生きたければ飯を食え   作:混沌の魔法使い

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アテンション

今回の飯を食えは特別更新となります。時系列・話数など一切関係なしなのでここ矛盾してるんじゃない?などという突っ込みはなしでお願いします。では今回の更新もどうかよろしくお願いします


生きたければ飯を食え 番外

 

 

 

生きたければ飯を食え 番外 クリスマス準備編

 

その日俺はモモンガさんにとある相談を持ちかけたのだが

 

「クリスマス死すべしッ!!」

 

「止めろ馬鹿、嫉妬マスクを外せ!」

 

俺の話を聞く前に嫉妬マスクを被ったモモンガさんの頭を引っぱたく

 

「いいですよねー、カワサキさんはクリスマス予定ありましたもんねー?」

 

むっちゃやさぐれているモモンガさん。確かに俺はクリスマスはログインできなかったが、それは決して良いものなんかじゃない

 

「クリスマスはめっちゃ客来るから無理だっただけだ」

 

ちょっと無理をしてでも美味しい料理を食べたいと思ってくる客が多かったんだよと説明する。なおそれもあるが、俺が貧民層に落ちる理由になったお嬢様の襲撃とかもあって、並みの人よりも遥かにひどい苦しみますになっていただけだ

 

「じゃあモモンガさんはクリスマスは反対か?ケーキとか色々作ろうと思っていたんだけどな、嫌だと言うのなら「別に嫌って訳じゃないですよ?」じゃあクリスマスパーティは開いても?」

 

俺の問いかけにモモンガさんは嫉妬マスクを脱いで、綺麗に畳みながら

 

「良いんじゃないですかね?皆も喜びそうだ」

 

「良し!決まり!後は発表だけどNPCを集めて、説明しようか」

 

と言う訳で……

 

「頭を上げ、至高の御方の威光に触れなさい」

 

アルベドのお決まりの台詞と共にギルメンが作成したNPC達が顔を上げる。普段はこの場にいない、ヴィクテムや、ニグレド、そして一般メイド達にエクレアにペストーニャの姿もある

 

「うむ、ではさっそくだが。4日後をナザリック全体で休みとする」

 

休みに全員が一瞬身じろぎをする。アルベドも今にも泣きそうな顔をして

 

「そ、それではナザリックの警備の方は?」

 

「傭兵モンスターで一時的に賄う事とする。ニグレドは申し訳ないが、何時間か置きに外の様子を見て貰うことになる」

 

「いえ、大丈夫です。アインズ様」

 

ニグレドって顔が無いって聞いてたけど、今はアルベドと似た顔をしている。もしかして外に出る時は仮面でも被っているのだろうか

 

「アインズ様。質問しても宜しいでしょうか?」

 

「うむ、構わない。アルベドよ、どうした?」

 

アルベドは少し悩んだ素振りを見せてから

 

「何故予定外の休みを、しかもナザリック全域で?」

 

「ああ、それなんだが、詳しくはカワサキさんから発表がある」

 

あの野郎、このタイミングで俺に丸投げしやがった……にっと笑っているモモンガさんに少しだけイラっとしつつ、モモンガさんでは上手く説明できないのだろうと判断した

 

「リアルである祭りをナザリックにて開催する事に決めた。お互いにプレゼントを用意し、集めてくじでプレゼントを交換する。勿論、これには俺とモモンガさんも用意する。これは勿論仲間内で相談してもいい、良く考え準備するといい」

 

俺の言葉にざわめきがNPC達に広がる。子供のイベントと言われるかもしれないが、やはりクリスマスプレゼントの交換はやるべきだろう

 

「それに料理も俺が多数用意させてもらうし、色々と催し物も開催する。催し物に関しては、参加希望者は後で俺の下に来るように」

一応色々考えているが、参加志望者がいればそれも勿論考慮するつもりだ

 

「但しプレゼントは誰に誰の物が当たるか判らないので、そこの所は全員考慮して用意するように、まぁこんな所かな」

 

「カワサキさん、ありがとうございました。本日より、時間をずらし全員に3時間のプレゼントや催し物を考える時間を与える。クリスマスまで後4日、これは良く頑張ってくれた皆に対する私とカワサキさんの労いと思ってくれて構わない。楽しい1日になるように、皆良く考えて過ごすように」

 

モモンガさんの締めの言葉を最後にNPCの皆が王座の間を出て行く。少しざわめきが残っている所からNPCにとっても予想外だったのだろう

 

「さて、カワサキさん。クリスマスプレゼントって何が良いですかね?」

 

物凄く真剣な顔をしてどうしましょう?とモモンガさんが尋ねてくるが、俺は首を振り

 

「それも自分で考えるんだよ」

 

「いやいや、NPCには相談をって言っていたじゃないですか?」

 

「それはそれ、モモンガさんも良い年なんだからちょっと考えてみな。どうしても駄目なら相談に乗るから」

 

王座に腰掛、うむうううっと唸るモモンガさんに背を向け、俺は王座の間を後にした

 

「あ、クレマンティーヌとニグン達にも伝えないとな」

 

流石に一緒に参加させるのは難しいが、あのログハウスでもパーティを開催出来るように準備をしてやろう。俺はそう思って俺の部屋ではなく、まず6階層で訓練しているであろうニグン達の元に足を向けるのだった

 

 

 

守護者やNPC全員が1日の間に与えられた3時間の考える時間。カワサキがスケジュールなどを考えていたが、出来ない事を考慮し、2人ないし、3人くらいまでその時間が重なるように考えられていた。モモンガはともかく、初めてのイベントにNPCが対応出来ない事を考慮したのだ。そして少し長めの休憩時間を与えられた階層守護者達はと言うと

 

「も、もしかしたらカワサキ様とモモンガ様のプレゼントが貰えるかも」

 

「でもそれって結構厳しい確率だと思いますよ?アウラ様」

 

「ち、ちなみに確率ってどれくらいに?」

 

ソリュシャンに尋ねるアウラ、ソリュシャンは指折りをしながら

 

「まず階層守護者の皆様で8人、次に私達プレアデスで7人、一般メイド41人、ニグレド様、セバス様、ペストーニャ様、エクレア、参加するか判りませんが、恐怖公、ニューロニスト、シホにピッキー、もしかするとクレマンティーヌ達もかもしれないですね」

 

「多いね……これじゃあ無理かも」

 

思ったよりも人数が多い事に落ち込んだ表情をするアウラ。勿論恐怖公の名前に顔が引き攣ったのは言うまでも無い

 

「アウラ、重要なのはそこでは無いわ」

 

「え?なに?アルベド」

 

「全員のプレゼントをわからないようにしてランダムに交換する。アインズ様とカワサキ様に献上するのならば最高の品で良いけれど」

 

そこで言葉を切ったアルベドは深く溜息を吐きながら

 

「アインズ様、カワサキ様以外の手に渡った場合も考慮する必要があるのよ?同僚の趣味、欲しがるかもしれない物、そしてアインズ様達の手に渡る可能性も考える必要がある。これは難題だわ」

 

「そ、そう言われるとそうかも。ううーどんなのが良いんだろう」

 

至高の御方に献上するのならば何を差し置いても最上級の品。だけど同僚の手に渡る可能性もあるとなれば、それも考慮する必要がある。

それがNPC達の頭を悩ませる

 

「デミウルゴスさんはもう決まったんですか?」

 

「ええ、私はもう決めました。アインズ様、カワサキ様の手に渡ることも考えていますが他の人に渡っても大丈夫なように色々と考慮しました。マーレは?」

 

「ぼ、僕も決めました。喜んで貰えるかはち、ちょっと自信が無いですけど……」

 

頭を悩ませるNPCもいれば、パーティに参加する人数が多いので、御方の手に渡る可能性の低さから、無難ではあるが、それでも御方に献上する事になっても大丈夫であろうと言う品を選んだ者

 

「シャルティアハ、モウ決メタノカ?」

 

「ええ。もう決めたでありんす、本当ならアインズ様、カワサキ様の手に渡ることを考えれば、最高の品でなければなりませんが、誰の手に渡るか判らないでありんしょう?だから嗜好品にしたでありんす」

 

「嗜好品……酒トカダロウカ?」

 

「そんなところでありんす、コキュートスはまだ決めてないようでありんすねえ。どうしてデミウルゴスに相談しないなんし?」

 

「……休憩時間ガ合ワナイ」

 

プシューっと冷気を撒き散らすコキュートスにそれは可哀想でありんすねえと笑うシャルティア。カワサキが意図したわけでは無いが、普段話をしないNPC同士が話し合いをし、カワサキがずっと進めているナザリック平和化計画の手助けとなっていた

 

「カワサキさん……」

 

「…なんでそんなに悩む?」

 

なお、モモンガは何をプレゼントにすれば良いのか判らず、パーティ前日まで呻き続け、カワサキに呆れられていた……

 

 

 

 

 

参加する人数が多いので、俺は3日掛けてクリスマスパーティの料理の準備をしていた。シホとピッキーが手伝うといってくれたが、正直これは俺のわがままに近いし、それに大勢の料理を作るのは慣れているので大丈夫と言って、ケーキこそシホとピッキーにお願いしたが、それ以外は自分1人で準備する事にした。こういうとき保存の魔法は心底便利だ。出来たてで保存できるから

 

「よっし、茹で上がったな」

 

ピーっと鍋が音を立てるので、半分に切ったプチトマトや星型にくり貫いた人参を作る作業を1度中断し、鍋の元に向かう

 

「あちちちち」

 

つぶしやすい大きさにカットした男爵芋が茹で上がり、お湯を捨てるときの蒸気で熱いと思わず言ってしまいながらざるの上にあげる。この作業を10回繰り返し、大量に煮ていた芋全てがやっと茹で上がり粗熱を取る。その間にきゅうりを薄切りにし、濃い目に作った塩水に沈め、更にその中に氷の塊を1つ沈めておく

 

「ハムは短冊切りにしてっと」

 

燻製肉を薄切りにして、それを更に1cm幅の短冊切りにする。無論大人数分なので、山の様な量だ。さきほどのきゅうりを沈めたボウルも10個以上並んでいる

 

「こっからが大変だ」

 

コックスーツの袖をまくり、巨大なボウルの中に先ほど茹でたじゃがいもを全てをいれ、食材になれで使う巨大なヘラを手にして、男爵芋を潰していく。滑らかな食感にしたいので丁寧に丁寧に押し潰す。男爵芋の形が完全に崩れたらマヨネーズ、黒胡椒、隠し味のマスタードを加え、全体を混ぜ合わせていく

 

「ん。よし、良い出来だ」

 

黒胡椒のピリリとした辛味とマスタードの酸味が良い具合に混じっている。刻んでおいたハムと水切りしたきゅうりをボウルの中にいれ、力を込めて混ぜ合わせる。全体が良く混ざるように根気良く巨大なヘラを動かし続け、良い具合に具材と混ざったと判断したら、大皿に盛り付けるが、下を厚く、上に向かうにつれ細くして行く。そしてナイフである程度形を整えたらブロッコリーをリースのようにポテトサラダに埋め込み、ある程度の間隔で星型にくり貫いた人参や半分に切ったプチトマトもいれ、彩りを整える

 

「良し、クリスマスツリーに見えるな」

 

我ながら良い仕上がりだ。普通に盛り付けるよりやっぱりこういう風に見た目にも拘った方が良いよな。

 

「ふっふーん♪」

 

次はベビーリーフをリースのように円状に盛り付け、半分に切ったゆで卵やスモークサーモンで彩を与え、雪を連想させるリコッタチーズを散らせば、リース風ベビーリーフサラダの出来上がりだ

 

「後はっと」

 

別のボウルに4等分にしたプチトマトと皮を切り取ったオレンジ、それと今サラダにしたベビーリーフの残りを入れて、賽の目状にスライスしたモッツァレラチーズと塩・胡椒で味を調え、オリーブオイルを加えて和えて、透明なグラスの中に盛り付ける。見た目も綺麗で簡単に作れる割に味の良いカプレーゼ風サラダの完成だ。酒を飲める組みがワインを好むのでそれっぽくしてみた

 

「どうも自分で思うよりも浮かれてるみたいだ」

 

クリスマスのディナーを依頼されることは多かったが、やはり食材の関係で難しく、理想としてた物には程遠い物に妥協していたが、これならば完璧だ

 

「次は軽食だな」

 

ベーグルを真ん中で切って、ポテトサラダの残りを挟み、ベビーリーフサラダの残りのスモークサーモンとリコッタチーズ、それとベビーリーフを挟み、トマトとベビーリーフを和えた、カプレーゼの残りとモッツァレラチーズのスライスを挟み、ハムとチーズ、トマトを挟んだサンドイッチ。前菜の残り材料だけで4種類ものサンドイッチが出来上がる

 

「後はピザとかもやってみるか」

 

そうと決まればピザソースだ。トマトを並べて熱湯をかけ湯剥きする。そしたら半分にカットし、種をスプーンで取り除き、にんにくを包丁の腹で潰し、玉葱を摩り下ろしておく

 

「……これを使うときが来たか」

 

禍々しいミキサー。これにカットしたトマト、潰したにんにくと摩り下ろしたにんにく、そして時間を見て作り続けているコンソメスープをミキサーの中に入れてスイッチON。

 

ギギャアアアアアア!!

 

「うるせー!?」

 

ミキサーなのになんで悲鳴みたいな音がするんだよ!だけど強力なミキサーなのであっと言う間にスープ状になる

 

「オリーブオイルを加熱して、にんにくと玉葱の微塵切りを入れて炒める」

 

にんにくの良い香りがしてきたら、ミキサーをかけたスープを鍋の中に入れて弱火で煮詰める。後は時々焦げないようにヘラで混ぜる

 

「ピザ生地は確か作り置きがっと」

 

食堂のメニューにピザがあるはず。俺はベーグルサンドを1つ手にして、部屋の扉を開ける

 

「カワサキ様。どうかなさいましたか?」

 

今日俺の部屋の前で待機してたのはソリュシャンだった

 

「ああ、ソリュシャンか。シホとピッキーに食堂のピザ生地の在庫を聞いてきて欲しいんだ」

 

「畏まりました。直ぐに聞いてまいります」

 

頭を下げて歩いていこうとするソリュシャンを呼び止め

 

「これはお駄賃な?」

 

「まぁ。ありがとうございます」

 

スモークサーモンとベビーリーフ、そしてリコッタチーズのサンドイッチを手の上に乗せる。もちろん口元に指を当てて内緒と言うジェスチャーも忘れない。にこりと笑い歩いて行くソリュシャンを見送り厨房に戻る

 

「さてとそろそろメインをやるか」

 

俺の予定ではローストビーフとローストチキン。それをメインとするつもりだがローストビーフは下味をしっかりつけて、オーブンにほりこめば終わる

 

「骨付腿肉を……うーん何本用意する?」

 

NPC全員に出すにしても単純計算で80を超える。んー俺は少し考えて

 

「良し、予備も考慮して120本用意しよう」

 

肉が好きなエントマもいるし、少し多めに用意する事にした。骨付きの鶏腿肉の余分な皮を包丁の先で剥いで、骨に沿ってフォークを刺す。穴を開けて味が染みこみ易くするのと、齧った時に骨から剥がれやすくするための準備だ。

 

「醤油、酒、蜂蜜、ごま油、それとおろしにんにく」

 

それをボウルの中に入れて泡立て器で軽く混ぜ合わせ、バットの上に並べた塩胡椒で下味をつけた鶏腿肉の上に注ぎ、肉の上にローリエの葉を置く。これで暫く放置して下味をしみこませておく

 

「醤油、蜂蜜、オイスターソース、みりん、酒、砂糖」

 

先ほどの調味料をフライパンに入れて焦げ付かないように注意して加熱する。煮詰めていくとソースに粘りが出てくる、そうなれば照りタレの準備は完了だ

 

「オーブンの準備も完了っと」

 

200度ほどに加熱したオーブン。これで焼きの準備も完了だ。後は余分な漬け汁をキッチンペーパーでふき取り、オリーブ油を塗って鳥皮をピンっと張るように丁寧に形を整えたら鳥皮を下にしてオーブンの中に入れて、タイマーを30分にセットし、その間に足りない前菜やワイン、シャンパンなどの確認をする。最後の最後で足りないとかじゃ笑い話にもならないからだ

 

「カワサキ様。ピザ生地はこちらに運び込めば宜しいでしょうか?

 

「おお、悪かったなソリュシャン。今オーブンを使っているから、それが終わったら頼む」

 

では外で待っておりますというソリュシャンにありがとなと声を掛けると、丁度タイマーが音を立てる

 

「よし良い具合だ」

 

オリーブオイルを鳥皮に塗る。ここからは焦げやすくなるのでオーブンの前から離れない、何分かおきに鶏肉の向きを変えて、焼き具合を均一にする

 

「んー良い匂いだ」

 

焼き上がり香ばしい香りを放つ鶏腿に会心の焼き上がりだと確信する。仕上げにさっき作った照り焼きタレを塗り、再びオーブンの中に入れて焼き色をつける、仕上げにもう1度タレを塗れば

 

「よし、ローストチキンも完璧」

 

自分でも会心の仕上がりだ。オーブンから出して保存の魔法をかけて、焼きたての温度を維持する。空いたオーブンに次々鶏腿肉を入れていく、1回で20本出来るから、後5回焼くのか

 

「ソリュシャンに大分後でって伝えておくか」

 

1回焼きあがるのに50分近く。いつまでも待たせると悪いので昼過ぎに運び込んでくれとソリュシャンに伝えるため、俺は1度オーブンの前から離れた。ナザリックのクリスマスパーティまで後8時間……

 

「うううープレゼントって何を用意すれば良いんだ……」

 

NPCが全員プレゼントを用意し終えている中。モモンガだけはまだ何にすれば良いのか判らず、自分のアイテムボックスやコレクションを見つめながら頭を抱えていた……

 

 

生きたければ飯を食え 番外 クリスマスパーティへと続く

 

 




次回は食事をしている話をメインに、プレゼント交換の話を書いて行こうと思います。折角の年末のイベント、やらないわけには行かないですからね。やや難しいと思いましたが、挑戦してみることにしました。それでは明日の更新もどうかよろしくお願いします

やはりカワサキさんがオラリオにいるのは……

  • 間違っている
  • 間違っていない

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