Re.Dive タイムコール   作:ぺけすけ

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今回は日常回です。



第9話 休日と文学少女

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は月曜日。

普通ならば平日の始まりであり、学生や社会人の人は億劫になるであろう。

 

 

そんな中、俺はと言うと。

 

 

「はいこれ、ユウくんのシフト表ね」

 

 

朝、桃子さんに渡された俺のバイトのシフト表を見ながらつい考える。

 

日、火、水、金。

 

この4日のみ……?

確かに週4とは言われていたが流石に三食付きの家にまで居候させてもらっているのに甘え過ぎでは……

 

と言ったのだが。

 

 

「いいのよ、それにもう少し慣れてきたら増やして貰うつもりだから」

 

と笑いながら言われてしまった。

 

 

そんなわけで休日なのだが、何分自分の趣味も特に持ち合わせてないんだよな。

 

思いつくのは魔法の特訓くらいだが生憎、ユーノもなのはもいない。

うーんどうするかな。

 

(なのは?)

 

念話なう

 

(わ!えっと、ユウさん?)

 

(おう、今大丈夫か?)

 

(うん休み時間だから大丈夫だよ)

 

(お、なら聞きたいんだが)

 

とりあえずはなのはに普段休日にしている事を聞いてみた。

今思うと小学生の女の子じゃなくて士郎さん辺りに聞いた方が良かった気がしなくもないが

 

(うーん友だちと遊んだり本を読んだり、あとは公園に行ったりかな)

 

(へー……)

 

 

なるほど、色々選択肢が増えたな。

 

 

(ありがとうな、ちょい色々試してみる)

 

(うん、それじゃ帰ったらね)

 

 

ばいばいと、念話が切れる。

…さて俺に今出来るのは友だちがいないから本を読むか公園に散歩に行くかだな。

 

……友だち、友だちかぁ…。

 

 

まぁ、散歩しつつ公園で本を読むってのもありか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、と」

 

思いついたが即行動。

昨日買った本と財布に鍵を小さいショルダーバッグに突っ込み、ジャージのポケットには携帯(ツァイト)を入れる。

 

 

「いい天気だな」

 

 

春の日差しと風が気持ちいい。

空も晴天。

飲み物でも買ってゆっくりするのもありかな。

 

 

 

 

 

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「ふぅ……」

 

 

ベンチに座り直す。

ツァイトで時間を見ると2時間くらい経っていた。

もうすぐ12時か……

読書を中断し空を見上げながら考える。

 

少し疲れてるなぁ……昨日、魔法を使いすぎたからか?昼ごはんとかどうしようかな?

 

と空を見上げていた顔を下げると。

 

 

「あ」

 

「ん?」

 

 

あの子は確か……昨日この公園で見かけた女の子だ。

 

また同じ場所の同じ時間に会うって事はそれなりに近い所に住んでいるのか?

とりあえず話しかけに行くべきだろうか。

 

昨日の事、あの時の直感を信じて話しかけるなら今しかないよなぁ……

 

とうだうだ考えていると少女が車椅子を操作しだす。

って、ヤバイ行っちゃう。

どうする、行くか?行かないか……

 

………やらずに後悔よりやって後悔だ。

すぐに立ち上がり話しかける。

 

 

「あの!」

 

「へ?」

 

 

あ、止まってくれた。

……というか何を言えばいいんだ……?

 

 

「あー…えっと」

 

「…?」

 

 

ヤバイ絶対怪しく見られてるよコレ。

 

何か、何かないか?

さっきまで考えていた事とか何かヒント……

 

ふと、さっき見たツァイトの時間とお昼時前なのを思い出す。

 

 

「あの……?」

 

「お、お昼!お昼まだ食べてない!?」

 

「え!?えと、はい…」

 

「一緒に食わないか!?」

 

 

 

何言ってんの?俺

初対面の相手にそれって下手なナンパよりヤバイんじゃないか?

 

 

「私と、ですか?」

 

明らかに警戒した顔。そりゃそうだよ。

 

「あ、ああ」

 

 

「えっと……」

 

 

少女は少し思案した後、どこか覚悟を決めたような顔をして口を開く。

 

 

「はい、かまへ……大丈夫ですよ」

 

 

え?いいの?

 

「え?いいの?」

 

「え?」

 

 

思わず心に思った事をそのまま言葉にしてしまう。

俺から誘ったのにその返しはおかしいよなぁ。

 

 

「あ、いやなんでもない。えっとそれじゃ……」

 

 

場所はどうするかな……俺、冷静にこの街で知ってる飲食店って翠屋だけなんだよな。

 

 

「あの……もしよかったらですけど、ウチで食べます?」

 

 

へ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「そこを右に行ってください」

 

「あ、ああ」

 

 

うーん……謎だ。

 

このキッカケを作ったのは間違えなく俺だが、出会って数分の女の子とスーパーに向かってるこの状況は本当に謎だと思う。

 

 

「あ、そう言えばお兄さんの事、私なんも知らへんかった。自己紹介くらいはしませんか?」

 

ああ、そう言われてみれば。

 

「自己紹介……自己紹介かぁ。えっと、名前はユウで年は16。近くの飲食店でバイトしてる……それくらいか?」

 

「私に聞かれてもなぁ」

 

と笑う少女。

 

「私ははやて、八神はやてって言います。今年で9歳になります。得意分野は家事全般かなぁ?」

 

 

「へぇ、その歳で家事全般こなせるのか?」

 

 

「まぁ一人暮らしやからね」

 

「え…?」

 

 

「私のお父さん、お母さんは小さい頃に事故で死んじゃってるから」

 

「……ごめん」

 

 

やってしまった。

 

特大の地雷を踏んでしまったかもしれない。

 

 

「そんな顔せえへんでいいって。気にしてないから」

 

「いやでも……ごめん」

 

「もー大丈夫やって」

 

 

そう言って笑うはやて。

なんというか強い子、と言うよりは……むりやり我慢を覚えてしまった子か?

 

「それに会ったのもさっきの間柄やし、わからんのはしゃーないよ?」

 

「……はやてがそう言ってくれるなら」

 

「うん、ホントに気にせんといてな?」

 

「ああ」

 

 

あ、と言うか聞かなきゃいけないことがあったんだ。

はやての車椅子を押しながら話しかける。

 

 

「なぁ、はやて」

 

「ふぁ……なんや?」

 

 

少し眠いのか欠伸を噛み殺している。

まぁ天気もいいし眠くなるのはわかるな。

 

 

「俺、自分で言うのなんかアレだと思うけど何でさっきの誘いに乗ってくれたんだ?」

 

「誘い?あ、お昼一緒に食べようってヤツ?」

 

「ああ、これも自分で言うなって事なんだがあって数分というか目が合っただけだろ?俺たち」

 

「んー……私も実は何でかよくわからないって言うのが本音なんよ」

 

 

はて?

 

 

「ユウさん、昨日私と会ったやろ?」

 

「あ、覚えてくれたのか」

 

「うん、実は何でか知らんけどな?あの一目会った時から少し気になってたんよ」

 

「へ?」

 

 

それは……俺と同じ感覚だったと言う事だろうか?

 

俺もはやてと目があった瞬間、気になった。

 

 

「何となくお話ししたいなぁ…みたいな?感じでな。でも初対面やろ?なんて話しかければいいかわからんくてな。そのあと目があって逃げちゃったのは愛嬌な?」

 

 

と言って、あははと笑うはやて。

 

…まぁ、冷静に見ると、黒ジャージでよくわからん本片手に死んだ目のままぼーっとしてるやつと目があったら逃げるよなぁ、普通……しかも男で年上。

 

俺がはやて側なら逃げる、速攻で。

 

 

「でもビックリしたんやで?今日も"また居たら話しかけてみようかなー?"くらいで公園に行ったら全く同じ構図で居るもんやから思わずスルーしよ思っちゃったわ」

 

「あれはその、俺も最近疲れててな…」

 

 

思わず魔法の事を言いそうになり言葉が詰まる。

 

 

「ふふ、話してみてわかったんやけどやっぱり面白い人やね」

 

「そうか?」

 

 

今の会話で面白いと思われる部分はあったのだろうか?

でもはやては楽しそうにニコニコとしている。

 

 

「だってなぁ…話しかけるにしてもいきなりお昼に誘われるとは思わへんかったよ」

 

「うぐ…」

 

 

冷静に考えなくてもいきなりナンパ紛いの事をした俺をよく通報しなかったなぁ……

 

だってはやてってなのはと同い年なんだよな? つまり小学3年生……

……これ以上は、うん、俺の精神安定状よくないし考えない。

 

 

「でもよくそんな奴を家に招こうと思ったよな」

 

 

これは単純な疑問。

 

それこそ俺をいきなり家に来るか?と誘うはやても相当凄いと思うけど。

 

 

「んー……なんとなくユウさんならいいかなって思ったんよ。不思議とな?」

 

「そうなのか」

 

「うん、とそこまがってな」

 

「了解」

 

 

そんな事を話しつつ歩く。

車椅子を押した事はないがそこまで重いとかはなく少しの力で動いてくれる。

楽チンやなーなんて時折はやてが呟いているのを耳にしながらゆっくりとお互いの事を話しつつ歩いていく。

 

うん、結果的な事だけどあの時、はやてに話しかけて良かったかもな。

不思議とこの子と居ると懐かしいと言うか、楽しい。

 

 

「あ、それにな?」

 

「ん?」

 

「ユウさんのお昼に誘われた理由。久しぶり誰かとご飯たべたいなーって」

 

「一人暮らしだって言ってたもんな」

 

「うん、そこそこ一人暮らしはしてるけど寂しい時はあるんよ」

 

 

そう言って少し悲しそうに笑う。

……なんというかほっとけない。

 

 

「なぁ携帯とか持ってるか?」

 

「え?そりゃさっき話したけど保護してくれてる叔父さんとの連絡にもつかうしな。持っとるよ」

 

「良かったら俺と連絡先、交換しないか?」

 

「え?」

 

「いやその、寂しかったりしたら電話とかメールとか……別に遊びに行ったりとか出来るだろ?

俺もバイト以外の時間は基本暇人だからさ、俺で良かったら、ってこれこそナンパみたいだな!忘れてくれ」

 

ホントに学習しないなぁ俺。

思ったらすぐ行動する癖、直さなきゃな……

 

「ユウさん」

 

「…ん?あ、ごめん何?」

 

軽く自己嫌悪に陥っていてはやての話を聞いてなかった。

 

「…ホントにええの?連絡先交換しても」

 

「え、ああ」

 

「私、寂しがり屋だから直ぐに電話とかしちゃうで?」

 

 

そう言って何かを探るように確かめる用に俺の方に振り返りながら話すはやて。

 

 

「おう、どんと来い」

 

「ホントに?めんどくさいで?私」

 

 

?そんな事ないと思うけど…

 

 

「別に気にしないぞ?」

 

 

そうして少し覚悟した様に此方を見ながら

 

 

「えっと……、ほんならよろしくお願いします」

 

 

と言って携帯を取り出すはやて。

なんというか少し緊張してる?

 

 

「えっと此方こそ?」

 

 

ツァイトを取り出し赤外線通信でアドレスと電話番号を交換する。

 

 

「んこれでオッケーだな」

 

「……えへへ」

 

「はやて?」

 

 

何やら携帯の画面を見てにやけてるはやて。

どうしたんだ?

 

 

「おーい」

 

「ふふ……」

 

 

うーむ、反応なし。

ほっぺでも突くか?

 

ツンツンと。

 

 

「ふへ?」

 

「お、戻ってきた」

 

「なにしとんの?」

 

「いやなんかトリップしてたから…つい」

 

「…あー、なんでもあらへんよ?」

 

 

そう言って少し顔を赤らめるはやて。

変な奴だな。

 

 

「それよりここでいいのか?」

 

「へ?あ、もう着いたんか」

 

 

目の前には何時ぞやの俺の服を買った店。

ここの一階がスーパーになっている。

 

 

「よーし、それじゃ何食べたい?ユウさん」

 

「お、リクエストしていいのか?」

 

「バッチ来いや」

 

 

そんな会話をしつつスーパー入る。

さて、何をリクエストしようかな?

 

 

 

 

 

 

 

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「あ、そこの家や」

 

「ん、ここか」

 

 

そんなこんなで買い物を済ませはやて宅前にまで来た。

場所はそこまで高町家からは離れてないし歩いて来れる距離だな。

 

 

「それじゃ入って入って」

 

「おう、お邪魔します」

 

 

はやての生活がしやすい様に様々な場所がバリアフリーになっている。

 

というか普通に大きい一軒家だな。

 

 

「それじゃユウさんはリビングのソファーで座っててな」

 

「いや俺も手伝いくらいなら……」

 

 

流石にそこまで甘えちゃまずいだろう。

 

 

「ええの!私がええって言ってるんやからユウさんはくつろいでて」

 

「わ、分かったよ」

 

 

うん、と満足そうに頷くはやて。

ホントにいいのかな……

 

とりあえず言われた通りソファーに座る。

おお、フカフカだ。

さてくつろぐと言っても何をするか……

 

そういやまだ本読み終わってないんだよな……これでも読んでおくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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少し鼻歌を歌いながら私は鶏肉を切っていく。

とりあえず下味をつけて後は揚げるだけにしとかんとな。

 

今作ってるのはユウさんリクエストの唐揚げの下準備。

私も久々に食べたかったし丁度良かったかもなぁとか考えつつユウさんの事を思い浮かべる。

 

昨日のお昼頃、ホントになんとなく気分で公園に行った時ふと、ベンチにいた1人の男の人に目が止まった。

その人は紺色のジャージで本を片手に空をぼーっと眺めていた。

 

ーーなんだろう?気になる。

そんな風に思ってしまい思わず車椅子を止めて彼の方をじっと見つめる。

そこで我に帰る。

このままじっと見てるの何というか変だ。

他の人の目が少し気になり公園から出ようとして車椅子の車輪に手を掛けて最後にその人の顔を見ようともう一度彼を見ると。

 

 

「え」

 

「あ」

 

 

目があった。

なんとなく私は恥ずかしくなって直ぐに逃げまでしまった。

……話しかけてみたかったなぁ。

 

少し後悔しつつ家に帰る。

明日、もう一回公園に行ってみよう。

それでもし、もしもあの人が居たら話しかけてみようかなぁ?

 

 

そして次の日。

昨日と同じくらいの時間に家をでて少ししたくらいにふと思う。

あの男の人って見た目的に高校生くらいだったなーと。

そこで気づく今日は月曜日。

学生なら学校に行っているはずであり、12時前のこの時間、お昼どきに公園にいるはずがないのでは?と。

 

あちゃーと思いつつ居ないのは分かってはいるが出て来たものはしょうがない。

公園の方をチラッとみつつお昼ご飯の買い物にでも行こうと思考を変える。

 

さて、やはり公園のベンチには誰もーーー

 

 

「ふぅ……」

 

 

ーー居た。

昨日と同じ様にベンチで本を片手に空を見上げている。

いざこうして目の前にしてみるとやはり話しかけるのに勇気がいる。

どうしよう……やっぱりやめとこかな……

 

 

「ん?」

 

 

あ、また目が合った。

……うん、また今度にしよ今回はスルーやな。

 

そう思い車椅子を操作する。

すると後ろから

 

 

「あの!」

 

「え?」

 

 

なんと向こうの方から話しかけて来てくれた。

でも突然すぎて頭の中が真っ白になってしまっている。

せっかく話しかけてもらえたのだから何か話さなきゃ!そう思うのだからそれとは裏腹に言葉に出来ない。

 

むしろこの人はどうして私に話しかけて来てくれたの?と言う疑問が生まれてしまった。

 

そうして彼の言葉を待っていると。

 

 

 

「お、お昼!お昼まだ食べてない!?」

 

 

え、お昼?

 

 

「え!?えと、はい…」

 

 

「一緒に食わないか!?」

 

 

お昼ご飯のお誘い?

これはどうしたらいいのだろうか。

新手のナンパ?

そんな思考に陥る。

ーーでも

 

 

「はい、かまへ……大丈夫ですよ」

 

 

つい、彼ともっとお話がしたくてオッケーしてしまった。

私も自分で言った言葉に驚いたが彼も驚いていて少しおかしい。

 

 

それでどこで食べるか迷ってる彼につい、

 

 

「あの、もしよかったらウチで食べます?」

 

なんて言ってしまった。

 

 

 

 

 

 

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「ユウさんーできたよー」

 

「っとはいよ」

 

 

少し集中して読んでいたせいかはやての声に少し驚く。

あれからもう30分も経っているのか。

 

時刻は丁度12時半と言ったところか。

ふと鼻に香ばしくいい香りが漂ってくる。

 

 

「ちょっと作りすぎたかも知れへんけど、ユウさんなら食べれるやろ?」

 

「おお、すごいな」

 

 

テーブルの方に行くとご飯とお味噌汁にサラダ、そしてメインの唐揚げがこれでもかと積まれていた。

 

 

「ちょっと気合入れすぎかもしれへんな」

 

 

あははと笑っているはやて。

いやはや凄い美味しそうだ、これは期待せずにはいられない。

 

 

「さ、温かいうちに食べて食べて」

 

「それじゃ早速、いただきます」

 

 

早速、唐揚げを1つ摘みそのまま口に運ぶ。

うまい、ちゃんと肉汁が逃げない様に揚げられていて下味もしっかりと付いている。

揚げ具合も完璧で外はサクサクの中はふわっとした鶏肉と肉汁が噛むたびに溢れ出てくる。

 

 

「毎日でも飽きない自信あるぞ……この唐揚げ」

 

「お、気に入ってもらえたん?それなら嬉しいわ」

 

「ああ、マジで美味いよこれ。はやてはすげーな」

 

「もうそこまで褒めんといてな、少し恥ずかしいわ」

 

 

と言いつつニコニコしているはやて。

ホントに料理が上手いんだな。

 

 

「ほらほら冷めちゃうで?」

 

 

おっとこの料理は冷めても美味いだろうけどせっかくなら温かいうちにいただきたい。

少しだけがっつく。

 

 

「えへへ……」

 

「んぐ?」

 

 

はやてはこちらをまだ見ている。

 

 

「はやては食べなくていいのか?」

 

「え?食べとるよ?」

 

「ん?そっか」

 

 

ほら私のこと気にせんとたんと食べてなー、なんて言われつつ俺はガツガツと唐揚げを平らげる。

ホントに止まらないな、これ。

それになんか懐かしい味もするんだよなぁ……お袋の味?

 

 

「ご馳走さまでした」

 

「お粗末様でした」

 

 

あれだけあった唐揚げも今は無くなっている。

いやマジで美味かった。

 

 

「いや本当にご馳走さま、はやて」

 

「そんなに気に入ってくれたんなら作った甲斐があるってもんやで」

 

 

そこからは食後のお茶を飲みながら色々な話をした。

趣味の話に今俺が住んでいるところの話、仕事の話など。

 

それと俺が記憶が無いこともつい話してしまった。

なんというか…この子にならいい気がしてしまったのだ。

 

 

「それじゃユウさんも家族と今は会えないんやね」

 

「ああ、と言うか居るのかもわからない」

 

「そっかー」

 

 

お茶を飲みながらはやては少し考えて。

 

 

「なんか私とユウさんって似てるかも知れへんね」

 

「あー確かにな」

 

「せやろ?」

 

 

なんてたわいも無いけど充実した話をした。

はやては本が好きらしくよく図書館に行っていると言うことを聞いた。

そういえば調べ物するなら図書館に行くのもありだな。

 

 

「なぁはやてもしよかったら今度一緒に図書館に行かないか?」

 

「もちろんええで、何か調べ物?」

 

「ああ、それもあるけどはやてのオススメの本とか教えてくれよ」

 

「それならユウさんが好きそうな本を選んどくよ。どんなのが好みとか苦手みたいなのはあるん?」

 

 

「うーん、そうだなぁーー」

 

 

なんて事のない会話をする。

何というか心地が良い。

この子と話していると気分が晴れて疲れも飛ぶ感じがする。

 

 

しかしそろそろ時間も迫ってきている。

つい先ほどまで13時くらいだど思っていたがもう16時になる。

そろそろなのはの迎えに行かなければいけない時間だ。

 

 

「すまんはやて、そろそろ時間だ」

 

「え、あもうこんな時間か。」

 

 

時計を見たはやてが驚いている。

まぁ俺もだからはやての事をは言えないが。

 

 

「それじゃまたな」

 

「うん、今日は楽しかったで。……その電話とかしてもええ?」

 

「ああ、さっきも言っただろ?いつでもいいぞ」

 

「そっか!ならバシバシメールも電話するで?」

 

 

そう言って笑顔を見せてくれるはやて。

 

 

「今度は泊まりに来てな?そんでいっぱいお話とか遊んだりしよな?」

 

「ああ、楽しみにしてるよ」

 

 

「うん、それじゃまたね」

 

「ああ、またな」

 

 

 

これがはやてとの出会いの話。

今思い出してもめちゃくちゃな出会いなのは分かってるけれど、それでもこの出会いは間違いじゃないと思う。

 

 

それからははやてと過ごす時間が増えてある意味、俺のはじめての"友だち"かも知れないな、はやては。

 




如何だったでしょうか?
次回は原作の4話あたりのお話に入って行くと思います。
それではまたよろしくお願いします。

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