ジュラシック・ラブライブ!   作:海神アグル
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Game#51

穂乃果side

 

 

二日後、私はお昼休みにファーストライブをやった講堂のステージの真ん中に一人で立っている。

 

竜ちゃんと別れた後、部屋のクローゼットから練習着を引っ張り出して楽しかった日々を思い出した。

 

もう迷わない。

 

私はことりちゃんと一緒に歌いたい…。

 

スクールアイドル続けていたいんだって、ちゃんと自分の口から伝えたい。

 

でも、その前にもう1人自分の口からこの気持ちを伝えないとね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

 

 

 

 

1つしかない講堂のドアが開いた。

 

私が呼び出した人は、コツコツと靴音を鳴らして階段を降りる。

 

そして私が見える位置で止まった。

 

穂「ごめんね?海未ちゃん。急に呼び出しちゃって……」

 

海「……いえ」

 

まず急に呼び出したことを謝る。

 

心臓が高鳴り、呼吸が浅くなる。

 

穂「……ことりちゃんは?」

 

海「午後5時30分のフライトで日本を発つそうです」

 

まだ時間はあるなんて悠長なことは言ってられない。

 

ここからは時間との戦いだ。

 

ことりちゃんが日本を発つフライトに間に合わなければ、竜ちゃんの考えてくれた作戦は全て水の泡だ。

 

穂「私……μ'sを抜けてから誰も悲しまない事をやりたいって考えてたの。自分勝手にならずに済んで、でも楽しくて、沢山の人を笑顔にして、頑張ることができて……。でも、そんな方法あるわけがなくて……」

 

海「穂乃果……?」

 

穂「でも、本当の気持ちに気付いて、ここに立ってみて思い出したんだよ……。ことりちゃんと海未ちゃんと、もっと歌いたいって、スクールアイドルやっていたいって!!」

 

海「……」

 

穂「学校のためとかラブライブの為とかじゃなく、私は好きなの!歌うのが!踊ることが!仲間と一緒にスクールアイドルやることが!! これからもきっと迷惑をかけるかもしれないし、夢中になり過ぎて誰かが悩んでいるのに気づかない時もあると思う!入れ込み過ぎて空回りする時もきっとあると思う!! でも!追いかけていたい!! だから、あの時辞めるなんて言ってごめんなさい!だから、私をもう一度μ'sの仲間に入れてください!」

 

私は海未ちゃんに頭を下げる。

 

きっと許してはくれないと思うけど、言いたいことは全て言えた。

 

竜ちゃんから、海未ちゃんからどんな事を言われても、それを受け入れられる準備はしろって言われて、出来ている。

 

けど、海未ちゃんは……

 

海「……くすっ。ふふっ……あはははははは!!」

 

何故かお腹を抱えて笑い出した。

 

何で!?

 

穂「う、海未ちゃん!?」

 

海「あはは……ご、ごめんなさい」

 

笑った拍子に出てきた涙を拭いながら、私に近づいてきた。

 

海「でもね、はっきり言いますが……穂乃果にはずっと前から迷惑をかけるかけられっぱなしですよ?」

 

穂「えっ?」

 

久々に笑顔になった海未ちゃんの言葉を頼りに記憶を遡っていくが、心当たりがない。

 

海「ことりとよく話していました。穂乃果と一緒にいると、いっつも大変な事になる……と。今はいない竜司もきっと………」

 

海未ちゃんの表情はとても嬉しそうだ。

 

だけど竜ちゃんの所で少し顔を暗くした。

 

大丈夫だよ海未ちゃん。

 

もうすぐ竜ちゃんは帰ってくるから。

 

海「どんなに止めても夢中になったら何にも聞こえてなくて。大体スクールアイドルだってそうです。私は本気で嫌だったんですよ?」

 

穂「海未ちゃん……」

 

海「どうにかして辞めようと思っていました。穂乃果の事、恨んだりもしましたよ?」

 

穂「ご、ごめん……」

 

海「ですが、穂乃果は連れていってくれるんです」

 

穂「ど……どこに?」

 

海「私やことりでは勇気が無くて、竜司はめんどくさがって行けないような、すごいところに!」

 

海未ちゃんは私の隣に立ち、まっすぐ私の事を見つめる。

 

海「私が穂乃果を叩いたのは、穂乃果がことりの気持ちに気付かなかったからじゃなく、穂乃果が自分の気持ちに嘘をついているのが分かったからなんです。穂乃果に振り回されるのはもう慣れっこなんです♪」

 

そうだったんだ……。

 

海「だからその代わりに連れていってください!私たちの知らない世界に!!」

 

穂「海未ちゃん……」

 

思わず涙がこぼれそうになり、ゴシゴシと目を拭う。

 

海「…だって~可能性感じたんだー…そうだ~ススメー…」

 

突然海未ちゃんが歌いだす。

 

私もその後を歌う。

 

穂「後悔したくない、目の前に~…」

 

こ「僕らの、道がある~」

 

ことりちゃんも歌ったような気がした。

 

(BGM:Be The One)

 

海「さぁ!ことりを迎えに行ってあげてください!!」

 

穂「……!うんっ!!」

 

校門を飛び出すと、そこには竜ちゃんがいた。

 

竜「よっ」

 

穂「竜ちゃん!? 何でここに?」

 

竜「何でって、お前の送り迎えだよ」

 

そう言って竜ちゃんはスマホを操作して投げる。

 

するとスマホがバイクになった!!

 

穂「すごっ!? これどうやったの!?」

 

私が驚いてると、竜ちゃんはバイクに跨がりながら言う。

 

竜「そんな事はいいだろ?ほら、乗れよ」

 

穂「でも………」

 

竜「っ……乗れよ!」

 

竜ちゃんは後部座席をパンパン叩きながら言ってきた。

 

穂「う、うん!!」

 

そして私がヘルメットを被って座ったのを確認したら、竜ちゃんもヘルメットを被ってバイクを発進させた。

 

すごい……速い。

 

2ケツだけど、仕方ないよね?

 

そう思ってると、竜ちゃんが言ってくる。

 

竜「そういや穂乃果。お前スカートのチャック開いてるぞ?」

 

穂「へっ?」

 

そう言われてスカートの横のチャックを見ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに開いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

イェーイ!!

 

穂「っ!? 何で言ってくれなかったの!?////」

 

私が恥ずかしさで顔を赤くしながら言うと、

 

竜「どのタイミングで言えって言うんだよ?自分で気づけよバカ」

 

そう言ってきた。

 

穂「もう!竜ちゃんのエッチ!変態!セクハラ!」

 

竜「ふざけんな!下ろすぞコラ!!」

 

私達はそう言い合いながら空港に向かった。

 

穂「そう言えばいつバイクの免許取ったの?竜ちゃん」

 

竜「アメリカにいた時に」

 

 

穂乃果sideoff

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

先程から何回も繰り返して見ていた腕時計をまた見る。

 

自分が乗る飛行機の便までもうすぐだった。

 

そろそろ移動しなくてはならない。

 

何か諦めたかのように溜め息を吐いて席を立つ。

 

その時だった。

 

穂「ことりちゃん!!」

 

自然と足が止まった。

 

小さい頃からずっと一緒にいた幼馴染の声。

 

本来なら、今ここにいるはずがないのに、聞き間違いのしようがなかった。

 

ゆっくりと、振り向く。

 

視覚に認識する。

 

自分の幼馴染、高坂穂乃果。

 

と……。

 

こ「…………え?」

 

その隣にいるのは、銀髪に左目に眼帯をした1人の少年だった。

 

竜「よっ」

 

こ「ぇ……その……な、何で……?」

 

頭が混乱した。

 

海未に聞いたが、今のμ'sは危険な状態にあるはずだ。

 

竜司が行方不明になってからというもの、穂乃果も辞めて、活動休止になるほどだったのに、絶対に来ないと思っていた2人がいる。

 

その事にことりの脳内が危うくショートしそうになる。

 

竜「まぁ俺の事は後でな?先ずは穂乃果から話があるぞ」

 

そう言って竜司は穂乃果を前に押しやる。

 

そして。

 

穂「ことりちゃん、ごめん!」

 

こ「穂乃果、ちゃん……?」

 

穂「私、スクールアイドルやりたいの!ことりちゃんと一緒にやりたいの!! いつか、別の夢に向かう時が来るとしても……!!」

 

こ「……!!」

 

穂「行かないで、ことりちゃん!!」

 

ヒドイ我が儘だった。

 

でも悪い気はしなかった。

 

なぜならことりもそれを望んでいたから。

 

こ「……私の方こそ、ごめん。私、自分の気持ち……分かってたのに……!穂乃果ちゃんや海未ちゃんや竜くんやみんなと、離れたくなかったのに……自分の気持ちにずっと嘘ついてた……」

 

声が震える。

 

穂乃果の目にもうっすらと涙が浮かんでいたが、ことりの目にも涙は溢れてきた。

 

こ「一緒にいたい……離れたくなんかない……またみんなと隣同士で笑い合いたい……あの場所に……μ'sに帰りたいよ……!!」

 

それだけ聞けば、もはや十分だった。

 

竜「へへ……っ」

 

竜司は顔をクシャっと歪めた。

 

そこに雛が近づいてくる。

 

「竜司君」

 

竜「雛さん……」

 

「ありがとう。ことりの事」

 

竜「いえ、礼を言われるような事じゃありません。俺はことりから夢を奪った……」

 

「それでも、あの子も、高坂さんも、あなたに救われた」

 

竜「だったらいいんですけどね……」

 

そう言って、竜司は目を細めて抱き合うことりと穂乃果を見ていた。

 

だがそんな感動的な光景を無意味にする事が起きた。

 

「きゃあああああああああ!!」

 

「助けたくれーーー!!」

 

「ギュアアアアアアアアアアア!!」

 

突然響いた叫び声の後に、こちらに逃げてくる人々。

 

その後ろからは、インドミナス・レックスが走って来ていた。

 

目の前にいる人々を踏み潰し、長い指で掴んで投げ、噛み殺し、凄惨な血で染める。

 

穂「あれは……!」

 

こ「恐竜?」

 

穂乃果とことりは怯えを見せる。

 

「竜司君あれは!?」

 

雛の問いに竜司は答える。

 

竜「前に教えましたよね?ハイブリット恐竜の事。あれがそのハイブリット恐竜、インドミナス・レックスです」

 

「あれが!?」

 

雛は前に教えられた、いくつかの肉食恐竜や原生生物の遺伝子を掛け合わせた怪物のような恐竜の事を思い出す。

 

近くでそれを聞いていた穂乃果とことりも、震え上がる。

 

こ「あれが……竜くんの嫌っていたハイブリット恐竜……」

 

そしてそのインドミナスの近くには、やはり氷室玄斗がいた。

 

「天青……」

 

竜「またあんたか……ここであんたには終わってもらう」

 

「来い……最早俺は昔の俺ではない」

 

そう言って、氷室はワニの上顎を模したクリアパープルのパーツのスイッチを押して、起動させる。

 

《デンジャー》

 

「ドゥドゥドゥン……ドゥドゥドゥン……♪」という危険で不気味さを醸し出す一定のリズムが鳴る。

 

氷室はそのパーツをナイトディノホルダーの先端辺りに装着する。

 

《クロコダイル!!》

 

瞬間、氷室は紫の液体が詰まった巨大なビーカーに囲まれ、インドミナスは紫の光に包まれる。

 

更に氷室が入ってるビーカーを、ワニの顎を模した装置が挟み込む。

 

《割れる!喰われる!砕け散る!》

 

それらが消えると、氷室は紫の尖った鎧に、白いヒビが入った黒いスーツを着用。

 

更に黒のマスクに、紫のワニの顎が装着されて白いヒビが入り、そこから水色の複眼が完成される。

 

《クロコダイルジャークアーマーインローグ!! オォォラァァァ!!》

 

ついでに後頭部には割れ物注意のシールが貼ってある。

 

《キャアアァァァァァァ!!》

 

そしてインドミナス・レックスは、頭から尻尾にかけて紫の突起状の鎧に身を包み、背中には前方に伸びるスパイクを着けていた。

 

そのアーマーは竜司にとって見覚えのあるものだったが、それより氷室の方が気になった。

 

竜「それは?」

 

「俺の新しい力……これより俺はローグと名乗る」

 

氷室はそう言った。

 

竜「成る程……ならこちらも新しい力を使うか。穂乃果!!」

 

そう言った竜司は、穂乃果に黒のグリップが付いたオレンジの拳骨型のアイテムを渡す。

 

穂「うわっ!? これは?」

 

竜「お前の武器だ。もし俺が暴走したら、それで俺を殺せ」

 

暗にエレメントトリガーを使うことを言う竜司。

 

こ「何言ってるの竜くん!? 死ぬなんてダメだよ!! そんなの「竜ちゃん……」……穂乃果ちゃん?」

 

それにことりが反対するも、穂乃果がそれを遮って、竜司の横に並ぶ。

 

そして言う。

 

穂「私がこれを使うのは、竜ちゃんを殺すんじゃなく、止める為に使うから。だって私の相棒は……パートナーは、天青竜司ただ一人だけだから!」

 

そう言って、穂乃果はディノガジェットを左手首に着ける。

 

竜「勝手にしろ…」

 

竜司も笑ってそう言うと、ディノホルダーとエレメントトリガーを出す。

 

穂「ディノスラッシュ!! 轟け!ペンタケラトプス!」

 

穂乃果はカードをスラッシュして、ペンタケラトプスを呼び出す。

 

「ギュガアアアアアアアア!!」

 

穂「今の私は……負ける気がしないよ!!」

 

竜「さぁ……実験を始めようか?」

 

《エレメント・オン》

 

竜司はエレメントトリガーを起動、ディノホルダーに着けて、ある恐竜カードをスラッシュした。

 

《スーパーテリジノサウルス》

 

そして出てきたのは、うっすらとした虹色の体色をして、アリクイのような長い爪と首を持つ恐竜だった。

 

シークレット恐竜・テリジノサウルス。

 

そのスーパー恐竜版である。

 

「グオオオオオオオ……」

 

《アンコントロールスイッチ!エレメントハザード!ヤベーイ!》

 

竜司も黒のオーラに包まれる。

 

そして今………両者は激突する。

 

 

 




新たに高評価を入れてくれたラブダイバーさん、ありがとうございます!







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