バトルスピリッツ 欠落   作:えむ〜ん

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すみません、お待たせしました!これが今年最後の投稿となります!
来年もよろしくお願いします!
では、続きをどうぞ!


Turn-18 迷いと疲れ

ノア・フルール先輩とのバトルが終わった俺はゆっくりと着陸しバトルアーマーを解除した。

先輩に勝利したのはいいのだが、流石に疲れた。早く部屋に戻ってゆっくりと休みたいな…

 

ノア「ありがとう!いいバトルだったね!」

 

と彼女は握手を求めてきた。勿論握らない訳には行かない。俺は差し出された先輩の手を掴んで握手をする。

 

駆「こちらこそ、貴重な体験をさせて頂きました。ありがとうございます…!」

 

俺は彼女にお礼を言った。入学早々、この学校に1年以上通っている先輩と対戦できたのは本当に良い経験になった。

彼女はデッキも引きも強く、あのジークヴルムがREVIVALのものだったら俺は負けていた。REVIVALじゃなかったのが不幸中の幸いか…彼女が何故そのカードを使っていないのかが分からないので聞いてみることにしよう。

 

フラッ…

 

…おっと疲れなのかふらついてしまった。倒れていないがこのまま外にいるのは良くないな。そろそろ部屋に戻らないと…

 

ノア「ねぇ天童君、君ちょっと疲れちゃってる?」

 

ふらついた俺を見て先輩が声をかけてくれた。

 

駆「えぇ…ちょっと体力が無くて何とかしようと思っているのですが…まだ結果が出てないんです」

 

生前ではそれなりに筋肉トレーニングをしてきたが、まだまだだ…

 

ノア「君は努力家だね!凄いなぁ〜!」

 

駆「…努力しないと強くはなりませんから」

 

俺に感心する彼女にそう応えた。

そうだ、聞いておきたいことがあったんだ。ここで聞いておこう。

 

駆「そういえば、あのバトルのジークヴルムがREVIVALのものだったら俺は負けていましたが、フルール先輩そのカードは何枚積んでいるんですか?」

 

俺がこの質問をした瞬間、彼女の額から汗が流れる。

そして、苦笑いで俺に答えた。

 

ノア「実は…ね、ジークヴルムのREVIVAL2枚しか持っていなくて、その代用にREVIVAL前の物を入れて構築していたんだ。今までずっと探しているんだけど中々見つからなくて困っているんだ…」

 

駆「そうでしたか、なら俺があげましょうか?」

 

ノア「え!?ホントに持ってるの!?」

 

駆「えぇ、ちょうど1枚余っていましてね。それに俺のデッキには合わないのでトレード用として保存していたんですよ」

 

ノア「いいの!?」

 

と目の前の彼女は目をキラキラ輝かせながら俺に質問した。

 

駆「ええ、ですがこちらも何かカードを要求します。それでもいいのなら俺の持っているジークヴルムREVIVALを差し上げます」

 

ノア「ん〜じゃあ何が欲しいのかな?」

 

とノア・フルール先輩はキラキラした目から一瞬にして真面目な顔になり、右手を顎の所に当て考えている。

 

駆「そうですね ……グラン・ウォーデンREVIVALは持っていませんか?」

 

とあまりにも理想の高いカードを選択してしまった。グラン・ウォーデンREVIVALはかなり高価なカードで生前で買うのにかなり苦労した。それに今は1枚しか持っていなかったので2枚にはしておきたいところである。

…果たして彼女はそのカードを持っているのか?そう思い彼女を見た。ノア・フルール先輩は指をパチンと鳴らしこう言った。

 

ノア「それ、1枚あるよ!パックを1つ買った時に当たったんだ!

でも、使い道が無いから誰か欲しいなって思ってる人と交換しようと思っていたの!」

 

駆「そうでしたか…それは有難いです」

 

マジか、1パックでグラン・ウォーデンREVIVALを当てるとかどーいう運の強さをしているんだよこの先輩は…

と、とにかくジークヴルムでグラン・ウォーデンが、手に入るのは大きい。

 

ノア「じゃあ、ジークヴルムと、グラン・ウォーデンの交換でいいよね!」

 

駆「えぇ、構いませんよ」

 

というわけで彼女との交渉が成立した。

 

美弥「お〜い、駆君!」

 

すると、俺の後ろから美弥の声が聞こえたので振り返った。

そこには美弥をはじめにレイや、ドルオタ三人衆に詩姫部の部員達もいた。

 

レイ「先輩と駆君のバトル、ほんと凄かったよ!」

 

美弥「これで駆君、詩姫部に入れるね!おめでとう!」

 

駆「ありがとう、美弥さんにレイさん。君たちが応援してくれたから俺は頑張って戦えたよ」

 

俺は祝ってくれた2人にそう言った。少し照れくさいけど悪い気はしない。

 

ラビィ「まさか、本気のノアに勝っちゃうなんて…あなた、中々の腕前ね!」

 

とラビィ・ダーリン先輩が俺のプレイを見てそう言った。

 

駆「いえ、運が良かっただけです」

 

それに対して俺は答える。そう、今回俺の使ったデッキはオープンされたカードによって勝負が決まる運だよりのデッキ。

早期のイグドラシルの召喚と最後のミョルニールがいなければ俺は普通に負けていた可能性があっだろう。

 

美弥「運も実力の内だよ?駆君!」

 

駆「そ、そうなのか…?」

 

グリーフィア「そうゆうものよ?後輩君」

 

駆「…分かりました。ダルク先輩」

 

と俺は先輩に言われて納得した。確かにカードゲームに運の要素がつきまとうのは絶対だ。

どんな場面でも運が良ければ勝てる理不尽なゲームだ。俺は心の中でそういう納得することにした。

 

ノア「これで天童君は詩姫部に入部出来るよ!どうする?入る?」

 

その質問を聞いて俺は思った。俺は何の為にこの勝負を挑んだのだろうかと、詩姫部に入って何がしたいのだろうかと。

しかし何がしたいかとか、何の為に勝負をしたのか…俺はその肝心な目的を持っていない。ただ単に美弥に紹介されてきただけなんだ。

…俺はこの部活に入るか入らないかをしっかり考えなければいけない。しかし、そうするためには時間が必要だ。彼女に時間をくれるかどうかを聞いてみよう。

 

駆「…あの、少し考える時間を俺に与えてくれないでしょうか?」

 

ラン「え?何で?入ろうよ〜!」

 

と言いながらラン・ブレイセア先輩は俺の袖を引っ張る。彼女の小さな体型とその仕草はまさに幼い女の子が親に甘える様子だ。

部長であるノア・フルール先輩もラン・ブレイセア先輩と同じ様に理由を知りたいだろう。なので俺はこう言った。

 

駆「1年の俺はこれからの予定を立てたいと思っているからです」

 

セイナ「ふむ…確かに予定を立てないと後の学校生活に支障をきたすかもしれないな…」

 

ノア「天童君とセイナちゃんの言う通りだね。なら、明日の放課後まで決めることは出来る?」

 

と彼女が俺にそう言った。明日の放課後までか…寮に戻ってから考えれば充分間に合うと思う。

 

駆「明日の放課後ですか…わかりました。それまでに決断しておきます」

 

ノア「わかった!じゃあその時にカードも交換しよ!」

 

駆「ではその時にまた会いましょう先輩。俺はもう寮に戻ります」

 

美弥「え?他の人の試合見ないの?」

 

寮に帰ろうと体育館から出ようとする俺に美弘は声を掛けた。

 

駆「…すまない、美弥さん。今日はもう疲れたし、予定も立てないといけないから先に戻るよ」

 

美弥「う…うん、わかった。気をつけて帰ってね!」

 

俺は心配してくれている美弥にサムズアップして体育館から出る。

正直、俺もバトルの観戦をしたかったが、ここまで疲れていたとは思わなかった。

とりあえず部屋に戻ったら少し睡眠をとろう。それからじゃないとこれからやることに色々と支障をきたすだろう。

 

 

 

 

少年移動中

 

 

 

寮の部屋に着いた俺は鞄を自分の机に置き、髪を結んでいるゴムを外して、服を着替えることなく制服のまま自分のベッドにボフッと横たわり目を閉じる。

寝心地がよいこのベッドは直ぐに俺を夢の世界に連れて行ってしまいそうだ。

起きたら色々とやらなきゃいけない事があるけどまずは少しでも身体を癒すために寝るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………小さな爆発音が…聞こえる。それに何か燃えるような匂いが鼻をつく。なんだろう?気になる…起きよう。

俺は目を擦りながら目を開けた。

…すると、辺り一面が炎に包まれている光景が俺の目に飛び込んできた。

 

 

 

突然過ぎたので思考が停止してしまっていた。

 

駆「なんだ…?これは夢か?」

 

俺はそう呟く。俺は今まで寮の部屋のベッドで寝ていたんだ。こんなの夢じゃなきゃおかしいだろう。そして俺立ち上がり、身の周りを確認する。燃えているものは恐らく木材…民家なのだろう。中にいる人は脱出しているのだろうか?

…なんて心配をしている暇はない。これが例え夢であっても身の安全は確保したいだろう。こんな状況なのに冷静に考えていると思っている様だが、内心はかなり焦っている。やはり人間、災害等を想定をして冷静に焦らず避難訓練をしていてもいざ災害が発生したとなると冷静さを欠け我先にと焦ってしまうものだろう。

 

…馬鹿野郎!そんなことを考えている暇があるんだったらその元気な足を動かせ!とにかく今は生きることが最優先だろ!?

 

俺は自分自身にそう言い聞かせ、燃えている街から脱出しようとして走り出す。

周りが燃えているのでとても熱いし、煙が肺に入り息が苦しい上に建物が崩れて、本来通れる道が塞がっている所が複数ある。脱出にはかなり時間がかかりそうだ。

まずいな…体力が無い俺にとってこの状況は最悪だ。

でも俺は生き延びるその一心で走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

駆「ハァハァハァハァ…あ、危なかった」

 

俺は肩で息をしながらここから数メートル離れた草原から夜の暗闇を照らすかのような燃え盛る街を見ていた。

ちなみに今が夜だと分かったのはこの草原に来てからついさっきのことだ。何故ならここに来て落ち着くまで脱出の事しか考えていなかったからだ。

幸い俺が寝ていた場所からま出口は近かったので何とか脱出することが出来たけど服は一部破けている上に土もついていて非常に汚い。

でも生きてるだけマシか…

俺はため息をついてあの街を見続けていた。

 

 

…突然、燃える街の真ん中から赤い光が夜空を切り裂く。俺は空を見上げその赤い光を見る。

そして、その光を追いかけるように紫、緑、青の光が空に舞い上がる。3つの光は一心不乱に空を切る赤い光を何とか押さえつけようとしてぶつかり合っている様だ。しかし、赤い光は3つの光を翻弄している。それほどまでに赤い光の力は強いのか …

俺は正体のわからない4つの物体の戦闘の行く末をただただ見守っていた。

そして、赤い光と3つの光がぶつかった瞬間。轟音が鳴り響き凄まじい衝撃が俺を襲い俺を吹き飛ばした。

ここから街まではかなりの距離があるのにこんなに衝撃が伝わってくる!

俺は吹っ飛んでいる最中、恐ろしさで目を瞑ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…俺が吹っ飛んでからしばらく経つと爆発音や謎の光がぶつかった時の衝撃も来なくなった。

気になった俺は目を開けると部屋のベッドの上に戻っていた。

やはり、さっきのは夢だったのだ。あんな謎が多い夢初めてみた。まぁ夢だし燃える街や4つの光に関して気にする必要は無いな。

俺はそう思いながらベッドから体を起こし部屋の時計を見る。30分くらい俺は寝ていたのか。時間を確認した俺はこれからの予定を立てるために勉強机に向き合い、何も書かれていないノートにこれからの予定を書き込む。

 

この時間はこうで…するとデッキ改良の時間はこの時間帯がいいか?いや、もし部活に入るとなると…

 

美弥「ただいま〜!」

 

駆「お、おかえり美弥さん」

 

突然、部屋の扉が開き大きく声を出した美弥に驚きながら俺は声を掛けた。

 

美弥「駆君〜!何してるの?」

 

美弥は自分の鞄をベッドに置いて、椅子に座っている俺の隣に来る。

 

駆「今これからの学校生活の予定を考えてノートに纏めていたところだ」

 

美弥「そうなんだ!ちょっと見せてくれる?」

 

駆「ん?構わないが、君がこれを見ても特にこれといった得は無いような気がするが…」

 

美弥「別にいいの!」

 

と美弥は俺の予定を書いているノートを覗き込む形で見る。

…顔が近いな。横を見ると美弥の顔がすぐそこにあった。こうして見ているとやっぱり彼女は美人だ。それに隣にいるせいか彼女からシャンプーらしき匂いが俺の鼻をくすぐる。う〜ん、もう少し遠くから見れないのだろうか?やりにくい…

 

美弥「凄い…かなり細かく考えているね!しっかり者だなぁ、駆君は」

 

美弥は俺のノートを見終わってそう言った。

 

駆「そうか?」

 

美弥「うん!私はそう思うよ。あ、そうだ!今日はレイちゃんやT君達と夕食食べるんだけど、駆君も来る?息抜きも出来るしいいでしょ?」

 

ここで俺は美弥に夕食に誘われた。行くべきか?いや、俺にはやることがあってだな…でも息抜きのつもりで行くならいいのかもしれない。

 

駆「わかった。一緒に食べることにするよ」

 

美弥「やったぁ!駆君、ありがとう!」

 

と美弥は大きくバンザイしながら喜んでいる。

 

駆「アハハ…そんなに嬉しいか?」

 

そんな、彼女の姿を見て俺はつい吹き出してしまった。

 

美弥「うん!だって、ご飯は皆で食べた方が美味しいでしょ?」

 

駆「…そうかもしれないな。ところで美弥さん、皆との夕飯の予定は何時くらいなんだ?」

 

なんて彼女はいい子なんだろう…俺はそう思いながら美弥に夕飯の予定時刻を聞いた。

俺の質問を聞いた彼女はは今の時間を確認しようと部屋の時計を見る。すると、彼女の顔は青ざめ、汗をかいている。

 

 

 

 

 

…なんだろう、嫌な予感しかしない。

 

 

 

 

 

美弥「…まずいよ、駆君。約束の時間の5分前だよ!!」

 

ほらね。

 

駆「なら、急いで支度をしよう」

 

美弥「うん!」

 

俺と美弥は身支度をしてから部屋を出て急いで食堂に向かう。

戸締りはちゃんとしているので大丈夫な筈だ。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

急いで食堂に向かった俺と美弥は約束の時間ギリギリで何とか間に合うことが出来た。

さて、約束の人達はどこに座っているのだろう?この時間帯は人が多いから困る。俺はキョロキョロと周りを見渡し探す。

 

美弥「こっちだよ!」

 

突然美弥に引っ張られた俺は転びそうになるが彼女について行く。それにしてもこんなに人が多い中で特定の人達を見つけられるものだ。と俺は感心した。

 

男子O「待っていたよ天野さん。お、天童君も来ていたのか」

 

駆「…あぁ、美弥さんに誘われてな。俺も丁度夕食を取りたいと思っていたから一緒に来た」

 

席にはドルオタ三人衆に加え、レイが座っていた。

 

男子T「なら、早くこっちに座ろう」

 

駆「あぁ、では早速…」

 

俺と美弥は席に座った。

俺の左にはレイ、右にはT。目の前には美弥が座っていて、レイの前にはYでTの目の前にはOが座っている。

 

駆「皆、メニューはもう決めているのか?」

 

レイ「ううん、今から決めるところだったんだよ!」

 

美弥「じゃあメニュー決めてご飯食べよ!」

 

よし、今日は忙しいので手軽なカロリーメイトとレッドブルを頂くことにしよう。美弥ならきっと許してくれる…

 

美弥「あ、駆君。忙しいからってカロリーメイトとレッドブルはダメだよ?ちゃんとご飯食べてね!」

 

と思っていたのだが、先読みでダメにされてしまった。

 

レイ「へぇ〜!駆君ってカロリーメイト好きなんだ!」

 

駆「ま、まぁ…味もいいし手軽だし」

 

美弥に先読みされてしまったからか、かなり動揺している。

 

美弥「分かってるよね!?」

 

と美弥は俺に強く言う。俺はそんな彼女に圧倒されてしまった。

 

駆「…………………あぁ、分かっている」

 

俺はそう応えたが、この反応の仕方はまずいな。墓穴を掘ってしまった様なものだ…

 

美弥「むっ!その反応は当たりの様ね!まったく、貴方の将来が心配だよ!!」

 

やっぱり気づかれるよな…それに加えて説教までされてしまった。

 

駆「…君に心配される程、俺は馬鹿じゃない。大丈夫、ちゃんとしたものを注文するから」

 

俺は彼女にそう応えた。

 

男子Y「ねぇ、天童君と天野さんって付き合ってるのか?凄い仲良さそうだけど!」

 

と突然レイの目の前にいるYが言った。このやり取りを見てそう思ったんだろうが俺と彼女はそんな関係では無い。

そして目の前の本人は「えっ!?」と驚いた後、顔を赤らめてしまった。そりゃ恋とかそういう話になると恥ずかしくて赤くなってしまうのは仕方ないだろうな。

 

レイ「そうなの!?美弥ちゃん!」

 

とレイは興味津々に美弥に問いかけるが何故か顔を赤らめたまま下を向き黙っている美弥。付き合ってないという事実を相手に伝えるだけなのに彼女は何をしているんだ?

仕方ない、俺が代わりに答えるとしよう。

 

駆「違うよ、レイさんにY君。俺と美弥さんはそういう関係じゃ無い」

 

俺は彼らにそう伝えた。第一こんないい子とひねくれた俺が釣り合う訳が無い。彼女は俺よりももっといい人と結ばれる方が幸せになれるんじゃないかと思う。

 

レイ「そうなんだ。凄くビックリしちゃったよ!」

 

男子Y「そっかぁ〜」

 

俺の返答を聞いた2人はそれぞれそう答えた。

…試しにYをからかってやろうか?

 

駆「ところでそんな質問を聞いたってことはまさかY君、彼氏のいない美弥さんを狙っているとか?」

 

俺がYに質問した時、彼は顔を真っ赤にして動揺している。

うむ、実に面白い反応だ。俺は彼の反応を内心ニヤニヤしながら見ている。すると、彼はこう言った。

 

男子Y「ち、ちちち違うさ!ま、まま全く君はな何を言っているんだ!」

 

駆「冗談、からかってみただけだ」

 

と俺はめちゃくちゃに動揺しているYにそう伝える。

 

男子O「ハハハッ!天童君、君も中々鬼畜だね」

 

からかった俺を見てO笑いながらがそう言った。

 

駆「俺はそんなに鬼じゃない。ちょっとした茶目っ気さ」

 

俺はそう答えたと同時にTが皆に問いかけた。

 

男子T「ところで皆メニューは決まりました?私とOは決まっていますが…」

 

そうだ、今は夕飯の時間だ。何を食べるか決めないと…なんてな。俺の夕食は既に決まっているので焦って考えることは無い。

 

男子Y「俺はもう決まっている」

 

レイ「私も決まったよ!駆君は?」

 

2人も決まっていた様だ。

 

駆「俺は決まっているから大丈夫だ。それよりも美弥さん、夕食は決まったか?」

 

レイに夕食は決まったか?と聞かれた俺はそう応え、まだ顔を赤くしている美弥に質問した。

 

美弥「ふぇ?あ…ちょ、ちょっと待ってね」

 

美弥は慌てながらメニューの一覧表を見る。まだYの話を引きずっているのか?と俺は疑問に思った。

 

美弥「き、決まったよ!早く注文しに行こ!」

 

ガタッと勢いよく席を立つ美弥。そのおかげで箸立てが倒れそうになる所を俺が支えた。

 

駆「美弥さん、少し様子が変だが、大丈夫か?」

 

美弥「え?大丈夫だよ。えへへ…」

 

俺の心配は要らないらしく美弥は笑顔で答えた。

 

駆「それならいい」

 

俺も席を立ち夕飯を注文することにした。

 

 

 

 

 

…そして俺達は今、それぞれ注文した夕飯を食べている。

ちなみに俺が注文したのはカルボナーラ。…ふむ、クリーミーなソースが麺に絡んで非常に美味である。これはフォークがすすむ。

 

ズルズルズルルル〜〜

 

駆「ところで、君達3人の勝負の結果はどうだったんだ?」

 

ふと、俺は後の3人の勝負の結果が知りたくなりドルオタ三人衆に聞いた。

すると、3人は肩を落とし暗い表情のまま何も喋らなくなってしまった。

 

レイ「3人とも残念ながら負けちゃったんだよ」

 

駆「そういうことだったのか。すまない…」

 

男子T「後2ノヴァは半端ないって…」

 

あぁ…それは本当に残念だったな。ゲーム開始早々に全ハンデスを食らったらどうしようも無いからな。

 

後2ノヴァ…後攻1ターン目にディアヌスキッズを召喚し、その次のターンにダークヴルムREVIVALを自分のライフを減らしコストを6から3に変更し召喚。そして、ディアヌスキッズの効果でメインステップにダークヴルムREVIVALにジークヴルム・ノヴァREVIVALを煌臨させ、トラッシュのコア回収とライフ回復を行い、ジークヴルム・ノヴァREVIVALのアタック時効果でハンデスするというもの。

流石の俺も生前であの惨劇を見た時、初めてバトルスピリッツはクソゲーか?と思ってしまった。

 

男子O「負けてしまったものは仕方ないさ。天童君、羨ましいけど頑張れよ!」

 

男子Y「しかし、あのノヴァデッキに勝利するとは本当に凄いな!」

 

OとYは立ち直りが早いな。Tに関しては本当に仕方ない…あれは反省の仕様がない。

 

駆「でも、あと一人男子マネージャーの枠が余っているがどうなるんだ?」

 

レイ「もう1人、男の子で見学しに来ていた子が居たんだけど今日は体調が悪くて休みらしいんだって。だから、その子とフルール先輩の勝負が終わるまでO君達も入部出来るか分からないんだ」

 

体調不良の生徒が1人。恐らく俺達の組では無いな。別の組の男子生徒だ。

 

駆「そうだったのか。なら君達もワンチャンスあるじゃないか」

 

T「そうだといいんだけどなぁ…」

 

Tはハイライトの無い目でそう言った。彼にはただ可哀想としか感じられなかった。

 

 

 

その後、俺達は会話を楽しみながら夕食を食べ終わり、それぞれの部屋に戻った。

 

美弥「駆君、詩姫部入るの?」

 

引き続き、今後の予定をノートに纏めていた俺に美弥はそう聞いてきた。

 

駆「あぁ、挑戦という意味でやってみようかと思っているところだ。そう言う美弥さんは?」

 

今までは少し迷っていたがこういう理由で入部してもアリだと思う。

生前の俺が通っていた高校の部活動には入ったことが無いのでこの機会に高校の部活がどういうものなのかを身をもって体験してみよう。

 

美弥「私は元々入部する予定だったから一緒だね!多分、レイちゃんも入部すると思うよ!」

 

駆「そうか、なら俺は君たち2人のアシストもしなくちゃいけないな」

 

美弥「ふふ、頑張ってね駆君!」

 

駆「もちろんだ。でも、もっと頑張らなきゃいけないのは舞台に立ち、ライブを盛り上げる役割を持った君だがな」

 

詩姫部のライブで輝くのは女子達だ。男である俺は舞台裏で皆を支える役目を全うしなければならない。

いわゆる縁の下の力持ちってやつだ。

 

美弥「うん!いっぱい練習してライブを盛り上げれるように頑張るよ!」

 

と意気込む美弥に俺は頷き、ノートに続きを書く。そろそろ終わりそうだな…あ、ジークヴルムREVIVALの準備もしないとな。俺は忘れないように左手の甲に油性ペンでメモした。

 

 

To be continued…

 




次回予告
最後の挑戦者であるその男はとても不思議な人間だった。
立ち塞がるノア・フルール先輩に対して彼が行った戦術は…

次回バトルスピリッツ 欠落

Turn-19 見据える先の勝利へ

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