あの後、何回か気絶して目を覚ましたら朝でした。朝になっても続けていたので快感という感覚を能力で底上げして一瞬でイかせて強制終了。
まさか俺が寝ててもお構いなしにヤり続けるとか予想外。ナンテコッタイ。
身体や布団がべたべたなので、汚れを消し去る。
まあ、こんだけ思われてるんだし、悪い気はしないさ。
そんなことを思いながら朝食を作る。軽めにサンドイッチにした。材料は腕輪から出している。
丁度作り終った時に二人が起床。ん?様子が変だ………。
「どうしたんだ?二人とも」
「「………腰が」」
「え?」
「「腰が痛くて動けない………」」
「…………………」
いや、もう……飽きれてものも言えない。こればっかしは自業自得だろう。痛くなるほど腰振るから……。
「はぁ……自重しろよ。今日はゆっくり休んでろ」
サンドイッチの乗った皿を二人の前に出す。うつ伏せ状態だから大丈夫だろう。俺はさっさと食べ終わり、外にでも散歩に行く。
あ、翼?もう消しましたよ。
さてさて、散歩に出た俺だが、今隣にはとある少女が団子を頬張っている。それを見ながら俺も団子を食う。
「ここの団子は美味しいですね、零さん」
「ああ……そうね…」
その団子を頬張っている少女……藤原妹紅はいい笑顔で話しかけてきた。
いやね?散歩してたらばったり会ってさ、この前の仕返しだか何だか知らないけどギャンギャン喚き散らしてきてだな………あまりにも五月蝿かったので縄でぐるぐる巻きに縛って近くの木に吊るしたんだよ。
ブランブランと暫く揺らして遊び、精神的に弱らせてから怖い話をしてあげた。百物語みたいに。態々辺りを暗くして蝋燭一本で話してやったんだぞ?
そしたらあまりにも怖かったらしくて、泣くわ漏らすわ大惨事。仕方ないから【消す程度の能力】で綺麗にしてやってから縄を解くと、抱き付いて来て更に大泣き。
それをあやしてお詫びに団子でも……という事で、今に至る。久しぶりに疲れたわ………………。
「妹紅……」
「はい?」
「……お手」
ポスっ
「おかわり」
ポスっ
躊躇いなく手を置いてくる。忠犬妹紅、此処に現る!!
多分、無意識に…というか、反射的にやってるんだろ。逆らったら恐怖のどん底に突き落とされる……みたいな?
良く出来ました、と言わんばかりに頭を撫でてやりながらお茶を啜る。嬉しそうに頬を緩める妹紅……どうしてこうなった?
ま、面白かったしいいか。そう言えば、ふと思ったんだが、月が平和であるならば戦争は起きないよな?じゃあ鈴仙はどうするのだろうか?というかどうなるのだろうか?戦争が嫌で逃げてきて永琳に匿ってもらうんだろ?
あ!あれは紫が仕掛けた月面戦争か!じゃあ逃げてくるじゃん。ま、いっか。面白そうだし、紫には黙っとこう。月の神としては如何なものか…ゲン達に頑張ってもらおう。俺とずっとやりあってたんだ、妖怪なんざゴミ同然だ。
「ご馳走さん」
「ご馳走様でした」
食べ終わった後は解散した。妹紅が用事があるらしい。貴族は大変だねぇ…。
俺は幽香の所にでも行きますか。
都から離れて走ることに。猛スピードで走り出した俺は器用に木々を避け、土を蹴り、撒き散らしながら進んでいく。速さが速さなだけに直ぐに着いた。どうやら花の世話は今はしてないみたいだな。
家の方から気配………行ってみますか。
話しかけてくる花達に挨拶を適当に返しながら進んでいく。家の前に来たら幽香が丁度開けてくれた。花の声が聞こえていたらしいな。
「よ、幽香。暇だから来たぞ」
「いらっしゃい、零。丁度花の蜜などを使ってお菓子を作っていたのよ。さ、上がってちょうだい」
ふ~ん…確かに甘い香りがするな。これは期待できそうだ。
「お邪魔しますっと、幽香…また土が落ちてるぞ」
床にちょこちょこと土が落ちている。掃除してないな?
「あっ!///」
「まったく、花の世話に夢中になるのはいいけど、自分の身の回りの事もちゃんとしろよ?土で汚れた幽香も綺麗だが、お前も女なんだから綺麗にしてなさい。ほら、こっち向いて」
世話をした後にお菓子でも作っていたのだろう。こっちを向かせてタオルを取り出して汚れた顔を拭いてやる。汚れが取れたら髪についている土も手櫛で落とす。
顔を真っ赤にして恥ずかしさに耐えている幽香は可愛いが、こんなお節介ばかりしてるからアマテラスとかにお母さんって言われるんだろうなぁ……こればっかしは仕方ないさ。癖だ。頭を撫でる位の癖。
気が付いたらしてるんだよ。
「ほら、綺麗になった。もういいぞ」
「あ、ありがとう………///」
小さくお礼を言ってからパタパタと小走りで逃げるように走って行った。それを見届けながら床の方の土も消しておいた。
俺の能力って便利すぎ。まあ、これを見越して選んでいたんだが。
家に入り、いつも座っている場所に座る。ていっても、ベッドなんだけどな。それと同時に幽香が皿とカップが乗ったお盆を持ってやってきた。
お菓子の正体はクッキー。紅茶はいつもの自家製の紅茶。かなりうまい。
「お待たせ」
「待ってないさ、サンキュー」
紅茶を受け取り、一口飲む。幽香はおずおずと言った感じで隣に座って来た。何時もなら遠慮せずに腕を絡めてくるんだが、今日はさっきの事があるから恥ずかしいのだろう。
幽香と二人、より添いながらお茶を飲む。花に見守られながらの、静かなお茶会。
こんな静かで安らかな時間も、悪くはない。
零さんはどんだけ怖い話をしたのか……