生きたければ飯を食え   作:混沌の魔法使い

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メニュー71 立食パーティ 準備 その2

 

メニュー71 立食パーティ 準備 その2

 

ちょっと暖かくなって来たねとカワサキに言ったらお昼ご飯は冷たいうどんになった。歯応えのいいうどんとよく冷やされたうどんの汁は、熱の篭もっている厨房で火照った身体に氷で冷やされた水の中に入っているうどんの冷たさが実に心地いい

 

「本当なら平皿に盛り付けて、シーチキンとか、トマトとか、レタスを盛り付けるともっと美味いんだがな」

 

カワサキは具材がないことを気にしてるようだけど、これからまだまだ動き回ることになるんだから、そんなにお腹一杯にならないほうがいいのでこれくらいで本当に丁度いいと思う

 

「んー、でも美味しいって」

 

「まぁ美味いなら良いけどさ」

 

カワサキと向かい合って冷たいうどんを啜る。カワサキと一緒にいるようになってから馴染み深い物となった醤油味、それに出汁が良く効いている?と言う奴なので、見た目は薄いが味はしっかりしていて美味しい。

 

「薬味にわさびとか入れると美味しいぞ?」

 

「辛いからいーらないッ!私はネギとかで十分」

 

確かに美味しいのかもしれないけど、辛いのはお断りなので両手で×を作り、うどんの汁の中にネギを入れてフォークで麺を入れて啜る

 

「んー美味しッ♪」

 

「……美味しいんだけどなあ」

 

わさびと赤い粉を入れてうどんを啜るカワサキ。しょんぼりしてて、少し可哀想に見えたけど、同情すると辛いのを薦められるので私はそのまま食事を進めるのだった……

 

「それでお昼からは何を作るの?」

 

パーティは明日なのでまだ時間的な余裕はある。でも作る量が多いので前日から準備をしている、それはいいけど、シズ様もいないし、シホ様もいない。勿論ピッキー様もいないわけで、下拵えくらいしか出来ない私は正直手伝いきれるかなって不安になっている。

 

「サラダを2つ作る、これも本当に簡単だから」

 

カワサキはそう言うと、私の前に野菜をどんどん並べていく、黄色と赤のパプリカときゅうりと卵、それに燻製肉

 

「それを全部角切りにしてくれるか?」

 

「それだけ?」

 

「それだけ」

 

さっきの料理もそうだったけど、切るだけなのに大丈夫なのか?と少しばかり不安になってくる。カワサキはそんな私の不安を感じ取ったのか、更に材料を目の前に置く

 

「あの、これ茸なんだけど」

 

「うん、茸。それ適当な厚さと大きさに切り分けてくれればいいから」

 

……普段物凄く色々考えて料理をしてるカワサキだけど、なんか今日は何と言うか……

 

「なんか今回の料理、雑すぎない?」

 

私の言葉にカワサキは一瞬きょとんとした顔をし、次の瞬間笑いながらその通りだと笑う。

 

「立食パーティなんて形式じゃ凝った料理は作れん。仮に作ったとして、歩きながら食べれるか?」

 

カワサキの言葉に無理じゃない?と返事を返す。カワサキは頷きながら

 

「そうだ。無理なんだよ、確かに座って食べるスペースもあるだろう。だけど基本的には歩きながら食事になる、それならば見た目を重視し、1口サイズや小さく調理することで食べやすくさせる。それが絶対的な条件なのさ」

 

だから雑で良い、雑で大いに結構と笑い鶏肉の下拵えを始めるカワサキ。なんかカワサキって凝った料理に拘ると思ったんだけど……こういう料理もするんだなあと思うと、何か新鮮な風に思えるのだった……

 

 

 

 

3つ鍋の中に鶏胸肉を3つずついれ、ざく切りにしたネギ、スライスしたしょうがと塩を1つまみと酒を1回し加えて煮る。これで時々浮かんでくる灰汁を取り除いて、鶏肉が白色になったら一晩冷やすだけで準備完了だ。そのついでに卵も大量に入れてゆで卵も作っているから、これでコブサラダも完成したと言えるだろう。

 

「ヨーグルト、マヨネーズ、オリーブオイルとレモン汁」

 

そしてコブサラダに掛けるのはヨーグルトの酸味とマヨネーズのコク、そしてレモンの酸味を加えたヨーグルトソース。ケバブを売った時、ヨーグルトソースで大丈夫か?と言う不安があったのだが、かなり好評なのでこの世界ではヨーグルトソースが人気だと判断しての事だ

 

「ラタトゥイユ、バロティーヌ 、カプレーゼサラダ、コブサラダ、茸のソテーそれにピクルス……後は蛸のマリネでもいれればOKだな」

 

前菜に6種類。少なくもなく、多くも無い、丁度良い量だろう。蛸のマリネは前にジルクニフとフールーダに振舞った時に好評だったので、帝国では蛸のマリネは貴族の料理かもしれないとして付け加えることにした。

 

「後は……スープとパスタ類、それにピザか、パンか……」

 

スープは冷製と暖かい物で2種類、パスタは3つくらい欲しいか……後はパンか……ピザかだが……トマトソースも作っているし、ここはピザにするか。シンプルにマルゲリータなんて良いかも知れない。前菜はシンプルな物で固めた……ここからは食べやすさを意識しつつも、凝った料理を仕上げていく

 

「じゃ、これよろしく」

 

「はいはーい、判ってますよー」

 

クレマンティーヌの前に山のようにとうもろこしをおく、若干遠い目をしているが皮を剥いて水洗いをするだけなのでそう難しい作業ではないだろう。俺はその様子を見ながら、鍋の中にじゃがいもをこれでもかと投入して茹でる。

 

「こういうところは少し不便か」

 

電子レンジが無いので、1から茹でるしかないのがめんどくさいが、むしろ中世に近い世界観でよく冷蔵庫とIHモドキがある事を考えれば、十分と言えるだろう。

 

(電子レンジかぁ)

 

あると便利なんだけど、流石に置物アイテムでもないし、この世界で作れるとは思えない。うーん、ワンちゃんデミウルゴスに頼めば作れるかな?でもあいつ過労死しそうだし……

 

「とりあえず保留」

 

「なんか言ったー?」

 

クレマンティーヌになんでもないと返事を返し、空いている鍋にお湯を沸かしておく。とにかく量を作る必要があるから大変だが、引き受けた以上は全力でやりきるだけだ。

 

「強力粉、薄力粉、塩、ドライイースト」

 

強力粉と薄力粉はふるいに掛けて大きめのボウルにいれ、塩とドライイーストを加え軽く混ぜ合わせる。材料が均一に混じったらオリーブオイルと途中で火を止めてぬるま湯にしたお湯を加えて混ぜ合わせる

 

「うしッ!」

 

水分が生地に馴染んだら力をこめて練り合わせていく、こうして練り合わせていく間にボウルについていた粉も全部1つに纏まって来る

 

「カワサキー、とうもろこし洗えたから茹でていいー?」

 

「とうもろこしを鍋にいれたらゆで卵の殻を剥いておいてくれ」

 

了解と返事を返すクレマンティーヌに目を向けずに、生地を練り合わせていく。生地全体が纏まったらボウルから出して、打ち粉をしたまな板の上に叩きつける。数回叩きつけたら、生地全体を包み込むようにして形を整え再び叩きつける。これを何回も繰り返し、生地の状態が良くなったらボウルに入れて濡れ布巾を被せて発酵させる

 

「よっと」

 

発酵させている間にじゃがいもを茹でていた鍋からお湯を捨ててじゃがいもを取り出して冷ましておく、コブサラダとヴィシソワーズに使うので完全に冷めるまで待つ必要がある

 

「殻を剥いたらくれ」

 

「はいよっと」

 

クレマンティーヌがなれた手付きで剥いた卵を受け取り、それを角切りにする。半分はコブサラダに使って、もう半分はタルタルソースにするのもいいかもしれない。1口サイズのパンに塗れば、前菜としては十分と言える

 

(作っていると色々考えてしまうな)

 

雑で良いと言っておきながら、料理人の性分と言うのは止められないなと苦笑する。

 

「どうかしたー?何か楽しい事でも思い出した?」

 

「いや、なんでもない」

 

含み笑いをしているのに気付いたクレマンティーヌになんでもないと返事を返し、卵を刻み終える。その間に冷めていたじゃがいもをお玉で軽く潰し、久しぶりに出したミキサーの中に入れる

 

「それ大丈夫?凄い禍々しいけど」

 

「大丈夫さ。道具は道具だから」

 

それに見た目は禍々しいが、かなり強力なのでいろんな料理に使えるという利点がある。軽く潰したじゃがいもをいれ、少量のヨーグルトと牛乳、そしてやや多目の生クリームを入れる。生クリームがない時は牛乳を多めに入れるのだが、生クリームの方が良いコクが出る

 

「音凄い……悲鳴みたい」

 

「そこが難点だ」

 

この悲鳴みたいな稼働音と禍々しい見た目でなければ丁度いいんだがなと苦笑する。殆ど一瞬で出来たヴィシソワーズを味見する

 

「少し味が足りないな」

 

じゃがいもの旨みとヨーグルトの酸味と生クリームのコク。どれもいい味をしているが、それだけでは味にしまりが無いので塩を加えて味を調えたらボウルの中に入れて冷蔵庫の中に入れておく

 

「次はコーンポタージュだ」

 

「……もしかしてあれだけのとうもろこしの実を全部取るの?」

 

遠い目をしているクレマンティーヌにその通りだと返事を返す。食べるのは一瞬だが、作る手間と労力は凄まじい。正直俺もやや億劫な気持ちになっているが……やるしかないと覚悟を決め、スプーンを2本取り片方をクレマンティーヌに渡して、2人で並んで芯からとうもろこしの実を取り外す作業を始めるのだった……

 

 

 

 

一方その頃ロ・レンテ城では、客賓としてジルクニフ、フールーダ、そして帝国四騎士の姿がある。本来ならば、争いになる状況だ。だが王国もモンスターの強襲で力を削がれ、なによりも帝国騎士によって救われた。そうなれば、いがみ合うことは無く、そして手を取り合おうと努力するだろう。それが人間と言うものだ

 

「これが貴方の言う偉大なる御方のお考えと言うことなのでしょうか?」

 

窓から中庭を見つめながらそう問いかける。姿は見えないが、それでも私はそこにいると確信していた。

 

『然り、ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフよ』

 

影の中から幾重にも重なった声が響く、あの夜私の前に現れた異形。それは常に私の影や、私の部屋の中の影の中で私を監視している。

 

「そんなにも私は信用がないのかしら?」

 

『それは違う、お前は優秀である。人間は愚かであるが、お前は人間にしては賢い』

 

悪魔の言葉に苦笑するのと同時に、不思議な高揚感がある。人間ではない存在に認められている、それは本来喜ぶべきことではない筈。それなのに、嬉しいと思うのだ。

 

『お前の望みは必ず偉大なる御方が叶えてくれるだろう。だがそれはお前が裏切らないことが条件だ』

 

「まぁ、私はそんなにも信用がないのね」

 

からかうように言うが、悪魔は私の反応を見て詰まらなそうに鼻を鳴らす。人間とは美的センスが違うのは判っている、歯牙にも掛けられない、本来ならば怒る所なのかもしれない。だが異形種が相手なので、その反応が当然と言うのも判っている。

 

「ねえ、悪魔さん。これから何をするつもりなのか教えてくれないかしら?」

 

『……それは私に語る事は出来ない』

 

「でも、それでは私は何をすればいいのか判らないわ」

 

私の願い……クライムと永遠を過ごすという願いを叶える代わりに協力しろと言う割には何も言ってこない、こうして監視されているだけでは、何をすればいいかなんて判らない

 

『……演技は止める事だ。ではな』

 

そう言うと悪魔の気配は遠ざかり、代わりに扉が叩かれる音がする

 

「ラナー姫、王がお呼びです」

 

「まぁ、ありがとう。クライム」

 

私を呼びに来てくれたクライムと共に私室を出る。

 

「帝国との和平をラナー姫はどう思いますか?」

 

「そうね……必要な事だと思うわ」

 

今の帝国と王国の情勢を考えれば、このまま争いあっていても滅ぶだけだ。

 

「戦争を繰り返していてもですか?」

 

「ええ。間違いないわ」

 

そもそもは同じ国なのだから、それが再び1つなるのはおかしい事ではないと思う。お父様の前の王にも、そしてジルクニフの前の皇帝にも同じ考えを持った者はいたらしい。だがそれは互いの貴族派によって妨害されてきた……

 

(そうか、そういうことなのね)

 

帝国と王国の戦力低下、そしてあの悪魔が言う偉大なる御方の存在……その目的は何かと考えたから迷っていたが、その正体は何者なのかと考えれば答えは出てくる

 

(……私に何をさせたいのか、今判ったわ)

 

それさえやり遂げれば私の望む結末が来る、ならやるしかないだろう。その為には……まずはこの立食パーティでやり遂げなければならないことがある

 

(ふふふ……どれだけの馬鹿が網に掛かるのかしら……?)

 

僅かに生き残っている八本指、そして行方不明になっているバルブロを王にして、影から国を操ろうとしていた貴族達。帝国との和平が成されれば、最早打つ手が無くなる。逆転を狙うには明日の立食パーティを狙うしかない。偉大なる御方が私にさせようとしている事も判った

 

「ふふ」

 

「どうかしましたか?」

 

笑っている私にそう尋ねてくるクライムになんでもないわと微笑みかける。照れくさそうに視線を逸らすクライムを見て更に笑みが深くなる。これさえ成し遂げてしまえば、私の願いが叶う。そう思うと込み上げて来る笑みを我慢する事が出来ないのだった……

 

 

 

 

「ふおっ!?」

 

調理を続けているとき突如凄まじい寒気がして、変な声が出た。

 

「何!?どうかした!?」

 

「い、いや、今何か凄まじい寒気がした……」

 

俺の奇声に大丈夫?と尋ねてくるクレマンティーヌに大丈夫だと思うと返事を返すが、あの寒気はリアルでも何度か感じたことがある。あのやばいお嬢様に見つめられた時に良く似ている……だけど、今あのお嬢様はいないから俺の気のせいって可能性が高い……んだが、あのお嬢様と似ているラナー姫の事もある。何か不味い事になるんじゃ?と思いながら手にしていたヘラを動かす、フライパンの中ではみじん切りにしたにんじんと玉葱、そしてひき肉が入っている。午前中に作ったトマトソースと混ぜてミートソースにするつもりだ

 

「でもこんなパスタもあるんだね」

 

「ペンネって言うパスタだ」

 

立食パーティなので普通のパスタではなく、食べやすい1口サイズのペンネにした。だがやはりあまり馴染みはないのか、不思議そうに見つめているクレマンティーヌに思わず笑ってしまう

 

「これが鳴ったら鍋からあげてくれ」

 

タイマーを渡して、ペンネを鍋の中に入れてくれと頼む。普通のパスタだとアルデンテでも良いのだが、ペンネを筆頭とするショートパスタはアルデンテだと硬くなり過ぎるので、時間をしっかり計って作るのが重要だ

 

「はいはーい」

 

返事は軽いが、真剣な表情をしているので大丈夫だろうと判断し、鍋の中にトマトソースを加える。トマトソースに味がついているので、下手に味を調えず、このまま弱火で丁寧に煮詰めればミートソースも完成だ。

 

「次はっと……」

 

薄切りにした玉葱とコンソメスープを加えた鍋の中にミキサーでドロドロにしたコーンペーストと牛乳を加え、焦げ付かせないように掻き混ぜる。休む事無く調理を続けているが、どれもこれも簡単な物で続けて作業をしていても疲れないのが良い所だ

 

(豚の丸焼きは残念だが止めておこう)

 

お昼を食べている時に豚の丸焼きを作ろうと思っているというと、クレマンティーヌが苦笑しながら止めたほうが良いと言ったので諦めることにした。俺はかなり見た目のインパクトがあると思ったんだが、逆にインパクトがありすぎて駄目だと思うと言われては控えたほうがいいだろう

 

(となると、メインは……)

 

鉄板を持ち込んでステーキとか、目の前で仕上げてもいいなあ……むしろそういう風が面白いだろう。後はキャンプの時に釣りまくった巨大魚を骨を抜いてからホイル焼きにして……後はデザートをナザリックから持って来れば完璧だろう

 

(モモンガさんはどうしてるかな)

 

俺はこうして王城で料理をしているが、モモンガさんはナザリックで計画の後詰めをしているであろう。正直元の性格に戻ったアルベド達の立案した作戦なので少々不安はあるが大丈夫だろう……多分、と言うかそう思ってないとやってられないしな……

 

「どうかした?」

 

「いや、モモンガさん大丈夫かなって」

 

「……襲われてないと良いね」

 

「それ冗談になってない」

 

アルベドならやりかねない、と言うか性格が変わってた時の事もバッチリ覚えていたらしいから、大丈夫かな……クレマンティーヌの一言で一気に不安になる。前のアルベドなら大丈夫だが、今のアルベドならやりかねない。

 

「ま、まぁ大丈夫だろう」

 

なんか物凄く大変なことになってる気はするが、大丈夫だろうと自分に言い聞かせるように呟き、俺は発酵が終わったピザを麺棒で伸ばして、ピザの準備を始めるのだった……

 

「……アルベド、謹慎3日間」

 

「アインズさまぁぁ~~~」

 

なおその不安は的中しており、海は楽しかったなと呟いたモモンガの一言でバーサークモードに突入したアルベドはモモンガの命令で、連れ出されていたりする。

 

(凄い複雑)

 

元の性格に戻って襲われたというのに、なんか安心しているというか、これでこそと思っている自分がいて複雑な表情を浮かべたモモンガだが、作戦会議に戻るとその顔は真剣な物となる。

 

「これはかなりリスクがあると思うが、それでも進めるべきだと判断するのだな?」

 

「は、何よりも必要なことであると考えております」

 

「私も賛成ですよ、モモンガ様」

 

デミウルゴスとパンドラズアクター、そしてさっきまではアルベド……ナザリックの知恵者3人がモモンガに提案した事。それはジルクニフ、ランポッサの2人をナザリックへと招き、異形種であると言うことを明かすと言う事なのだった……

 

 

 

そしてナザリックで短期間のレベリングをさせられる事になったと言うゼロ達はと言うと

 

「「「「うおおおおおおーーーーッ!」」」」

 

「気持ち悪い!こっちに来ないでッ!!!」

 

「「「「ギチギチギチッ!!!」」」」

 

巨大なムカデの群れに追いかけられながら、全力で走っていた。ポーションや、魔法で回復出来ると言う理由で肉食の昆虫に追いかけられるという恐怖を味わっていた

 

「死ぬ!死ぬ!!!」

 

「叫んでる暇があったら走れ!殺しはしないと言っていたが、手足は噛み千切るって言ってただろうが!」

 

「……なんと言う悪魔の所業!!」

 

カワサキがいないと言う事で、悪魔のようなトレーニングを行わせられていた。しかも、これで基礎体力作りと言うのだから酷い話だ。

 

「あーーーーッ!!!」

 

「デイバーノックがッ!?」

 

「止まるな!やら……なにいッ!?」

 

「ぎゃー!馬鹿でかい蛾がーーーッ!!!」

 

6階層から、ゼロ達の悲鳴が途絶える事は一瞬たりとも無いのだった……

 

「2日走リ込ミ、ソノ後ハ戦闘訓練」

 

「やりすぎに気をつけてくださいね?」

 

「大丈夫ダ、ザリュース。お前達ニモ頼ム事ニナル、手加減ノ練習ヲ忘レルナ」

 

短期間でのレベリングと長期間でゆっくりとレベリングした者の差を調べる為、デミウルゴスの提案書を見ながらゼロ達の訓練を決めていたコキュートス。組み手にザリュースやニグン達を使う事を決め、明日の訓練の予定をデミウルゴスに見て貰う為に6階層を後にするのだった。

 

 

メニュー72 立食パーティ その1へ続く

 

 




次回は食事回を久しぶりに書いていこうと思います。食事回だけでガッツリ5つくらい書いてみたいですね……あ、ごめんなさい、嘘です。多分そこまでネタないです……シナリオと料理の両立は本当に難しい……頑張りますけどね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

なおゼロ達がムカデや昆虫に手足を齧られたかは、皆様の想像にお任せします。

やはりカワサキさんがオラリオにいるのは……

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