バトルスピリッツ 欠落   作:蛇マグナ卿

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1ヶ月の時を超え、やっと投稿することが出来た男。マグナでございます。
ちょっとリアルが忙しくなりつつもありますが、頑張って執筆を続けていくのでどうかドラえもんの様な暖かい目で見守ってください!

それではどうぞ!!


Turn-25 心を氷に閉じ込めて

オムライスを完食した俺、そして美弥達はまた勉強に戻り始めた。

その後も積極的にわからない所を聞いてくる美弥に俺は関心し、そして安心した。

学習意欲があるのはとてもいいことだ。彼女の成績も直ぐに伸びるだろう。

 

美弥「えへへ、ありがとう!駆君!これならテストもバッチリかも!」

 

駆「美弥さんの向上心は素晴らしいよ。この調子で続けていけば必ずいい点が取れるさ」

 

感謝してくれた美弥に俺はそう答えた。

 

美弥「うん!私、頑張るね!」

 

駆「さ、続けようか。また分からないところがあったら遠慮せずに聞いてくれ」

 

俺は美弥にそう伝えてペンを走らせる。

 

霊夢「駆と美弥、いつも仲良いわね〜!」

 

駆「そうか?」

 

俺と美弥の会話を見ていた霊夢が頬杖をついて微笑みながら俺と美弥に言った。

 

ダン「本当にいい雰囲気だよ。二人とも」

 

弾も早苗もウンウンと頷いている。そして次に魔理沙は最大級であろう爆弾をこの場に投下した。

 

魔理沙「もしかして、私たちに内緒で付き合ったりしてるのか〜!?美弥〜!」

 

ニヤリとした表情を浮かべながら魔理沙は美弥につっこんだ。

…そのセリフ、前に何処かで聞いたような…

あぁ、あのアイドルオタクの人からだったな。

 

美弥「え……えっ!?ちょ、ちょっと待って!」

 

勉強に集中していた美弥はワンテンポ遅れて驚いた。

 

魔理沙「どうなんだよ〜!」

 

そんな美弥に魔理沙は追い打ちをかけていく。

 

美弥「ちょ、ちょっとそんな、いきなり言われたら…ううううう!」

 

周りの情報処理に対応出来ず、容量が限界に達した美弥が力なくテーブルに突っ伏した。

こういった不意打ちに彼女は弱いらしい。まぁそれもそうだよな。いきなり起こったことを即座に理解し対応するのは簡単なことじゃあない。

 

魔理沙「あ、おーい美弥、大丈夫か〜?」

 

突っ伏している美弥に魔理沙は声をかけるが反応が無い。

 

霊夢「全く、アンタが強引にするから…」

 

そんな魔理沙に霊夢が頭を抱えて呆れている。

 

魔理沙「どうしても気になってさ〜」

 

そしてテヘペロ☆の表情で後頭部をさする魔理沙。

俺が見る感じ、この2人も仲がいいと思う。まぁ、東方projectでは定番中の定番と言えるコンビだからな。

 

早苗「なら、駆さんに聞いてみたらどうです?」

 

魔理沙「確かに!どうなんだ?駆!!」

 

早苗の案に乗った魔理沙がキラキラした目で俺の正面にまで近寄って質問をしてきた。

ち、近い……魔理沙の顔が凄く近い…

俺は彼女の勢いに少し後ろに下がったが逃がすまいとして俺が下がった分近付いて来た。

 

駆「……………魔理沙さん、期待させて悪いけど俺と美弥さんはそういった関係じゃあないんだ」

 

魔理沙「え〜〜〜!!!てっきり付き合っているのかと思ってたんだけどなぁ〜!」

 

駆「でも仲がいいっていうのは否定しない。さぁ勉強を再開だ」

 

魔理沙「ぐぅぅぅ!!勉強ばかりじゃあ流石に辛いぜ…

休憩でバトスピはどうだ?」

 

駆「たしかに勉強ばかりだが、今日はそういう日では…」

 

美弥「私もバトスピしたい!!」

 

駆「み、美弥さんいつの間に復活を…しかし…」

 

いきなりガバッとテンションの高い美弥が起き上がり、便乗してきたので少し驚いた声を出してしまった。

 

早苗「駆さんは真面目過ぎるんですよ!気分転換にやりましょ!」

 

駆「…………わかった。なら今からバトスピだ。皆、外に出てやろう」

 

3人の意見に圧倒された俺は渋々それを承諾した。あぁ、せっかくの勉強会が…

 

霊夢「バトルアーマーを着てやるの?」

 

駆「あぁ、やるからには本格的にしないとな」

 

美弥「やった!!早く!皆いこ!」

 

ダン「バトルになるとテンションが高いな!」

 

美弥の切り替えの速さを見た弾がそう言った。でもバトルになるとテンションが上がるのは美弥だけじゃあ無い。

弾、君もその1人だろ?

 

美弥「それは弾君も一緒だよ!」

 

ダン「あぁ、俺もバトルが好きだから喜んで参加するよ。でもその前に駆と話したいことがあるから霊夢達は先に行っててくれないか?」

 

早苗「話したいこと?来週のバトルの事ですか?」

 

ダン「それもあるけど、とにかく先に行っててくれ」

 

魔理沙「わかった、なら先に行ってるぜ!」

 

 

 

そして霊夢、魔理沙、早苗、美弥の4人は俺の家を出ていった。

リビングに残ったのは俺と弾の2人…

一体なんの話をするんだ?

 

駆「で、話ってなんだ?」

 

ダン「…単刀直入に言うよ。駆はなんで俺のことを知っているんだ?

前々から気になっていたんだ。この学校で知り合うまで俺と君達との接点は無いはずだ」

 

と真っ直ぐな目で俺を見る弾。

 

駆「…なるほど、そういう話だったのか。確かに俺はここで君と知り合う前より君のことを知っている。それは…………………」

 

俺はその訳を話そうとして止めた。もし、仮にこの話をしたとして弾はどう思う?自分が人によって作られた架空の存在で自分の未来、最期さえ決められていたことを今ここで知ったらどうなる?

彼のことを思うならこれは言わない方がいいのか…?

 

ダン「どうした?いきなり黙って」

 

駆「………これは言うべきなのかと思ってな」

 

ダン「?」

 

駆「俺が君を知っている理由を仮に話したとして、君はどう思うのかと考えていた。

君が構わないのなら話すが…どうする?」

 

そういった時彼の顔が暗く、より一層真剣な眼差しをこちらに向けてきた。

 

ダン「……話してくれ」

 

それを聞いた俺は弾にどんなことを言われても受け止めることが出来る覚悟の準備が出来たと理解した。

 

駆「傷つく覚悟は出来たと思って話すぞ」

 

ダン「あぁ…!」

 

一息ついた俺は次のことを彼に話した。

 

駆「まず、俺の外の世界にとって馬神弾、君はアニメのキャラクター。人によって作られた架空の人間なんだよ」

 

それを聞いた彼の真剣な顔が驚きに変わった。

いきなりこんな非現実的な事を言われたら誰だって驚くだろう。

 

ダン「そ、それは本当なのか!?」

 

駆「あぁ、マギサ先生も勿論。コアの光主達、未来世界のバローネ、プリム、ユース…君と共に歩んで来た彼らも君と戦った異界王達も全てが君と同じアニメの中の存在。そしてグラン・ロロ、未来の世界も全てが人が作り出した架空の物だ」

 

ダン「そう、か…俺達がアニメの中のキャラクターならお前が俺を知っているのに理由がつく…」

 

とそう呟いた弾はソファに深く座り込んでしまった。

 

駆「……ショックか?」

 

ダン「あぁ、かなりのダメージだよ…まさか俺が…」

 

駆「残酷なものだな…自分たちが架空の人間でしかもその先の運命さえ決められてしまっているんだから…」

 

ダン「………」

 

駆「だが、気にする必要は無い。架空だったとしても命は命、今ここにいることには変わりないんだ。それにここは忘れ去られてしまった者達が集う楽園なんだ。

だから、君はきっとこの世界で生きていける」

 

ダン「…そう言ってくれると嬉しいよ。なぁ、駆」

 

駆「なんだ?」

 

ダン「忘れられた者達がここに来るってことは、俺はまゐやクラッキー達にも忘れられているって事なのか?」

 

駆「そうだろうな…この世界と外の世界は結界で切り離されているらしいからな」

 

ダン「そうか…………………っ!」

 

弾は歯を食いしばり右手をグッと握りしめた。

自分がアニメの存在だと知り、しかも今まで支え合い戦ってきた仲間達にも忘れ去られている。彼にとってこれはとてつもなく辛いことなのだろう。

 

ダン「駆は…駆は大丈夫なのか?家族に友達に自分のこと忘れられてるのは……」

 

駆「…!」

 

弾からその問いかけをされた時、俺の脳裏に外の世界の彼らが浮かんだ。

二度と思い出したくない相手達、俺も忘れたいと願った相手。

俺は弾から顔を逸らした。今の俺は多分酷い顔をしているだろう。

 

ダン「駆?どうした?」

 

弾はいきなり顔を逸らした俺を心配して声をかけてくれた。

俺はゆっくりと口を開き静かにこう言った。

 

駆「俺は…………いいんだ。あんな人間達に忘れ去られても…むしろ、そうしてくれた方がありがたい。

…望むなら、俺もアイツらをあの世界を忘れたかった」

 

ダン「駆…何があったんだ?」

 

駆「………そうだな、じゃあ君だけにうち明かす。俺の過去を、外の世界での出来事を君に話す」

 

 

 

一方その頃

 

 

 

美弥「ぐぬぅぅ〜!強いなぁ霊夢ちゃん!」

 

霊夢「こっちも防御札が引けなかったから危なかったわ!ギリギリの試合だったわね!」

 

ライフで受けた衝撃で倒れた私に霊夢ちゃんは手を差し伸べてくれた。

 

美弥「今度こそ勝つんだからね!」

 

私は差し伸べられた手を掴んで立ち上がった。それにしてもこんな強い人に駆君勝ったんだよね…本当に凄いなぁ〜!

それにしても駆君と弾君遅いな…どうしたんだろ?

 

霊夢「ねぇ、美弥」

 

美弥「ん?どうしたの?」

 

霊夢「駆と弾、遅くない?」

 

お、さっき思ってたことをここで話してくれた霊夢ちゃん。

タイミングいいね!

 

美弥「確かに私もそう思ってたんだ。じゃあ、私見に行ってくるから、霊夢ちゃん達で次は誰と対戦するか決めておいて!」

 

私はバトルアーマーを解除して駆君の家に向かって走り始める。

 

霊夢「任せなさい!じゃあ美弥の方もお願いするね!」

 

美弥「は〜い!」

 

私は霊夢ちゃんにそう返事した後駆君の家に入ってリビングの部屋のドアを開けようとした時、いきなり駆君の言葉が耳に入ってきた。

 

駆「………そうだな、じゃあ君だけにうち明かす。俺の過去を、外の世界での出来事を君に話す」

 

それを聞いた私はドアノブに手を伸ばすのを止めてドアの横の壁にもたれて聞く体勢をとってしまった。本来なら駆君と弾君を呼ばなきゃならないのに……

さっきの駆君の言葉で寮の部屋で聞けなかった駆君の昔のことをふと思い出した。

あの時、話してくれなかったから凄く気になっていたんだ。「彼の事を知りたい」その気持ちが膨らんで多分、足を止めてしまったんだと思う。

でもこの前の駆君は私に話してくれなかったけど、弾君には話せるんだね…

異性だと相談しにくいのかな?それでも駆君には言って欲しかった…彼の力になれると思ってたのに…

 

 

 

side change

 

 

 

ダン「あぁ」

 

駆「嫌なら途中で言ってくれ」

 

ダン「わかった」

 

俺は彼に外の世界での出来事を全て話した。

父は借金を行い日々暴力と酒と怒鳴り声をあげていたこと。生活を維持しようと頑張る母は毎晩のように泣いていた。家での夫婦喧嘩は絶えることは無かったこと。

それが原因で学校では虐めを受け、クラスメイトと担任教師はそんな俺を助けることなくその光景をただただ傍観していたこと。そして唯一俺を支えてくれた叔母さんが赤信号を無視して突っ込んで来た車と衝突で即死したこと。

度重なる不幸に心が折れた俺がビルから飛び降り自殺を行ったことを…

話している最中に俺は何度か弾の顔を伺ったが彼は真剣な表情で俺の話を切ること無く全て聞いてくれた。

それが少し嬉しかった。辛かったが少し楽に話せたというのがあった。

 

駆「………これで全部だ」

 

ダン「そうか、辛い過去…だなでも死んでしまったお前がなんでここに?」

 

……痛いところをつかれてしまった。

神様の力で転生…なんて事は言えないし、適当に誤魔化すことが出来ればいいんだが…

 

駆「それは言えないお約束ってやつだ」

 

と試しに言ってみる。

 

ダン「そうか…」

 

俺の答えに対し弾は納得した様子で頷き言葉を続けた。

 

ダン「…でも俺はお前に生きていて欲しかったと思う。

お前なら……立ち直ることが出来たんじゃないのか?」

 

駆「……確かに君の受けてきた悲しみに比べたら俺の過去はちっぽけなことだろう。たが、俺には無理だった。立ち直ることが出来なかったから俺は死んだんだ」

 

ダン「……心残りはないのか?」

 

駆「心残りか……産んでくれた母には申し訳ないと最初は思ったさ。あの人はいい人だったからな。でもあの人は父と結ばれるべきではなかった。

俺を…産むべきでは無かった」

 

ダン「駆…!それは言うべきじゃない!!」

 

俺がそういった瞬間、弾はソファから立ち上がり俺の服を鷲掴みにして叫んだ。

 

ダン「自分を否定しちゃダメだ…!」

 

駆「……いやでも否定したくなる。俺は君ほど強い人間じゃ無い」

 

俺は静かにそう言った後服を掴んでいる彼の手を振り離した。

 

ダン「駆……!」

 

駆「………やはり、この話は言うべきじゃ無かった」

 

 

 

side change

 

 

 

駆「………これで全部だ」

 

美弥「駆君…」

 

私は…あの話を駆君の過去を全部聞いてしまった。

…悲しくて悔しくて、私はスカートをギュッと握り締めて聞いていた。途切れ途切れの話し方に声が少し震えていたのもあって本当に辛かった事なんだと思った。

駆君はきっと私が悲しくなってしまうことが分かってたから言わなかったんだ。自分の事で相手に辛い思いをさせたくなかったからなんだ…

 

ダン「……心残りはないのか?」

 

駆「心残りか……産んでくれた母には申し訳ないと最初は思ったさ。あの人はいい人だったからな。でもあの人は父と結ばれるべきではなかった。

俺を…産むべきでは無かった」

 

美弥「!!!」

 

弾君の問いかけに答えた駆君が発した言葉は自分が自分に言ってはいけない言葉だった。

確かに駆君は辛いことばっかりで心が折れちゃうかもしれないけど、それでも…自分自身を全否定したらダメだよ…!!

私は今、初めて駆君に対して真剣に怒ってる。自分を大切にしない駆君に。

 

美弥「駆君、そんなこと言っちゃ…

 

ダン「駆…!それは言うべきじゃない!!」

 

えっ?」

 

私が駆君に話しかけようとリビングに入ろうとドアノブに手をかけようとした時、ドタドタと騒がしい音がリビングから響いて私はビックリしてその手を引っ込めた。

え?なに、何が起きてるの?

 

ダン「自分を否定しちゃダメだ…!」

 

騒がしい音が治まった直後に弾君が駆君に必死に訴えかける声が聞こえた。

たぶん、あの騒がしい音は弾君が駆君にかけよった時の音なのかな?分からないけど…

 

駆「……嫌でも否定したくなる。俺は君ほど強い人間じゃ無いんだから…」

 

そして、強く訴えかける弾君に対して駆君は冷たく、弱々しい声でそう言った。

駆君のあんな声、初めて聞いたよ…

私も辛くなってしまったのか目から涙がポロポロと流れ落ちている…もう、こんなんじゃ2人を呼びに行けないよ…

 

 

 

side change

 

 

 

駆「………やはり、この話は言うべきじゃ無かった」

 

俺は一言、呟いたあとリビングのドアを開けて部屋を出た。

 

美弥「あ、駆君…」

 

すると、ドアの目の前に美弥さんが立っていた。

 

駆「ん?…美弥さん、そんな所に突っ立ってどうしたんだ?」

 

美弥「あ…!あの、駆君と弾君中々出てくれないからどうしたのかな?って思って、来たんだ…」

 

俺の質問に対して少し戸惑った様子を見せた美弥はそう答えた。

あぁ、そんなに待たせてしまっているのか…後でみんなに謝らないとな。

 

駆「…そうか。丁度、話が終わった所だ。弾君はまだリビングの中だから呼ぶなら中に入ってくれ…っておいおい、スカートがくしゃくしゃに乱れているじゃあないか。ちゃんと綺麗にしておかないとダメだろ?」

 

俺は彼女の乱れてしまっているスカートを指差して注意した。

 

美弥「えっ……あ…!そうだね…」

 

と不安定な反応する美弥。いつもと様子が変だな。

こんなに元気の無い彼女を見たのは初めてかもしれない。

それに顔に涙の跡がある…彼女、いったいどうしたのだろうか?聞いてみよう。

 

駆「…いつもの元気が無いな。何かあったのか?」

 

美弥「……うんん、何でもないよ駆君。アハハ、恥ずかしいところ見せちゃったな…」

 

俺の問いかけに対して美弥はそう言った。

 

駆「そうか………誰だって話したく無いことは1つや2つあるさ」

 

美弥「駆君、ありがとう…!あ、弾君呼ばないといけないね」

 

駆「そうだな…おーい、弾君!!」

 

俺はリビングにいる弾を呼んだ。

 

ダン「あぁ、準備は出来てるよ。さぁ、バトルしに行こう…!」

 

少し控えめに答えた弾。さっきの話のせいだろう。無理もないか…

 

美弥「うん!」

 

そして、俺と弾と美弥は家の外に出た。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

魔理沙「もう!遅いぞ〜!」

 

俺、美弥、弾の3人が玄関から出た瞬間、魔理沙が頬を膨らませながらズカズカと歩いてきた。

そんなに待たせていたのか…

 

美弥「ご、ごめんね!ちょっと長引いちゃってたらしくて…」

 

魔理沙「そうだったのか…でもいいや、これで皆とバトルができるようになったな!」

 

駆「所で組み合わせはもう決まっているのか?」

 

早苗「それなら私達が既に決めてますよ!駆さんの相手は私です!よろしくお願いしますね?」

 

霊夢「ちなみに弾の相手は私よ!」

 

駆「そうか…なら早苗さん、対戦よろしく頼む。弾君も健闘を祈るよ」

 

ダン「ありがとう…駆。始めよう霊夢!次も勝たせてもらうぞ!」

 

魔理沙「よし!私の相手は美弥だぜ!」

 

美弥「うん!私、絶対負けないからね!!」

 

俺達はそれぞれの対戦相手を決めた。俺を含め皆気合い十分の様子だ。

俺は早苗との対戦の為コアケースからソウルコアを取り出す。

 

駆「バトルアーマー……オン!」

 

ソウルコアを握りしめ静かにそう呟いたと同時に俺は漆黒の装甲を身に纏った。

戦う準備は出来た。俺は空中に向けてバトルアーマーのブースターを吹かせた。

 

 

 

そして時間は進み…

 

 

 

現在、日が沈み、月が出始める頃。十分バトルを楽しんだ俺達の勉強会はついに終わりを迎えることになった。

 

早苗「今日はとても楽しかったです!ありがとうございました!」

 

霊夢「またこういうのやりましょ!」

 

魔理沙「絶対やろうぜ!みんな、またな!」

 

弾「今日は楽しかったよ!また来週会おう!」

 

と4人は言い、それぞれの帰る家へ向かって歩いていく。

 

美弥「みんな、また学校で会お〜!」

 

駆「夜道には気を付けて帰ってくれよ」

 

そしてその4人を俺と美弥が見守る。

…ん?何故美弥がここに居るんだ…?

1度聞いてみよう。

 

駆「…ところで、なんで美弥さんがここに居るんだ?帰らないのか?」

 

美弥「じ、実はね……」

 

と聞いてみたら彼女は何故か顔を赤くして言いにくそうにモジモジしている。

 

美弥「う、うっかり家の鍵学校の寮に忘れてきちゃった…」

 

そして俯きながら小さな声でそう言った。

 

駆「全く、出発する時に大丈夫か確認したのに…どうするんだ?」

 

美弥「ど、どうしよう…アハハ…」

 

駆「暗くなってきているし、今更鍵を取りに行くというのも危険だ。仕方ない…一晩、泊まっていくか?」

 

美弥「え、いいの!?」

 

彼女は目をキラキラさせながら俺を見つめてきた。

 

駆「あ、あぁ…女性用の下着は無いが、ジャージなら貸せる。ベッドもあるし特に問題は無い」

 

美弥「ありがとう、駆君!」

 

美弥は満面の笑みを浮かべて俺に感謝してくれた。

こんな女の子を家から追い出して野宿させる訳にもいかないし今夜だけだ。彼女には明日、寮に鍵を取りに行ってもらう事にしよう。

 

駆「さぁ、入ってくれ。そろそろ夕食の時間だ。準備をし始めないとな…」

 

美弥「何作るの?駆君!」

 

駆「そうだな…君の好きな料理はなんだ?」

 

美弥「私の好きな食べ物…ハンバーグ食べたいなぁ〜」

 

駆「ハンバーグか…分かった。なら、今日はそれを作ろう。早速取り掛かる」

 

美弥「やった!!私の大好きなハンバーグだぁ!」

 

駆「相変わらずテンションが高いな。でも君にも少し手伝ってもらうぞ?」

 

美弥「わかった!任せてよ!」

 

そんな会話をしながら俺と美弥は家の中に戻り、料理の準備に取り掛かる。

 

駆「ちなみにいつ鍵を忘れたのに気がついたんだ?」

 

美弥「部屋で帰る準備をしていた時かな…アハハ」

 

駆「そ、そうか…」

 

俺も美弥も苦笑いしてエプロンを付ける。

 

駆「じゃあ、俺はメインのハンバーグを作るから美弥さんは野菜を切って盛り付けてくれ。

わかっていると思うが、包丁を扱う際は猫の手を意識して野菜を持つんだぞ。安全第一、怪我はくれぐれもしないようにな」

 

美弥「猫の手だね!ニャンニャン!」

 

と美弥は両手を猫の様な形にしてポーズをとる。

 

駆「……本当に大丈夫だろうな?」

 

結構マジな話のつもりだった故にこういう返しをされるとは思わなかったので心配の意味を込めて俺は彼女にそう言った。

 

美弥「だ、大丈夫だよ!というか駆君!少しは乗ってくれてもいいんじゃないかなぁ!?」

 

俺の心配に対して美弥は頬を膨らませてそう言った。乗ってくれてもと言われてもどう反応すればいいか分からないんだよこっちは…

 

駆「…と、取り敢えず料理開始だ。頼んだぞ」

 

なんというか、出端を挫かれてしまったが俺達はそれぞれ担当を決め料理をスタートする。

ハンバーグか…手間は少し掛かるが慣れれば簡単なものだ。とは言っても最近作ってない。久しぶりに作るから味に自身は無いな…果たして美弥に満足してもらえるハンバーグを作れるのだろうか?

俺はそう思いながら挽肉やパン粉、牛乳、その他調味料の入ったボウルに手を突っ込みそれらをこね合わせ、3~5等分に分ける。

それが出来たらフライパンに並べ中火で焼く。表面が丁度いい色になってきたら1度ハンバーグを取り出し、フライパンにトマト缶のトマト、しめじを入れて煮込みはじめ5、6分たったらさっきのハンバーグを加え弱火で尚且つフライパンに蓋をし、さらに煮込む。

少し待つので美弥の進み具合をチラッと見てみよう。

 

美弥「フンフフフ〜ン♪」

 

鼻歌を歌いながらトマトをカットしてくれているようだ。

楽しんでいるようで何よりだ。

 

駆「こちらも、いい頃合いか…」

 

フライパンの蓋を開ける。その瞬間、トマトのいい香りが部屋に広がる。

中にはグツグツと煮込まれたハンバーグが出来上がっている。

 

美弥「わぁ〜!いい匂い〜!」

 

駆「見た感じ出来はいい。美弥さん、野菜は切り終えたか?」

 

美弥「タイミングいいね!こっちも出来てるよ!」

 

と綺麗にカットされた野菜を俺に見せ、ふふーん!とドヤ顔をしている。

 

駆「なら、盛り付けに入ろう。済まないがテーブルの後ろの棚、上から2段目に食器があるから持ってきてくれないか?」

 

美弥「うん!」

 

美弥は言われた通り食器を持ってきてくれた。

 

駆「ありがとう」

 

皿を受け取った俺はその皿に煮込まれたハンバーグとしめじの煮込みスープをその上にたっぷりとかける。

そして美弥さんが切ってくれた彩り野菜を盛り付けて完成だ。

 

駆「これで完成だ」

 

テーブルに自分と美弥の分を置き、冷凍庫から小分けにして置いておいた丸パンを取り出し自然解凍させる。

 

美弥「お、丸パンだ!駆君ひょっとしてパンも作れるの?」

 

丸パンを解凍させている所に美弥が興味津々に聞いてきた。

 

駆「いや、パンは流石に作れないな…これは買ってきたものだ。今日はこれもいただくとしよう」

 

そして、解凍させた丸パンを数個オーブンに入れて3〜4分ほど低温で焦げないように焼く。

その間食器フォーク、ナイフなどの食器をテーブルに並べていく。

 

駆「美弥さん、飲み物は自由に選んでくれて構わないぞ」

 

美弥「駆君ありがとう〜!じゃあ駆君の分も出しておくね?」

 

駆「あ、あぁ。ならコーヒーを頼む。後はパンの用意だけだから美弥さんは先に座っていてくれ」

 

美弥「うん!」

 

飲み物を俺の分まで用意してくれた美弥に感謝しつつ、オーブンから取り出した丸パンを更に盛り付けてテーブルに持っていく。

 

駆「これで準備は終わったから早速食べようか」

 

美弥「そうだね!じゃあいただきます!」

 

そう言うと美弥は煮込みハンバーグを一口サイズに切り分け口の中に入れる。

 

美弥「はむ…う〜ん!美味しいよぉ〜駆君!」

 

美弥はハンバーグの美味しさのあまりにとろけるような顔になってしまっている。

 

駆「どうやら大成功のようだな。なら俺もいただきます」

 

ハンバーグをナイフで切った瞬間、中から肉汁が流れ出てくる。

そして煮込みソースのしめじと合わせて口に入れる。

うむ、トマトの煮込みソースの甘みと酸味に加え柔らかく口の中でとろけるハンバーグの旨みが見事にベストマッチしている。

美弥が美味しそうに食べてくれて俺の方は満足だ。

 

駆「食器の方は後で俺が洗って片付けておくから、美弥さんは先にお風呂に入ってくれ」

 

そういった時、美弥は食べる手を止めて申し訳なさそうにしてこう言った。

 

美弥「ありがとう…ここまでしてくれて、何だか申し訳無くなってきちゃったよ」

 

駆「遠慮はするな。それに、こんな暗く危ない外を君1人で野宿させる訳にもいかないだろ?ほら、早く食べないと君の大好きなハンバーグが冷めてしまうぞ?」

 

美弥「うん…!!」

 

美弥は申し訳ない顔をから一転、満面の笑顔でハンバーグを頬張り始めた。

俺も冷めないうちに食べ尽くしてしまおう。ハンバーグの美味さ故に食欲が増した俺は食べる手を休める事は無かった。

 

 

 

そして食事も終わり、美弥も俺もお風呂に入り寝る時間になった。

 

駆「俺の部屋に行こう。一応寝室のだからな」

 

美弥「ね、ねぇ駆君…」

 

俺が自分の部屋に行こうとした時、美弥に呼び止められた。

一体何の用だろう?

 

駆「どうした?」

 

美弥「あ、あの時…私が駆君を呼びに来た時あったよね」

 

駆「あぁ、廊下で鉢合わせた時の…

その時に何かあったのか?」

 

美弥「そ、その時聞いちゃったの…駆君の昔のこと」

 

美弥は言いにくそうに小さな声でそう言った。まさかあの会話が弾以外にも聞かれていたとはな…

 

駆「!!……そうか」

 

美弥「ごめんね…隠れて聞いちゃってて、その事で言いたいことがあるんだ」

 

まぁ聞かれてしまっては仕方の無いことだ。それよりも美弥が俺に言いたいこと…俺のここに来る前の話のことに、ついてか…

 

駆「それで、言いたいことって何だ?」

 

美弥「駆君、自分は生まれなきゃ良かったって言ってたよね…でもそんなこと言っちゃダメだよ!弾君も言ってたけど、貴方は自分の事もっと大切にしてよ!!確かに駆君の過去は辛かったけど…それでも、それでも…!」

 

美弥は涙目になりながら真剣に語りかけて来てくれる。だが…

 

駆「美弥さん、残念だけどそれは本当に体験した人にしか分からないことなんだよ。自分がいかに愚かで生きる価値のないと存在ということを嫌でも思い知らされてしまうんだよ」

 

バチン!!

 

といった音がなったその数秒後、俺の左頬に衝撃と痛みが走った。

俺は美弥に叩かれているのだ。

 

美弥「う、うぅ…ぅぅ…」

 

俺は驚いて彼女を見た。彼女は泣きながら俺を見ていた。

 

駆「美弥さん、いきなり何を…」

 

俺は叩かれた左頬を抑えながらそう言った。

 

美弥「嫌い!自分の事大事にしない人なんて大嫌い!!なんで?なんでなの!?貴方にとって自分は生きる価値のない人間だって思っていても、貴方を大切だと思ってくれている人は貴方の叔母さん以外にも絶対にいるよ!!その人が…残された人が貴方が自殺したのを知ってどう思っているか考えた事ある!?」

 

美弥は涙を流しながら必死に俺に訴えかけた。だけど、俺の心には響かない。何故なら俺を大切に思ってくれていた人は叔母さんしかいないからだ。

 

駆「…なら俺の事を大切に思っている人がもし叔母さん以外にいるのならどうしてその人は俺を助けてくれなかったんだ?」

 

美弥「そ、それは………」

 

駆「残念ながらいないってことだ。あの人以外に俺を大切にしてくれたのは…それが何よりの証拠だ」

 

美弥「もう、もう知らない…駆君なんて」

 

諦めてしまったのだろう。彼女は小さくそう言って俯いてしまった。

 

駆「…好きにすればいい。俺にとって君の俺に対する評価はどうでもいいことだ。俺はもう寝る、好きなタイミングでベッドに入れよ」

 

美弥「うぅぅ…ぅぅああ…」

 

泣き崩れた美弥を横目で見て俺は自分の寝室に入り、敷布団の準備をして眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはりあの時、あの話をするんじゃ無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の心に閉じ込めておくべきだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued………




次回予告
約束バトル。
目的はくだらないけど。
昔から1度でもいいから対戦してみたかった。

テレビ画面に映る本物の憧れと

次回、バトルスピリッツ欠落

Turn-26 ブレイブ✕ブレイヴ

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