Re.Dive タイムコール   作:ぺけすけ

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第15話 魔導師として"敵"として

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

温泉から上がり少しゆっくりする。

着替えた浴衣は今の俺は初めて着たが動きやすく、お風呂上がりの火照った身体には丁度いい。

今はコーヒー牛乳を飲みながらマッサージ機に乗り士郎さんと恭也と一緒にぐでっている。

なんでも温泉上がりはこれが定番とか。

 

 

 

「どうだいユウくんいいものだろ?」

 

「結構気持ちいいものですね……これ」

 

 

これ時間を忘れてしまうな……というか温泉上がりで身体が温まっているのとなんとも言えない刺激に振動で少しずつ眠気が……

 

 

「ふぁ……すいません、少し外に出て涼んできます」

 

「あ、うん僕と恭也ももう少ししたら部屋に戻ると思うから夕食までには戻っておいでね」

 

「了解です」

 

 

 

恭也は疲れているのかもう寝ている。

こういう所兄妹っぽいよなー、寝顔が割とそっくり。

 

さてせっかく知らないところに来たし少し散歩しますかね。

俺もテンションが上がってるのかいつもより足が軽い。

さて何かないかな…?

 

 

 

 

 

 

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「ふぅ……」

 

 

少し旅館内を歩き今は外のベンチに座っている。

旅館内はゲームセンターや卓球台に土産屋、コンビニまである良設備だった。

外は外で自然が多く気持ちいい場所だ。

 

時間を確認するとまだもう少し時間がありこれからどうしようかと思案。

 

 

「なんか飲もうかな」

 

 

 

少し歩いて喉がまた乾いている事に気づき自販機を探す。

 

近くの自動販売機を見つけそちらに歩いていくと何やら浴衣姿の女性がにらめっこしていた。

………自動販売機とにらめっこしてる人は初めて見たな。

 

 

少し気になり観察する。

その女性は色んな飲み物を見比べて何かを考えていた。

そして何かを探すように身体を弄っていたが少し焦り出す。

 

 

「あれ?ここに入れといたはずなんだけどなぁ……」

 

 

もしかして……

 

 

「えっと……大丈夫ですか?」

 

「え?」

 

 

おお美人さんだな、髪色や少し日本語が慣れてないところを見ると海外の人だったり?

 

 

「もしお節介ならアレですけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「いやー助かったよ、アンタいい奴だね?」

 

「いや困ってたらお互い様だ、気にしないでくれ」

 

 

この人は財布を落としてしまったらしくとりあえず俺が代わりに飲み物を買った。

 

………またなのはとかに怒られるかな。

何もなく人が困っていると見捨てられないというか助けなきゃいけないような気がして身体が動いてしまう。

 

 

「とりあえずアタシはアルフって言うんだ、アンタは?」

 

「あ、俺はユウだ、よろしくな」

 

 

おう、よろしくなーと気軽に話しかけてくれる。

随分と気軽と言うかいい人オーラが出てるというか、何となく気があうような感じ。

 

 

「ユウはどのくらいここに泊まってるんだい?」

 

「えっと二泊だったかな?」

 

「ならそれまでにお金は返すよ、ありがとね」

 

「いやこれくらいは気にしないでくれ、俺も暇してたし……そうだ」

 

「ん?」

 

「なら少し話に付き合ってくれよ?それでそのジュース代は無しでいいよ」

 

 

この人と少し話してみたいので、そんな提案をしてみると。

 

 

「お、そうなのかい?丁度アタシも暇してたしその提案はありがたいな」

 

「なら決まりかな?」

 

「うん、それなら……」

 

 

と会話が始まる。

初対面の相手だと会話に詰まったりする事もあるのだが不思議とアルフとは詰まらずポンポンと共通の話題が出た。

 

 

 

「それでね、私の……ご主人的な人なんだけどこの前、久々に嬉しそうに話しててね」

 

「へぇ……さっき話してた人だよな?」

 

「ああ、アタシも帰って来た時ビックリしたよ。"友だちができた!"なんてあんな顔久しぶりに見たよ」

 

 

何でもいつもは何かに追われている用に自分の事を放り投げていた人がある日の出会いを境に変わったという話。

きっとその人にはとてもいい出会いがあったんだろう。

 

 

 

「その人に俺も会ってみたいなぁ…」

 

「ユウとは気が合うと思うよ、私が保証するよ」

 

 

なんて何処か嬉しそうに語るアルフ。

こんな人のご主人だって言うならまたその人もとても良い人なんだろう、俺も興味がある。

 

 

「次はユウの話を聞かせてよ?」

 

「おう、そうだな……」

 

 

そこからは俺の最近の話。

たわいも無い日常や交友関係などの話だが今さっき会ったばかりなのにやはり会話が弾む。

 

 

「はは、そんな子もいるんだ」

 

「ああ、いい奴なんだぜ?」

 

 

そんなこんなで話していると気づけば1時間くらい経っていた。

 

 

「あ、俺はそろそろ行かないと」

 

「ん?そうかい、ならアタシもそろそろいくかな」

 

 

そう言ってベンチを立つとアルフも伸びながら隣に立つ。

何だかんだ話し込んで座りっぱなしだったからなぁ……

 

 

「それじゃまた縁があれば会えるかね?」

 

「ああ、俺はまた会いたいと思ってるよ」

 

 

そうかい?なら嬉しいねと笑いながら手を振り去っていくアルフ。

気持ちの良い人だったな、暖かいというのかな?

 

 

「面白い人と最近はよく会うなぁ…」

 

 

さて俺も部屋に戻りますかね。

そろそろ時間的に戻っておかないとまずいだろうし、士郎さんたちを待たせるのはマズイだろう。

 

 

 

 

 

 

 

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それから部屋に戻ると何か怒っているアリサとそれを落ち着かせるすずかに何かを考えているなのはがいた。

なんかあったのか?

 

 

「どうした?」

 

「あ!ユウ聞いてよ!」

 

「お、おう分かったから落ち着け?」

 

 

アリサが憤怒している訳を聞いていくと何やら酔っ払いのような人に絡まれたらしく気分を台無しにされて怒ってたみたいだ。

 

 

「もう!最悪よ!」

 

「まぁまぁ……これから飯なんだし気分変えていこうぜ?こういう場所なんだからそういう人もいてもしょうがないって」

 

「むぅ……」

 

 

と言っても怒りたいアリサの気持ちもわかるしなぁ……

とりあえずは収まってくれたアリサを横目に次はなのはに話しかける。

 

 

「なのははどうしたんだ?」

 

「あ、えっとね……」

 

 

話そうとしてすぐに口ごもるなのは。

なんだろう。

あまり他の人に聞かせられない話なのか?

うーん……それなら念話がいいか。

 

 

(どうした?)

 

(あ、そっか念話すれば良かったんだ)

 

(気づかなかったのか、まぁそれでどうしたんだ?)

 

(えっとね、さっきの人の話なんだけど……魔力を感じたんだ)

 

 

 

そこから何があったのかを詳しく聞いていく。

今から1時間ちょっと程まえに歩いていると突然知らない女の人に絡まれ、魔力と殺気を当てられたらしい。

ユーノからもその時の話を聞くとユーノも魔力を感じたらしい。

その人はどうやらコッチ側の人間か。

 

 

(とりあえず何かされたとかはないんだな?)

 

(うん、特別何かされた訳じゃないからそこは大丈夫だよ)

 

 

ならそこに関しては安心だ。

今回はあくまでも警告という形で接触してきたのだろう。

 

 

(何か心当たりとかあるか?)

 

(ううん、知らない人だったと思う)

 

(もしかしたらジュエルシード関係の相手かもしれないね……)

 

 

なるほど、相手もジュエルシードを集めてる可能性があるならそれは大いにある。

とりあえずは相手が分からない以上こちらからアプローチはかけられないかな……

 

 

(とりあえずは様子見にして、今は旅行を楽しもうぜ?)

 

(うん、そうだね)

 

 

 

なのはもそれで納得してくれた。

それじゃそろそろ飯の時間かな、どんな料理が出るのか楽しみだ。

 

それから料理が来てはしゃいだ士郎さんはお酒を飲みつつ潰れてしまった。

 

時間はもうすぐ21時を過ぎる。

そろそろ子どもは寝る時間という奴だ。

 

すずかやアリサも少しはしゃぎ過ぎたのか船を漕いでいる。

 

 

「ほれ2人とも寝るならそっちの布団に移動しよう」

 

「うん……」

 

「はーい…」

 

 

2人を布団に誘導しそのまま寝かせるとすぐに安定した呼吸になる。

疲れてたのかな?

 

 

「なのはもそろそも寝たらどうだ?」

 

「あ、うん私も寝るよ」

 

 

トコトコとユーノを抱えこちらにくるなのは。

 

 

「ユウさんは寝ないの?」

 

「俺はもう少し起きてるつもりだけど」

 

「なら私ももう少しだけ起きてようかな?」

 

 

なのはが俺の座る布団の横に座る。

もう他の人たちは寝てしまっているので特に会話もなくゆっくりした時間が過ぎる。

 

なのはと過ごすこの時間は悪くない。

読書用に持ってきた本をめくるペラリという音がたまにするだけであとは他の人の寝息が聞こえるくらい。

 

どれくらい経っただろうか?そろそろ俺も寝ようかな。

 

 

「なのは?」

 

「んー?」

 

「俺はそろそろ寝るけどどうする?」

 

「私も寝ようかな」

 

 

よいしょっと俺の布団に入ってくる。

え?一緒に寝るの?

 

 

「たまにはユウさんと一緒に寝たいなーって。……ダメ?」

 

「いや別に構わないけどさ、少し狭いぞ?」

 

「うん」

 

 

と言ってもそこそこ大きい布団だし平気か?なのはも小柄だし丁度2人が入るくらいだった。

まぁたまには一緒に寝てもいいか、別に何か減ったりするものでもないし。

 

 

「それじゃ電気消すぞ?」

 

「はーい」

 

 

カチッという音と共に暗くなり月明かりが部屋の中に満たされる。

この時間になると他の人工光がないから完全に月の光だけだ。

布団に入り目を閉じればすぐに眠気がやって来る。

どうやら俺もそれなりに疲れが来ていたみたいで意識が落ちていく……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………っ?」

 

 

あれ、俺は………寝てたのか?

急に何かを感じ身体が起きろと命令してくる。

時間を確認すると0時前といったところでまだまだ夜は長い。

 

少しぼーっとする頭を振りながら起きろ!とうるさいこの身体を起こすとふと違和感。

なんだろう、寝る前と今で何か違うような?

 

 

ーー隣で寝ていたなのはがいない?

確かに先ほど一緒に布団につきそのまま眠りに入ったはずだが、隣には誰もいない。

 

少し嫌な予感がし、他の人を起こさないようにそっと着替え部屋を出る。

手にツァイトを持ちすぐになのはの魔力をサーチする。

 

 

 

「ツァイト、なのはは見つかったか?」

 

《yes.master》

 

「マップを頼む!」

 

 

靴を履き直し階段を一気に駆け下りる。

ツァイトのマーキングを確認しつつマップを確認するとなのはとユーノ以外に魔力反応が2つとジュエルシードの反応が森の方にあり、なのはたちは戦闘に入っているみたいだ。

 

 

ーー何という間抜け。

なのはとユーノは魔力の反応に気づきすぐに行動に移したというのに俺は眠りこけていた?

これではこの間と同じ事になってしまう。

 

手に力がこもりついツァイトを握りしめる。

急がなければ。

何か取り返しのつかない事になる前に、まだ見ぬ敵の可能性を考えながら必死に地面を足で蹴る。

 

ーー落ち着けこんな時だからこそ落ち着いて行動するんだ。俺は何のために今まで"訓練"を受けてきたんだ。

 

そうだ冷静になれ。

まずは状況の確認から行うんだ。

 

不思議と冷静になれる。

まずは確認したなのは達以外の魔力は2つで1つは飛行しつつなのはの周りを飛んでいる。

 

もう1つは地上で戦っているのか?

そしてこの2つの魔力はデカイ。

つまりかなり強力な魔導師の可能性があると言う事だ。

どういうわけか1つの魔力がユーノと共に何処かに転移する。

これはユーノが時間を稼いでいるのか?

なら俺は先になのはの方を!

 

 

セットアップはしておくべきか?

そう考えつつもう目の前の橋にまで迫る。

この先にいるはずだ。

 

 

一気に飛び込むと目の前ではーーー

 

 

 

 

 

黄色の大きな魔力の奔流。

なのはに迫るであろうソレがこちらにも迫ろうとしている。

それを放とうとしているのはーーー

 

 

「サンダー……」

 

 

黒いバリアジャケットに金色の髪をツインテールでまとめた赤い目の少女。

あの場所で過ごしたーーフェイトがそこにはいた。

 

 

「スマッシャー!!!!」

 

 

 

ーーまずい、アレはまずい。

なのははそれなりに消耗している。

それを今なのはがモロに受けてしまってはーー!!

 

 

 

身体は勝手に動いていた。

ツァイトに入っている桜色の魔力メモリを抜き取りポケットから"空"の魔力メモリを差し込みなのはの前に飛び込む。

 

 

 

「え!?」

 

「っ!!??」

 

 

ツァイトをフェイトが放った砲撃魔法・サンダースマッシャーの目の前に突き出す。

これは未確認の賭けであり、もしも失敗すれば俺もタダではすまないだろう。

 

 

ーーでも不思議と。

 

自分でも何故かは分からないけど、

 

 

俺のこの行動は間違いなんかじゃないって確信していた。

 

 

 

 

《complete.absorption》

 

 

 

ツァイトに砲撃がぶつかる寸前にその音声が鳴る。

 

ーーやっぱりか。

 

 

前になのはには魔力メモリに魔力を登録した時と同じだ。

なのはの魔力を登録出来るならとユーノの魔力を試してみようとしたがツァイトが"miss match"という音声しか出さず、結局残りの魔力メモリを使える事は無かったが今回はぶっつけでフェイトと俺の魔力がマッチしたという事だろう。

 

つまり

 

コレは登録出来る魔力と出来ない魔力があるみたいだ。

今のところ登録出来ているなのはに今吸収しているフェイト。

 

何が基準かはまだ分からないが俺の考えが正しければコレで新しいーーー

 

 

ツァイトが吸収を完了しゆっくりと光が消えいく。

そしてなのはが駆けてくる。

 

 

「ユウさん!」

 

「おう、大丈夫か?」

 

「私は平気だけどユウさんが!」

 

「俺も傷ひとつないだろ?」

 

「え?」

 

 

あ、ホントだ……なんて言っているなのは。

どうやら間に合って助けることが出来たみたいだ。

さて、次は。

 

 

「………」

 

「よ、久しぶりだな」

 

 

嬉しそうな、それでいて寂しそうな表情をしているフェイトに声をかける。

 

 

「……うん、久しぶりだね」

 

 

声をかけると少し嬉しそうにはにかんでくれる。

このまま久しぶりに話をしたいが二人の約束がある。

 

 

「さて……ホントは色々と話したいがルールは覚えてるよな?」

 

「……うん、敵同士だもんねユウと私は」

 

 

どうやらフェイトの方もそれは覚悟していたらしくゆっくりとバルディッシュを構えてくる。

 

やっぱり少し辛いなフェイトと戦うのは。

覚悟していたはずだがこの場面になってみてやはり辛いと思ってしまう。

 

しかしそうも言ってられない。

 

 

「なのは、とりあえずお前は休んでおけ」

 

「でも!」

 

「言ったろ?

もしもの時は俺がなのはのサポートをするって。もう少し俺の事を頼ってくれてもいいんだぜ」

 

「っ……うん、ありがとう」

 

 

そう言って何かを言いたそうにしたが飲み込むなのは。

ごめんな、後で色々と説明と謝らなきゃな。

ツァイトに桜色のメモリを挿し直す。

 

 

「ツァイト、ノヴァ使えるか?」

 

《yes》

 

「よし、それじゃセイバーでいくぞ?セットアップ!」

 

《mode2・Saber Nova》

【complete phase2】

 

 

 

そのまま一気に空に上がっていく。

フェイトとの戦闘は初めて会った時以来だがスピードと接近戦が得意なのはわかっているから敢えてセイバーで真っ向勝負を選んだ。

 

 

向こうもそれを察しているのかサイズフォームに変わっている。

 

 

フェイトにも俺の戦闘スタイルやモードチェンジは全て見られているから純粋な魔導師としての腕勝負になるのは間違いない。

 

そして俺は正直まだまだフェイトには追いつけないのは分かっている。

俺がここでフェイトに勝つにはどうにかしてフェイトの意表を突かなければいけないのだが………

 

ふと右手に持っている新しいメモリ、フェイトの魔力を登録したであろうモノをみる。

 

新しい魔力メモリ。

 

なのはのは青色をベースに中の透明だった場所が桜色と白になっているのに対してこちらのフェイトから吸収した魔力メモリは黒色ベースの本体に黄色のクリアカラーに少し赤色の線が走っている。

 

 

「コレの使いどころかな……」

 

 

まだ試してすらいないがきっとコレを使えば。

 

そしてフェイトとの戦いが始まるーー!!

 

 

 

 

 

 

 




ここまでお疲れ様です。
次回から戦闘パートに入りユウの新フォームのお披露目となります。

次回 「第16話 新しい力 《Blaze・force》システム」

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