S級2位とA級最下位   作:ゴブリンマル
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うるさい隣人

今日もいつも通りの朝がやってきた。

窓から差し込む眩しい日差しが、寝ている俺の顔に直撃する。

ギュッと目を瞑り、片腕で日差しを防ぐように顔の前に持ってくる。

目覚めたとはいえ、身体はまだ起きていない状態だから、その体制のまましばらく動かずに静止してしまう。

このままこの体制でいれば、恐らくまた眠ってしまうだろう。

 

 

しかし、今日の仕事の連絡はまだ掛かっていていない。

故に、まだ寝ててもいいということだ。

そうして俺は再び眠りにつこうと思ったその瞬間、

 

 

「ちょっと!私の朝ご飯まだ!?」

 

 

玄関のドアをガンガンと叩く音。

ドア越しから、声が聞こえてくる。どうやらお怒りの様子だ。

 

 

「はぁ……………」

 

 

ため息を一つ、天井に向かって吐く。

そして、起き上がり玄関に向かった。

 

 

「ちょっと!?もしかしてまだ寝てるの!?」

 

 

「あー!ウルッセェな!まだ9時だろうが!近所迷惑だよ!」

 

 

勢いよくドアを開けた。

扉の先に立っていたのは、緑色の髪で可愛らしく不規則な方向に髪の毛がピョンピョンと跳ねている小柄な女の子だった。

 

 

「寝癖直せよタツマキ」

 

 

「寝癖じゃないわよ!!あんたの方が寝癖ついてるじゃない!」

 

 

「……………」

 

 

「無視する気!?」

 

 

「朝ご飯くらい自分で作れよ。そんなんだから彼氏の一つもできないんだよ」

 

「そんなものいらないわよ!料理なんて出来なくても生きていけるわ!」

 

 

「それでも女かよ」

 

 

なぜか自信ありげに胸を張っているが、自信を持って言えることじゃない。

むしろ、やばい。

今は男女関係なく家事が求められるが、女性が料理ができないとなれば、彼氏を作るのは厳しいだろう。

あ、

 

 

「そうか、まだ小学生だったな!なら仕方ない!朝ご飯作ってやるよ!」

 

 

「は?私はこう見えて28歳よ!!」

 

 

「うん、知ってる」

 

 

突如、タツマキの周りが緑色に光り出して、下に転がっていた小石や、色んなものが浮かび上がった。

これは少しまずった。つい口が滑ってしまった。

こんな所で騒ぎを起こされては隣に住む人も可哀想だし、眠りを妨げられた人もかわいそうだ。

 

 

「あー、すまんすまん。今のは冗談だよ。朝ご飯だろ?今作ってやる」

 

 

「ふん!さっさとしなさいよね!」

 

 

プンプンと可愛らしく怒りながらも、俺の許可なく部屋に上がってきた。

あ、土足。ま、いっか浮いてるし。

さっきの現象もそうだが、タツマキは超能力者だ。

浮けるし、物を自由自在に動かせるし、みんな一度はなってみたい超能力者なのだ。

空飛べるのはいいよな……………

 

 

「で、なんで勝手に上がってんの?」

 

 

「いいでしょ?あんたの部屋で食べるんだから」

 

 

「まぁ、いいけど。勝手に漁んなよ」

 

 

「そんなことしないわよ!」

 

 

嘘つけ。この前来た時、俺の○○本見つけて、「なに?あんたこんなのがいいの?」とか言ってご自慢の超能力でズタズタに切り裂いたくせに…………

あれ以来、○○本を買うのはやめた。

 

 

キッチンで黙々と朝ご飯を作る俺は、チラッとタツマキの方を見ると、なにやら雑誌を読んでいるようだった。

ファッション雑誌だ。

普段から黒の服を身に纏っているタツマキがファッションとは…………

 

 

「なんか、興味あるのか?服に」

 

 

「べ、別にすることがないからそこら辺にあった本読んでるだけよ!それに、この前みたいな本はないのね?」

 

 

俺の私有物をフワフワと浮かせて、どこかに隠しているであろう○○本を探すタツマキだが、残念。

もう○○本はこの家にはない。

 

 

「いくらでも探せ。なんだ?お前も興味あんのか?ああいうの?」

 

 

「はぁ!?興味なんて、あるわけないでしょ!?」

 

 

顔がトマトみたいに赤くなり、慌てて否定するが、隠せていない。

なんだ、興味あるんじゃん。

 

 

「テレビでも見とけよ。あと、そろそろ超能力使うのやめろ」

 

 

俺の部屋にある物全てが、タツマキによって浮かされている状態だった。

部屋がサーカスみたいになってる。

 

 

「もうできるから大人しく待ってろ」

 

 

二人分の朝ご飯を作り終えると、皿を持ってタツマキの元へ向かった。

 

 

「はいよ」

 

 

「やっと来たわね………?なにこれ?」

 

 

おっと、食いついたか。

 

 

「タコさんウインナー!子供の弁当によく入ってるやつだよ」

 

 

「なんで、あんたの方は普通のウインナーなのよ」

 

 

またもや、タツマキの逆鱗に触れてしまう。

違いに気付いたタツマキは、再び超能力モードに入る。

キッチンにある、まだ洗ってないフライパンも浮いてる…………って!

 

 

「ごめんごめん!俺が悪かったから!フライパンまだ洗ってない!!油が落ちる!!タコさんウインナーは俺が食べるから!」

 

 

「ふん!!いいわよ!」

 

 

少し機嫌を、いやかなり機嫌を悪くしながらも、タコさんウインナーをフォークで刺し、パクッと食べ始めたタツマキ。

タツマキを怒らせるとヤバイが、俺はタツマキをおちょくることが楽しいのだ。

 

 

「飲み物は?オレンジジュース?牛乳?」

 

 

「牛乳でいいわ」

 

 

こうして、俺の一日は始まった。








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