長いと思っていた一週間も過ごしてみればそうでもなかった。気づいたら入学式当日である。家を出る時間ギリギリまで持ち物の確認を行い、家を出る。僕の家は一応貴族のはずなのだが、学校まで馬車で送ってもらえるような事はない。意地になった僕は、訓練がてら六年間走って登校し続けると自分に誓った。…まぁこれからは寮生活だからこれが最後のダッシュである。走り続けている疲れからか馬鹿なことを考えてしまう。こんなことだって神には筒抜けだ。
(貧乏貴族乙だよ。ほら見てごらん、周りの貴族が変な目で君を見ているぞ?ぷぷぷ、んで?更に?これを六年続けるとか?貧しいのは脳みそなのでは?)
(うるさいなぁ、そんなに言うなら馬車寄越せよ馬車!)
何も起こらない生活の中で飽きが来たのかウザさに磨きがかかってきた神に文句をぶつけているとだんだんと巨大な建築物が視界に入ってきた。
「な、なんだこれぇ!思ったよりもデカイ!」
これが、学校?小中高大に当たる全ての機関が入っているとはいえ、いくらなんでも広すぎるのでは?話には聞いていたが流石に圧倒されてしまう。
僕が圧倒されたそれは、学園国家という王国民専用の教育施設である。上等な教育、上等な設備、上等な生徒を理念に掲げるこの学校には、国の運営側に付くような人材を大量に育てている。
というか、見えてるだけで全然着かないのだが?どうなってんの?
(上に約三百メートル。土地面積が大体一平方キロメートルの建造物が見えたくらいですぐ付くわけないだろう?)
やはりとんでもない規模だ。あの中に二万人の生徒がいるらしい。もしかしなくても
(安心してよ。破壊者は目立ちたがり屋か黒幕っぽい奴だからすぐにわかるよ)
小学校まで後どれくらいだろうか。足が疲れてもはや痛みすら発している。誰か僕を馬車に乗せてくれぇ。なんて考えていると、後ろから声をかけられた。
「おい!ジャック!何やってんだよ、お前んちから学校まで馬車でも二時間はかかるはずだろ!?」
「え、エスリーム、助け、頼むから、乗せてくれぇぇぇ」
「うわぁ!何があったんだよ!と、止めて下さーい!!」
やはり持つべきものは友人だ。僕は小学校デビューを成功させることを新たな目標として刻んだ。
時は流れて一時間後。眼前は校門というより城門といった方が似合っているような巨大な門があった。恐らくここに入れば破壊者との戦いは避けられないのだろう。幾ら何度でも死ねる魂でも、死ぬのは怖いので命は大事にしていきたい。そんな覚悟を決めた僕は、エスリーム君と雑談しながら門をくぐった。
クッッッソ短い…です。