俺と美弥の試合が終わったところで丁度昼休みに突入した。
俺は食堂に行こうとするところに美弥、弾、霊夢、魔理沙、早苗が付いてきた。
せっかくなので、一緒に昼食を取ることにした。
…にしてもこの学園、女子が若干多いと思うのだが…例えるなら比率が男子3に対して女子7人だ。何故?という疑問符が出てくるのだが、そういえば外の世界で得た知識で東方Projectのキャラクターはあまり男性のキャラが出ていた印象も無く、女性キャラが多かったような。
そんなまぁ、どうでもいいことを考えながら食堂の隣の自販機に売られてあるカロリーメイトチョコレート味を買いそれと一緒にレッドブルを飲んでいるのだが…
駆「何故そんな目で俺を見ている?」
そう、何故か5人が俺のメニューを見てそれぞれのリアクションを浮かべている。
ダン「なぁ駆、それは流石に持たないだろ?もう1品何か頼めばいいと思うぞ?例えば、カレーとかさ!」
と、弾は俺の心配をしながら自分の好物らしいカレーライスを推してくる
美弥「そうだよ、駆君!このままだと身体壊しちゃうよ?私のサンドイッチおすそ分け!」
一方で美弥は俺のトレイに自分が頼んだサンドイッチを置こうとしている。
いや、別にこれだけで1日は過ごすことは十分に可能だろう。カロリーメイトにレッドブル…これ程素晴らしく手軽に栄養を補給出来るものがあるのだろうか?俺なら絶対に重宝する。
駆「俺はこれで大丈夫さ、弾君も美弥さんも俺を心配する必要は無いぞ」
美弥「駄目!駆君、口開けて!」
美弥さんはまさか俺の遠慮を無視してトレイのサンドイッチを銃弾の速度の如く俺の口に持ってくる。
駆「むぐぅ!?」
…反射的に口を大きく開けてしまいそこにサンドイッチが吸引力の変わらないただ一つの掃除機の様に吸い込まれるように入ってきた。これは…ハム、卵、レタス、マヨネーズのサンドイッチなのだが先程食べていたカロリーメイトのチョコレート味とレッドブルの味が口の中で混ざり合い、混沌が俺の口の中で構築される。もはや何を食っているのかがわからないほどである。
俺は自分のトレイのコップに入っている水を一気に飲み、混沌を強引に喉へと押し流す。
早苗「だ、大丈夫ですか?」
駆「…大丈夫だ。し、心配はいらないよ早苗さん。そ、それと美弥さんいいか?」
美弥「?」
駆「…俺を心配してくれるのは嬉しいのだが、強引なのはいけないと思うぞ」
美弥「ご、ごめんね駆君。でも自分の体は大切にしてね」
美弥はさっき自分がやったことを後悔している様子だ。
そして、釘を打つように俺に言う。
駆「あぁ、わかった」
俺は美弥に素っ気ない声で答える。ふっと思ったのだが、俺はコミュ障では無く単に人見知りなのでは?
俺にしては中々いい感じに会話が出来ているではないか。
そんなことを思いながら食事も終わったので俺は腕時計で時間を見る。
…あと、15分くらいの余裕はあるな。そう言えば、この食堂にはバトスピのカードを販売しているカウンターがあってパックや単品買いが可能というとても便利なものがあることを伝え忘れていた。
すると、ある1人の生徒がゴミ箱にカードを捨てるところが目に入った。
…生徒はネクタイの色は赤ということは1年生。それも見たことのある顔…すなわち俺のクラスの生徒ということになる。
駆「…すまない、ちょっと席を外す」
魔理沙「ん?分かったぜ」
俺は席を立ち、販売カウンターのそばに置いてあるゴミ箱に行き、捨ててあったカードを手に取り、捨てた生徒に近づき声をかけた。
駆「すみません。君、カード落としてますよ?」
捨てましたよね?なんて失礼なこと言えないのでここは落としたことにしておこう。
DQN「アァ!?」
…これは想定外。まさか捨てた本人が図体のデカいDQNなんて思いもしなかった。
ちなみにDQNとは粗暴な格好をしている人、実際に粗暴な人や非常識な人などを指す時に使われる言葉で日本語の文脈に使われる蔑称の1つである。
詳しくは、全知全能森羅万象を司るお前らの唯一無二の友、Google先生にでも相談すればいいだろう。
駆「…このカード、君のものですよね?落としていたのに気づいていないようでしたので…返しますよ」
DQN「ハァ!?んなカードいらねぇよ喧嘩売ってんのか!?」
とDQNはカードをいらないと怒鳴った。
え?ふ、沸点が低い…そんなことで怒りますかね?そして、そのDQNの声は食堂に大きく響き生徒からの視線がこちらに向く。まぁ無理もないのだが…
すると美弥が俺のところに来た。
美弥「どうしたの?口喧嘩したの?仲良くしないとダメだよ?」
と俺とDQNの話に美弥が割って入る。君は本当に優しい人間だな。だが、基本こんな奴に関係するのは控えた方がいい。ろくなことがないからな。
DQN「嬢ちゃんアンタには関係の無い話だ。とっとと引っ込みやがれ」
とDQNはそう言う。言われた美弥頬を膨らましDQNを睨みつけている。
俺の手に持っているのは紫煙獅子、6コスト紫3軽減の紫色のRカード。紫色のカード故かBP効率は微妙だが、その効果は自らのデッキを3枚まで破棄することが出来、破棄したカード1枚に付きこのカードのコストを-1する…すなわち、デッキを3枚破棄して3軽減、紫3シンボル軽減でノーコスト召喚することが出来る上にお互いではあるがLV2、3の効果で紫以外のカードを効果で召喚する時5コスト余分に支払わなければ召喚出来ないという強烈なロック効果を持っている。烈火伝や神皇編でも紫色のデッキに入っていた強力なカードだ。
だが、いらないのならいらないで友達やクラスメイトにトレードすることは出来るのにゴミ箱に捨てるのか…この学校の生徒としてバトラーとして強者として非常識的な行動を行う目の前の男に俺は疑問を持ちそして怒りを覚えた。
駆「…会話の続きですが、何故カードを捨てるのですか?俺はカードを捨てるような人間がこんなところにいるのか理解できない…力を持つ者は力持たざる者に応えなければならない。でも、それはあくまでも俺の価値観。君にそれを押し付けることは出来ない。でもやっぱり先程の君の行動を俺は許す事が出来ない。それに、このカードは君に大切に持っていてほしい。これは押し付けでは無く、俺の願望だ。
君には力があるからこの学校に入学することが出来たんだ。それがなによりの君が力を持っている証拠だ。
力を持っているにも関わらずその力を粗末に扱うのは愚の骨頂の真骨頂だと俺は思う」
DQN「ならテメェは誰かの為に自分の力を使ったことがあったのか!?そんなに大口叩けるのなら大層なことをしたのだろうな?」
とDQNは俺に言い返してくる。
駆「…俺には誰かを助ける、そんな力なんてものはここに来るまで持っていなかった。
俺は色んな意味で弱者だった。そして俺は色んな奴を見てきた。だから力を欲した弱者から見た強者はその力を粗末にしてはいけないんだ。
だから今力を持つ俺はそうでありたいと思っている」
DQN「ほう、そこまで言うならてめぇが手に入れたその力を見せてみろよ!場所は第3バトルステージだ。そんでもってアンティールール…自分のフェイバリットカードを賭けろよな」
駆「…アンティールールはこの学園では校則により禁止されているはずだ。
それを行えばどうなるのかは火を見るより明らかだろう?」
DQN「そんなことは分かっている。だがな、てめぇがそこまで言ったんだ。そう簡単に逃げ道なんて作らせねぇよ」
と彼は最後にそう言い食堂を去っていく。
駆「…参った、面倒なことになったな。それより、そろそろ時間だし体育館に戻ろうか、美弥さん」
美弥「ちょっと待って!本当に勝負するの!?負けたら大事なもの取られちゃうんだよ?」
駆「確かに負ければ、大切なカードは彼のものになる。
だが、ここで逃げると自分が自分で無くなるような…俗に言う男のくだらないプライドってやつもこんな俺でも持っているって訳だ(ははっ、過去に自分の人生から逃げたってのにどの口がものを言ってるんだよ)」
俺は自分の発言に心の中で笑いつつ体育館に向かう。
美弥「駆君待ってよ!話してほしいこといっぱいあるのに!」
To be continued……
次回予告
あの人との対戦はとても楽しかった…久々に感じた感覚だった。でも今戦っているこいつとの勝負は楽しくない。
…むしろ何も感じない。
はやく、はやくこんなくだらない戦いに決着を付けよう…
次回、バトルスピリッツ 欠落
Turn-12 城塞の裁き