魔軍参謀の憂鬱   作:黒岩

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ギャグ回。お察しください()


式部の潜入

 キナニ平野から遠く離れた大陸北東部。

 レオンハルトシティの中心にある紅魔城に、魔人ザビエルの使徒、式部は潜入の動きを作っていた。

 誰か一人を捕らえて持ち帰るだけの簡単な仕事であるが、殺すことは許されている。

 ゆえに式部はさっそく誰かを、最初に見つけた者を殺そうと思い、窓からその城に入った。すると、

 

「――ミツケタ」

 

 視界に映る光景は紅魔城の一階廊下部分。赤い絨毯や壁際の装飾が目に入る。

 だがその廊下の中央に、ふらふらとした足取りで歩く人間の姿があった。

 緑色のボサボサとした長い髪に、小さい身体を持つ少女。おそらくは人間の子供だろう、式部はそう判断した。

 ゆえに襲おうと、式部にとって当然の帰結で少女目掛けて突っ込んでいった。

 

「――!? だ、誰!? というか怖っ! 魔物!?」

 

「チ、ホシイ……コロス……!」

 

 こちらに気づいた子供が怯え、声を上げる。笑みが漏れるのを自覚しながら、式部は左手の“7人首”を子供の首目掛けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

 レオンハルトの城で数百年以上居候中のガウガウは研究を一段落させ、食堂に向かうところであった。最近は気兼ねなく使えるので利用を多めにしているのだ。というのも、

 ……レオンハルトとかその使徒、ハンティ達もいないからな……!

 この城の主達は何やら人類を統一したJAPANの藤原家とかいう奴等との戦争に出向いているらしい。人類統一とか、人間も進んでるというか、頑張ってるんだなぁ、とまるで他人事のように思ってしまうのは魔物に毒されているような気もするが、とにかくそういうことらしい。

 研究仲間であるハンティがいないのはちょっと面倒だったりもするが、気兼ねなく一人でゴロゴロと怠惰に過ごせているので、これはこれでいいかな、とも思ったりもする。食堂や大浴場も基本的には一人で貸し切り状態だ。それを思うとガウガウはちょっと楽しいものを感じてしまう。

 ……つまり、今この城は私の城みたいなものだ……!

 ふへっ、と変な笑いが出るくらいには愉快だ。今の内に内装を自分好みにしてやろうかとか、帰ってきた時に引っ掛けられるように悪戯でも仕掛けてやるか、などと頭の中で悪巧みを行う。しかし、

 ……とりあえず、腹ごなしをしてからだな。

 お腹空いたし眠い。ゆえにさっさと食堂に向かおうと廊下を歩いていたときに――それは来た。

 

「チ、ホシイ……コロス……!」

 

「ぎゃああああああっ!? 誰!? 誰!? 誰か解んないけどごめんなさいっ!」

 

 全裸に近い痴女のような女。しかし、その右手は明らかに人外で、左手には血が滴ったヤバそうな刀を持っている。

 天才魔法研究者のガウガウ・ケスチナは、謎の痴女に襲われたところであった。

 振り下ろされる刀に対して、横っ飛びで廊下を転がって何とか躱す。一瞬、戦うという選択肢が脳裏を掠めるも、よくよく考えてみれば、

 ……そ、装備とか魔道具置いてきたし! 戦えないじゃん!?

 その殆どは研究室に置きっぱなしだ。これも、城に馴染んだがゆえ、城の中に住んでいると命の危険とは無縁であるためだろう。

 これも一種の平和ボケか、と呑気に思考を回しながらガウガウは次に飛んできた大きな爪の一撃に死を覚悟した。

 

「く、くそーーー! こんなことなら先におやつのケーキ食べておくんだったーーー!」

 

 と、ガウガウが叫んだ瞬間、ガウガウは二つの現象を見聞きした。

 一つは、甲高い金属音が響いたこと。もう一つは、

 

「――はい。ではおやつのケーキです」

 

「……へ?」

 

 眼の前に現れたメイド姿の女性から、ケーキが乗った皿を手渡されたこと。

 ご丁寧にフォークも手渡してくれたその女性は、

 

「――メイド長さん!」

 

「はい。メイド長で御座いますガウガウ様。……それと、“さん”はいりませんよ、食べてお待ち下さい」

 

 空いた右手に持ったナイフで、襲ってきた痴女の攻撃を受け止めるメイド長さんの姿であった。

 

 

 

 

 

「ナンダ、オマエ……!?」

 

「私はご主人様に仕えるこの城のメイド長で御座います。失礼ながらお客様、アポイントメントはお有りですか?」

 

「クッ……!」

 

 式部は目の前で己の攻撃を受け止めた白髪の女性に、厄介を覚えた。

 いとも簡単に己の攻撃を受け止めただけではなく、出現を察知出来なかったことからもこの女の戦闘力の高さを物語っている。後ろにいる緑髪の子供を襲おうと思っていたが、この女がいては難しいだろう。

 

「ッ……!」

 

「あ、どこへ――」

 

 ゆえに、式部の判断は早かった。素早く身を翻し、二人から離れるように廊下を駆けていく。背後から掛けられる声は無視だ。

 こうなったら通りがかった適当な者を攫って離脱する。殺したばかりでそれなりに知性がある式部は主の命令を優先しようと廊下を走りながら誰かを探した。

 すると、

 

「――イタ……!」

 

 廊下の奥、何やら香ばしい匂いが漂う場所から出てきた、大柄な男がいる。仮面を被った白いコック服の大男だ。

 奴を襲おう、と式部は一直線にその男の元に向かった。しかし、

 

「むっ、新しい食材の気配……!」

 

「……!?」

 

 気づかれた。大男の視線がこちらを捉え、荒々しい狩猟者のような笑みを浮かべている。

 よく見れば大男の背には、己の得物を越える巨大な包丁が背負われており、

 

「……ッ、クソッ……!」

 

「フハハハハハハハハハハハハ! 逃げる気か魔物よ! その判断力は良し! ――だがッ! この料理長から逃げられると思うなよッッッ!!」

 

 危険なものを感じて廊下の角を曲がり大男から逃げるが、背後からは全身の筋肉を膨れ上がらせた筋骨隆々の大男が、その大包丁を手に持って豪快に笑いながら追ってくる。

 しかも気づけば、それに並走するようにロングスカートを手で摘みながら追いかけてきているメイドの姿もあり、

 

「おお! メイド長! どうされました!?」

 

「料理長ではないですか。私は今、侵入者を追っているところです」

 

「なんとッ!? あの未知の食材は侵入者でありましたか! むむむ、許さんッ!! 丁寧におろして切り身にし、夕食にお出しするシチューの具にしてくれるわッッ……!!」

 

「……“あれ”、硬そうですが切れますか?」

 

「問題無しッ! ミシュラン一族に伝わる666の調理術の一つ、解体の極みである、“断殺撃獄塵衝”を使えば、どれだけ硬い食材も細切れにしてみせますぞッ! フハハハハハハハハハッ!」

 

「名前だけでお腹いっぱいになりそうな調理法ですわ」

 

 ……フザケルナッ……!?

 式部は内心で追いかけてくる二人に憤りと畏怖を感じる。メイド長や料理長だと自称しているが、あんなメイド長や料理長がいるわけがない。レオンハルトの使徒か、もしくは突然変異の魔物だろう。こちらは全力で逃げているというのに、後ろの二人との距離を引き離すことが出来ない。使徒の全力に追いすがってくるのだ。しかもメイドの方は一切足音が聞こえない。霊か何かだろうかと思ってしまうほどだし、料理長の方は逆に豪快に音を立てながら走ってくる。

 途中、廊下にあった物を後ろに投げるように攻撃しても、

 

「無駄無駄無駄ッ!! 私の鋼の肉体はその程度ではかすり傷一つ付かんぞッ!!」

 

「……城の中の物を投げるとは……許しませんよ――」

 

 その歩みを止めることは出来ず、しかも投げた物をメイド長が回収して走りながら全く同じ場所に配置していく。

 式部は思った。ここは魔境か何かだろうか、と。

 まさかレオンハルトの城にこれほどの戦力が用意されているとは思わなかった。今思えば最初の子供がマシだったといえる。

 他に普通の奴はいないのか、と探していると――外の光が見えた。

 窓の向こうに見えるのは中庭だろう、緑の木々や花が見える。

 

「ッ――!」

 

 式部は迷わず外へ出た。逃げるため、というのもあるが、誰か一人くらい見つけられないか、と思ってのこと。また庭師が滅茶苦茶ヤバそうな人物で、巨大な鋏を持つ魔物とかであれば諦めて脱出しようかと思ってしまう中、式部は外に出て、

 

「……? ナンダ――」

 

 中庭に出た途端、己のいる場所に影が差したことに疑問符を浮かべる。自然と上を見上げたところで――式部は後悔した。

 中庭に出たこともそうであるし、この城に来たこともだ。

 

「――ほう……貴様が侵入者か」

 

「――――」

 

 と、頭上から聞こえた声は大きく、威厳を感じられるものだ。

 そこにいたのはドラゴンだ。それも5メートル程の、通常種のドラゴンではなくその10倍。50メートル程の巨躯を持った白く煌めく巨竜だ。

 見下しながら放たれる声だが、それも当然に思えてしまう。生き物としてのスケールが違うのだ。それに、内包される力は、主であるザビエルに匹敵するもので、

 

「一応、名乗っておこう。――俺は四大聖竜のライゼン。貴様を捕らえるものだ」

 

 だが、とライゼンと名乗ったドラゴンは式部に手をかざしながら言った。

 

「貴様も、戦わずに捕らえられるのはプライドが許さないであろう。故に――機会を与える」

 

「ナニ――グ、アッ……!」

 

 と、声を送った最中に、式部はライゼンの手に抑えつけられた。

 そしてそのまま右手の手甲をその大きな口の端で噛むようにして捕らえると、巨体を上に跳ね上げ、翼を用いて上昇を始める。

 飛翔の用意をこなす中、ライゼンは口を閉じたままに声を出した。

 

「ここでは俺が戦うには狭すぎるし迷惑も掛かるからな。場所を移して一戦交えるぞ。もし貴様が勝ったら見逃してやろう」

 

「……ッ!」

 

 ふざけるな、という意志を込めて睨み、睨むだけでなく左手の刀で顔を斬りつけるが全てその煌めく鱗に弾かれてしまう。その間にもライゼンはどんどんと上昇し、やがて水平に飛行を始めて城から離れていく。更に街を離れ、山の近くの平原までいくと徐々に降下し、周辺に音を立てて着地する。

 

「ここでよいか」

 

「――グッ……キサマ……!」

 

 そこで式部は地面に投げ捨てられるように解放され、何とか体勢を立て直して地面に着地する。

 だが改めて対峙したところで、その大きさと強さに圧倒される。まず間違いなく勝てない、と思う。だが、

 

「コロス……!」

 

 諦めるわけにはいかない。

 眼の前のドラゴンを殺してもう一度城に舞い戻ってやる、と強く殺気を昂ぶらせる。

 そして、式部はその姿を解放した。

 

 

 

 

 

 ライゼンは、眼下の小さな相手を見て特に気負うことなく戦いに臨もうとした。

 そこにいるのはレオンハルトと敵対関係にあるという魔人の使徒らしい。先日、戦場に出ていく前に直接教えてくれたので一応覚えている。

 その際に、“もし城に来たら捕らえてほしい”と言われたのだ。だが、

 ……正直、断ろうとも思ったがな。

 魔物同士の抗争に積極的に関与することはしない。何か大事な理由があるならやってやらなくもないが、そういうわけでもないのだ。ゆえに断ろうとした。

 だが、城に来る理由がメイドであったり、この城の者を殺し、もしくは捕らえるためと聞いては捨て置けない。

 城の者達は己が世話になっている者達だ。食事の用意もそうだし、話し相手としてよくしてもらっている。そんな彼女らが害されると知っては放ってはおけなかった。

 これがレオンハルト自身であれば自分で何とかしろ、とも言ってやれるのだが奴は今いないし、メイド達に戦う力はない。ならば戦う力を持った強き者が守ってやるのは自然なことだ。

 

 ゆえに適当に運動も兼ねて叩きのめして運んでやろうと思った。使徒如きに負けるとは思っていない。己のライバルは最強の魔人だ。それ以外には、例え無敵結界を持つ魔人であっても負ける気はない。

 どうせなら、そのザビエルとかいう奴と戦ってみたかったがそれは無理そうなので使徒で我慢するとしよう。弱い者いじめにならないよう全力でやってやらねばな、と思っていると、

 

「変身……いや、その姿は――」

 

 眼の前の女が、急に光りを放ち、全く別の姿に変わっていた。

 鋭い爪を持った黄色い手足に、蒼い鱗を持ったその生き物。

 背中に四枚の羽を持ったその姿は正しく、

 

「ホントウノスガタ――――青龍」

 

「ドラゴンか……!」

 

 その青のドラゴンを前に、ライゼンは己の血が僅かに熱を帯びたのを感じた。

 

 

 

 

 

 ……同胞を模した者か……!

 ライゼンは青龍を名乗る魔人の使徒を前に、姿勢を低くした。

 龍を名乗り、形状は似ていても同胞の気配はしない。ドラゴンであったのなら例え使徒になろうが魔人になろうがライゼンには気づける自信がある。

 その己の感覚がそうではない、と感じているのならそうではないのだろう。眼の前の使徒は、ドラゴンに似てはいてもドラゴンではない。

 だがそうであっても、

 

「血が沸き立つのはどうしようもないな……!」

 

 ゆえに、ライゼンは四肢に力を入れ、ただ前に駆けた。

 巨躯に似合わぬ俊敏性、そして己の肉体こそがライゼンの得物だ。

 ただ当たるだけで、必殺の一撃となるのは、ライゼンの巨体もそうだが、その鱗。ライゼンというドラゴンが生まれ持つ特性のおかげだ。

 ダイヤモンドドラゴンという希少種に生まれたライゼンにとって、ダイヤの特性を持つ鱗は鎧であり武器でもある。何人たりとも、この肌に傷を付けることは叶わない。例え最強の魔人だろうが、魔王であっても傷を付けられなかったのが己の誇りだ。

 その硬度はあらゆる攻撃を弾き、山をも砕く。大気を裂きながら駆けるライゼンという暴威。その進撃を止めることは出来ない。

 

「砕けるがいい……!」

 

 ゆえにライゼンは戦意の昂ぶりとともに、己の勝利を疑わなかった。

 数秒後にはこの肉体に跳ね飛ばされて、負けを認める光景を幻視した。

 だが、数秒後。そこに青龍の姿は無かった。

 

「っ、なるほど! 速いな!?」

 

 言葉を送るとともにライゼンは反応していた。

 己の背に斬撃を加えてくる青龍を見る。それは、

 

「フ、フフ……チ、チ、チヲヨコセッ!」

 

 四枚の羽を動かして高速で飛翔し、その爪を鱗に打ち付けて、斬り刻もうとしている青龍だ。

 その飛行方法はドラゴンというより虫に近い。器用に小回りの効いた飛行は、己の周りをぐるぐると回るように飛翔し、金属が擦り合わされるような嫌な音を鳴らしている。こちらの鱗に爪を突き立てながら飛行しているのだ。

 

「その程度では、俺に傷を付けることは出来んぞ!」

 

「ッ!」

 

 振り払うように身を回すと、慌てたようにこちらから距離を取る青龍。一度でも攻撃が当たれば、負けることは理解しているのだろう。必死な様子が窺える。

 だがライゼンの方も青龍に対して少し厄介を感じていた。それは、

 ……ふむ、空中の速度はそれほど変わりないだけではなく、機動性は向こうの方が上か。

 となると中々に攻撃が当て辛い。地上であれば無理矢理攻撃を当てたりすることも出来るが、宙での移動では上を取られると攻撃手段も限られる。

 空中での最高速度はこちらの方が上だろうが、宙だと地上のように小回りが効かないため、相手の軌道に対して攻撃を当てられないだろう。ライゼンはドラゴンにしては珍しく、地上戦を得意とし、そのための戦闘技術を高めている。ステップを踏むことでの緩急や、尾を使っての攻撃はその過程で身に付いたものだ。

 かといってブレスも当てにくいものだ。如何に強大な威力があろうと、ブレスは所詮、点での攻撃に過ぎない。当たらなければ特に怖い攻撃でもないのだ。だが、

 

「なるほど、真の姿というだけはある」

 

「ハハハ! シネ! シネッ!!」

 

 飛翔しながら爪を突き立ててくる青龍に応戦しながらも言葉を送る。

 

「俺との相性は良い方だな。そちらの攻撃も意味はないが……それでも引き分けに持ち込むことは出来るだろう」

 

 それはライゼンなりの“賛辞”だ。

 相手の力量を認め、その上で叩き潰すという宣言でもある。

 何より――この技を使わせる相手は、そうはいないのだと。

 ライゼンは言う。

 

「――以前までの俺であればな」

 

 ライゼンは、己の力を解放した。

 

「“伝導超過”――」

 

 

 

 

 

 青龍は、白のドラゴンが声とともに己の肉体を光らせたのを見た。

 そのダイヤの鱗が白光し、熱を持っている。少しの危険を悟り、距離を取った。同時に、ライゼンの声が響く。

 

「ドラゴン種の一部が持つ特性――俺の伝導超過は、熱を与えることで身体機能を飛躍的に向上させることが出来る。己のブレスであっても発動は可能だ」

 

 確かに見れば、ライゼンの口から漏れる光はブレスのそれだろう。口を閉じたままブレスを発射することで、己の肉体に熱を与えているのだろうと推測出来る。

 ということは、

 

「ソノウエデ、タタカウキカ……!」

 

 身体能力が向上したということは、膂力は勿論、その速度も向上したということだろう。

 ならばその上でなら攻撃を当てられても不思議ではない。ゆえに青龍は警戒を露わにした。

 だがライゼンはそれを否定するように小さく笑い、

 

「確かに、それでも倒せるかもしれないが……折角だ。貴様には新技を見せてやろう」

 

 と、ライゼンが言った先、口元が光った。

 それは先程と同じ、ブレスが発射される前兆であり、青龍は急いでその口元から逃れようと後ろに回る。

 だがそれさえも、ライゼンは嘲笑うように苦笑混じりの声を発した。

 

「ただのブレスであれば対処法は正解だ。しかしこれは、ただのブレスではない」

 

 そう言ってライゼンは口を閉じたまま言う。

 ブレスを発射しようというのに、口を閉じたままだ。

 それは、先程見せたばかりの、伝導超過という特性の為に使った技のはずで、

 

「ナニヲ……!?」

 

 疑問の声を作ったと同時に、ライゼンに異変が起こった。

 熱を持ち、光り輝いていた身体が、更に光を増していくのだ。

 全身からもたらされるその極光を見せ付けながら、ライゼンは問いかける。

 

「これは伝導超過の際に俺が使うやり方だが……ある時気になってな。既に伝導超過を発動している最中に、もう一度同じことをしたらどうなるのかと。更に強化されるのかとな。それで、試してみたら――」

 

 どうなったと思う? と言う声に、青龍は答えることは出来ない。

 しかし、光を増していく白のドラゴンに嫌な予感を感じた。

 そして距離を取ろうと羽を動かした時、その答えは来た。

 

「答えは――――()()。行き場を失ったブレスと熱量が俺の全身から放たれる」

 

「――ッ!!」

 

 分かるか? と言葉が聞こえた頃には、青龍はその場から離脱しようと全力で距離を取っていた。

 ライゼンの身体が、もはや光に包まれて見えなくなる。そして、光が収束するような音が最大限に高まった時、

 

「我が強敵(とも)の為に編み出した俺の必殺技。半径100メートルは消し飛ばす全方位のブレスだ。避けることは出来ん――――()()()()()()

 

「! ヤメ――」

 

 ――――“スーパーノヴァ”。

 

 青龍の静止虚しく、そう口に出した数瞬後。ライゼンを中心に平原が光の爆発に包まれた。

 

 

 

 

 

 光が収束し全身の熱が収まると、クレーター状に焦土となった平原の中心で、ライゼンは周囲を見渡した。

 すると焦げ付いた大地の外側。衝撃で吹き飛んでしまったのだろう、緑の大地の上にボロボロになった生き物がいた。それは、

 

「…………ゥ……」

 

「ふむ、どうやらギリギリ生きていたか」

 

 使徒の生命力というのは大したものだ、と思う。例え全開ではなく、威力がほんの少し弱まる外側に近い場所であったとしても、使徒程度であれば消し炭になってもおかしくない技なのだ。

 全開だと自然を壊しすぎるため、あまり使えないが、強敵(とも)を倒すために編み出した技だ。当然特訓は欠かせないので、練習のためにある程度は使わないといけないというジレンマもある。以前に使った時は森の一角を消してしまった。

 そのため、良い機会だと思い使徒に使ってみたのだが……どうやら危なかったらしい。

 

「出来れば殺すなと言われていたしな……」

 

 ともあれ生きているのならば問題ないだろう。ライゼンは青龍を口で掴むように噛み、器用に背中に乗せるように投げてみせると翼を羽ばたかせ上昇を始めた。

 

「さっさと運ぶか」

 

 そしてこれを言いつけた強敵(とも)に軽く文句でも言ってやろう。ペールから肉を貰うことも忘れてはならない。城の者を守ったら最高級の肉を好きなだけ食べれる契約だ。それを思うと腹が減ってくるというか、翼にも力がこもる。

 ……そういえば、同胞も戦っているのだったな。

 と、戦場で戦っているであろう者を思い出す。その同胞とは、ハンティのことだ。色々と悩み、足掻いている同胞を思い、ライゼンは一息、

 

「俺に言えたことではないが、あれも考えすぎるところがある。……良い空気を吸っておれば良いが」

 

 とりあえず全員の様子でも見てやるか、とライゼンは南西に向かって空を進んだ。

 




スラル「原作とは違って真の姿は出たけど、相手が悪すぎてやっぱり見せ場が少ない式部に合掌」

レオンハルト「一話しか保たなかったな……」

メイド長さん「せめて私がお相手出来れば、見せ場を作って演出しつつ丁重にもてなすことが……」

料理長「むぅ……せめて自分であれば最後に料理パートを挟むことが……」

ガウガウ「わ、私は頼まれても戦わないからな!」

シャロン「……誰を相手にしても無理そうですね」

ラウネア「…………(次回はハンティの出番かな?)」

タルゴ「キシャア! (ちなみに、料理長の見た目はメイ○ガイにコック服着せた感じか、板垣タッチのムキムキを想像するといいよ)」

サメザン「ピィ! (そのうちプロフも公開するけどね。ちなみに、メイド長さんは某戦艦ゲーの、ベル○ァスト的な感じを想像してどうぞ)」

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