときな、東都の仮面ライダー。お前()を倒す奴の名前だ」

 

「仮面ライダーグリス……だと……?」

 

「ハアッ!!」

 

直後、頭部に鋭い痛みが迸る。

 

一瞬混乱しかけたが、数秒たった後頭突きを食らったと気づき、瞬時に退避————

 

「逃がさねえよ」

 

「…………!?」

 

《アタックモード!》

 

グリスの左腕から黄金のドライバーが伸び、思い切り腕を振り抜く。

 

「オラッ……!オラオラオラオラァ!!!!」

 

「ぐっ……!?」

 

ビルドの装甲が抉られる。

 

何度も火花を散らした赤と青の身体は、なすすべもなく後方へ吹き飛んだ。

 

「こいつ……!」

 

ベルトの性能差はもちろんだが……それ以上に、ハザードレベルが自分よりも遥かに高い。

 

すぐにその結論へとたどり着くキリオだったが、同時に不自然さも感じていた。

 

 

(そのわりには動きがデタラメ過ぎる。……場数もそこまで踏んでいるようには見えないし、戦闘技術もまだまだ粗が目立つ)

 

……仮面ライダーになって、まだ日が浅いのか?

 

「……!お前、まさか……ネビュラガスを使って無理やり……!?」

 

「戦いの最中に……ベラベラ喋ってんじゃねえぞゴラァ……ッッ!!」

 

「ぐぅ……ッ……!!」

 

横薙ぎの蹴りがキリオの脇腹へ直撃し、水切りのように地面を転がる。

 

 

 

「……ああ、お前もダメだ。足りねえ……ぜんっぜん足りねえ……!!」

 

間違いない。こいつは……仮面ライダーグリスの変身者は、

 

 

 

 

 

「誰が俺を満たしてくれるんだよおおおおおおおッッ!!!!」

 

 

 

 

 

大量のネビュラガスを人体に注入し、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………!!」

 

《ニンジャ!》

 

「ビルドアップ!!」

 

ラビット部分のボディをニンジャに変更。咄嗟に4コマ忍法刀を出現させ、忍術を発動させる。

 

 

《分身の術!》

 

真上から特攻してきたグリスの攻撃を回避し、4人に増えたビルドが順に奴の身体を切り裂いていく。

 

「チィ……!」

 

《火遁の術!》

 

《火炎斬り!》

 

4方向から放たれた炎柱がグリスに殺到。

 

回避することは叶わず、奴はそのまま炎の波へと飲み込まれてしまう。

 

しかし————————

 

 

 

 

「さっきからチマチマチマチマよぉ…………」

 

「……!なに……!?」

 

 

 

 

「そんな攻撃……効くわけねえンだよなあああああああッッ!!」

 

黒いゲル状の成分が周囲に分散し、まとわりついていた炎を払う。

 

「なんて奴だ……!」

 

「そろそろ終わりにするかぁ……?」

 

グリスは自らの腰に手を回し、左腕にある武器————ツインブレイカーへとはめ込む。

 

その光景を見たキリオは、仮面の下で目を見開かずにはいられなかった。

 

奴が取り出したのは——————

 

「フルボトル…………!?」

 

 

《シングル!》

 

《ツイン!》

 

グリスは一本のボトルに加え、ドライバーに装填していたゼリーまでもをツインブレイカーに挿した。

 

まさかスタークと自分以外にも、ボトルを扱う人間が——————

 

 

 

「………………!!」

 

視界が輝く。

 

目が潰れそうになるほどの眩い金色を前に、キリオは手も足も出なかった。

 

閃光と衝撃だけが世界を支配する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変身が解除され、気を失ったキリオを見下ろすグリス。

 

「……もっと……!もっとだ……!!」

 

バリ、と黄金色の身体に稲妻が走り、我を失ったかのような挙動で声を張った。

 

「俺の求める相手は……!どこだあああアアアアアアッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあっ……はあっ……!」

 

「……あ?」

 

遠くからこちらへ走ってくる人影が見える。

 

あのシルエットはただの人間じゃない。頭部にはツノのような凹凸が確認できる。

 

「はあ……ッ!ここか!?ここだよな!?」

 

予想通りその人影の正体は一般人などではなかった。むしろ——————

 

 

 

「あれっ?キリオ?なんで寝て————って誰だお前!?」

 

銀色の身体に、ドラゴンを模したような空色の装甲。

 

そして決定的なのは腰に巻いたドライバー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………俺の心火は、まだ燃え足りねえ……!!」

 

 

目の前に現れた新たな獲物に向けて、グリスはその闘争心を露わにした。




今回も本編とは違う点がいくつかあります。
やはり一番目立ったのはグリスが少々(?)暴走気味という部分でしょうか。

ただのドルオタ高校生が短期間でスクラッシュドライバーを扱えるようになるのは……やはりリスクが必要ですよね。
あ、一応言っておくとリュウヤは違います。
彼は天然ものですから(意味不)

完結後に何かしらの続編はいりますか?いりませんか?

  • 後日談として日常もの
  • シリアス調のもの
  • 両方
  • 別にいらない。

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