受験から3日後の朝。俺は家のポストに1つ封筒が入っていたのを確認した。恐らく受験結果を知らせるためのものなのだろう。
俺は早速それをポストから出し、リビングに行き開封する。すると封筒から紙が1枚出てきた、そこに合格というに文字が書いてあると共にその時の成績も載っていた。
順位は……6位だった。
駆「…え?マジで?」
俺は驚きのあまり、間抜けな声を出した。自分でも言うのはあれだが、生前の俺の成績(中学校時代)はかなり良かった。がしかし、生まれて此方受験で6位なんてものはとったことがなかった。
そしてそのプリントの裏を見ると入学時に必要最低限の物と校則等が書かれてあったので今日はその必要な物を準備することにした。
俺が合格したのはいいのだが、あの3人は果たして大丈夫なのだろうか?弾は大丈夫だろう。彼は試験管に勝利していたからな。筆記が壊滅的にダメだった場合はわからないが…
そして早苗は…バトルの結果を俺は知らないのでどうなるかは分からないな。彼女はとても賢そうに見えるが…
その一方で美弥は受かる保証が無さそうだ。受かっているといいのだがな、表面上友達だし。
それぞれが入試に受かっているかは実際に入学式に言ってみないと分からない。そう思いながら、着々と準備を進めていった。
……数週間と時が過ぎ、バトルアカデミアに入学する日になった。俺は制服を着て、肩までかかっている髪をまとめ、ポニーテールにした。そして俺はボストンバックを持ち、自宅を出て家に鍵をかけた。
俺は人里のバトルアカデミアに向けて歩き出した。
う〜ん…この距離を歩く事になるなら女神様にロードバイクを追加依頼しておけば良かったかな?
なんてことを考えながら歩いた。
〜少年徒歩移動中〜
ハァハァ…やっとアカデミアについた。俺は肩で息をしながらアカデミアの近代感溢れる校舎を見た。相変わらず大きな学校だと感じる。俺は入学式に遅れまいとあの広い体育館に入った。
体育館には俺と同じ大勢の新入生とその親が既に用意されていたパイプ椅子に腰をかけていた。俺は自分の座る場所を確認し、座る。
その後、辺りを見渡しあの3人が来ているかを確認をしようと思ったが周りの雑音と人数で確認しようにもできなかった。
そんなことをしている内に右腕にはめた腕時計では入学式の始まる時間を指していた。
入学式最初に行われるのは校長先生のありがたいお話だ。そして、壇上に立ったのは、幻想郷の大賢者で有名な八雲紫だった。
意外な人物の登場で俺はかなり驚いた。
紫「皆さん、初めましてバトルアカデミアの校長を務めている八雲紫です。新入生の皆さん、合格おめでとうございます」
と校長先生は俺達、新入生に挨拶と祝いの言葉を送ってくれた。
とりあえず、話をちゃんと聞いておこうと思ったが、生前の高校の入学式とほぼほぼ同じ内容の入学式だったので一気に割愛させて貰う。
さて、入学式のあれこれをすっ飛ばして俺は自分の組の1年A組の教室に入った。
中は、俺が通っていた学校と同じような教室…現代の学校の教室の風景だ。そして俺は指定されている席に座る。なんとその席は窓側の1番後ろのポジションである!俺が理想とするポジションであった。
クラス全員が揃うまで教室にて待機という先生の言葉があったので俺は窓からの景色を見ていた。すると俺の右隣の席から、見覚えのある元気なピンクがやって来た。受験に受かっているか本当に不安であった天野美弥だ。
美弥「あ、駆君!運がいいね、私たち同じクラスだよ!」
駆「…そうだな。君の声を聞くのも随分久しぶりのような気がするよ」
美弥「確かにそうだね!ところで駆君の髪型よく似合ってるよね。周りから凄い注目浴びてたよ?駆君」
駆「ん?あぁこのポニーテールか。確かに…男性がポニーテールをするのは珍しいもんな。だけどこれは単に身だしなみを整えるためにこの髪型にしているだけなんだ」
俺は美弥に説明する。彼女は納得した顔をして頷いた。
駆「…それにしても、入学できたんだな。全く姿が見えなかったからもしかして落ちたんじゃないかと思ったさ」
俺は試しに、彼女をからかうことにしてみた。
すると、彼女は顔を真っ赤にしプゥという擬音が似合いそうな程に頬を膨らました。
美弥「失礼なっ!私は120位で合格しました!」
確か受験人数は450を超えていてそのうち260人程度しか入学できないからな。彼女もそれなりに頑張ったってことか。
美弥「駆君は何位だったの?」
俺の順位を知りたいがために美弥は俺に質問を投げかけてくる。
言うべきなのかな?彼女の反応が大分予想がつくのだが…うるさくならないことを祈ろう。
駆「……6位だ」
俺はそう言うと共に封筒に入っていたプリントを彼女に見せる。
美弥「う、ウソォォォォ!?駆君が入試6位だ!」
と美弥は教室に響くような声で言った。
ほら、予想どうりだ。
そのせいで教室にいた新入生数名かが俺を見た。
駆「……あ、あのさ静かにした方がいいと思うぞ?美弥さん。皆がこっちを見ている」
美弥「そ、そうだね。駆君が凄い順位取ったからつい興奮しちゃったよ〜!」
ダン「へぇ〜駆が6位だったのか凄いじゃないか!」
美弥のよく響く声は弾の耳に届いていたらしかった。
駆「……単なる偶然だよ。まさか俺もこんな順位を取ると思っていなかった」
と、ここで担任の先生が教室に入ってきた女性だった。
黒のスーツ、黒のタイトスカートを着こなしていてその豊満な胸部が強調されているが、流石にその桃色の髪との相性は個人的にまずまずと言ったところか?
しかし美しさは事実。俺の周りの男子生徒は教卓に立つ美人教師に目をくぎ付けにしている。
…しかし、あの女性どこかで見た事があるような気がする。
それはそうと俺の右斜め前の弾が驚きの表情を取っている。
ダン「…ま、マギサ?マギサなのか?」
弾は目の前の教師に訪ねる。
あぁ〜思い出した。アニメ少年激覇ダンで弾とグラン・ロロを共旅にしていた魔女のマギサ、確かスピリットはアンブロシウスのみのマジックデッキだった記憶がある。
最終的にマザーコアの光主になったが何
故幻想郷にいるのか、どのような手段でここに来たのかは分からない。
ちなみに目の前の魔女は4029歳だ。あんな見かけなのに40世紀近く生きてるんだよな。
マギサ「あら?教師に対しての態度がなって無いわね、馬神弾君?」
ダン「す、すみません」
弾はマギサに論されて席に座る。
マギサ「では、改めて今日から1年1組の担任を努めさせて頂くマギサと言います。よろしくね☆」
とマギサ改めマギサ先生は真面目に且つ茶目っ気のある自己紹介をする。アニメの時のテンションで何よりだ。
マギサ「さて、私の自己紹介は済んだところだし、君たちのことが知りたいから1番廊下側の子から自己紹介してくれるかな?」
…確かにこれから1年間この教室で学んで行くにあたって、クラスの人間の特徴を掴んで置く必要がある。
これは、先生だけでなく生徒にも必要なことである。
そして、マギサ先生によりクラスでの自己紹介が始まる。
ダン「俺は馬神弾って言います。好きなことはバトスピを楽しくプレイすること。このクラス、みんなとバトスピを楽しく出来たら嬉しいです。
よろしくお願いします」
ボーッと窓の景色を見ていたらもうここ
まで自己紹介が進んでいたのか。
さて、そろそろ紹介する内容を考えるとするか。
美弥「私は天野美弥と言います。皆さん気軽に話しかけてください。
よろしくお願いします!!」
弾の後ろの美弥が若干緊張しながら自己紹介をする。
彼女らしい明るい自己紹介だ。そして、窓側の1番後ろの席、すなわち自己紹介を締めくくるラスト俺の番が来た。
俺は席を立ち自己紹介を開始する。
駆「……俺は天童駆。好きな物はコーヒー、趣味は電子書籍を読むこととバトルスピリッツをすること。これで以上だが質問等は個人的に頼む。俺と仲良くするかどうかは君たちの勝手だが、その時はよろしく頼む」
俺は手早く自己紹介をした後席に座る。完璧な自己紹介だ。自分の趣味を踏まえつつ、短い文章で終わらせる。これ程分りやすい且つ自分の印象を聞き手に伝えられる自己紹介があるか?
と俺は自画自賛をしている…がさっきまでの拍手が教室に響いていたのにどうしたというのだ?
このシーンとした空気はまるでお通夜じゃないか。さっきまでニコニコしていたマギサ先生も目をパチクリしている。
というか、俺を除いてクラス全員が俺を見て引いている。まさか弾や早苗にまで引かれるとは思わなかった。
何故だ?俺は顎に手を当てて考える。以前外の高校で同じ様な自己紹介をしていたのだが…だとすれば模範解答は先程の美弥の自己紹介か。あれなら手短に自己紹介を行うとともにクラスでの印象をよく出来る。だとしたら、俺の2度目の高校デビューは失敗ということか…?
いや、別にクラスにどう思われたとしてもどうでもいいから気にする事は無い。外の高校の時でも陰キャポジションだったしそれにこっちの方が気が楽でいいかもしれない。
まぁ誰からも話しかけられないというデメリットはある。そして、俺はやってしまったと言わんばかりに頭を抱える。そんな俺を見る複数の新入生のクラスメイトだが、俺の考えていることなんてお前らに分かる訳ないだろいい加減前を向けこちらを見るんじゃない。
美弥「駆君らしい自己紹介だね!」
と隣の席に座る美弥がフォローをしてくれた。正直にいってありがたい。彼女にまで引かれていたら俺のSAN値は瞬く間に0になっていただろう。
駆「…そうか?俺は手短に終わらそうとしただけだ」
俺は彼女に悟られないように冷静に答える。
マギサ「さ、さてそろそろ終わりたいと思いますが、この学校について詳しく説明する必要があるわ」
とマギサ先生は教卓で話を進める。箇条書きでまとめるとこうだ。
・基本の五教科に家庭や体育等の副教科に加えバトルスピリッツの科目が追加されている。
・学校は寮制で部屋割も既に決められている。
・バトルスピリッツの科目には筆記と実技の両方のテストが中間、期末とに基本的な科目に追加されている。
・その他は配られた生徒手帳を見ろとこのこと。
マギサ「これで大体の学校の説明をしたと思うわ。それではこれで解散とします。
寮の部屋は先程の鍵に部屋番号が付いています。くれぐれも間違わないように!
それと明日から授業も入って来るので忘れ物をしないよう荷物の整理をしてくださいね!」
とマギサ先生は締め、放課後の時間となった。早速自分の寮の部屋を探しに行こう。
美弥「ねぇねぇ!駆君は部屋番号何番?私は116番だけど…」
駆「部屋番号?ええっと…116番だが…」
俺は咄嗟に美弥に聞かれて部屋番号を言った。そして彼女が俺の部屋と同じ116番と言った。
ということは…
そう彼女と同じ部屋という事だ。
美弥「え?嘘…男の子と相部屋なんて初めてだよ?私…」
と少し不安な目で俺を見て言ってくるが俺だって女性と相部屋なんて初めてだ。正直心の中でかなり混乱している。くっ!神よ、女性とのコミュニケーションをあまりとっていたなかった俺への罰ゲームか?
…恐らく、男子と女子の人数が合ってなく寮の部屋の数も限られているのでやむを得ずといったところか?
駆「……とりあえず、部屋の場所を知っておく必要がある。早速だが、寮に行こう」
美弥「何でそんなに冷静なの!?」
美弥はツッコミを入れるが決まったものは仕方ないだろう。
とりあえず俺は教室を出て校舎の寮に向かう。
美弥「あ!待ってよ駆君」
少年少女移動中…
バトルアカデミア生徒寮
今気づいたのだが、寮棟は1つで部屋は3年間固定、食堂付きでかなり広い。こんな学校は外で生きてきたものではなかった。俺は寮の中を見渡しながら116番室に到着した。
早速ドアノブに手をかけドアを開ける。なるほど、部屋はきちんと整えられており、机が2つ、ベッドが2つ。キッチンシャワールーム、トイレが1つずつ広さもそこそこあり不便はしないだろう。
テーブルもあるし、彼女とバトスピも可能だな。まぁやるかどうかは分からないが…
駆「…俺は奥のベッドを使いたいがそれを決める主導権は君にある」
美弥「ふぇ?じゃあ私、手前のベッド使うね?シャワールームから近いし、いいかな?」
いきなり話を振られたのか目を丸くした美弥はそう答えた。
駆「分かった」
俺は美弥にそう返したあと、俺が使うことになったベッドに近い机についてボストンバックから教科書、ノート、デッキの入ったケースを4つ、あらかじめ人里のカードショップで購入していた、デッキの差し変えカードが入ったケースを2つ取り出し教科書、ノートは本棚に入れ4つのデッキの中の1つを取り出し机に並べる。
改造するのはこの間入試で使用した赤白リボルティーガデッキ。そして差し替えカードを出そうとした時隣から声をかけられる。
美弥「あ!そのデッキ入試で使っていたデッキだよね?」
駆「あぁ。外にいたお前なら分かるだろ?赤白リボル」
美弥「分かるよ…それにさんざんやられたんだもん!」
と美弥は若干涙目でこっちを見る。少し前の環境デッキだからかな?砲撃で3点むしり取られた苦い思い出はバトスピプレイヤーなら経験済みだろう。
さらに、攻撃の赤に防御の白とバランス良く構成されたデッキだ。
コントロール性も高く、防御面ではブロッケイドタイガーはあの紫速攻を止めることが出来る上に優秀なカードがそれなりにある。
駆「…トラウマか?」
美弥「そんなことは無いけど…」
恐らく、彼女の間で赤白リボルが流行っていたのだろうか?
美弥「駆君…そ、それよりも明日の時間割何だったけ?」
駆「む?確か5限授業で学活をするらしいぞ?」
美弥「やったぁ!5限連続学活ラッキー!」
相当嬉しいのか、はっちゃける美弥。見ているこちらも微笑ましくなってくる。まぁ何を行うかによって楽か否かが変わってくるが確かに5限連続の学活は比較的楽なものだろう。…このあとの俺はデッキを改良に移り、その後にシャワーを浴びた後で明日の準備をしてベッドに入った。
その間特に彼女との会話は無かったがデッキ改良時、俺のデッキに興味があったのかチラチラと彼女が興味津々な熱い視線を感じることもあった。
To be continued……
次回予告
連鎖する爆発、駆け抜ける熱風、燃え盛る大地、フィールドに現れし大いなる救世主達が俺に牙を向けた。
次回、バトルスピリッツ 欠落
Turn-7 立ちはだかる龍