Re.Dive タイムコール   作:ぺけすけ

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第4話 買い物とデバイス「Zeit・Aufstieg」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここの部屋を使ってね、ユウさん」

 

 

「ああ、ありがとう」

 

 

そんな会話をしながら扉を開ける。

部屋の大きさは十二分で俺のような居候に使わせるような場所とは思えないほど広い。

………というかここ、誰かが使った後や倉庫って感じでもない。

それなのにエアコンにベット、机に本棚まである。

 

 

「なぁ、なのは ここって誰かが使ってた部屋なのか?」

 

「ううん、昔からあるけど誰かの固定の部屋みたいな使われ方はしてないよ?」

 

「なるほど、客間というか誰かのお泊まり用?」

 

「うん、そんな感じかな」

 

 

ホントに申し訳なさしかないな……

とりあえず、ポケットに突っ込みぱなしになっているものを机に置く。

 

デバイスとよくわからんモノ。

 

 

「あ、そういえばこれお父さんから」

 

「?なんだこれ」

 

 

なのはに手渡されたのは茶色い封筒。

とりあえず、開けてみる。

長方形で薄い紙が5枚ほど。

というかこれ……

 

 

 

「………お金?」

 

 

「うん、お父さんがそれで必要なものは買っていいよって」

 

 

「いやいやいやいや」

 

 

まだ何も働いてすらいないぞ、俺!?

 

 

 

「う、受け取れないぞ流石に……」

 

 

「にゃはは、そういうと思ったよ。でも、お父さんから伝言で

『それは明日からのバイト代の先出しみたいなものだから気にしないように』

だって。ユウさんお金、まったくないんでしょ?必要なもの最低限は買わないと生活もできないよ」

 

 

「……おっしゃる通りです」

 

本当に頭があがらない……

 

というかなのはって見た目よりずっと賢いというか大人というか……

そういえば

 

 

「なぁ、なのはって何歳なんだ?」

 

 

「私?9歳だよ」

 

 

ビックリだよ

 

どんだけ大人びてらっしゃるんだ。 というか……

 

 

「9歳の女の子のヒモかぁ……」

 

 

情けなさマックス。

 

 

「ヒモ??」

 

「なんでもない」

 

 

あ、そういう知識は無いのね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

37/100%

 

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士郎さんから頂いたお金で最低限のものを買いに来た。

 

なのはとユーノは付き添いで付いてきてくれた。

なのはの言い分は"だってユウさんお金の読み方すらわからないんでしょう?心配だから私もついて行くよ"

 

とのこと。 なんもいえねぇ……てか、なんでお金の単位すら忘れてるんだよ。

 

「とりあえず服と日用品、それから……」

 

 

少し大きめの買い物かごにガンガンと物が入れられていく。

 

Tシャツにジーパン、ジャージなどの衣類から、歯ブラシ、くしなどの日用品。

 

 

「こんな感じかな、うん」

 

「こ、こんなにいるのか?」

 

目の前には少しはみ出すほどの日用品と衣類の類。

流石にこんなには入らないような……

というか、ジャージと軽い日用品があれば俺はそれでいいのだが。

 

 

「でも、毎日ジャージでいるつもりじゃ無いでしょ?バイトだってあるんだから服装は整えないと」

 

 

………お母さん?

 

 

(ユーノ)

 

(ん、どうしたの?)

 

(女の子って、すごいな)

 

(??)

 

 

俺の頭に乗っかっているユーノには同意を得られないようだ。

ホントに9歳か?この子

 

 

そんなこんなで買い物をしていると

 

 

「なのはちゃん?」

 

「なのは?」

 

 

なのはを呼ぶ2人の声

振り返ると紫色の髪に穏やかそうな雰囲気の少女と金髪で活発そうな少女がいた。

 

 

「あ、すずかちゃんにアリサちゃん」

 

「こんにちは、なのはちゃん」

 

「なによ、買い物?」

 

 

和気藹々と会話をする3人。

友だちのようだ。

………なんか面倒な匂いがする、少し距離を置くか。

 

「あ、ユウさん紹介するよ。

こっちがすずかちゃんでこっちがアリサちゃん」

 

 

ちょっと

 

 

「えっと…….こんにちは。月村すずかです」

 

 

「……アリサ・バニングスよ」

 

 

「……こんにちは、ユウだ」

 

 

なんなん、この空気?

なのはだけニコニコしていて、すずかちゃんとやらは、こちらをおずおずと観察していて

アリサちゃんとやらは警戒心マックス。

 

 

(こういう時、どうすればいいんだ?)

 

(うーん、なのははユウのことちゃんと紹介したの?)

 

 

この2人の反応を見るに急に俺を紹介したんだろうなぁ……

"あ、ちょっとまってて!紹介したい人がいるの"

とかそこら辺だろう。

 

「なぁ、なのは。

俺の事なんて言ったんだ?少しくらいは事情説明とかしたの?」

 

「あ」

 

ほらね

 

「あ、えっとごめんね、紹介し直すね。

この人はユウさんって言って、明日から私の家で働く人なんだ」

 

 

そこから俺となのはで少しだけ事情説明。

簡単に言うと俺が記憶喪失なのと魔法関連を伏せた内容を伝えた。

俺が泊まり込みで働くことを聞いて少し怪しんでいたが、一応は納得してくれたみたいだ。

 

「ところでなんですけど」

 

説明がひと段落して質問タイム。

まず、すずかが手をあげる。

 

「ユウさんは学校とかってどうしてるんですか?」

 

学校?

 

「いってないけど、どうしてだ?」

 

「え、行ってないの!?」

 

 

おう、今度はアリサからのツッコミ。

 

「ああ、行ってない」

 

「……まぁ、何か事情があるっぽいし深くは聞かないけど」

 

 

と言って、少しバツが悪そうな顔する2人。

どうしたんだ?

 

 

(ユウさん、ユウさん)

 

(今度はなのはか。どうした?)

 

(多分、2人勘違いしてるよ?)

 

 

勘違い?

 

 

(だってユウさんまだ16歳でしょ?普通の人はまだ高校生だよ?)

 

(そうなのか?)

 

 

なんだろう、俺の中ではもう働いててもおかしくない年な気がするのだが。

(多分、2人は家族とかそういう変な誤解をしてるんだと思うよ?)

 

なるほど、お金がなくて学校に行かせてもらえてないとかだろうか?

一応、誤解は解いて置くか。

 

 

「あのさ、2人とも?」

 

「はい?」

 

「なに?」

 

「別に俺は誰かのせいで学校に行けてないとか、そう言うのじゃなくて少しだけめんどくさい事情があるんだ。

だから変な勘違いとかするなよ?」

 

 

「あ、そうなんですか?てっきり……」

 

「なによ、少し悪いこと聞いちゃったとか思ったじゃない……」

 

 

今時の子は初対面の相手にも気が使えてすごいな。

というかこの子たちが優しすぎるような?

 

 

「あ、すずかそろそろ時間」

 

「え?あ、そっかごめんねなのはちゃん、私たちそろそろ塾の時間なの」

 

「土曜日まで大変だね」

 

「うん、それじゃあね。なのは、ユウさん」

 

「それじゃあ私たちは失礼します、ユウさん。

またね、なのはちゃん」

 

「うん、2人ともまたねー」

 

「えっと、じゃあな」

 

 

なんか、俺の知り合っていく人って少女ばっかりのような……

頭の上でウトウトしているユーノを小突きながらそんなことを考える。

 

 

 

 

 

74/100%

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買ったものを手に持ち、高町家に帰宅する。

 

ぼーっと歩きながら今日半日で起きた事を振り返っていく。

 

目が覚めたと思ったら公園で、魔法少女が目の前にいて、気づいたら記憶が無くて、そのまま出会って1時間くらいの少女の家で住み込みで働く事が決まって。

 

思い返して見ても良くわかないな。

なんなんだろうか、この半日。

 

 

「おーい、ユウさん!通り過ぎてるよ!」

 

(ユウ、なのはの家は一個前だよ?)

 

あ、またか。

どうやら俺は思考し始めると周りが見えなくなるみたいだ。

ぺしぺしと頭を叩かれる感覚でやっと気づいたが、なのはの家を過ぎている。

 

「悪い、少し考え事してた」

 

「大丈夫だよ。さて、まずは服とかしまわなきゃね」

 

本当にお母さんみたいだな。

 

「あ、なのはおかえりー」

 

知らない女性の声が聞こえた。

桃子さんではない。

となると……

 

「あ、キミがユウくんかな?私は高町美由希。 今日からよろしくね」

 

 

やっぱりなのはのお姉さんの美由希さんか。

優しそうな人だなぁ……って言うのが第一印象。

 

「ユウです、よろしくお願いします」

 

「さんも敬語もなくていいよ。私も話しにくいし」

 

「えっと、それじゃあよろしくな」

 

「うん、よろしくね」

 

 

 

さて、あと挨拶できてないのは恭也さんだけか。

 

 

「美由希、恭也さんってもういたりするか?」

 

 

「恭ちゃん?もう帰ってると思うよ。

道場の方にいるんじゃないかな?」

 

 

道場? この家、道場まであるのか。

 

 

「先に挨拶だけしてくるよ、道場ってどこだ?」

 

「あ、私が案内するよ」

 

 

なのはに手を引かれる

それじゃ、お願いするか。

 

 

「ねぇねぇ、ユウくん?」

 

「ん、なんだ?」

 

 

今度は美由希に呼び止められる。

なんだろう?

 

 

「なのはとは今日初めて会ったんだよね?」

 

「?そうだけど…」

 

「その割に随分と懐かれてると言うか…」

 

と、こそこそっと耳うちしてくる。

そうなのか?

どちらかというと何もできない俺をしょうがないから助けてあげるって感じじゃないか?

 

 

「気のせいじゃないか?じゃ、ちょっといってくる」

 

 

「はーい、いってらっしゃい」

 

 

 

 

91/100%

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シュッ!シュッ!と何かを素振りする音が聞こえる。

こっそりと扉の間から中を見ると年上であろう男性が竹刀で素振りをしていた。

 

 

「うーん、どう見ても練習中なんだよな……出直すか?」

 

「大丈夫だと思うよ?それに、ほら」

 

なのはが指差す方を見ると、恭也さんがこちらを見ていた。

 

 

「ああ、すまない。少し集中し過ぎた様だ」

 

 

入ってきてくれ、と言われ入室。

うん、士郎さんそっくりのイケメンだ。

 

 

「キミがユウだな?俺は高町恭也。今日からウチで寝泊まりするってことも聞いてる。

男同士だ、何か困った事があれば相談してくれ」

 

 

やだ、性格もイケメン。

 

 

「ユウです、色々お世話になります」

 

「ああ、よろしくな。俺のことは恭也でいい」

 

 

それと敬語もいらん、と言われた。

 

「えっと、それじゃあよろしく、恭也」

 

「おう、もうすぐ夕食の時間だからそろそろ俺も切り上げるよ。先に行っててくれ」

 

 

18時30くらいに夕食らしい。 

というか俺まで頂いて本当にいいのだろうか?

 

 

「それじゃ、ご飯まで私とお話ししてようよ、ユウさん」

 

「ん、了解」

 

それじゃ、私の部屋に行こう!なんて言いながら先導される。

 

「……ふむ、なのはに随分と好かれてるな」

 

「え?恭也さんもそう思うんですか?」

 

「俺以外にも言われたのか?」

 

「えっと、美由希さんに」

 

「ああ、確かに言いそうだな。

まぁ仲良くしてやってくれ」

 

 

了解、と言いながら道場を後にする。

とりあえず高町家の人達には挨拶できたし、次は夕食後の魔法の特訓かな。

 

チラッとデバイスをみてみる。

 

 

98/100%

 

もう少しか、なのはと話していれば100%になりそうだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

《complete》

 

「ん?」

 

「え?」

 

「キュ?」

 

なのはの部屋で、ユーノとなのはの出会い魔法関係の話を聞いていると突然そんな音が鳴り響いた。

鳴ったのは俺のポケット、デバイスが入ってる場所。

 

 

「ユウさん、今のって……」

 

「デバイスからだったよね?」

 

ずいっとこちらに体を寄せてくる2人

 

興味津々の様だ。とりあえず取り出す。

 

画面には

 

100/100%

complete

Touch

 

と表示されていた。

とりあえず触れれば良いのかな?

 

画面に触れてみると、少しの機械音。

起動したみたいだ。

ん?初期設定画面?

日付と時間の入力画面か。

 

「なぁ、なのは"今"って何年なんだ?」

 

「えっとね」

 

 

なのはに教えてもらいながら操作していく。

 

……なんでこれめちゃくちゃな日にちに設定されているんだか。

 

「ユウ、その文字読めるの?」

 

「ん、ああ」

 

「それ、僕がもともと住んでいた場所の言語なんだけど…」

 

なんだって?

 

そういえばさっき話してて聞いたが、ユーノはこの世界生まれでは無いらしい。

 

「やっぱりユウも僕たちの世界出身なのかもね」

 

「まぁ、今は覚えてないけどなっと」

 

設定完了。

 

画面が開かれる

 

……不思議と操作の仕方が少しだけわかる気がする。

 

というか、メールと電話がある時点で携帯としても使えるみたいだ。

 

「あ、ユウさんそこの下」

 

「ん?えっと……なんだこれAIセットアップ?」

 

「とりあえず開いてみれば?」

 

「ああ」

 

とりあえずタップしてみる。

 

Load now?

 

《hello, master》

 

へ?

しゃ、喋った?

 

「あ、インテリジェントデバイスみたいだね」

 

「あ、それはなのはのレイジングハートと同じ種類ってことか」

 

「うん、私のレイジングハートも喋るよ?」

 

なにそれ聞いてない。

 

《Nice to meet you》

 

「あ、えっとよろしくな」

 

なのはの持つレイジングハートに思わずお辞儀。

なにしてんの、俺

 

「とりあえず、そのデバイスの名前って……」

 

「あ、そっか。一応聞いておくべきだよな」

 

そんな感じでデバイスに聞いてみる

 

 

《Zeit・Aufstieg 》

 

ツァイト・ライゼでいいみたいだ。

とりあえず

 

「ツァイトでいいか?」

 

《Yes,master》

 

「んじゃ、よろしく」

 

《Nice to meet you》

 

とりあえずはこんな感じかな。

 

「無事に起動できてよかったね、ユウ」

 

 

ここで、下の方から呼ばれる。

そういえばそろそろ18時30くらいか

 

 

「そろそろご飯だし、いこっか」

 

「ああ、魔法は飯の後の特訓で使ってみるか」

 

セットアップ?だっけ。

何というか色々と覚えることが多いなぁと思いつつ、なのはたちとの夕食へ。

 

まぁ、とりあえずは何とかなるだろう。

 




今日はここまでで。
次回は魔法の特訓編。
やっと主人公がセットアップできそうです。


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