ダンジョンと魔法の妖精   作:エターナルロック
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第3話

あの花のモンスター達との戦いから1週間。あれからティアは特にかわりのない生活をしていた。

 

毎日ダンジョン内を探検し、襲ってくるモンスター達と戦う。そして食料を確保し、寝床へ戻って食事をとって水浴びをして眠る。そんな生活の繰り返しだった。

 

 

そして今ティアはいつも通り食料の調達のため、50階層川にに来ていた。最近ティアは魚の掴み取りというまるで熊のような野性味溢れる趣味にハマっていた。

 

 

一応魔法で魚は簡単に獲れるがそれではつまらないようだ。そんなこんなで魚を数匹捕まえ、ティアは寝床へ戻った。

 

 

「ん〜なんか家の中ごちゃごちゃしてきたな〜」

 

 

ティアの寝床である樹の洞穴は最初より物に溢れるようになってきた。モンスターを倒した時にドロップしたアイテムや、冒険者達が落として行ったり、冒険中に死んでしまうことでダンジョンに残っていたアイテムを拾った物が大半を占めている。

 

 

アイテムは便利なものが多いので捨てることは出来ず、武器や防具は使う訳では無いが、もはやコレクションのようなものなのでこれも捨てるのは惜しい。そこでティアは自らの寝床に魔法をかけた。

 

 

「え〜っと…『ちちんぷいぷいおおきくなぁ〜あれっ!!』」

 

 

 

すると、寝床にしていた樹は巨大化し、50階層の樹の中でも飛び抜けた大きさになってしまった。

 

 

「うーん、ちょっと大きくしすぎたかな〜まぁいっか!」

 

 

ティアの寝床である樹は50階層の中でも端の方にあるため、それほど気にしなかった。そしてティアは火を起こし、魚を焼いて食べた。そして、デザートに最近見つけた綿菓子に似ているとても美味しい果実を食べた。

 

ちなみにこの果実は水晶飴(クリスタル・ドロップ)と呼ばれる希少果実であり、宝石のような美しさから上流階級の高級菓子として非常に人気のある品である。瓶詰めにしたもので30000ヴァリスはくだらない高級品だが、ティアはそれを知る余地はない。

 

 

食事をとった後、ティアは水浴びのために寝床の近辺にある泉へ来ていた。ティアは来ていた服を脱ぎ、水の中へ飛び込んだ。ティアは基本的に水に濡れるのが好きなので、よくこの泉へ水浴びに来ている。

 

 

「ふぃ〜気持ちイイ〜!!」

 

 

しばらく泉の中にで泳ぎまわり、泉から出る。羽根が水に濡れて少し重くなっているが、しばらく放っておけばすぐに乾く。

 

 

そして寝床へ戻ったティアはモンスターからドロップした毛皮から作ったベッドの上に横たわり、眠りについた。そうして彼女の1日は終わる。

 

 

 

 

 

そして次の日の朝、目覚めたティアは異変を感じた。

何やらいつもよりダンジョン内が騒がしいのだ。そこでティアは下の階層へ向かうことにした。

 

途中50階層の入口付近に冒険者達のベースキャンプがあった。きっとティアが昨夜寝ている間にたどり着いたのだろう。

 

 

冒険者達がここまで来るのは初めて見たので、覗いてみたい気持ちもあったが、ダンジョンの異変も気になっていたためそちらを優先しることにした。

 

 

そしてティアは51階層へ行き、『カドモスの泉』と呼ばれている場所へいた。そこはカドモスと呼ばれる

稀少種(レアモンスター)の強竜が縄張りにしている場所だ。このカドモスは51階層では最強のモンスターであり、モンスターの中でも最上位にあるモンスターだ。ティアはカドモスを泉の主と呼んでおり、あまり近づくことは無い。だが、

 

 

 

「泉の主さんが……死んでる……?」

 

 

 

カドモスは死んでいた。死体からは何かが溶けて腐った匂いが立ち込めており、死体も半分灰になりかかっていた。魔石やドロップ品が回収されていない所を見ると冒険者ではなくモンスターに倒されたのだろう。つまり最上位種であるカドモスを殺せるモンスターがこの近くにいるということだ。

 

 

この異常事態に流石のティアも危機感を覚え始めた。すると、ダンジョンの奥からモンスターの叫び声が聞こえた。声のした方向へ行くと、そこには巨大な芋虫型のモンスターの大軍がこちらへ迫ってきていた。

 

 

「わひゃあああ〜!!!」

 

 

芋虫型モンスターはティアに襲いかかったが、空中へ飛び上がり、回避した。

 

 

「あ、危なかった……」

 

 

しかし、芋虫型モンスターは依然にティアを狙っている。大軍はさらに50階層へ向かっていることも見えた。

50階層には自分の家があり、このままでは家に被害が出る可能性もあるため、ティアはここでモンスター達を殲滅することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「ラウル!!」

 

 

一方その頃、50階層では、とある冒険者たちが突然襲ってきた芋虫型モンスターと交戦していた。

 

 

それはこのダンジョンの深層へ至れる数少ないファミリアの一つ、道化師のエンブレムを掲げている【ロキ・ファミリア】である。

 

 

「こんのぉぉー!!!」

 

 

 

芋虫型モンスターにロキ・ファミリア所属のレベル5、アマゾネスのティオナが愛刀のウルガを芋虫型モンスターの脳天へ突き刺した。しかし、突き刺した傷から腐食液が溢れ出て彼女の武器をドロドロに溶かしてしまった。

 

 

「あー!!私のウルガが!!?」

 

 

「クソが!!!」

 

 

そこへ同じくロキ・ファミリアのレベル5の狼人の青年、ベートが芋虫型モンスターに蹴りを入れた。すると、モンスター達はボウリングのピンのように次々と転がって行った。

 

 

「ああ〜!!ウザってぇんだよぉぉぉぉ!!」

 

 

そして、芋虫型モンスターの触手に縛られていたティオナの双子の姉、ティオネはブチ切れて素手のままモンスターを倒していく。もちろん腐食液で体中の皮膚が溶け始めるが、ブチ切れている彼女には関係ないといった風にモンスターを倒していく。。

 

 

すると今度は1人の少女が前線へ飛び出てきた。

 

 

「アイズか!魔法を使え!あいつの体液に触れると武器が溶ける!不破属性の武器でも切れ味が鈍る!」

 

 

「わかった!目覚めよ(テンペスト)!!」

 

 

アイズと呼ばれた少女は呪文を唱える。すると風が彼女の武器へと集まり出した。そして、モンスターの群れへと突っ込み、風を纏った一撃で次々とモンスターを殲滅してゆく。

 

 

「負けてられない!」

 

 

「ああ!!」

 

 

アイズに続いて他の団員たちもモンスターへと立ち向かい、次々とモンスター達を殲滅していった。

 

 

「密集陣形だ!奴らを1歩たりとも入らせるな!」

 

 

芋虫型モンスターの大軍に対して、エルフのロキ・ファミリア副団長、リヴェリアが指示を出して食い止めていた。さらにダンジョンの遠征に動いていた小人族のロキ・ファミリア団長、フィンも戻り、先程まで押されていたロキ・ファミリアも形勢を逆転させていった。

 

 

しかし突然地響きとともに下の階層から一体のモンスターが現れた。

 

 

それは先程の芋虫型モンスターが成長し、羽化したかのように蝶のような羽を生やしていた。だが、蝶というよりは人間の女のようなフォルムをしている。

 

 

「なんだあれは!?」

 

 

「……醜いな…」

 

 

すると突然巨大モンスターは羽を羽ばたかせて鱗粉のようなものをまき散らした。そして鱗粉は大爆発を起こした。

 

 

「うわぁぁぁ!!」

 

 

「クソッ!あの粉爆発しやがる!!」

 

 

「私が行く!」

 

 

爆発する鱗粉を撒き散らす巨大モンスターに対して、アイズは風をまといながら接近していった。

 

 

「あっ!待てアイズ!また1人で…クソッ!仕方ない!待機組は負傷者を連れて撤退しろ!まだ戦える者はアイズの援護をするぞ!」

 

 

リヴェリアはこの巨大モンスターが被害を広げる前に動けない団員たちを撤退させ、戦える者はアイズへの援護を指示した。

 

 

目覚めよ(テンペスト)!!」

 

 

アイズはこの巨大なモンスターに対して素早さで翻弄し、飛んでくる腐食液は避け、鱗粉は爆発する前に風で吹き飛ばし、圧倒していた。

 

 

もはやこのモンスターになす術はなく、アイズにどんどん追い詰められていった。そして、

 

 

 

「リル・ラファーガ!!!」

 

 

トドメにアイズは風を全身にまとい、モンスターを貫こうとした。しかし、ここで団長のフィンはあることを思い出した。

 

 

(いや、待てよ…もしあのモンスターがあの芋虫と同じだとしたらあの中に詰まってるのは……!マズイ!)

 

 

「アイズ!止まれ!あのモンスターの中身は恐らくさっきの芋虫と同じ腐食液だ!」

 

 

「えっ……」

 

 

しかし時は遅く、アイズは全身を弾丸化し、巨大モンスターを貫いてしまった。

 

 

そして倒れゆく巨大モンスターは最後の力を振り絞り、ありったけの腐食液と鱗粉をまき散らした。

 

 

「しまっ……」

 

 

避けようとしたアイズだったが、目の前で撒き散らされた腐食液と鱗粉を避ける方法はアイズにはない。そしてアイズを腐食液と鱗粉が襲おうとした瞬間…

 

 

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』!!

 

 

突如、少女がアイズの前に現れ、何やら呪文を唱えた。すると仄かな赤い光を放つ7枚の花弁のような物が展開され、腐食液と鱗粉を完全に防いだ。

 

 

突然の出来事にアイズは完全に固まってしまっていた。無理もない。突然謎の少女が現れてあれだけの質量の腐食液や鱗粉をいとも簡単に防ぎきってしまったのだ。しかも少女の背中には昆虫のような羽が生えていた。

 

 

「アイズ!無事のようだな!でも一体なに…が…」

 

 

フィンやリヴェリア達がアイズに駆け寄って来るが、みんなも少女を見て固まってしまった。

 

 

「いやー、よかった〜。なんか見ていて危なさそうだったからとりあえず助けようと思って!」

 

 

そんなロキ・ファミリアの人達を気にもとめず、少女はパタパタと羽を羽ばたかせながらいった。

 

 

「あなたは……?」

 

 

「あ!」

 

 

思わず声を上げたアイズに気づいて謎の少女は突然アイズ達に向かって駆け寄ってきた。

 

 

「そこのおねーさんかなりボロボロじゃん!あんなに無理するからだよ!」

 

 

「え?…あ…私?」

 

 

突如少女が指摘したのはアマゾネスのティオネだった。先程芋虫型モンスターに対して素手で戦っていたため、肌の表面がグズグズに溶けていたのだ。

 

 

『クワバラクワバラ……いたいのいたいの〜飛んでけ〜!!』

 

 

そして少女が謎めいた呪文を口にするとみるみるうちにティオネの身体中の傷が何事も無かったかのように塞がっていった。

 

 

「ーーえ!?」

 

 

それだけではなく、ティオネの周りにいた人達の怪我まで治っていったのだ。

 

 

「はい、これでもうだいじょうぶ!だめだよーもっと自分の体は大事にしなきゃ」

 

 

「いや!じゃなくて…ちょっと待って!今何をしたの!?」

 

 

「決まってるじゃない。魔法だよ。だって…」

 

 

「私はティア。魔法の妖精、ティア・ターニアだからね!」

 

 

少女の言葉にロキ・ファミリアの人達はただただ唖然とするしか無かった。

 




今回ロキ・ファミリアの皆さんと出会いました。

これからティアはみんなとどうか変わっていくのか乞うご期待ください!







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