とある運命の聖杯探索   作:ラビット晴晞

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投稿遅くなりました。はっきり言いましょう。めんどくさくて遅れました。
後、英雄王が士郎を見たらこういうと思います。
「ふはははははは、贋作もそこまでいけば尊敬に値するぞ。いや、あの顔立ち……もう贋作ではないということか。面白い、これもまた一興。ちょっと待っていろ。あの雑種や征服王、セイバーとともに酒を酌み交わしてくる」
そして、士郎だけ肩身が狭くなっているという。面白い。これ番外編で書こうっと


調査

 廃墟と化した俺のかつての母校であり、聖杯戦争の戦いの舞台にもなった穂群原学園での方針会議(ほとんど所長とロマンによる)により冬木にある目ぼしい霊脈を調査していくことになった。

 最初に深海町と新都を繋ぐ大橋を調べた。なにも問題はなかったようだ。

 いや、こんな状況でなにも問題がないわけがないのだが、大きな問題はなかったみたいなので問題はないと仮定する。

 次に港を調べた。結果は伴わなかったようだ。

 次に協会跡の調査を行ったが、またしても収穫はなし。

 むしろ、度重なる戦闘でマシュに疲労が溜まり始めているようだ。それに気づいたのかは不明だが所長がその場で休息をとることになり、所長が状況を分析し始めた。

 

「そもそもカルデアスを灰色にする事態ってなんなのよ……未来が見えなくなるってことは人類が消えるということ……」

 

 聞き耳を立てていた俺だが、次の瞬間、俺も盲点だったことを言った。

 

「もしかして……特異点では抑止力が働かない?」

 

 その言葉とともに俺は思考を始めた。

 考えみれば確かにそうだ。

 これほどの事態ならそうなる前に抑止力が俺達守護者を寄越すだろう。そう、通常の世界なら……しかし此処は元の歴史から独立した歪みだ。俺達の世界に存在しない以上は抑止力の監視下にはないって訳か───

 

「……ふぅ。今回もなんとかなりましたね。マスター」

 

「もう完全にサーヴァントとしてやっていけるわね。ここの程度も知れたし、もう怖いものもないんじゃない?」

 

「それは……どうでしょう。どんなにうまく武器を使えても、戦闘そのもの」

 

 その会話を聞いた俺は思考を中断してマシュを見た。やはり、これで精一杯なのだろう。経験はこれから積むとしてしっかりサポートしなげればと、気持ちを改めた。

 

『ごめん、話は後!みんなすぐそこか逃げ───』

 

 刹那、その一瞬に皆は見た。女性とは思えぬ怪力を用いて地面を破壊する様を───俺は心眼による危機察知で一足早く立香と所長を背負って跳躍した。マシュも間一髪で対応できたのか俺とは違う方向に跳躍した。

 

「間一髪だな」

 

「な────まさか、あれって!?」

 

『そこにいるのはサーヴァントだ!戦うな立香、マシュ。君達にサーヴァント戦はまだ早い……!』

 

「こんな状況で逃げれるわけないでしょ。それこっちには正規のサーヴァントがいるわ。士郎、なんとかしなさい。同じサーヴァントでしょ」

 

「うん、まぁ、やるだけやってみるよ」

 

 立ち上がると同時に双剣を投影、斬りかかる。

 女性は鎖に繋がれた短剣を取り出し鎖で受け流しながら短剣で斬りつける。

 俺は左手の干将で受けて持ち直した右手の莫耶で短剣を無理矢理手から離れさせて首に斬りかかる。

 それを読んでいたのか鎖を巧みに操り短剣手に戻し斬ろうとするが、俺の危機察知が勝り、一瞬早くに避けて距離をとった。

 それから敵を観察し出した。

 これが聖杯戦争のサーヴァントだとするなら慎二から聞いた身体的特徴と一致するから恐らくクラスはライダー、真名も同じだろう。

 

「士郎先輩、大丈夫ですか」

 

「あぁ、なんとかな。あいつは恐らくライダー、真名はメデューサだろうな。攻略方法もあるんだが、隙を作る必要がある。頼めるか」

 

「……私に出来るでしょうか」

 

「俺も狙撃で援護する。それに今のお前ならあのメデューサとも十分に渡り合えるはずだ」

 

 マシュは少し迷って数秒経ってから覚悟を決めた顔で言った。

 

「やってみます」

 

 そう言って、メデューサへと突撃していった。攻めすぎても守りすぎてもメデューサは隙を見せない。だからこそ力が拮抗しているマシュに囮を頼んだのだ。しかし、経験では断然劣っているのでやられると思ったときには俺が狙撃で援護した。

 

「貴方セイバーでしょ。なんで弓を使えるのよ」

 

「まぁ、一応これでも元弓道部のエースでね。まぁ、セイバーで召喚されたから多少腕は落ちてるけど……」

 

 そう言いながら隙を探した。

 そうして一分が経過する頃……見せた。

 俺にとっての隙を、俺が全速力で双剣を投影しながら突っ込む。

 それを確認したマシュは引いた。

 かすりはしたが避けられた。

 しかし、かなり無理矢理避けたためにもう避けれはしない。俺は双剣を消してある鎌を投影してライダーを切り裂いた。ライダーは倒れ付して俺を見つめた。

 今さっき投影したのは不死身殺しの鎌・ハルペーだ。ギリシャ神話においてペルセウスがメドゥーサを討ち取った因縁のある宝具だ。

 なので─────

 

「貴方は……何者ですか」

 

 当然聞いてくる訳である。

 しかし、名乗るほどの名を持ち合わせている訳でもないので、最低限の名を伝えた。

 

「別に───ただ英霊崩れの守護者だよ」

 

 そう言うとライダーは、納得したような……やはり納得できないような苦笑を浮かべて消滅した。

 

「ハァ────ハ、ァ、勝てた、もうダメかと思ったのに……」

 

 やはりマシュは成長している。俺の見込みではもう少し援護を入れなければダメだと思っていたが──その必要がない……つまり、俺の予想以上に経験を自分の物にしている。

 

『ごめん休んでる暇はないんだ。士郎、マシュ。今の反応と同じもの(・・・・・・・・・)がそちらに向かっている。どうするべきか、言わなくてもわかるね?』

 

「え───同じ反応って、そんな───」

 

「立香、撤退よ。とにかくここから離れるの」

 

「迷ってる暇はないな。マシュ、俺は立香を背負う。お前は所長を頼む」

 

 そう言って、俺は立香をおんぶで背負い、マシュは盾に所長を乗せて走った。そして、数分マシュがついてこれる最速の速度で大橋のところで追い付かれた。立香をおろしマシュの方を見た。明らかに息が荒い。さすがに消耗もピークに達し始めているようだ。

 

「立香。迎撃するんなら俺をメインに……マシュは消耗してる」

 

「……士郎、迎撃して。マシュは援護をお願い」

 

「「了解」」

 

 双剣を投影して斬りかかる。

 心眼の危険察知でアサシンを重点的に攻撃するが、あと一歩のところでランサーに邪魔をされてしまう。

 それを気づいたのかアサシンがなにかをすると判断したときにはアサシンを妨害してくれた。

 しかし、経験という面においてはこちらが多少不利だろうか。

 俺自身は多分アサシンやランサーよりは経験同じ程度には経験を積んだと思うがマシュがいる。マシュには思考や観察眼はあっても経験から来る読みがない。そこに関してはあちらに軍配が上がるか。

 そろそろ何か起死回生の一手が欲しいと思っていた頃、たった一言。声が響く──────

 

「小僧、小娘の連中かと思ったらそれなりに(つわもの)じゃねぇか。なら放っとく訳にはいかねぇな」

 

 その言葉とともに炎が現れ、二体のサーヴァントを攻撃した。

 そして、サーヴァントが後退した後に男が現れた。皆は驚くが俺の驚愕は一際大きかった。

 何せ生前に敵だったサーヴァントだったからだ。

 服装が変わっているが忘れるはずはない。

 時には敵として戦い、時には共闘しそして、なにより自分を一度殺した男だったのだから……

 

「お前は……ランサー」

 

 自然と声に出てた。それを聞いたランサーは不機嫌にこちらを見ながら近付いてきた。

 

「なに言ってんだ小僧。俺はキャスター、ランサーならあちらさんにいんだろ。そりゃランサーとして呼ばれてたらこんなことにはならなかったんだろうが……」

 

 途中で我に帰ったように振り替えった。そして、少し咳払いをしながら言った。

 

「俺もあいつらとは敵対しててな。敵の敵は味方とは言わねぇが共闘戦線と行こうぜ。積もる話はその後だ」

 

 ランサー……改めキャスターはその言葉とともに俺が見慣れた獰猛な笑みに変わり、杖を構えた。

 

ansuz(アンサズ)!」

 

 ルーン文字が浮かび炎となってランサーに襲いかかる。ランサーはすんでのところで避けるが、追尾性があるのかランサーを追っていった。それについて動揺したようで反応が遅れ命中した。

 しかし俊敏性に優れたランサーそこは致命傷は避けた。しかし、キャスターの放ったルーン魔術に意識が行きすぎたようでその隙を突き俺の双剣で貫き消滅した。

 そして、ルーンが追ったアサシンは辛うじで避けてキャスターに言った。

 

「キャスター。何故漂流者の肩を持つ」

 

「そりゃ、テメーらよりマシだからだろ。それより後ろ気を付けた方がいいんじゃねぇの」

 

「アサシンが後ろとられちゃ駄目だろ」

 

 キャスターに気をとられたアサシンを後ろから突き刺し切り裂いた。アサシンは倒れ消滅した。

 キャスターを見ると乾いた笑顔を浮かべて指でサインを出した。

 

「まぁ、積もる話もあるだろ。協力するかはその後だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 舞台は変わりカルデアで上条と美琴はテキパキ働いていた。取り敢えず上条から説明しよう。上条はロマンの命令……もとい依頼によって職員の資源運びを手伝っていた。その合間に上条はさっきの出来事について考えていた。衛宮士郎を見たとき─────懐かしさを感じた。しかしあり得ない。これでも上条は記憶喪失だ。しかも記憶を取り戻すことが絶望的なほど深刻な……

 

「あの人───『前の俺』と会ったことあるのかな。でも思い出すことなんてないだろうしな」

 

「ん、なんのことかな当麻君」

 

「いや、なんでもないです」

 

「なら、美琴ちゃんのところに行ってくれるかな。彼女にはコールドスリープへの電力供給を頼んでいる」

 

 上条は頷いて指令室を出た。

 そういや1ヶ月前ぐらいにも同じことがあったな、と思い出してみる。

 なんかふわふわした感じの女性から上条君といわれてすごい話しかけられた。

 人違いじゃないかと言って振り切って帰った。そうして、何故か『前の上条当麻』を知っている人が俺の周りに現れ初めていることに若干の恐怖を覚えつつコールドスリープの装置が置かれている部屋に入ると、美琴が電源コードにビリビリッと電力を充電していた。

 

「なにしに来たのよ。アンタは」

 

「いや、ロマ二さんが見てこいって……」

 

「じゃあ、そこで休んでなさいよ。もう数時間も動きっぱなしなんでしょ。私もあと数分で終わるから……」

 

「そういや、そう言われるとどっと疲労感が……じゃあお言葉に甘えて上条さんは休ませてもらいますよ」

 

 そう言って美琴の指差された方向で座り込み、それから五分くらい美琴の仕事を見つつさっきの思考を再開した。

 衛宮士郎───恐らく彼は自分を知っている。

 上条自身の感覚でしかないが士郎を見たとき懐かしいと感じたのは事実だ。

 多分俺の記憶に残っている『前の上条当麻』の残骸が俺に訴えかけたんだろう。つまりそれだけ『前の上条当麻』にとって大きな存在ってことだろう。そんな人を忘れてしまったことに罪悪感を感じ始めた頃、丁度美琴の電力供給も終わったようだ。

 

「うん、これで数週間は持つでしょ……どうしたの、ボー、としちゃって」

 

「え、あ、あぁ。この人達、起きんのかなって……」

 

「そんなの私たちが気にしたってしょうがないでしょ」

 

 急に聞かれて、咄嗟に別のことを言ってしまったがそれに関しても多少は考えていたことは事実である。指令実に戻った美琴が終わったと報告するとロマンが言った。

 

「二人ともお疲れ様。しばらく休憩してくれ、今から空きの部屋に案内するから」

 

 ロマンが案内してくれた二つの部屋に別々に入った。上条は取り敢えず椅子に座りボーッとして5分くらい経った頃、突然美琴が部屋に入ってきた。

 

「どうしたんだよ。御坂、なんか用か」

 

「いや……一人じゃ落ち着かなくて……」

 

「俺には今の方が落ち着きがないように見えるんだが……」

 

 美琴の顔はリンゴよりも真っ赤に染まっていた。それもそのはず美琴の想い人こそ今目の前にいる上条当麻なのだ。しかし、ここまでここまで真っ赤に染まった顔を見たら誰だって気づくものだが、そこは上条当麻。彼はこうとしか思っていない。『風邪でもひいているのか』と……解説しておくが、まず落ち着かないというのは事実であり本心だ。そこで話し相手を求めて上条の元まで来たのはいいものも上条が自分にとってどんな存在なのかを忘れていた。美琴の胸には後悔が埋め尽くされた。

 

「まぁ、話し相手が欲しいってのは分かったから取り敢えずそこ座れよ」

 

 美琴は無言で頷いてベッドに座った。そこからお互い何を話していいか分からず数分の沈黙という名の気まずい時間が続きそこから何故か近況報告会が始まった。

 

「へぇ~、そんなことがあったのか」

 

「アンタはまた厄介なことに巻き込まれたみたいね」

 

「は、はは、まぁな。はぁ」

 

 上条はこれまでに自分の事態を考えるがもうそれが日常の一部になりかけているに関して若干の恐怖を覚えた。しかし、これもちょっと不幸な出来事にしかならないわけで……

 上条がため息をついた瞬間、カルデアの職員が部屋に入ってきた。

 

「上条くん、ちょっと来てもらえるかな」

 

「あ、はい。分かりました。悪い、御坂。そこら辺の話はまた今度な」

 

 そう言って、上条は部屋を出て行った。手伝いというのも荷物を指令室に運ぶのを少し手伝うだけの簡単なことだった。

 

「悪いね。休憩中なのに手伝わせちゃって」

 

「いいっスよ。動いてたほうが落ち着きますし……」

 

 そう言いつつ上条はモニターに視線に向けた。そこには見たことのない男がいた。

 

「また新しいサーヴァントですか」

 

「いや、この特異点での唯一正常なサーヴァントみたいだ。Dr.ロマンがこれから協力を要請するらしい」

 

「……見ててもいいですか」

 

「え、なんで……別にいいと思うよ。そこら辺にひっそりと見てるぐらいなら」

 

 彼が……衛宮士郎が自分を知っているなら、この戦いは見届けなくてはならないと上条は感じた。なので、一応ロマンに確認をとり角に座りモニターで戦いを見ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 サーヴァント戦を終えた後、その近くの公園でキャスターと話すことになった。

 

『先程はご協力感謝します。私たちは人理継続保証機関フィニス……』

 

「あぁ。そういうのはいいや。さっさと本題に入ろうぜ」

 

 それからロマンは多少戸惑った後、俺たちの状況を説明した。一通り説明し終えた直後、キャスターが自己紹介を始めた。

 

「俺はキャスター。そっちの小僧は知ってるだろうから明かすが真名はクー・フーリンだ。ランサーで召喚されりゃセイバーなんて一発なんだがな」

 

 その言葉を聞いて立香が頭から?マークを出し始めた頃にマシュが英霊には複数のクラス適正があると解説していた。

 ちなみに俺にもアーチャークラスの適正がある。

 まぁ、そっちの場合ほとんどアイツに出番持ってかれるんだが……そして解説が終わり、俺は一番の疑問をぶつけた。

 

「だけど、キャスターとはいえアンタともあろう英霊が勝てない相手ってのはなんなんだ」

 

「我ながら情けねぇんだがよ。仕方ねぇんじゃねえの。相手があのアーサー王なんだからよ」

 

「な、アイツがか」

 

「その様子じゃ奴さんについても知ってるみてぇだな。少しばかり変質してるが、あれは間違いなくアーサー王だぜ」

 

 アーサー王は生前俺が第五次聖杯戦争で召喚したサーヴァントだ。クラスはセイバー、恐らく万全の状態ならあの聖杯戦争でも一位二位を争うほど強さだろう。

 しかし、アイツがこんな惨状を望むだろうか。例え、変質していたとしても……

 

「あれは正直性質が悪いぜ。もうあれには俺一人じゃ打つ手なしさ。ということでよ。アンタらもこの問題を解決してぇんだろ。俺もこの狂った状況を何とかしたい。目的は違うが、目指す場所は同じってこったな。手ぇ組まねぇか」

 

「どうする、立香。俺の経験から行くとコイツ滅茶苦茶頼りになるぞ」

 

「え、じゃあなんでそんな不機嫌そうな顔してるの」

 

 む、これは痛いところを突かれた。

 しかし、話すしかないだろ。というよりこの程度のことを秘密にする必要もないだろ。俺は立香を連れて少し距離を置いてから言った。

 

「実はさ、俺生前にランサーとして召喚されたアイツに一度殺されたことあるんだよ。そのときはその数年後に結婚した俺の奥さんのお陰で生き返れたんだけど、どうも苦手でさ」

 

「なんだ。そういうことか」

 

 キャスターの声がして少し驚いた。聞き耳たててやがったのかコイツ……

 

「んな、細かいこと気にしてっとでっかくなれねぇぞ。坊主」

 

「この姿が全盛期なら別にいいよ。それにこれの数年後に20㎝ぐらい伸びたわ。つか、わしゃってすんな」

 

 キャスターの手を払いのけて立香を見ると、口をアワアワさせながら驚いていた。

 

「士郎、結婚してたの。その歳で!!」

 

「え、いや、これでも英霊だ。見てくれの歳じゃないぞ。って言っても俺の実年齢も10歳程度しか違わないけど」

 

 その後何故か大笑いされて場が和んだ。

 そして、立香マシュや所長と相談した結果、正式に協力することになった。それからキャスター───改めクー・フーリンはマシュに言った。

 

「見たとこ嬢ちゃん。宝具が使えねぇみてぇだな。ついてきな。稽古つけてやる」

 

 そう言って、マシュを連れていった。それに所長も着いていった。しかし、立香は俺が動かないことを心配したようだ。

 

「大丈夫だよ。俺もすぐ行くから……」

 

 そう言うと立香もマシュをのもとへ行った。俺はその後暫く考えて投影品を磨くことにした。

 

投影、開始(トレース・オン)

 

 そう言って、よく使う干将・莫耶に始まって使わないものまで次々に投影し始めた。ちゃんと工程を丁寧に踏まえて投影したので、いつものより多少出来はよかった。

 

「はぁ、刀鍛冶じゃまだまだ若輩。達人には及ばないってことだな」

 

 魔力を辿ってマシュ達のもとへ急ぐ。着くと、マシュがこれまで以上に消耗していた。それだけハードなスパルタ特訓だったのか。

 

「そんなにキツかったのか」

 

「……キツイなんてレベルじゃないよ」

 

 立香もかなり消耗したようで(精神的に)座り込んだ。しかし、二人には自信に満ちた顔をしていたのでこの指導法はあながち間違っていないのか。マシュ達は円蔵山を見ていた。やはり、あそこに聖杯があるのか。自分の不始末は自分で決着を着けないとな、と俺も覚悟を新たにした。


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