生きたければ飯を食え   作:混沌の魔法使い

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賄い4 今後の計画/モモンガVSカワサキ/クレマンティーヌは胃が痛い

賄い4 今後の計画/モモンガVSカワサキ/クレマンティーヌは胃が痛い

 

王国を後にする前にブレインを回収したのだが、奴もやつで有効な情報を持って来てくれた

 

「帝国がワーカーを雇っている……か」

 

「はい。知り合いの冒険者とワーカーから聞いたので、確かな話だと思います。毎年やっている戦争を起こす気配も無いとの事です」

 

毎年戦争って……王国も帝国も何をやっているんだろうな?この世界の事を知る度に疑問が1つ生まれる

 

「ワーカーの多くが王国に向かっているように、王国の冒険者も帝国に足を向けている者が居ると聞きました。表向きの情報以外を集めるのなら今がチャンスだと思います」

 

ブレインはそう言うと頭を深く下げる。モモンガさんがこっちに視線を向けてから杖を突いて口を開く

 

「情報を集める良い機会と言うのは、見過ごすに惜しいな」

 

戦争が起きる時期なのに、戦争をする気配が無い。お互いに警戒態勢になり、情報を集めようとしている。その中に紛れて情報を集める……それは有効な手段だろう

 

「戦争などが起きるというのならば、それを利用して名声を得ると言うのも1つの手段だ。外での活動が格段にしやすくなる」

 

冒険者やワーカーが増えるのなら、その中にナザリックの手の者を入れて情報と名声を同時に得ると言う事か……だけどNPCや守護者を送り出すのは不安が残るな……人間軽視っていうのが大きなデメリットになる

 

「これは既に決定している事だが、ナザリックのシモベの中から1人を選び、私と共に外での情報収集及び、冒険者として活動して貰う」

 

その言葉に集まっている守護者やプレアデスにざわっとした気配が響き、アルベドの静粛にと言う声で静まるが、アルベド自身も羽がぴくぴく動いているのが見える

 

「カワサキさん。ナザリックへ残ってくれますか?」

 

「嫌だ」

 

モモンガさんの問いかけに嫌だと即答する。俺だって外を見て見たい、クレマンティーヌやリリオット、ニグンに外の話を聞くのは飽きた。それに何をするにも、守護者やNPCが出張ってくるのも正直疲れた

 

「しかしですね、カワサキさん。人化すれば戦闘出来るとは言え、ステータスなどに不安が残るんですよ?私はいざとなれば完璧なる戦士【パーフェクト・ウォリアー】で戦士化すれば、どんな状況でも対応出来ますが、カワサキさんはそうではないでしょう?」

 

「そもそも戦闘前提なのがおかしいだろう?モモンガさんは冒険者だから戦闘力は必要だとしてもだ」

 

そもそも人化すればクックマンの無駄に高いステータスを使えるようになる、スキルなどは使えないとしても、リアルで鍛えた護身術の腕は衰えていない所か、むしろ切れを増している。無論暴力を振るうつもりは無いが十分に身を守ることは出来る

 

「ですがね。カワサキさん、万が一を考えれば」

 

「だから戦うつもりもなく、帝国とかのレストランを見つつ、スカウト出来そうなワーカーを探す。どこに危険性がある」

 

俺とモモンガさんの視線が合う。だがお互いに意見を曲げる気が無いのは一目で判る

 

「カワサキさん。もう1度言います、ナザリックに残ってください」

 

「断るといっている。何度も言わせるな」

 

徐々に俺とモモンガさんの雰囲気が険悪な物になっていく。それを見て顔を上げたいけど、上げれないという感じでおろおろしている守護者やNPCには悪いが、俺も意見を曲げるつもりは無い

 

「どうしてもですか?」

 

「どうしてもだな」

 

心配しているんですよ?と言うモモンガさんの言葉。それは判っているが、俺だって子供じゃない。そこまで心配される必要は無いのだが、モモンガさんは意見を曲げる気は無さそうだ

 

「自分1人だけ外で気分転換とか考えてないよな?俺にナザリックの事を丸投げしようとか考えて無いか?」

 

「……そ、そんな事は無いですよ?」

 

こいつ考えてやがったな?俺は溜息を吐きながら、モモンガさんを見据える。そっちがそういう考えなら、こっちにも考えがある

 

「俺も鬼じゃない、だから選ばせてやろうじゃないか」

 

これから俺と戦うのか、それとも俺も情報収集に出て良いと決めるか、モモンガさんが決めると良いと言った瞬間。王座の間にさきほどとは比べられようも無いどよめきが響き渡った……

 

 

 

 

ど、どうすれば……カワサキ様とアインズ様が争う。それはナザリックの崩壊を意味すると言っても良いだろう

 

「戦うと?私とカワサキさんが?」

 

「そうなるだろうな。だが、俺は暴力を振るうつもりは無いぞ」

 

カワサキ様の言葉に思わずほっと溜息を吐きかけたが、まだ予断を許さない状況だ。しかしアインズ様の言う事も分かる。カワサキ様のことを心配し、ナザリックに残ってくださるように仰られるのは決して間違いではない。

 

「俺だって外を見たいし、俺にしか出来ない情報の集め方だってある。そうは思わないか?」

 

「それは判りますが、リスクが少しでもあるのならその方法を選ばないと言うのだって間違いではない」

 

完全に平行線の話し合い。私含めシモベ全員がぴりぴりとした緊張感を感じている中。カワサキ様はわかったと言って、虚空に手を伸ばし。そこから何かを取り出そうとする

 

「アイテムで私をどうこう出来ると?」

 

正直アイテムなどでアインズ様をどうこうできるとは思えなかった。だがカワサキ様がここまで自信に満ちて居ると言うことは何か特別なアイテムをカワサキ様は所持していたのだろうか……

 

「出来るな。これを使えば」

 

カワサキ様が自信満々に取り出したのは、紫色の毛で身体のごく僅かな面積を覆っているだけの服を纏ったマネキンだった

 

「デンジャラスビースト……廃棄したんじゃなかったんですか!?」

 

だがアインズ様はそのマネキンを見て、目に見えて動揺した素振りを見せる

 

「いざと言う時の為に残しておいた。モモンガさんが俺の外出を許可しないのなら、これをアルベドに与え、モモンガさんとアルベドを転移できない部屋に閉じ込めようと思うのだがどうだろうか?ペロロンチーノの言っていた○○しないと出られない部屋シリーズとやらだ」

 

「鬼か!?」

 

「何言ってる。俺はクックマンだ」

 

アインズ様が王座から立ち上がる。カワサキ様の言っていることは外出許可を出さなければ、アルベドとアインズ様を1つの部屋に拘束する……あの服装で……1つの部屋……流石のアインズ様もその状況になれば……

 

(いや、アルベドが暴走しますね)

 

それは正に飢えた肉食獣の檻の中に子羊を放つような物でしょうに……それだけカワサキ様が本気と言うのが伝わってくる

 

「ちなみにこのデンジャラスビーストの効果は魅了成功率80%UPと対象の男性の性欲50%UPらしい、パンドラが鑑定してくれた」

 

さらりと付け加えられた装備の説明によると、これは見た目よりも遥かに危険な品だったようだ。デンジャラス・ビーストの名に偽り無しですね

 

「なんて危険なものを持ち出すんですか!?」

 

アルベドがぷるぷる震えているのを見ないようにするが、カワサキ様の言っている事はアインズ様のお世継ぎを作ると言うことで……それはシモベとして諸手を挙げて賛同出来る内容だ。

 

「そうなったらナザリックに残ってやるよ。ウェディングケーキとか、飾りつけとか必要だしな」

 

「脅しじゃないですか!?」

 

「脅し?違うな、友人の婚姻の手助けをするのが早まるだけだ。ではモモンガさん、婚姻するか、俺に外出許可を出すか。好きなほうを選んでくれ、言っておくが、両方無しは認めない。それをしたら……モモンガさんの朝食を用意しなくなるかもしれない」

 

「鬼!悪魔!カワサキッ!!」

 

悪口なのか、混乱しているのか判らないが、アインズ様が錯乱しているのは良く判った。アルベドがくふーっと抑え切れない愉悦に満ちた声を出しているのと、若君が出来る未来を想像しているコキュートスと、訳が判らないという様子のアウラと、膨れ面をしているマーレ

 

「良し、ならシャルティアも一緒に「カワサキさんは護衛の数を2人!それで許可しますッ!!」

 

シャルティアの追加でアインズ様が悲鳴にも似た声で、許可を出すとカワサキ様は良しと呟かれ。その後はカワサキ様の護衛や情報収集への方向性の話し合いになったが、私はシモベなどの厳選などをしながら、カワサキ様がどこまで本気だったのか……そこが気になって仕方ないのだった……なお今回は見送りと言う決定がなされ、アルベドとシャルティアはとても悲しそうに会議に参加していた姿がやけに印象的だった……

 

 

 

 

アインズ様と従属神様の話し合いの結果。帝国へ向かうカワサキの道案内として私が選ばれた、それ自体は歓迎出来る内容だ。護られているのは判るが、それでも外を見たいと思うのは人間として当然の欲求だ

 

「装備のほうはどうだ?違和感とかは無いか?」

 

外に出ると言う事でアインズ様に下賜された装備。それの具合はどうだ?と尋ねてくるカワサキに笑みを浮かべながら

 

「こんな装備本当に貰って良いんですか?」

 

カワサキを助けた褒章を兼ねているのは知っているが、装備自体は最高としか言い様が無い。私好みのライトアーマーに炎・風・雷・氷と4つの属性を付与されたアダマンタイトで作られた4本のスティレットに、魔法で切れ味が上昇しているナイフと打撃時に魔法陣を展開し、打撃力をUPするモーニングスター。更にライトアーマーには生命力向上・自動回復などの生存に直結する能力がこれでもかと付与されている。どれか1つでもスレイン法国なら至宝と呼ばれるアイテムだ

 

「別に喋り方はもっと軽くても良いぞ?」

 

「いやあ……それはちょっと無理です」

 

カワサキの後から私を見つめている2人の従属神様の殺気に満ちた表情に冷や汗を流しながら、無理ですと言うとカワサキは振り返り

 

「そんなに怖い顔をするな、それとも今から帰るか?シャルティア、エントマ」

 

カワサキの護衛としての任務を与えられたのは吸血鬼のシャルティア様と、蜘蛛人のエントマ様の2人。戦闘力では従属神最強のシャルティア様と、蟲使いで索敵から身辺の警護までこなせるエントマ様。エントマ様は人化の術を施され、少し戦闘力が低下しているとの事らしいけど、その威圧感は半端じゃない

 

「いいえ、帰りません。アインズ様からカワサキ様の護衛の任務をあたえられたのですからぁ、おに……んん!クレマンティーヌとも仲良くします」

 

今お肉って言おうとしたよね?今絶対私の事お肉って言おうとしたよね!?

 

「完璧にカワサキ様の護衛を務め上げて見せるでありんす。クレマンティーヌとも……ええ。大丈夫なんし」

 

……今の間が物凄く怖いです。カワサキが側にいてくれるから大丈夫だと思うんだけど、さっき木の枝の所から物凄い鋭利な鎌を持ってる蟷螂とか、ぼやっとおぼろげにしか見えない吸血鬼とか見えたけど大丈夫だよね?私襲われたりしないよね!?

 

「良し、じゃあクレマンティーヌ。帝国まで案内よろしくな、もし知り合いのワーカーとか見つけたら積極的に交渉だ。後、旅の間は敬語全員禁止」

 

……なんでそんなにさらっと難しい事を追加出来るの!?普段通りなら良いよ!?でも飛び切り怖い従属神様2人と一緒にいるときにタメ口なんて無理に決まっている

 

「なお、敬語を使うたびに食事から材料を1つマイナスします」

 

止めて!お願いだから!これ以上厳しい条件を付与しないで!?従属神様2人の目が死んでる!小声で絶対無理とかぶつぶつ呟いているのに気づいて!!

 

「カワサキ様。それはちょっと無理難題が過ぎると思うでありんすが?」

 

「シャルティア、材料-1な?」

 

「な、なぁ!?」

 

容赦の無いカワサキの-判定。手にしている手帳に何かの印をつけている

 

「エントマ、護衛の方は?」

 

「はい。心配ありません、カワサキ様」

 

「エントマも-1な」

 

さらに容赦の無い判定でエントマ様も目が死んだ!!そしてカワサキはこっちを見て

 

「それで、帝国で有名なワーカーとか誰か居るのか?」

 

ここで敬語を使えば減点、敬語を使わなかったら従属神様に殺される。物凄く悩み、私の天秤が傾いたのは……

 

「んー有名なワーカーより、そこそこ程度のワーカーが良いと思うよ?有名所はちゃんとした契約先とかいるし」

 

食事を優先する事だった。従属神様の視線が物凄く痛いが、食事はやっぱり妥協したくないと思ったのだ

 

「出来ればこんな感じで喋るように、ちなみにさっきのは最初って事もあるから一応取り消ししとくから」

 

手帳のページを破き燃やすカワサキは楽しそうに笑うが、正直楽しいなんて思えない旅路が待っているのは一目瞭然だったので

 

「カワサキ、いきなり敬語なしって言うのは難しいと思うから、様付け無しって言うのはどうかな?」

 

「む?うー確かにいきなりは難しいかもしれないな、じゃあ様付け無しで行こう」

 

私の提案を飲んでくれたカワサキに良かったと心の中で呟く、従属神様にいきなり敬語禁止はハードルが高すぎると思うし

 

「では出発しようか。モモンガさんが満足出来る情報と有益なワーカーをスカウト出来ると良いんだけどな」

 

道案内よろしくと言うカワサキの言葉に頷き、先導する為に前を歩き出すが、背後からひそひそと従属神様の声が聞こえてくる

 

(様をつけないで大丈夫でありんすか……?)

 

(わ、判らないですぅ……で、でもカワサキ様の護衛を完璧にしないと、アインズ様に怒られてしまいます)

 

カワサキはその会話を聞いて無い振りをしている。ナザリックをもっとフレンドリーにしたいって言ってたけど、それって物凄く難しい事なんじゃ……出発して間もないと言うのに胃が痛み始めている。私はお腹に手を当てながら、今回の件はニグンかブレインに押付けたら良かったかもと早くも後悔し始めるのだった……

 

「ではいくぞ、ナーベ」

 

「はい、モモンさ――ん」

 

そしてカワサキがナザリックを出発したのと、ほぼ同時刻。人化した上で鎧を装着したアインズとナーベと言う冒険者と言う設定を与えられたナーベラルはエ・ランテルに向かって出発するのだった……

 

メニュー25 アウトドアメニュー

 

 

 




原作通りアインズはモモンに扮しますが、人化をしているので武技習得可能に加え、魔法使用可能(1部)レベル100ステータスによるごり押しなど、原作より少しパワーアップした状態で、エ・ランテルへ、カワサキ様はクレマンティーヌ。シャルティア、エントマの3人と共に帝国へ、誰を出したいかはもう判ると思いますが、ここいらで原作死亡キャラ生存をやって見たいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

やはりカワサキさんがオラリオにいるのは……

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