生きたければ飯を食え   作:混沌の魔法使い

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今日は3連続で行くよ

これが私の全力全壊なり、ちなみに壊れるで合ってます、明日から就職活動に戻るので
仕事が見つかるか、私のメンタルが壊れるかのデスゲーム。

最後まで連続更新お付き合いよろしくお願いします。


下拵え 決着

下拵え 決着

 

デミウルゴス達に祭りの準備を手伝わせている間。竜王国の外に向かって貰ったコキュートス達はあちこちの魔法を増幅させる使い捨てのアイテムを配置して回っていた。

 

「調子はどうだ?パンドラ」

 

【モモンガ様、万事抜かりありません。後4箇所配置したら戻ります】

 

報告を聞いて窓の外に視線を向ける。日は暮れ始めているが、それでも夜には間に合うだろう。

 

「そうか、ご苦労。だが夕暮れまで時間が無い、少しばかり急いでくれ」

 

【お任せください、日が降りる前に配置を終え戻ります】

 

そう言ってメッセージを切るパンドラズ・アクター。地図につけた×印の位置は竜王国を中心にした魔法陣の基点である。

 

「よほどの大魔法を使うのじゃな、アインズ殿」

 

「おお、お戻りになられましたか。どうでしたか?カワサキさんの所での料理の勉強は?」

 

戻って来たドラウディロン殿とリュク殿に尋ねると2人は疲れたと笑った。

 

「普段簡単に食べている物があんなにも大変だったとは夢にも思わなかった」

 

「逆に私は普段焼くくらいですからね。料理って大変だなあと思いましたよ」

 

疲れたといっている割にはその顔が楽しそうだ。多分初めての料理体験を楽しんだという事が実に良く判る。

 

「アインズ殿も料理をお作りになるのですか?」

 

「あ、いえ私は1度作っただけですね。カワサキさんのほうが料理が上手ですし」

 

それに前のカレーで号泣してるシモベを見て対応に困ったって言うのもあるし……料理を作るときは細心の注意を払わないといけないと言う事を俺は学んだのだ。

 

「それでアインズ殿。本当に夜に押しかけてくるビーストマンを全て正気に戻せるのか?」

 

「勿論。そのための準備は完了しておりますよ」

 

クレマンティーヌの兄。クアイエッセの自爆によりスレイン法国はどう考えて動いているのかと言うことは判った。更に、クアイエッセはスレイン法国の紋章入りの服を着ていたのも非常に大きい意味を持つ。

 

「尻尾きりをすると思うんじゃがな」

 

「それならそれで良しですよ。スレインが何を言おうと今それを信用する者がいますか?」

 

自国での発言力は保てるだろう。だが切り捨てたクアイエッセはどうなるか?と考えれば非常に俺達にとって都合のいい流れになる。

 

「クアイエッセはビーストテイマーですので、あの男を切り捨てれば、今まで通りに襲われている所を助け、そこから金を貰い受けると言う事が出来なくなります。となれば、今までのように自作自演で金を稼ぐことが出来なくなります。仮に切り捨てる事無く抱え込んでいたとしても、同国民だったとしてもこんな失態を犯した男を仲間として受け入れる訳が無い」

 

今回のクアイエッセの自爆によって竜王国からの莫大な資金、そして困っている所を助けて金を得ると言う方法が出来なくなった。更に、ビーストテイマーであるクアイエッセを切り捨てようが、切り捨てまいが、スレインの株は見るも無惨なほどに下がる。

 

「なるほど、強かじゃな」

 

「いえいえ、あの国は後ろめたい事が多すぎる。それを突いてやるだけですよ」

 

強大な組織力を持つ国ほど後ろめたい事が多い、その中でもスレインほど後ろめたい国は無いだろう。今回の事を竜王国とビーストマンの謀略としても良いだろう。それでも確かに不信の種は植えつけることが出来るのだから……

 

「どちらに転んでも私達は傷つかない」

 

「そしてスレインがどう出ようが批難はまぬがれない……」

 

「考えうる限り最善の一手でしょう」

 

相手に手痛いダメージを与え、自分達には一切の被害が出ない。本当に完璧な手段だと思う、そしてこの手段を打てる理由となったクアイエッセには本当に感謝したいと思う。

 

「さて、では後は演出ですね。どうぞこれをお使いください」

 

アイテムボックスから取り出した伝説級の杖。確かにレア度は高いし効果も強力だ、だがこれは杖の見た目をしていても杖ではないのだ。

 

(見た目だけ最高の杖だからな、これは)

 

あくまでこれは配置系アイテムの効果を強化するアイテムで、レア度の高いだけの外れアイテムと言ってもいい。だがそのお陰で配置系の状態異常を回復させるアイテムとコンボすることで非常に広範囲に掛かっている状態異常を回復することが出来る。

 

「……これほどの逸品を手渡していいのか?」

 

「どうせこれは使い捨ての道具ですから問題ないですよ。これをドラウディロン殿とリュク殿が使えば……どう見えるでしょうね」

 

始原の魔法を使えるとスレインに思わせる事が出来る。そしてそれを強化する杖も持っていると思わせる事が出来る……そしてコキュートス達に設置させたパーティグッズも効果を発揮すればさぞ神秘的な光景に見えるだろう。

 

「それでは私達だけがスレインに狙われることになりますよね?」

 

「アインズ殿も何かやるんじゃろう?」

 

「勿論。私の本来の姿を少しだけ、スレインには見てもらいましょうか」

 

スレインが信奉する死の神スルシャーナ……これを利用しない手は無い。竜王国とビーストマンの国の和解劇をスレインにはたっぷりと見てもらおうではないか。

 

「それでは準備をしましょうか。そろそろ時間です」

 

「ええ、判りました」

 

「うむ、新しい歴史の幕開けじゃなッ!」

 

散々好き勝手に動かしてきたのだ。今回はその事をしっかりと悔い改めてもらおうと笑いあい、一世一代の劇を行う為に足を進めた。

 

(やだ、これどうしよう!?)

 

夜を昼間に変えるほどに光り輝く魔法陣とその中心にいるドラウディロン殿とリュク殿。2人が手にしている杖からは光が溢れ続け、あちこちのパーティグッズが炸裂し、どんどん幻想的な光景に変化している。これは確実にやりすぎたと俺は確信した……だがここまで来たらやるしかない。飛行《フライ》で飛び上がり、ドラウディロン殿達の上空に浮かぶ。

 

「「借り受けた物をお返ししよう!」」

 

2人が手にした杖に手をむける。物凄い笑ってる2人に本当に勘弁してくださいと思いながら、浮かんできた杖を掴む。

 

「汝ら罪なし、真なる罪人に裁きを」

 

また遠隔でこっちを見ているのは把握している。カルネ村の時のように再び炸裂した爆裂《エクスプロージョン》の感覚を感じながら、転移でその場を後にするのだった……。

 

「カワサキさん、恥ずか死ねる」

 

「どんまいどんまい、判る判る。テンションが上がりすぎたんだよな、大丈夫大丈夫」

 

余りに神々しい光景に意図してない所で名を上げてしまった俺はカワサキさんの所に泣きつき、また黒歴史が増えた事を嘆くのだった……。

 

 

メニュー97 祭り その1へ続く

 

 

やはりカワサキさんがオラリオにいるのは……

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