それから五日六日七日……と続けていき、五年目位で飽きたので止めた。
写真は何千何万とあり、メモ帳は何千冊にも及んだ文の観察企画は大成功?に終わった。
将来とかに脅しやネタで使おうっと。
んで、時は戦国…じゃなくて夕食時。
「そうだ、里帰りしよう」
「「「「はい?」」」」
俺は夕食のトンカツを頬張りながら唐突にそういった。
「いや、そろそろあいつ等が馬鹿みたいに酒を消費しているような気がするんだよ」
「ああ、確かにそうですね……かなり飲みますもんね、二人は」
そう、鬼位飲むぞあいつ等。一応、量は決めていたんだがな。
俺がいない事により物足りなくなり、その分酒を飲んでいる筈。俺に依存している傾向が強かったし。
「と言う訳で、明日の朝早くには帰るよ。また来るな」
「はい。寂しくなりますね…いつでも来て下さいね。天狗勢総出で歓迎致します」
「ああ。文も黒猫頼むな」
「はい、任せてください」
「にゃ~……」
俺の膝の上で悲しそうに鳴く。別に連れて行ってもいいが諏訪子あたりにめちゃくちゃにされそうだから。
そうそう、黒猫は猫又になった。つい最近だから人化はまだ出来ないがな。
夜中、俺の部屋にはルーミアとアマテラスが居る。
「ということで、アマテラスは精神世界に居てくれな」
「はい」
「口出さなかったけれど、里帰りって何よ」
ルーミアが知りたそうに聞いてくる。
そういえばルーミアどうしようか。妖怪だから神社は流石になぁ……。
「実家にな、ん?実家? まあいいや。家族が二人居るんだよ。そいつらの様子を見に」
「へぇ、家族なんて居たのね」
「血縁関係ではないがな。そこでルーミアにはアマテラスと精神世界に居て欲しいんだ」
「あら、なんでよ」
「だって行き先神社だし」
この一言を聞いたルーミアは端整な顔を少し歪めた。
「成る程………分かったわ。そうする」
「ん、サンキュ」
これで話す事は終わり、二人はもう俺の中に入ってしまった。
中が気になるのと、朝は早く起きれないからだとさ。
確かに朝のルーミアは妖艶さの欠片も無いからな。
ではでは、お休み。
「よし、行くか」
朝早く暮羽と文に見送られ、出発した。
俺も朝はルーミア並みに弱いが、目覚ましのおかげで起きれた。
空間を跳べばいいと思うだろうが、ここ最近は全く身体を動かしていないから走っていくつもりだ。
………空を。
ノーモーションで空にジャンプして空気を踏むようにして走り出す。
『は、速いッ!?』
『ルーミアさんは初体験でしたね』
そーだな。普段は歩いてたもんな、俺。
『飛ぶんじゃなくて走るなんて…御主人様は規格外ね』
今更過ぎるわ。
暫く空の散歩(超高速で)を楽しみ、神社に着いた。
「よっと」
音もなく石畳の上に着地したら、境内を掃除していた巫女さんが驚いて腰を抜かしていた。
まあ、空から人が猛スピードで落ちてきたらびびるよな。
「すまん、大丈夫か?」
「は、はい…ありがとうございます」
巫女さんを立たせて、さっさと二人を怒るために探す。
とりあえず家の中に入り、気配がある場所に歩いていく。果たして諏訪子は小さくなっているのだろうか…それとも大きいままなのだろうか……真実は何時も一つ!!
ガラッと襖を開ける。そこには…
「ただいま~。帰ったぞミニ諏訪子に神奈子」
「「零ッ/レイッ!!?」」
今言ったとおりにミニ、だ。小さくなっていた。
「遅すぎるよ!それとミニってなにさ!!」
瞬時に立ち上がり突進してくる諏訪子。俺はそれを何時もみたいに抱き留めた。
「そうだぞ、零。帰ってくるのが遅いから私が何していたかわかるか?」
「そんなに遅いか?対して時間経っていないような気がするんだが……それで?何してたんだ?ふて寝?」
「違うね!毎晩酒飲んで暴れて寝ていたのさ!!」
「性質悪いな。迷惑極まりないわ」
ふて寝何て言う可愛い物じゃなかった。こいつらが酔うとかなり面倒くさい。特に諏訪子のスキンシップ率アップ(零にだけ)と神奈子の絡み酒(誰に対しても)。
前者はキスですむからいいが、後者は酔いつぶれるまで何時までも絡んでくる。時たま、抱き付きながら飲まれて頭の上から酒をどぼどぼ溢されるのはたまったもんじゃない。
「ちなみに諏訪子もだぞ」
「お前もかい!」
ゴツン!
「ミギャッ!!!何すんのさ!レイが遅いからいけないんじゃんか!」
「ほぅ?俺のせいにすると?チビカエルが」
「うっ……!!はっ!?そういえば忘れてた!変ッ身ッ!!」
俺に抱き付いたままパッと少し光ってから大人化した諏訪子がドヤ顔をした。いや、それよりも…大人化って変身だったのか!?
お前実は仮面ライダーとかそんなのの類じゃあないだろうな!
「new諏訪子!どう!?」
「いや、何がnew?」
少し離れて目の前に立つが…別に変わりはない。
「ふふん!実は胸が大きくなり、スタイルがさらに良くなったのさ!修行の成果だよ!!」
「すまん、全然わからない」
「ガーン…orz」
さて馬鹿はは放っておこう。
「そうそう、それよりも零、ちょっと来てもらえないかい?」
そういった神奈子に崩れ落ちたままの諏訪子の足を掴んで引きずり、着いていく。
「ちょ、ちょっと!スカート捲れるからお姫様抱っこにしてよ!」
図々しい奴だな、そんな元気があるなら一人で歩きやがれ。そういうことで足を離す。
「痛ッ!?」
渋々立ち上がりながら俺の後ろに着いてくる。どうせ説教なのにのこのこ着いてくるとは…馬鹿な奴だぜ。
連れて来られたのは一軒家位の大きさを持つ蔵。ここは俺が趣味で作った酒を始めとした、買って来たもの、貰ったものの酒を保管していた酒蔵なのである。
この蔵一杯の酒があったはずだ。
「此処の酒がね……あとあれだけなのさ」
神奈子が指差した先には……俺の酒が数瓶と樽がいくつか。あんなに一杯あった酒がもうこんだけだと?
冗談もほどほどにしてくれ。
「……諏訪子?どこに行く気だ?」
「…ッ!?え、えっと…お花を摘みに行こうかと……」
「そうか。どっちの摘みにかは知らないが後にしろ」
こそこそと逃げ出そうとした諏訪子を掴み、連れ戻す。ついでに大人しかったが神奈子も一緒に掴んでぶら下げる。
二人を目の前に下ろした。
「二人とも、ここに正座しろ」
「「えっ、でもここ地面……」」
「いいからしやがれ」
「「は、はいっ!!!」」」
俺の圧力に負けて即座に正座する。
「いいか?お前ら。酒というのは本来……………………」
さあ、説教を始めよう。
巫女の髪が緑かは…今の所永遠の謎