魔軍参謀の憂鬱   作:黒岩

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前回のあらすじ。はるまき君、絶賛放置監禁プレイ中。
というわけで本編をどうぞ



魔剣

「二人っきりだね」

 

「…………そうだな」

 

「雰囲気のある遺跡だね。この紫色の靄も遺跡の雰囲気に見事にマッチしている」

 

「…………瘴気だがな」

 

「人気のない遺跡に男女二人。何も起きないはずがなく……」

 

「魔物は沢山いるぞ。しかも襲ってきている。良かったな」

 

「ふふ、随分と素っ気ない反応だね……っと」

 

 と、襲い来るアンデット系のモンスターを魔法で葬りながら、ガイとCは二人だけで遺跡の探索を進めていた。

 瘴気が充満する中を進みながらも、二人には何の影響も起きていない。普段と変わらない様子だ。

 いや、正確に言うなら二人に変化はある。それは、

 

「それにしても……随分と強いんだねぇ? 隊にいる時は使っているのを見たことがない魔法に、隊長にも匹敵──いや、凌駕する剣捌き。惚れ惚れしてしまうよ。ずっと隠していたのかい?」

 

「……お前こそ、普段はそのようなニヤケ面を見せていないが、ずっと猫かぶっていたのか? 嫌な女だ」

 

「女性は多少ミステリアスな方が魅力的でしょう?」

 

『確かに、一理あるな』

 

『同意するな馬鹿者』

 

 ニヤリとした笑みでガイに向かって流し目を送る未来視の魔女と、それに同意するもうひとりの自分に、ガイはうんざりした表情を浮かべる。

 やはりこの変化は鬱陶しいものだった。普段、隊にいる時に見せるCの態度、性格は、寡黙で無表情なミステリアスな女性であり、隊員達からもそういった評価を得られている。

 しかしガイと二人きりになったCは、魔女らしく飄々とした表情と態度、語りを見せており、ガイを先程から翻弄する。鬱陶しくてしょうがないものだ。

 

「それより、こちらの質問には答えてもらっていないよ? 私の前でその強さを出してしまっていいのかい? 告げ口されるかもしれないよ?」

 

 クスクスと、人を喰ったような笑いを響かせながら、Cは先程の質問を再度投げかけてくる。

 ガイは眉間に皺を寄せながらも、一応は答えた。

 

「……1つ目の秘密を知られてしまった時点で、こちらとしては大痛手だ。だから強さを隠していたと知られたところであまり変わらない。それに、お前は──」

 

「ふむふむ、なるほどねぇ。どっちにしろ喋られた時点で終わりだし、強さを教えておけば脅しにもなると考えたわけだ」

 

「っ……貴様、また心を読んだな……?」

 

「くす、すまないね。どうせ心を読まれて既に知られてる可能性があると考えていそうだったから、ご期待通りに読んでみたのさ」

 

 くっ、と魔女の言葉に歯噛みをするガイ。苦々しく思うのは、

 ……白々しい。その前から読んでいた癖に……! 

 魔女の行動にガイは悔しく思う。どう足掻いても秘密や考えていることは隠せそうにない。そのことを改めて思い知り、自分の行動に間違いはなかったと思う反面、燻るような苛つきがガイに頭痛を引き起こす。

 瘴気なんかよりもこの魔女の方が厄介だ、と内心で言葉を作りながら足はその場に止めない。倒した魔物からアイテムやGOLDを拾うのも程々に、遺跡の探索をガイは優先していた。

 

「……そもそも、この瘴気は一体何なんだ。何故自分達だけが……」

 

「さて、何だろうねぇ……もしかしたら、奥にとんでもないものがあるかもしれないよ?」

 

 何だそれは、と思うも、ガイは一応やり取りを続けた。

 

「……一応聞くが、どんなものがあると言うんだ?」

 

「ふふ、お決まりで言うと、巨大な魔物か、呪われたアイテムとかじゃないかな? 楽しみだね」

 

「……そうか」

 

 どちらも楽しみと言えるようなものではないが、それを言う気にもならず、ガイは嘆息する。

 どうにかしてこの魔女の口を黙らせることが出来ないものかと──

 

『チ○ポでも突っ込んでみるか?』

 

 ──どうしようもなく下劣かつアホで愚かで何のためにもならない提案を即棄却する。唯一の相談相手がこれとか、ガイは色んな意味で泣きたくなる。隊と別れてそれほど時間は経ってないのに、まともな性格のクーベロが恋しくなってしまうほどに。

 もうこうなったらさっさと探索を終わらせようと、ガイは廊下の奥にあった石の扉を開いてくぐる。すると、

 

「──む?」

 

「おや……もしかして最奥かな?」

 

 魔女の言う通り、扉の先に広がるその部屋は、今までとは悪い意味で雰囲気の違う場所だった。

 広間のようになっている部屋で、真ん中に台座がある。そして、瘴気がこれまでよりも濃い。

 自分達は何ともないが、仮に隊員達がこの部屋に来たら、命を落とす可能性すらあるのではないか。

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか……どうなるだろうね?」

 

 相変わらずクスクスと笑っているだけの魔女を後ろに、ガイはその部屋に慎重に足を踏み入れ、何かがないかと周囲を見渡すと、

 

「! あれは────剣、か?」

 

 瘴気で包まれた部屋の中心にある台座の上に、剣のシルエットが浮かび上がる。

 

「どうかな? 近寄って手に取ってみてはどうだい?」

 

「……言われずともそうする」

 

 魔女を後ろに置いて少しずつ近づいていくと、姿がより詳細に確認出来る。

 それは尖ったような特徴的な鍔の剣だった。

 持ち手と鍔、縁の部分が黒く、切れ味の鋭そうな刃が特徴のロングソード。

 

『ほう? 中々良さそうな剣だな』

 

 もうひとりの言葉に同意するのは癪だが、素直にそう思う。

 切れ味も良さそうというだけではない。

 その剣はほんのりと赤い気を漂わせており、何処か惹かれてしまうものがあるのだ。

 何やら凄い力を秘めていそうな剣。その存在に吸い寄せられるように、ガイはゆっくりと台座に足を掛け、その剣に近づいていく。

 台座に突き刺さっているその剣は、眼の前まで距離を詰めればより力を感じられる不思議な剣であり、躊躇うことを躊躇させた。

 

「…………ふっ!」

 

 故にガイは、己の左手でその剣をがっしりと掴み、一気に引き抜いた。

 そのまま軽く剣を掲げ、感触を確かめる。

 

「……なるほど。悪くない」

 

 この剣は手に馴染む。相性が良すぎて怖いほどに、しっくりくるのだ。

 調査で手に入れた重要そうなアイテムは隊に一度判断を仰ぐが、これは自分で使えないかどうか頼んでみよう。そう、ガイに思わせてしまう。

 そうして剣を振ってみせ、見つけた業物の剣に内心で喜びの感情を覗かせていると、

 

「──はぁ、やっと“使い手”が来たか……」

 

「っ!? な、何!?」

 

 不意に、剣から声が聞こえ、ガイは柄にもなく声を上げて驚いた。

 剣を再び確認してみると、剣の柄頭部分に丸い眼のようなものが二つあり、それがこちらを向いていた。

 

「今の声は……お前のものなのか?」

 

「そうそう、儂。儂の声」

 

 おそるおそる確認してみると、やはり、その剣は頷くように意志を持って喋り始めた。

 

「……う~~~む。美少女じゃないのは残念だが、中々強そうだし、相性も良い、か……よし! 合格!」

 

 何やら剣がこちらを値踏みするような独り言を漏らし、そして最後に合格と大声をあげると、ガイは訝しんだ。

 

「……合格? それは、剣の持ち主として、ということか?」

 

「そういうこと。儂、こう見えて魔剣じゃから。──魔人を斬り裂くことが出来る、な」

 

「──ッ!? 魔人、を……!?」

 

 魔人を斬ることの出来る魔剣──その魔剣自身の言葉に、ガイは絶句しかける。

 

『ほう! 魔人を斬れるのか! ふははは、それはいい! それを持って御礼参りしてやるぞ!』

 

『馬鹿! 言ってる場合か!』

 

 と、言いながらも、それが可能であることにガイは戦慄する。

 その魔剣の話が本当であればだが、

 

「……その話は本当なのか? にわかには信じ難いが……」

 

「試したことないけどマジっぽいぞ。こう……魔人を斬るぜ斬るぜ斬るぜーって感じの力がずっと湧き上がってるからな」

 

「……胡散臭いな」

 

「胡散臭くても本当なんじゃから仕方ない」

 

 魔剣の言はどうにもその口調と人柄(?)も相まって胡散臭さが凄い。しかし背後から、

 

「ふふふ……だけど確かに不思議な力は感じるね。どうやら本当なんじゃないかな?」

 

「お前に言われてもな……」

 

 もっと胡散臭い奴に言われても余計に怪しくなるだけだ。

 故に露骨に息を吐いたガイだったが、同じく背後からやって来た未来視の魔女を見た魔剣は眼を細め、

 

「ん……おお、かわいこちゃん──って、お前さん、どこかで……」

 

 何やら見覚えがあると言った風に魔剣が言葉を止める。少しの間を置いて、魔剣は再び目を見開き、

 

「思い出した!! お前さん、未来視の魔女だろ!? まだ生きて……つーか、若いままじゃがどうなっとるん!?」

 

「……知っているのか?」

 

 大声を上げて驚く魔剣と未来視の魔女、どちらにも問うように声を送るガイ。しかし魔女は涼しい顔で、

 

「いや、私は知らないな。よく思い出して見てみるといい」

 

「いやいやいや、そんなはず──って、あれ?」

 

 未来視の魔女の言葉に魔剣が疑問符を頭に浮かべる。思い直したように、

 

「確かに……よく見れば顔立ちとか背丈とかが微妙に違う気が……まさか、子孫か何かか?」

 

「ふふ、そんなところだよ。私の一族は代々、魔女として生きているからね」

 

「ほーう、そうなのか……うむ、間違えてすまんかったな。魔女ちゃんの祖母かそのまた祖母か……誰になるかは知らんが、儂が人間の時に世話になったんじゃよ」

 

「ふふふ、それはそれは。態々ご丁寧にどうも。その御礼は墓前にでも伝えておくよ」

 

 一応は話がついたようだが、やはり未来視の魔女の言葉は胡散臭いと思う。

 だがそれよりも気になる言葉があり、ガイは反応した。

 

「人間? 元は人間だったのか?」

 

「…………色々あってな。まあどうでもいいことよん。今の儂は魔人を斬れる魔剣じゃし」

 

「……そうか」

 

 何やら含みのある間ではあったが、深く追求はしない。誰でも隠したいことの一つや二つはあるものだ。事情だってあるだろう。それが剣になった相手ともなれば尚更だ。

 

「……それで、お前さんの名は? 儂はカオス。魔剣カオスじゃ」

 

「……ガイだ。今は魔物討伐隊に所属している」

 

「ほうほう。ということは、少なからず魔物には恨みがあるじゃろ? 魔人を殺したいじゃろ?」

 

『おお! 昔ボコボコにされたからな! 次会ったらぶっ殺そうと思ってたところだ!』

 

 内心からの言葉がうるさい。その強い感情の発露も、表のガイにとっては気が散ってしまうようなものだ。

 ……恨みなら、無くもない。だが……。

 そう、恨みならあるし、魔物や魔人を倒したいとは思わなくもない。

 しかしその、カオスと名乗った魔剣の意志を問う言葉に、ガイは素直には頷けなかった。

 

「……お前がいれば、本当に魔人を倒せるのか?」

 

 真剣な表情で、ガイは逆に問い返す。微妙におちゃらけた様子のあったカオスだが、その真剣な眼差しから真面目な質問だと悟ったのだろう。少し間を置いてカオスは答えた。

 

「……倒せる。少なくとも、傷を負わせることは出来る。あの無敵の壁を破ることが出来るはずじゃ」

 

「……なるほどな」

 

 それはつまり、とガイは頷き、言葉を返す。それが意味するところは、

 

「……あの無敵結界を破ることは出来る──が、出来るのはそこまで。お互い傷を負うという対等の条件には引きずり込めても、魔人を超える力を得ることは出来ない。つまりは……使い手の技量次第、か……」

 

「……耳が痛いことを言ってくれるのう。だがそれでも希望には違いないじゃろう? 儂らの時代には──いや、今もか。魔人を倒す手段があるだけでも恵まれてるんじゃからな」

 

 カオスはそれを聞いても誤魔化すことなくそれを白状した。そう、結局は魔人と戦う必要がある。

 

「“無敵結界”……魔人が必ず身に付けている、肉体に届く外部からのあらゆる攻撃を防御してしまう、文字通り無敵の結界のことだね。これがあるからこそ、魔人はあらゆる生物よりも強いといえる」

 

 だけど、と魔女は改めて周知させるように説明する。

 

「魔剣カオス……それは魔人を超える力をもたらす訳ではない。無敵結界も脅威だけど、魔人の力は何もそれだけじゃない。無敵結界が無くとも、魔人は強い」

 

「……そういうことじゃな。だが、それでも誰かがやらないと駄目だ。そうしないと、人間の未来はない。この地獄は永遠と続く。だからこそ儂は……力を得て、それを振るうに足る使い手を待っていたんじゃ」

 

 カオスの眼がガイをまっすぐに捉える。先程までのくたびれた中年のものではない。鋭い、戦士としての瞳だ。

 

「ガイ。儂は誰にでも使える剣じゃない。相性があって、使える者は限られている。この瘴気の中を進んでこれたということは、ここにいるお前さん達だけが、使い手の資格を持つということじゃ」

 

「……それなら……いや……」

 

「ま、察しの通り、そちらの嬢ちゃんは魔女っぽいし、お前さんが適任じゃろ」

 

「ふふふ、そうだね。そんな重そうなものを背負うなんて、私にはとてもとても」

 

 何故か面白そうに魔女が肩をすくめて首を振る。何故だかムカつくが、それは道理だ。魔法使いに剣を扱わせるのは無理がある。

 しかし、別の意味でもこれほど重いものを背負うのが、自分でいいのだろうか。正直言って、覚悟は不十分であった。

 

「……まぁ儂も、何も今直ぐ魔人を倒しにいこうとは言わん。本音を言えば直ぐにでも斬りたいが……色々と準備も必要だしな」

 

 そんな迷いを見せるガイを見て、カオスが声を下げて言う。だが、どこか懇願するように、

 

「だが、頼む。儂を使ってくれ。儂はここで百年も待った。次の使い手が現れるとは限らん。だから──」

 

 どうか頼む──と、実際には頭を下げてはいない、下げることは出来ないが、目を伏せて頼み込んでくるカオス。

 その強い意志を、ガイは拒むことも、快く引き受けることも出来なかった。

 ……どうする……いや、どうすれば……? 

 魔人を倒す剣を所有する。それほど大きな力を手に入れてしまえば、やはり自分としても責任があるはずだ。

 すなわち──魔人を倒す責務が生じる。

 その責務を、背負う覚悟が自分にはあるのか。

 それがないまま、カオスを所有していいのか。

 しかしカオスの言う通り、使い手が現れる保証はないだろう。

 この瘴気が使い手を選ぶための試練だというなら、調査隊の面々──ロランやクーベロ。腕利きの隊員達もカオスを使うことは出来ないのだろう。

 だとすれば──

 

『──ああ、まどろっこしい! 手に入れてしまえばいいだろうが! 無理になったら捨てるまでじゃ!』

 

『っ……! き、貴様……待て……!』

 

 己の意志が塗り替えられる。内側の強い意志によって。

 こちらの心や意志の弱さに入り込んでくるように、ガイは人格をその瞬間、()()()()()()()。そして、

 

「…………よし、いいだろう!」

 

「! 本当か!? 本当だな!? 駄目って言っても聞かんぞ!?」

 

 ガイの心強い頷きにカオスが改めて問いかける。

 だが、ガイはそこでも右腕で胸を叩き、口元に笑みを浮かばせた。

 

「任せろ! 俺は最強だからな! 魔人くらい、いくらでも斬ってやるわ! ふはははは!」

 

「お、おおう……何だか急に頼もしい感じに……」

 

「魔人を倒せるとしって喜んでるんだよ、きっと。彼は意外と好戦的みたいだからね」

 

『お、おい貴様ら!? 余計なことを言うな!! 私はまだ引き受けるつもりは──』

 

「魔人だろうが魔王だろうが俺が倒してやるわ! 大船に乗ったつもりでいろ!!」

 

「う、うむ! そうじゃ……そうじゃな! 儂も力を貸すぞー! 行くぞ、ガイ! 魔人をぶった斬って血に染めたるんじゃー!」

 

「ふははは! 任せろ! そうと決まれば戻るぞ! おい魔女! お前は適当に説得しろよ! カオスを取られたら俺様の決意が台無しになるからな!」

 

『おい、やめろ馬鹿!! 魔女も止めてくれ!』

 

 と、内心で裏になったガイが必死に声を上げる。

 しかし魔女は、ニィっとものすごくいい笑顔を浮かべ、

 

「ふ、ふふふふふふ……はい、分かりました。説得は私にお任せください」

 

「ははは! それでいい!」

 

『ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?』

 

『うるさいわ! 黙ってろ! もう決めたことだ!』

 

 表になったガイが内心でもうひとりのガイを黙らせる。

 極力声を聞かないようにし、身体の主導権を再び得たことと、魔人をぶち殺すための剣である魔剣カオスを手に入れて上機嫌となったガイは、一応調査隊と合流するべく大股で帰路についた。

 

 

 

 

 

 小高い丘の上。そこは街の外れにある、彼女の修行場の一つであった。

 二つ結びにした真っ白い髪を靡かせ、和装に身を包んだ小柄な彼女は、視覚以外の優れた五感によってか、はたまた勘によるものか、分からないが、何となく機会が近いことを予感する。

 

「……どうかしたのですか?」

 

 ふと──その場に誰かの声が響いた。

 その場には少女一人。しかしそうであるにも拘かわらず、丘の上には()()()()()()()()()()()()()()

 

「……いえ、なんでもありませんよ。ただ──」

 

「……ただ?」

 

 少女はそこでふっと微笑を浮かべて告げる。それは、

 

「もうすぐ、友人と再会出来るかもしれないと……夢を見ただけです」

 

「……そうですか……」

 

 その少女の言葉を、もうひとりの彼女は何処か複雑そうな声色で頷く。

 それが意味するところは──少女は知る由もないだろうが、自身にとっても懐かしい再会となり得るということだ。

 故に少女の腰元にある彼女は頷いた。二本ある内の一本から声が響く。

 

「……私も、古い仲間と会えるかもしれません」

 

「そうなんですか? なら、良い再会になるといいですね」

 

 そう言って、しかし少女ははっとしたように言葉を続けた。

 

「……いえ、というか、会いたいなら私も協力しますよ?」

 

「ふふ……ありがとうございます。その心遣いだけで大丈夫です」

 

「そうですか……? 遠慮はしなくていいですからね! なんていったって、私はもうお姉ちゃんですし! 長女ですし!」

 

 腕を腰に当て胸を張り、これ以上ないくらいに得意気な表情を浮かべる少女。

 そんな少女の、子供っぽくも微笑ましい様子を見て、しかし彼女は内心の複雑さを消せはしない。

 そして先程の、“良い再会になるといいですね”という言葉にも頷けない。

 なぜなら──その再会が、良いものとならないことを、他でもない彼女自身が分かっているから。

 だからこそ、彼女は言うのだ。敢えて、

 

「……その時は、頼りにさせて貰います」

 

「ええ! お姉ちゃんに任せてください!」

 

「……私は妹ではありませんけどね」

 

 小声で指摘しながらも、少女はあまり聞いていない。

 妙に緊張感の欠ける使い手の少女を思い、刀である彼女は内心で溜息をついた。




ガイ。遺跡の最奥で魔剣カオスを見つける。
所有者となることを渋ったガイだったが、突如人格が変わり快諾。
ガイは魔剣カオスの所有者となり、帰路につく。

ハニホン風に書くとこんな感じ?
まあこっからはオリジナルマシマシなので、ここまで読んできた皆様は分かってるとは思いますが、いつも通りご了承願いますよっと。

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