旧・東方神零録   作:異山 糸師

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神になっちゃったぜ

あれから十年の月日が流れた。

俺がやったことと言えば、能力を使いこなしたり身体を鍛えたりした。筋肉は全くつかなかったが、確かに身体は強くなっていった。武器は艶消しをした漆黒のナイフと己の肉体だね。

あとは家事スキルを鍛えに鍛えた。もう料理なんかは神レベル!永琳大絶賛!栄養満点で健康や美容にもいいのに滅茶苦茶低カロリー。どんだけ食べても太らずに健康になっていく。

そんな俺に永琳が付けた名前が『魅惑の料理人』。

少し恥ずかしいのは内緒だ。

 

 

今日も今日とて、この都市を守る軍隊にいる友達…馬鹿三人組に会いに行く。

 

永琳の用事について行ったときに仲良くなった。

 

「お~、頑張ってるか~?」

 

「お!零じゃねぇか!」

 

「こんにちは、零さん」

 

「レイ~!会いたかった~!」

 

はい、人物紹介。

 

上から松岡源。通称ゲンだ。筋肉が凄い短い茶髪をツンツンにたてたワイルドなイケメン。友達思いのいいやつだ。武器は大剣。

 

 

次に佐藤修一。通称シュウ。眼鏡をかけた爽やかイケメン野郎。めんどくさいことはこいつに押しつけろ!自称バイ。変態。ホモ。這い寄る混沌。こっち見んな!! 武器は直剣。

 

 

最後に水無月沙希。通称サキ。腰まである長い水色の髪に、抜群のスタイル。容姿はマジ恋のユキだと思ってくれたらいい。物凄く俺に懐いている。それは永琳が嫉妬するほど。よくくっついてくる。

武器は狙撃銃。

 

 

この三人はかなりモテている。それでいてかなり強い。ほかと比べるとな。

 

「零!模擬戦やろうぜ!」

 

「しゃーないなぁ」

 

ゲンはいつもこれ。勝てない癖にこれ。脳筋の癖にこれ。馬鹿これ。

 

「おい!結局馬鹿ってことだよな!?」

 

ツッコミが甘い!大減点。

 

「なんの評価だ!」

 

知りません。

 

「ゲンはよくやりますね。私なんか負けすぎて諦めてしまいましたよ」

 

「レイ、頑張ってね~!そんな筋肉達磨なんて吹き飛ばしちゃえ♪」

 

「サキが酷い!?」

 

「おう!まかせとけ、こんな筋肉達磨………肉団子は俺が挽き肉にしてやる!」

 

「零もさっきから酷いぞ!?言い換えても罵倒は罵倒じゃん!挽き肉って俺死んでないか!?」

 

「「今夜はハンバーグだ♪」」

 

「うわあぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

いい感じに壊れてきたゲンを見てハイタッチをする、俺とサキ。そろそろ始めようかね。

 

「ほら、起きろ。肉体的にもボロボロにしてやろう………挽き肉みたいに(ボソッ)」

 

「ぐっ……ドSめ……最後怖すぎだぞ」

 

「何のこと~?」

 

大剣を構えるゲンを目の前に、俺はとくに型もないし基本は向かってくる相手を叩くので力を抜いた自然体のままでいる。ナイフは今回は使わない。

 

「行くぞ!」

 

「こいや~」

 

ゲンは瞬時に間合いを詰め、大剣を上段から振り下ろす。受け止めても良いけど痛いから嫌。大剣の腹に手の平を当てるだけで逸らす。ゲンは直ぐに大剣を引き戻し、横に凪払い。バックステップでかわして脚が地面についたと同時にゲンの懐に飛び込む。

 

「なっ…!?」

 

「ふっ………!!」

 

顎に掌底を喰らわし、回し蹴りで吹き飛ばした。勿論手加減はした。

 

ゲンは地面をバウンドして気絶した。

 

「挽き肉は勘弁してやろう………」

 

振り返り様、飛びついてきたサキをキャッチ。暖かくて柔らかくていい匂い。普通の男なら我慢できないだろうが、不屈の精神でねじ伏せる。

 

「格好良かった~!さすがレイだね!!」

 

「本当です。どうです?今夜にでも一緒に………………」

 

「シャラップ!!」

 

ベシッ!っと、シュウの頭を叩く。

 

「やれやれ、ツンデレなんですから」

 

……こいつヤバい…早く何とかしないと………!!

見ろ、いつもにこにこのサキが無表情でいる。初めて見たわ。

 

「零、ここにいたのね」

 

「永琳?なんでここに?」

 

「「や、八意様!?」」

 

サキが吃驚し過ぎて、海老のようにシュウのとこまで跳び下がった。

今夜はハンバーグにしようと思ったけど、エビフライにしようかな?

 

永琳はこの都市で滅茶苦茶人気者。アイドルといっても過言じゃない。テレビにも出てたし、ファンクラブがあるとか……テレビで俺のことが好きとか言わなかったらファンクラブからの襲撃もないのに……。

 

「なんでって……あなたに会いたかったからよ」

 

そう言って腕を絡めてくっついてきた。

 

年頃の少年少女が一つ屋根の下で生活………わかるよね?ただ……永琳から来たと言っておこう。

それ以来永琳は俺にゾッコン……ゲフンゲフン!!

 

ふぅ……まあいいや。それより永琳。巷で俺達がなんて呼ばれてるか知ってる?おしどり夫婦だよ?いつの間にか戸籍が天城永琳だぞ?誰だこんなことしたやつ!出てこい!説教をしてやる!結婚なんかしてないぞ!

 

「知ってるわよ?これで妻ね」

 

「頭の中を読むな。ていうかあり得んだろ………」

 

なんてこったい……。

 

はぁ………っと、ため息をついていると今度は反対の腕に柔らかい感触。

 

「八意様、離れて下さい。レイは私のです」

 

サキが腕を絡めて今までにないくらい真剣にいっていた。

 

お前も真剣(マジ)でなにしてんの………。

 

「あら?悔しかったら世間に認められなさい」

 

なんかバチバチいってる……幻聴だといいな~。

 

「羨ましい限りですね。お二人が」

 

「黙れやホモが」

 

こうして俺の日常は過ぎていく。ゲンが空気のまま。

 

◇◇◇

 

 

ある日、永琳から月移住計画の話を聞いた。

 

「へぇ~、凄いな。まさか月に住むとはねぇ」

 

「ええ。月は時間の流れが遅いとか噂されてるわ。あと、この地は穢れで汚れているとか言ってたわね」

 

「なるほどなるほど。大変だねぇ~」

 

俺は呑気にお茶を啜りながら聞いている。

 

「で、いつ出発?」

 

「三日後よ」

 

はやっ!?あ、たしか人妖大戦なんかがあったはず……しょうがない。永琳には悪いが、俺がくい止めるか。

 

 

計画の当日、ロケットの前に俺たちはいた。案の定妖怪は都市を攻めてきた。

 

「零?何で乗らないの?」

 

「そうだなぁ……妖怪たちをどうにかしないと永琳達は無事月に行けないだろ?まぁ…妖怪は任せろ」

 

「なに馬鹿なこと言ってるの!!そんなことしたら零が死んじゃうじゃないッ!!!」

 

「死なないさ。またな、永琳」

 

永琳が何かを言う前に首の後ろを叩き、気絶させる。

倒れてくる永琳をいつかのように抱き留める。永琳の顔を見てみると目から一筋、涙が流れていた。永琳の頭を優しく撫でながら三人に向き合う。この三人には予め話しておいた。

 

サキなんてもう泣きじゃくっていた。

 

「じゃ、悪いな三人共。永琳を頼むな」

 

「ああ…まかせろ。元気でな」

 

ゲンに永琳を渡すと、ゲンは一人早くロケットに乗り込んだ。

 

「生き残って下さいね?」

 

「当たり前だろ?」

 

シュウも別れを告げ、乗り込んだ。

 

最後にサキだ。

 

「ほら、サキ。早く乗りなよ。置いてかれるぞ」

 

俯いて震えていたサキに近付きながら言う。近づいた次の瞬間…俺の唇には温かくて柔らかい感触と、視界はサキの顔で埋め尽くされていた。十秒をすぎた頃にはサキは離れた。

 

「初めてだったんだから……責任とって……」

 

「サキ…………」

 

「絶対に死なないで……再会したときに責任とってね♪」

 

涙に濡れた顔でいつも通り笑い、最後にもう一度だけ俺にキスをしてロケットに乗り込んだ。

 

「やれやれ………さて、片づけますか!」

 

振り向くと、数百メートル先に土煙をたてながらこちらに向かう妖怪の大群。軽く万は越えてるんじゃね?ま、余裕余裕。

 

俺は腕輪の中から永琳特製爆裂投擲槍を一本出す。

 

それを無造作に…しかし的確に大群の真上に投擲。丁度真上に行ったときに能力発動!

槍をおよそ十億に増やす。その時、ロケットは月に向かって発射した。

 

それを見送りながら槍を見ると、丁度妖怪どもに接触したところだった。この槍は貫通力は無いが、槍全体が爆弾であるためかなりの威力になる。

 

地を轟かせ大気を震わす。爆炎が妖怪を包み、煙が立ち上る。

 

爆心地を見てみると、そこだけ更地になっていた。

 

「やっべ……オーバーキルだ」

 

 

そんな俺の心情を無視して今度は都市に仕掛けられたら爆発が俺を襲う。

 

「うっそー……」

 

光で目をやられ、音で耳をやられた。でもなんとか衝撃やなんかは消した。

 

回復してあたりを見渡すと、何にもない。そう……木一本すらない。

 

「これから俺にどうしろと……」

 

呆然としていたとき、なんと糞神から連絡が。

 

『零よ、聞こえておるか~?』

 

「お~、久しぶりだな~。どうした~?」

 

『いやのう?これからそちらは人間が生まれるまでにかなり時間があるじゃろう?』

 

そういえばそうだな~。

 

『じゃから暫くはこちらで過ごさんか?』

 

なるほど……一人孤独なのよりは良いな。

 

「是非頼む」

 

『了解じゃ』

 

次の瞬間には、目の前にジジイがいたのでとりあえず殴っとく。

 

「そぉい」

 

「ぐぼらっ!?」

 

吹き飛ぶジジイ。

 

飛べないジジイは、ただの老いぼれだ……。

 

「いきなりなにをするんじゃ!」

 

「いや、ついつい……」

 

「ついで殴るな。まったく……」

 

いや、ねえ?目の前にいきなりジジイがいたら嫌でしょ?

 

「さて、こちらの時間はあちらと比べて進みが随分違う。まあ、人間が生まれるまでやりたいことを好きなだけやるが良い」

 

「なに!?そんな夢みたいなことができるのか!ならば遠慮はしない!!」

 

まずは……………

 

 

―――100億年後―――

 

 

気付いたら100億歳…あまりにも此処の居心地が良すぎた。人間も妖怪も神も既にまれていた。

 

俺がやっていたことといったら、あらゆるマンガ・小説・ゲーム・アニメ・映画etcetc…………。

 

すべてコンプリート!!エロ系もしたから枯れなかった。

 

あとは料理の研究とか。いろんな世界の神様に試食してもらった。女性に大人気な俺がいる。甘いものを食べても太らない!

 

戦闘面では、いろんな軍神とやり合い鍛えた。タケミカヅチやスサノオなんかだね。全世界の軍神VS俺の大乱闘。数え切れないほどの神々を倒して圧勝。光速以上の速度が出せる俺がいる。衝撃が出るが消せばいい。空なんかも走っちゃうぜ?ワイルドだろぉ~?

 

もしかしたら八坂神奈子もいたかも………知らないけど。

 

 

そろそろ東方の世界に帰ろうと考えていたある日、ジジイに話しかけられた。

 

「お主、神力が出ておるぞ?」

 

「はぁ?」

 

「確認してみろ」

 

言われたとおり、確認してみる。

 

すると霊力のほかにさらに強い力発見。

 

「のう?」

 

「(゜Д゜)」

 

………………………はっ!?

 

「え!?なんでさ!?」

 

「大方、月に移住した者たちに信仰されておるのだろう」

 

あいつらが…?

 

まじでか…………

 

「折角じゃ。儂くらい凄い神にしてやろう!」

 

「どういうこと?」

 

聞いた俺を無視して何故かハイテンションなジジイ。

 

「月神だからついでに太陽神なんかも………月と太陽とかなんかかっこいいじゃろ?……そう言えば軍神全てに勝っておったの……ならば軍神としても……ブツブツ………」

 

な、なんかやばくないか?更に俺がチート化してない?

 

「よし!決めたぞい!」

 

「な、なにを?」

 

「お主にはありとあらゆる、存在している世界の月と太陽の神と軍神のトップ……つまり儂みたいな存在になってもらう!」

 

「な、なんだとぉぉぉぉぉぉ!!!???」

 

ドヤ顔で言うジジイ……や、ヤバい……

 

「じゃ、じゃあ俺は……」

 

「種族・神じゃな!これからは月神・太陽神・軍神と名乗るがよい!それらの神々は全てお主の言うことを聞くじゃろう。あとそれらに関することも何でもできるしの。能力も追加かの?【思ったことを現実にする程度の能力】じゃ。儂みたいなことができるぞ。あとは顔合わせじゃ。ほい!」

 

すると俺とジジイはデカい白い場所にいて、少し丘みたいな所に立っていた。

 

「皆の者!聞くがよい!儂の隣にいる天城零はこれよりお主等の主じゃ!儂位偉いからしかと言うことを聞くように!」

 

ちょっ、待てや!

 

とりあえず目の前の、俺から見て右は軍神の方々。真ん中は太陽神の方々。左が月神の方々。果てしなく続くこの空間に果てしなく並んでいる神々。

 

アルテミスやツクヨミ、天照大神やアポローンやラー、アテナやウルスラグナやオーディンやスサノオ………皆が知ってるような神がたくさんいる。

 

雄叫びを上げて賛同する軍神のみなさんと太陽と月の神は知り合いからは賛同の声と知らない方の声。

 

あとは…………

 

「創造神様!納得行きません!なぜこのようなガキなんかに!」

 

という多数の声。

 

「なあ、ジジイ。神っていうのはお前以外人間から作られたようなもんだよな?」

 

「そうじゃな」

 

「なら生きてる年数は億に行くか行かないかだよな?」

 

「そうじゃな」

 

「なら100億歳生きた……俺から言わせれば赤ん坊のようなものだよな?」

 

「そうじゃな」

 

「だよな~。ならばちょっとカチンときたかも……」

 

「言ってやれ言ってやれ!」

 

ノリノリだなジジイ。

 

まだ文句を言う奴らに向かって一言放つ。

 

「黙れ」

 

たったこれだけ…言葉に殺気をのせ、神力を爆発させる。なんせ無限にあるから。

 

この一言で静まりかえり、文句を言う奴らは耐えきれず地面に這いつくばり汗を滝のように流す。

 

「俺に文句があるなら、俺くらい強くなり、100億生きて俺と同等の存在になってから来いや、クソガキ共」

 

目を細め、ゆらりと笑う。

 

「これからおまえ等は俺の物。わかったな?」

 

そう言った後、雰囲気を元に戻す。文句言ったやつだけに狙ってやったので、ほかの奴らは無事。

 

「ということで!皆、これからよろしくな!」

 

大喝采を浴び、やがて解散となった。

 

そんな中、俺は四つん這いになり叫んでいた。

 

「うあぁぁああぁぁぁあッ!!!!なんてことしたんだ俺の馬鹿!!これでマジで神々の一番上じゃん!やってしまった。俺的にも作者的にも……orz」

 

「まあまあ、これからは全世界からアマギ神として信仰されるからの。頑張れ!」

 

このやろう………とりあえず、神力と新しい能力は封印した。危なすぎるもん。

 

「というか!アマギ神とか恥ずかしいィィィィ!!!」

 

「堂々とすれば良かろう」

 

もういや……東方の世界に帰ろう………。

 

「ジジイ、俺帰るわ……送ってくれ」

 

「うむ、またの」

 

「ああ、じゃ~な~」

 

そうして転生したときのように再び送られた。

 




いつも通り眠いです……。

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