Re.Dive タイムコール   作:ぺけすけ

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第16話 新しい力 《Blaze・Force》システム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前であの子とユウさんが何かを話している。

 

きっと戦う事になるのだろう。

 

私は先ほどまであの子と戦っていたがあの子はすごく、すごく強かった。

私の砲撃を躱してはこちらに撃ち、時にはあの杖の形状を変えて近接戦闘にも迫られた。

 

私が不意をつかれあの子の砲撃を受けそうになった時後ろから飛び出してきたユウさんが庇ってくれなければきっと……

 

 

 

でも気になる事が出来た。

最初にユウさんを見た時、私は安心したが向こう側のあの子の表情もユウさんを見て変わっていた。

 

少し、少しだけだったがユウさんを見て微笑んだ気がした。

その後はすぐに表情を戻しつつ少し悲しげな表情をしていたのも気になる。

 

ユウさんもユウさんでやはりあの子を知っているみたいだし……私が最初に倒された後ユウさんがあの子を探しに行ったのは知っていたが見つけたかどうかも聞いていない。

 

これは色々聞きたい事が増えた。

 

目を空に戻すとユウさんがセットアップを完了し戦いが始まろうとしている。

 

 

「本当に戦うしかないのかな……」

 

 

これだけはまだ私の中で拭えず残っている。

本当に戦うしかないのか?他に手段は、話し合いでは解決できないのか。

 

そんな事を考えながら戦いを今は見守るしかない自分に少し腹が立った。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイトの刃が俺の体に迫る。

空中での戦闘はほとんど初めてだがセイバーモードのおかげかフェイトの攻撃に対応し斬撃を時には避け、こちらのライザーで受け流しつつ戦っていく。

 

分かってはいたがやはりフェイトは強い。

スピードでは俺やなのはより1つ2つ抜けているのは戦えばすぐに分かった。

 

そしてまた一閃。

彼女の黄色い鎌が確実に俺の急所を突こうと高速で繰り出されていく。

 

このままでは時間の問題だ。

正直に言えばこのまま消耗戦に持ち込めれば御の字だったが少しフェイトを侮っていた自分が居たようだ。

 

確実にこのままいけば俺が先にあの魔力の鎌に意識ごとかられ敗北してしまうだろう。

 

 

「ツァイト、今何パーセントだ!?」

 

 

フェイトからの砲撃を一気に空に上がり避ける。

本格的にマズイな。

あれだけの魔力を使っているのだから消費も半端じゃないと思ったが全く息切れしてくれず俺の方がバテ始めている。

 

こちらの切り札というか唯一フェイトを出し抜ける可能性がある新しいメモリをツァイトにインストールし始めたがセットアップの新しいアイコンがまだ暗いままで起動できない。

ツァイトに聞くと画面に何か表示される。

 

 

72% 00:75

 

 

どうやらあと1分ちょい程耐えなければいけないみたいだ。

この斬撃と砲撃を1分間避け続ける………持つかなぁ……

 

 

「って危な!」

 

 

頭を下げるとそこにシュ!とフェイトの刃が通る。

非殺生設定と分かっていても今のは肝が冷えた。

マジで首飛ぶんじゃないか?コレ。

 

 

「フェイト!危ないだろ!」

 

「へ!?えっと…ごめん?」

 

 

と謝りつつ此方への攻撃を一切緩めないところを見るとやはり戦闘では隙を見せてくれないな。

というか俺の言葉にちゃんと謝るあたりフェイトらしいよなぁ……

 

さてどうやって時間を稼ぐか。

……そういえばフェイトにはまだ見せてない俺の魔法があったな?

 

 

「いくぞ!」

 

「っ!」

 

 

俺は一気にフェイトに突っ込んで行く。

そしてフェイトの刃が迫り……

 

 

「えっ!?」

 

「ユウさん!」

 

 

そのまま突っ込んだ俺の体に突き刺さる。

うへぇ……"こっち"から見てると凄いな。

自分が切られてる所を見ると少しくるものがあるな。

 

 

というかなのはが心配してくれるのは分かるがフェイトまでテンパり出している。

ホントに敵って自覚あるのかな?

 

「……っ? これ違う…!」

 

 

どうやらフェイトは気づいたらしく刺していたバルディッシュを"俺"の身体から引き抜くと俺の体は霧散する。

 

 

 

 

ーー幻影魔法。

 

フェイトは俺そっくりに出来た魔力で作られた偽物を切っただけで本当の俺は元いた場所から一切動いてない。

 

しかしすぐに気づく辺り流石としか言えない。

なのはも気づいたらしくホッと胸を撫で下ろしていた。

 

 

「少し驚いたけどそれじゃあ時間を稼げただけだよユウ」

 

 

俺を見つけ少し挑発気味に笑いかけながら話しかけてくるフェイト。

もしかして少し戦闘狂の気があるのか?

まぁでも……

 

 

「それが狙いだったりして、な?」

 

「っ?」

 

 

ピクッとフェイトの眉が動く。

そして警戒するように俺の方を観察してくる。

しかし何もないと判断したのか此方に射撃魔法を放ってくる。

 

 

「っと危ないな」

 

 

さて時間は十分に稼げたはずだ。

あとはフェイトの隙を見てーー

とフェイトの方を見ると

 

 

「サンダー……」

 

 

おいおい、いつからチャージしてたんだ?

もしかして俺の方がフェイトに嵌められたか?

巨大な魔力の塊が集まり出している。

ツァイトの方を見るとあと数秒かかる。

間に合うか……?

 

 

 

「スマッシャー!!!」

 

 

 

 

《complete.》

 

「よし…!」

 

 

俺はセットアップを解除しなのはのメモリを抜きポケットから新しいメモリを差し込む。

すると前までは桜色だったセットアップアイコンだけだったが隣に黒と黄色のセットアップアイコンが現れる。

それにタップして見ると画面に

 

 

【system=Blaze・force】

 

 

兎に角コレに今は賭けるしかない…!

 

もう目の前まで迫る本流に覚悟を決めつつ言い放つーー!!

 

 

 

「ブレイズフォース、セットアップ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「サンダースマッシャー!!!」

 

 

少しづつ隙を見つつ溜めた魔力を一気に下にいるユウに放つ。

コレで終わりのはず、今確かに直撃した。

 

 

 

久しぶりに会ったのは戦場。

ここでのルールは敵同士。

だから私も全力でユウと戦うって決めていた。

 

正直に言うと前に森でユウと戦った時、魔法の使い方はまだ未熟で回避や剣撃も分かりやすく、回避や受け流しも簡単だった。

 

多分だがユウは魔法に触れ始めて早いのだとわかり魔力も特筆して大きいわけじゃないから少し舐めてかかっていた。

 

しかしユウは私の予想を遥かに上回る動きを見せてきた。

まるで前の時とは別人。

 

私が近接を仕掛ければそれを見越し剣のリーチを生かせる立ち位置から距離を詰めず戦い、砲撃を撃てば焦らず上空に避けつつこちらに射撃を打ってくる。

 

なんと言えばいいのか動きが鍛えられた、訓練されたそれなのだ。

前のような素人くささはまだあるものの明らかに強くなっていた。

 

 

これはまずいと焦りユウへ一気に加速しつつ急所に目掛けて斬りつける。

しかしこのスピードにも付いてくる。

どういうことだろう。この短期間でどうしてここまで強くなれたのだろうか?

 

私も次第に焦りが加速していく。

 

そんな時にユウは急に危ないだろ!なんて言うからつい謝ったけど私たち敵同士なんだから謝る必要なかったよね……

 

 

そして今度は急に私の方に突撃してきた。

今度は何をしてくるのだろうか?そう考えつつ突撃してくるユウを切り上げると、

 

ーー当たった?

ユウの身体に私のバルディッシュが突き刺さる。

嫌な汗が出てくる。

非殺生モードのはずだがこれでは……と考えたところで違和感。

 

ユウの表情が変わっていない?

それに普通切りつけられたら痛みで叫んだり後退したりするものじゃないだろうか?

 

すると目の前のユウが崩壊し消えてゆく。

やっぱり方法は分からないけど魔力で出来ていた偽物を囮に使ったようだ。

 

周りを見渡すとユウは元の場所に佇んだまま此方を見ていた。

私と目が合うとやっぱりすぐに気づいたかという顔をしていた。

 

これでは時間稼ぎにしかならないよユウ?

 

 

と少し挑発すると何やら不敵な事を言っていたのでこちらも隠しておいた砲撃を放ったという事だ。

 

何かしようとしていたとしても、先ほどの砲撃は直撃。

あのサンダースマッシャーには最初の比ではないほどの魔力を込め完全に隙を突いて放ったし直撃したはず……だ。

 

……非殺生だし大丈夫だよね?

少し心配になるが気絶してるであろうユウからジュエルシードを貰うため砲撃を放ち、まだ土煙が舞っている地上に降りていく。

 

 

私が降りていくにつれて土煙が消えいく。

さてユウは………?

 

 

 

いない……?

 

 

地上には地面が抉られた跡はあるがユウの姿が見えずキョロキョロと周りを見渡す。

 

 

ーー待て、地面が抉られた跡?

つまりそれは私が放った砲撃が何も障害物無く地面に激突したと言う事ではないか?

 

 

「っ!」

 

 

すぐに振り返りバルディッシュを構えるとーー!

 

ガンッ!と構えていたバルディッシュに衝撃が来る。

まさかとは思ったが私の後ろを取るなんて……

 

ユウに何か言おうとして言葉が詰まる。

 

ーー姿が変わっている?

まるでその姿は………

 

 

「悪いな、コッチにも奥の手はあるんだぜ?」

 

 

黒色の握り手を持ち魔力で出来た金色の剣。

そしてバリアジャケットが先程までの青と白とは対になる様な赤い線の入った黒い機械的な鎧に白いマント。

そしてユウの目と髪の色まで変わっていた。

まるで私の様に金髪で赤目。

その目を光らせ少し戯けるようにユウが言った。

 

 

「さて第2ラウンドだ。付き合ってくれるかな?」

 

 

なんだろう?性格まで少し変わってる気がする。

しかし、それよりも今は。

 

 

「望むところだよ!」

 

 

少し今のはムカついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迫って来るフェイトの砲撃。

しかしそれよりも俺のセットアップが一歩速いーー!

 

 

 

 

《mode・Blaze Force》

【complet sword Edition】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりにこの感覚に落ちるな。

また頭に記憶が入ってくる……と言うよりは蓋が外れて溢れてくると言った表現が正しい気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー近接の戦闘では相手嫌がる所をとことん突いて攻めちゃうのが一番かな?

 

 

 

そう言いながら俺をどんどん攻めてくる■■■■さん。

 

 

ーーこんな風に、ね!

 

 

そしてそのまま俺のライフがゼロになりまた敗北する。

 

 

ーーはぁ……はぁ……もう勝てる気がしない…

 

ーーふふ、まだ今のキミには負けられないかな?

 

 

そう言って倒れたこちらに手を伸ばしてくれた貴女はーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モード・ブレイズフォース ソードエディション。

 

 

このシステムは討伐目標に有利な武器を3つの中から使い分け殲滅するもの。

 

兎に角スピードと手数で勝負できるソードエディションを選択すると黒い機械的な鎧の様な姿になり後ろにはフード付きの白いマント。

 

そしてこの黒い機械のような20cmくらいのものは武器……の様だがこれがソードなのか?

 

マントのフードには気配を消す事が出来るらしくセットアップ時には最初から被っていた。

ちょうど鼻くらいまで隠れる。

 

 

どうやら知識にあるらしく俺の変わる事の出来るどのバリアジャケットより速い。

目の前に迫っていた砲撃を避けつつ木の影にそっと息を潜める。

 

 

目の前では俺に当たるはずだった砲撃が地面に衝突し、どんどん抉られていく。

 

……普通に死ぬと思うんだが。

 

さてとここからだよな?

 

 

(ユウさん!?)

 

 

っとなのはか、焦ってる所を見ると撃ち落とされたと思ってるみたいだな。

 

 

(なのはか、俺は平気だぞ)

 

(え!でも直撃……)

 

(する前に避けたよ、もう少しで決着がつくと思うからもう少し待っててくれ)

 

 

……うん、という言葉と共に念話が切れる。

さて頑張りますか。

 

少しフェイトに先ほどの砲撃について言いたくなるが我慢。

しかし今出て行ってフェイトに文句を言ってもしょうがない。

ここはじっと堪え隙を伺う。

 

 

すると空から少し焦った様なそれでいて心配そうに近づいて来るフェイトが。

 

 

後ろを見せてる今がチャンスだ。

いくしかないーー!!

 

 

 

右の腰に装着されていた機械を一気に引き抜き魔力を通すと金色の魔力光の剣となる。

 

フードを脱ぎ魔力を放出しながらフェイトの背後に迫るーー!!

 

瞬間何かに気づいたフェイトが振り向きざまにバルディッシュをこちらに斬りつけてくる。

流石だな、バレてたか。

このフォームになってからよくわかないが心の底の方から闘気の様なものが溢れてくる。

ーー戦いたい、この新しい力をフェイトに通じるか試してみたい。そんな感情があふれてくる。

 

 

ここからは第2ラウンドだ。

俺もも初めて使うこのフォーム、多分手加減出来ないが、

 

 

「いくぞ?フェイト!」

 

「……!」

 

 

フェイトに剣技を放つ。

何処で習ったか覚えたかは分からないが何処にどう攻撃すればいいか自然とわかる。

 

しかし流石はフェイトだ。

先ほどより早いはずの俺のスピードにまだまだ付いてくる。

これでは攻撃が当たらず意味がない。

なら

 

ーーなら更にギアを上げるだけだ。

2倍のスピードがダメならば

 

《Accelerator 3rd》

 

 

 

「っ!?」

 

 

3倍のスピードで!!

剣を上から下から左右斜めと様々な攻撃を絡めていく。

フェイトの顔が一瞬青くなる。

その一瞬を見逃さない。

 

 

 

《Lightning Assault》

 

【now.loading……complete】

 

 

 

「ライトニングアサルトーーー!」

 

 

その剣撃は現状俺の最高で繰り出せる最高速の技。

魔力で出来た剣を一度圧縮し細く小さくし貯める。

圧縮した魔力をブースター代わりに放ち残りの魔力で一回り大きい剣を生成し放つ斬撃。

 

速さのその果てを目指した剣撃。

 

 

フェイトも反応出来ず胴体に剣ーーシュバルツがぶつかる。

 

その瞬間圧縮してある魔力がフェイトにぶつかり弾けた。

 

 

 

「っはぁはぁ……」

 

 

忘れていた呼吸をする。

身体が足りていない酸素を求め一気に汗が溢れてくる。

足はガクガク体全体に力が入らず膝をついてしまう。

 

流石に負担が大きいな……このフォーム。

人間の限界を超えて動く事ができる代わり負担も掛けた倍数分跳ね上がるみたいだ。

 

しかしこれでーー

 

 

「……危なかったよユウ」

 

「……っ!」

 

 

後ろから首に見覚えのある鎌が添えられる。

ーーくそ最後の最後で油断した!!

 

 

 

「流石に予想外かな、その姿と戦い方は」

 

「……まぁ、俺もびっくりしてるよ」

 

 

そうなんだ、と笑ってる声が聞こえる。

あーあ、負けちゃったか。

 

 

「……ほれ、持ってけ」

 

「うん、ありがとう」

 

 

ツァイトに入れてあったジュエルシードを後ろに投げる。

 

 

「けど、どうやって耐えたんだ?確実に芯を捉えたと思ったんだけど……」

 

「それはね、私がユウを信頼してたからだよ」

 

「は?」

 

 

どういう事だ?

全く意味がわからず後ろを振り向くとクスクスと笑っているフェイト。

 

 

「戦ってた最中に速くなったでしょ?」

 

「…ああ」

 

「だから私はね?ユウならもっと速く動けるのに敢えて隠してトドメにくるんじゃないかって思ったの」

 

 

ーーそれは

まさかそこまで読まれてたのか?あの一瞬で?

 

 

「だから"信じたの"ユウならあの一瞬を詰める何かをしてくるって」

 

「……だから後ろに下がって威力を和らげられたのか……」

 

「うん、更にいうと絶対に普通じゃ避けられないと思って右に思い切りブースター代わりの射撃を打って避けたんだ」

 

 

それは俺と同じ事をあの一瞬で思い付き行動に移したという事か?

……完敗かな。

 

 

「見事だよ、俺の負けだ」

 

「うん、今回は私の勝ち。あとその姿かなり消耗するでしょ?ちゃんと休まなきゃダメだよ?」

 

「ああ、ありがとな」

 

 

それじゃ、と言ってフェイトは去っていく。

もうそろそろ限界と俺も後ろに倒れる。

 

はぁ……いけると思ったんだけどなぁ……

 

 

 

倒れたまま空を見上げると綺麗な星と月が俺を照らしている。

何となくこの夜空を見ていると"まぁしょうがないか……"と考えられた。

 

 

「ユウさん!」

 

「ユウ!」

 

 

おや2人が俺を見つけてくれたみたいでこちらに駆け寄ってくるのが見える。

正直あともう少しは動けなかったからありがたいな。

……それと2人にはジュエルシードを守れなかった事を謝らなきゃいけない。

 

とりあえずはそこからだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまでお疲れ様です。
次回は16.5話の予定でこの後のユウとなのはorフェイトのお話となります。

先ほど評価の方を確認したら赤くなっていてびっくり仰天なぺけすけです。
この物語を読んで評価をして頂き本当にありがとうございます…!
これからもよろしくお願いします!


評価&感想の方も宜しければお願いします!

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