…なんだか眩しいな、一体なんなんだ?俺は眩しくて目をゆっくりと開ける。そうか、カーテンの間から光が漏れて俺を照らしていたんだ。ということは朝だ、起きよう。俺はベットから身体を起こす。そういえば今日は肝心の入試の日だ。俺は受験会場に行く為の準備を初める。生前の世界で着ていた制服も女神様が用意してくれていたのだろう。それを着て一通り身だしなみの準備は済んだ。次は鞄に今日使うデッキが入ったケースを入れる。教科書は…一応最後の確認として持っていくか。俺は5教科の教科書を鞄に入れ家を出た。そして、マップを見ながら受験会場のある人里に向かう。昨日は教科書を読んでいただけなのでテストで良い点数を取れる自身は無いけど、やれることは最大限にやっておこう。
〜少年移動中〜
…俺はここから徒歩29分ほどかけて人里のバトルアカデミアの試験会場に到着した。そして早速受験するためのエントリーを受け、俺は会場に入る。会場は俺が生前の世界で生きていた時の現代感溢れる会場だ。俺は会場の時計を見た。入試の始まる時間にはまだ余裕があるので俺は鞄の中の教科書取り出し、赤字や濃く書かれた重要な箇所を読んだ。
しばらくして俺はまた時計を見た。時計の針は入試の開始時間の5分前を指していた。俺は教科書を鞄に入れ戻し、落ち着く為に深呼吸を1度した。そして、俺が通った人里の風景を思い浮かべた。
…その人里は一言で言うなら和洋折衷。原作の人里より少し発展していて、とても良い雰囲気だった。むしろこれは人里と言うより、都市なんじゃないか?と感じた。
すると試験監督官が会場にやってきた。その試験監督官は入試の詳細を説明し、問題用紙を配り始めた。俺の運命が決まるテストが始まった。緊張感とアドレナリンが混ざりあった状態で俺は問題に目を向けペンを走らせた。
少年テスト中
試験監督官「そこまで!問題用紙と回答用紙を集めます」
これで最後の科目、バトルスピリッツの科目が終わった。筆記の難易度は高校受験の時とあまり変わらなかったがバトルスピリッツの筆記は楽勝過ぎた。内容はターンシークエンスや、効果処理の順番にフラッシュタイミングの順番など基本的なルールの筆記だったので試験終了の15分前には全ての解答欄に解答が埋まっていた。
筆記テストを終えた俺は緊張が抜けてふぅ…とため息が出てしまった。そして俺は体を伸ばしてリラックスした。
ふいに校内放送で実技テストを行う放送が会場内に流れた。実技試験の会場は試験監督官が大体育館と説明していたな。俺は大体育館に移動する為に筆記用具を片付け試験会場を出て、大体育館へと足を進めた。 俺は学校を見ながらバトルアカデミアはもの凄い広さだと感じた。何故なら大きなドーム状の体育館があるんだ。これがこの学校の大半を占めている。これ程大きな体育館は生前の世界ではないだろう。俺はこの学校の広さに驚きながらそのドーム状の体育館に入った。
またもこの世界は俺を驚かせた。体育館はまさにバトルスピリッツをするためだけに作られた構図となっていた。観客席も多く、例えるならサッカースタジアムが相当する。そして、受験者はバトスピのアニメで見たような鎧を身にまとい宙を浮いている。同様に試験官も受験者と対面するように鎧を纏って浮いている光景が俺の目に入ってきた。
駆「こんな非現実的なことが…夢を見ている様だ。」
ふと、俺の口からそんな言葉が出てきた。今まで、アニメで散々見てきて少し憧れを抱きつつも、そんなことは出来ないと諦め、現実を見ていたんだ。驚くのは無理はない。
?「凄い…本当にアニメで見たようなバトルアーマーだね」
俺の隣から声がしたのでそちらに視線を向ける。
薄いピンク髪色でサイドテール。ピンク色のブレザーにミニスカート…更に黒いオーバーニーソックスで美しい脚を強調している。
こんな所まで分析するともはや変態なのでは?と思われがちだが、勘違いしないで欲しい。単に観察眼があるだけであることを知っていてくれ。すると隣の女子と目が合った。何を話して良いのか分からないから彼女から目を逸らした。すると隣の彼女から話しかけてきた。
?「もしかして、私と同じで外からやって来たのですか?」
駆「……え?あ、あぁ」
あまり人とのコミュニケーションをとっていない俺は戸惑いながら女子の質問に対して答えた。
?「そうなんだ!良かったぁ…私だけだったら不安で仕方無かったんです」
と、女子は安心した様子で胸を撫で下ろす。なるほど、様子から察するに彼女も幻想郷と違う世界からきたのか。手段は神様による転生、転移と思われるが、そうなった要因は分からない。まして直接聞くなんてそんなデリカシーもクソも無いことは断じて出来ないし、それを知ったところで俺にそこまで得はないだろう。
駆「は、はぁ…」
駄目だ、会話が成り立たない。もっと俺にコミュニケーション能力があれば良かったのだが生憎ここ最近では女神様以外としかコミュニケーションを取っていないので慣れていない。
美弥「あ、自己紹介忘れていました私、天野(あまの)美弥(みひろ)といいます」
駆「駆、天童駆といいます。よ…よろしく」
美弥「よろしくね!駆君!」
と天野美弥は元気いっぱいに明るい笑顔を俺に見せる。まさか初対面の俺をいきなり名前で呼ぶとは思わなくて驚いている。彼女はそういうのに関しては少しAboutなのだろう。
美弥「それにしても、凄いよね。アニメ、バトルスピリッツダブルドライブのバトルアーマーをみんな纏っているよ。常識じゃ考えられないよね!」
と彼女は会話を進めてくれる。もし彼女があまりコミュニケーションを取らない性格の女性なら、多分この会話は続いてないだろう。俺は彼女の積極性とコミュニケーション能力の高さに感謝しつつ彼女の話を聞く。
?「フフフ……この幻想郷に外の世界での常識は通用しませんよ?」
すると、後ろから声がしたので俺と天野美弥は同時に振り返る。そこには、緑色のロングの髪に可愛らしいカエルの髪飾りを付けた。女性が座っていた。そして、その女性の目はキラキラと光っていた。
早苗「あ、いきなりで申し訳ありません。私は東風谷早苗といいます。 よろしくお願いします!」
と東方Projectの中でもかなりの知名度の高いキャラクターである東風谷早苗が自己紹介をしてくれた。
美弥「私は天野美弥!よろしくね、早苗ちゃん!」」
駆「俺は…天童駆。…よろしく」
俺も天野美弥も自己紹介を行う。にわかだが、一応有名な東方キャラクター数人は知っている。すぺるかーど?夢想封印とマスパしか知らないな。他に何かあったかな?
早苗「あ!二人ともあそこ見てください!馬神弾ですよ!」
と俺が考え事をしている時に東風谷早苗は第2バトルステージを指さしている。あの赤い髪、黄金色のバトルアーマーはアニメ、バトルスピリッツブレイヴを思い浮かばせるものだ。そして実体化し、天高くに咆哮をする太陽龍ジーク・アポロドラゴン。
まさに異界王を倒した激突王であり、未来の世界を救ったブレイヴ使いの馬神弾だ。何故ここにいるのかはわからない。俺の勝手な推測だが、アニメの最終話にて未来の世界で消滅した彼に何らかの影響が及んでこの幻想郷に転がり込んだのだろう。
この幻想郷は何でもアリだな…俺は呆れていた。
しかし、逆に考えると後に馬神弾、彼との対戦が可能なのでは?よもや、生きている中(1回は死んでいる)でアニメキャラクターとの対戦が出来る可能性があるとは思ってもいなかった。
ピンポンパンポーン
とアナウンスが体育館内に流れた。
アナウンサー「受験番号444の天童駆君、間もなく実技試験が初まりますので、第5バトルステージに来てください」
ピーンポンパンポーン
ここで、俺の指名がやってきた。444と不吉な受験番号に俺は苦笑いをする。俺はデッキを持って指定された第5バトルステージに移動する。
二人から応援を貰い、俺はそれに頷いた。
さて、俺のデッキとプレイングがどこまで通用するか、楽しみだな。
To be continued……
次回予告
初めての体験というのは、非常に興奮すると同時に不安が募るものだ。
実体化したスピリット達の咆哮、砕けるライフの音、身体を貫く痛み、この楽園のバトルスピリッツはまるで自らの命を賭けるかの如く過酷なものであった。
…無慈悲な攻撃がフィールドを駆け抜けた。
バトルスピリッツ 欠落
Turn-4 鳴り止ま無い砲撃音