生きたければ飯を食え   作:混沌の魔法使い

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下拵え

下拵え 密会

 

カワサキ殿の作った見たことも無い料理が多数並べられたパーティは間違いなく成功だった。フィリップという問題もあったが、それもカワサキ殿の広い心で許されたが、正直内心ひやひやした物だ。

 

「これか」

 

見たことも無い材質の便箋、そしてこれもまた見たことも無い国旗のようなマーク……ゴウン殿から手渡しされた手紙には何が書かれているのか……少しだけ緊張しながら便箋の封を切って中身を確認する……書き出しは当たり障りの無い挨拶という感じの言葉。やや不恰好な所もあるが、それはゴウン殿達が王国の文字を知らないと言うこともあるだろう

 

「む……」

 

だが手紙の最後に記されていた件を見て、思わず眉を顰める。

 

『私とカワサキさんにはランポッサ国王、貴方に黙っていた事がある。だが、いつまでもそれを黙っているわけには行かないと私は考えています。しかし、この秘密を明かすには私もカワサキさんも相当に躊躇いがあります』

 

カワサキ殿とゴウン殿でさえも躊躇うとは……それはよほど深刻な問題なのだろう

 

『貴方を騙していた事になるでしょうが、それでもこれからの事を考えれば私達は真実を告げるべきだと決断しました。手紙に同封した魔法陣が書かれた紙にお越しいただける人物の名前を2人まで書いて燃やしてください、それによってその魔法が発動することになります。もしも信じることが出来ないと言うのならば、その魔法陣を破いてくだされば結構です』

 

「ガゼフ、私はこの申し出を受けようと思う」

 

「私も賛成です」

 

手紙を見ていたガゼフも同意してくれた。確かに騙していたと言う件は気にはなる、だがそれ以上にカワサキ殿とゴウン殿達には助けられている。だからこそ私にはこの誘いを断ると言う選択は無かった……羽ペンを手に取り、名前を書き魔法陣の書かれた紙をガゼフに差し出す。

 

「共に来てくれるか?」

 

「勿論です」

 

ガゼフも紙に名前を書いたのを確認し、魔法陣の掛かれた紙を蝋燭の明かりで燃やす。ゆっくりと燃えて行く紙を見つめながら蝋燭の火を吹き消した瞬間。私とガゼフは見たことも無い部屋の中に居た

 

「む、ランポッサも来たか。だが随分と慎重だったようだな」

 

その部屋には既にジルクニフとフールーダの2人が待っていた、だがフールーダは会談の時の冷静な素振りは消え、やけに興奮しているようだ

 

「ジル!ゴウン殿は素晴らしい魔法詠唱者だったようじゃな!!」

 

「ああ。それはもう何度も聞いたよ、爺」

 

酷く疲れた様子のジルクニフを見ていると、突如部屋が暗くなる。咄嗟にガゼフが身構えたが部屋の中央に現れたのは敵でもなんでもない、美しい何かの映像だった

 

『世界とは巨大な大樹……ユグドラシルに内包された数多の異世界の事を差す』

 

部屋の中全体に響き渡る声はゴウン殿でも、カワサキ殿でもない、それ所か女性か男性かも判らない奇妙な音声だった

 

『ユグドラシルの枝には何万と言う葉があり、その葉。1枚1枚が世界であり、ともに協力し合い繁栄していた。だがとある日、その神木を喰らう巨大な魔龍が現れた。魔龍はユグドラシルの葉を好んで喰らい、かつて繁栄し、共に手を取り合った異なる世界同士の住人は自らが生き残る為に、その手に剣を手にした』

 

醜悪で巨大な龍がその牙で神秘的な輝きに満ちた葉を喰らっていく……その光景は思わず絶句するほどに恐ろしい光景だった。

 

「……これは随分と種族が居るようですな」

 

「うむ、見覚えの無い者も多いな」

 

再び映像が変わり、次は人間や、数多の異形種が戦場を駆ける姿であった。それ自体はさほど珍しい物ではない、だがその種族の数や、装備の質は帝国や王国とは比べようがないほどに高い。

 

『邪龍によってユグドラシルは滅びへと向かい、数多あった世界はアースガルズ、アルフヘイム、ヴァナヘイム、ニダヴェリール、ミズガルズ、ヨトゥンヘイム、ニヴルヘイム、ヘルヘイム、ムスペルヘイムの僅か9つの世界が残されるだけとなった』

 

戦場の次に映し出された神樹は、最初に見せられた姿と異なりあれだけ青々としていた樹木は枯れ始め、天を突くような大樹には申し訳ない程度の葉が僅かに残されているだけなのだった……

 

 

 

ゴウンとカワサキの思惑は判らなかったが、この映像を見せる事とカワサキ達の手紙にあった騙したという一文……それとこの映像には何かの関係性があるはずだ

 

『世界が滅びるかもしれない、本来ならば共にこの危機を切り抜ける方法を探すのが最も正しい選択であった。だが人間は異形種を悪とし、排除する事を選んだ』

 

異形種が人間に追われ、殺されていく場面が次々と流れていく。翼を持つ女がその翼をもぎ取られ、首を落とされる。ハンマーを手にしたドワーフが人間に狩られていく……その余りに悪辣な光景に思わず私もランポッサも、フールーダもガゼフも眉を顰める。目の前で繰り広げられている光景は、それほどまでに邪悪でそして醜悪な光景だった

 

「……いや、そんな、だが……ありえない話ではないのか?」

 

「どうした?爺」

 

急にぶつぶつと呟きだした爺にどうした?と尋ねる。正直、あの醜悪な光景はまだ続くらしく、見て居たくないと言う気持ちもあったので爺にそう尋ねる。

 

「これが真実なのか、それともゴウンとカワサキの過去の話なのかは不明ですが……あの戦士やモンスター、それに異形種が使う魔法はワシ達の魔法と全く同じなのです」

 

同じ魔法……その一言に思わずまさかと言いたかった。だが、あの映像では世界は9つあると言っていた……

 

(まさか……な)

 

一瞬私の脳裏を過ぎった……私達の世界もまた、この9つの世界の1つ……そんな想像が脳裏を過ぎる。

 

『人間に狩られる異形種達に心を痛め、義憤を持って立ち上がった者達が居た。人間に狩られる異形種達から異形種を護るべく集まった42人の偉大なる御方達、至高の42人と呼ばれ、1500人に及ぶ人間の襲撃を退け、異形種達の王国を作り上げた。その王国の名は「アインズ・ウール・ゴウン」絶対なる42人の御方を君主として作られた王国である』

 

その言葉を最後に映像は途絶えた……最後に告げられた言葉「アインズ・ウール・ゴウン」という王国の名前……静寂に満ちる部屋の中に突如闇が現れ、そこから豪奢なローブに身を包んだエルダーリッチと、黄色の異形が姿を見せた

 

「さてと、私達の世界の話はいかがでしたか?ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス、そしてランポッサ三世」

 

そのエルダーリッチの声は紛れも無くゴウンの物であった。肌を突き刺すような威圧感と、圧倒的な王気……これほどまでの相手を見たのは初めてかもしれない

 

「ゴウン殿とカワサキ殿なのか?」

 

信じられないと言う様子でガゼフが問いかける。だがそれは私も同じであった、人間だと思っていた相手が実は異形種だった。それに驚くなと言うのはあまりにも無理な話だった

 

「騙していた、偽っていたことは謝る。だが俺がカワサキだ」

 

黄色い異形から発せられた言葉は紛れも無くカワサキの声だ。それは今までの映像が全て事実であったと言う証であり、そしてこの世界もまた、ユグドラシルという神木に残された9つの世界の1つであると言う証拠なのだと思った

 

「ゴウン殿……は、本当に異形種でおられたか」

 

「ええ。騙していた事になり、申し訳ありません。ですが、この世界の情勢を知りたかったのです」

 

ゴウンとカワサキは並んで腰掛ける、声も雰囲気も全く同じで正直混乱するな……だがカワサキとゴウンなら最後まで隠す事も出来ただろう。それをあえて明かした、その理由が気になる

 

「エルダーリッチの割には魔力を感じないな」

 

「フールーダ老、私はエルダーリッチではありません。私はオーバーロード。死の支配者と呼ばれる最上位のアンデッドになります」

 

オーバーロード……死の支配者とはまたずいぶんと大きく出た。だが、これだけの王気とカリスマを見れば、それは決して驕りでもなんでもないと言うのがよく判る

 

「しかし、魔力を感じないのは何故じゃ?」

 

「貴方達よりも前に私達の正体を知る人間達がいましてね、その中の1人が魔力を見れるとかで発狂寸前となってしまったので、その対策です。もし望むのならば、それを解除するのもやぶさかではないですが……また今度にしておきましょう」

 

魔法に異常に執着する爺を自由にしていては、カワサキやゴウンの話を聞くことも出来ない。幸い爺が何かを思い出すようにぶつぶつ呟いているうちに話を進めてしまおうと思い、もっとも気になっていた事をアインズとカワサキに向かって切り出すことにした。

 

「アインズ、それにカワサキよ。何故、正体を明かすことにしたのだ?最後まで隠し通すことも出来ただろうに」

 

正直このような口調で声を掛けるのには恐怖があった。アインズ・ウール・ゴウンは異形種の王国だと言う、ならばここはゴウン達の城の一室である可能性が高い。シモベが押しかけてくるのではと思いはしたが、あえて今までとおりの口調で声を掛けることで私はお前達の正体を気にしないと言うアピールをしたのだ。爺が目配せをしながらうなずく、この点で私の選択は間違いではないと確信した。

 

「そうですね……理由はいくつかあるのですが、私達の世界は滅びに瀕していたと言うのは判っていただいたと思います」

 

神木を喰らう邪龍は見た、あのおぞましい姿の龍は暫く夢に見そうだな……

 

「俺達の対処法は龍を倒す、もしくは……世界から逃げるか、運命と思い世界と共に死ぬかと言う物だった。なんせ俺達の世界が最後の世界だったからな、他の世界の住人は早い段階で世界から逃げる事を選んだ」

 

「カワサキ殿、話が見えないのだが?」

 

何故他の世界の住人の話をするのか?とランポッサが問いかける。私もそれを感じたが、何かの意図があるのだろう。

 

「そして世界から逃げた者達はいろんな世界へと渡った。元々ユグドラシルはいろんな世界へ繋がる道でもあったからな、そして世界から逃げた者達は異なる世界で神と呼ばれ、英雄と言われた。一番最初に世界を脱出した6人は、世界を渡るだけではなく……時間さえも越えてとある世界へと流れ着き、その力を持って人類の味方をした」

 

その口ぶりにまさかという考えが脳裏を過ぎった……ありえないと、そんな馬鹿な話はないと思った。

 

「彼らは6大神と呼ばれ、スレイン法国を作り上げた。またあるものは八欲王として世界に混乱を起こし、そしてあるものは13英雄として世界を救った」

 

「ま、待って欲しい!カワサキ殿、ゴウン殿!一体、一体何の話をしているのですか!?」

 

話についてこれなかったガゼフがついに叫びだす。ランポッサも理解していない様子だが、私は大まかだが理解出来たような気がする。爺から13英雄の話を聞いていたから、もしやと思っただけだが……恐らく私の予想は当たっているはずだ。

 

「私達は世界と共に死ぬはずでした、しかし何の運命のいたずらか、気が付けば私達はこの世界に居ました。それが私達だけとは限らない、例えば……そう、邪龍に従う事を選び、生き残った者達。それらもまたこの世界に現れているのです」

 

静かな声だが、ゴウンの声は凄まじい大声のように感じた。

 

「帝国と王国に被害を与えたモンスターも世界を喰らう邪龍のシモベだ。だが敵はそれだけじゃない、もっと大勢、そして驚くほど根深く、この世界に影響を与えている。異形種狩りを国是としている国で」

 

「ま……まさか……?スレイン法国ですか?」

 

「私はそう考えています。私達には仲間が必要であり、そして意図的に戦争をさせられている国を止めなければならない。私達の願いは1つ、この世界に滅んで欲しくない……ただそれだけなのです。私達の世界のようになって欲しくない……それだけが私達の嘘偽りの無い願いであり、そしてこの世界を喰らおうとしている邪龍のシモベに私達が人間ではないと明かされ、今まで積み重ねていた全てが無碍にされる前に、真実を話すべきだと考えたのです」

 

馬鹿なとは言えない、今までの戦争や国同士の争いはまるで誰かに操られているようなと感じた事もある

 

「しかし、私達もまた人外であり、貴方達からすれば怪しい存在でしょう。これからどうするのか、それを強制するつもりはありません。ですが、私達の話を信じ、そして私達の目的に協力してくれるのならば……2日後。再びこれを燃やしください、それまでは私はこのナザリックにて、貴方達の返答をお待ちしております」

 

ゴウンのその言葉を最後に私と爺は、ロ・レンテ城の客間に戻されていた

 

「爺……どう思う?」

 

「真実だと思わざるを得ない流れもある、だが、疑うべき所もある。ジル、お前はどうしたい?」

 

爺の問いかけに私は即座に返事を返すことが出来ないのだった……信じたい気持ちはある、だが疑う気持ちもある。拒絶されるのを恐れていただろうに、それでもなお本来の姿を見せたカワサキとゴウン……それを信頼の現われとして受け取るべきなのか……どうするべきなのか、私は悩み、そして爺に寝ると言って、与えられたベッドにもぐりこむのだった……

 

 

 

 

ジルクニフ皇帝とランポッサ3世が部屋から消えた後、俺とモモンガさんはソファーに腰掛けた

 

「あのさ、デミウルゴス監修のあの映像正直どうかと思うし、このシナリオ……もしかしてパンドラか?」

 

俺の言葉にモモンガさんがピカっと光った。なんで今光ったんだろう?

 

「……言わないのが優しさって思いませんでしたか?」

 

「黙り込んでるより言う方が良いと思ったんだが?」

 

俺の言葉にモモンガさんは確かにそうかもしれないですねと苦笑する。帝国と王国の主要人物に真実を明かす、パーティの後にそう告げられ大丈夫か?と思ったのだが、アルベド、デミウルゴス、パンドラの3人の提案というのなら、確かに意味はあるのかもしれない

 

「で、この作戦に踏み切った理由ってあるのか?」

 

「はい、スレインを監視しているシャドウデーモンとの連絡が途絶え、そしてリリオットがスレインから旅立つ者を見たと言うので、それを踏まえての事です」

 

今まで動く気配が無かったスレインだが、帝国と王国の和平に合わせて再び動き出したと言うことかも知れないな。スレインからすれば、帝国と王国の和解は避けたいはずだろうしな

 

「さてと……じゃあ、悪いけどシャドウデーモンを4人とエイト・エッジ・アサシンを1体貸して貰おうかな」

 

「……何をするつもりですか?」

 

物凄く怪訝そうな顔をしているモモンガさんを見ながら、自身の人化の術を掛ける。

 

「黄金の輝き亭の料理長が話をしたいと言うんだろう?同じ料理人として話(勝負)をしたいと思っていた」

 

それに焼失した俺の店も調べておきたいし、暫く店を再開するのも不可能だからその話も纏めておきたい。こればっかりは他人に任せることが出来ないので、自分で行くしかない

 

「おかしいですね、物凄くまともな話をしているはずなのに、今話のイントネーションが少し変だった気がするんですが?」

 

首を傾げるモモンガさんに気にするなと言う。料理人同士の話し合いなんて、何をするか決まっている。自分の料理の腕が相手より優れているか、それとも劣っているのか?それを確かめる為の物だからな

 

「はぁ……別にいいですけど、クレマンティーヌも連れて行ってくださいよ?カワサキさんだけだと不安すぎますから」

 

失礼な。……と言うことが出来ないほどに問題を起こしている俺は、少し黙り込んでから判ったと返事を返し、モモンガさんに言われた通りクレマンティーヌを呼ぶ為に応接間を後にするのだった……

 

 

 

 

 

 

パンドラズ・アクター……このナザリックの支配者であるアインズ様に作られたシモベと名乗る何とも言えない顔をした男が提供してくれた武器はどれも八本指でも入手できない代物だった。

 

「軽い、それに使いやすい。ちょっと違和感はあるけど……良い感じだ」

 

レイピアを振るうマルムヴィストは満足そうに頷き、腰の鞘にレイピアを納める。4種類から選んで良いと言われていたマルムヴィストだが、あいつが選んだのは今まで使っていた物よりも、一回り長いレイピアだった。

 

「使いこなせるのかい?」

 

「ああ、問題ない。前と同じ長さも持ってみたんだが……違和感が凄くてな」

 

「……判る。4日ほどの訓練だったが……確実に成果が出ているのだろう」

 

マルムヴィストと同じくぺシュリアンも前に使っていた物よりも巨大な獲物を手にしている。モンスターに喰われるかもしれないと言う恐怖を感じながらの訓練は想像以上に私達の身体能力を強化してくれたようだ。

 

「むん……違う……せいッ!!……これも違う」

 

「そんなに違和感があるか?」

 

龍の牙を使ったと言う手甲を装備しているゼロは拳を握り締めては突き出し、開いては突き出すを繰り返している。

 

「この指輪とブレスレットがな……中々に面白い」

 

修行僧と言う事でぺシュリアンやマルムヴィストよりも装備出来る範囲が狭いという事で、色々と与えられていたゼロ。装備してみて、身体を動かして、感覚を掴もうとしていると言うことか……。

 

「……なるほど、興味深い」

 

デイバーノックは求めていた魔法の書物を閲覧する許可を貰い、人化の指輪を外して夢中で本を読んでいる。

 

「……ふう、こんな物か」

 

机の上においていた水晶球から手をどける、これは私に与えられた訓練用のアイテムで精神集中に高い効果を持つらしい。現に私は訓練をしつつ、与えられた精神操作と相性のいい直剣3本を操作しながら、全員の観察を行っていた。以前はこれほどの細かい制御をすれば激しい頭痛を感じていたが、それもない。私も強くなったという実感を得る事が出来ている……。

 

(ただ不安要素はあるな……)

 

装備も与えられ、今度からナザリックのシモベとの直接戦闘による訓練と聞いている……腕や手足が千切れても魔法で回復出来るとにこやかに言われたのが不安で仕方ない。

 

(余り評価はよくないだろうしな)

 

八本指に所属していたと言う過去はどうやっても覆す事が出来ない……治るからといって手足を引き千切られたりしなければいいが……。

 

「……お昼です」

 

「今日も色々と食べてもらいますよ」

 

シズ様とシホ様の2人が部屋の中に入ってくる。ここ最近麺料理ばかり食べているなと思わず苦笑する……。

 

(美味い事は美味いんだけどね……)

 

醤油、味噌、塩、ちゃんぽん色々な味の麺料理を食べてきたけど、これは!と言うものは無かった。

 

(マートフが食べたい)

 

あの口を焼くような刺激的な味わい、あの痛みと香り……食べられないと諦めていたけど、カワサキの店で食べたからかマートフが食べたくて仕方ない……。

 

「これは……!?」

 

「むう?」

 

「……凄い香りだ」

 

「……げっほっ!!!」

 

「ん?何か匂いがするか?」

 

ゼロ達がその香りに恐れおののく中、私はその香りに期待を抱いていた。なおアンデッドモードのデイバーノックはその香りに気付かず、首を傾げていた。

 

「……今日は坦々麺」

 

「カワサキ様のレシピになりますが、些か辛い料理です」

 

些か辛い?その表情見れば嘘だと判る、あれは……かなり辛いんだ!マートフではないが、辛い料理を食べる事が出来る。私は、どんな料理が出てくるのか期待して、誰よりも早く食事のテーブルに着くのだった……。

 

 

 

メニュー74 黄金の輝き亭へ続く

 

 




今回の話はとても難産でした。シナリオ回はいつも難産なんですが、今回はいつも以上に難産でした。突っ込み所とかはあると思いますが、足りない頭で考えたと思い、優しい目で見ていただけると非常にありがたいです。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

やはりカワサキさんがオラリオにいるのは……

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