ステンドグラス   作:ポタージュスープレックス

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原作14~13年前

 トムさんが作るはずだった海列車は、俺の手によって歴史が書き換えられ、消滅した。 

そう思っていた。

 

 どうも違うらしい。

 

 ONE PIECE(ひとつなぎ)のこの世界に置いて、書き換えた歴史は関係性が変わってまた生まれるようだ。

 ONE PIECE(原作)の歴史においては、それぞれが絡みつき、全てが繋がっている状態、“ひとつなぎ”となっていて、ONE PIECE(一つのピース)を変えた程度では強靱な結びつきはほどけない。

 

 ただ、この場合死ぬ運命だったオルビアやステラはどうなるのか。俺が改変して作り上げた“ガラスの海賊団”はどうなるのか。

 疑問は募るばかりだ。

 

 そうは言っても、トムさんの作るはずだった海列車は、形や経歴こそ違うものの、完成していた。

 直接干渉しても何も変わらない。それしかわからなかった。

いつ死ぬかも分からないオルビアやステラ……俺の“海賊団”を守るためには“一つ(・・)のピース”だけじゃあダメだ。

 

 それこそONE PIECE(ひとつなぎの大秘宝)を手にしない限り。

 

 

 

半年が過ぎた。

 

 

 

M・C(マリンコード)01746……。『海軍本部』ロシナンテ中佐……。ドンキホーテ海賊団(ファミリー)船長ドフラミンゴ……。

 

お前がこの先、生み出すであろう惨劇を止めるため…潜入していた。

 

俺は『海兵』だ。」

 

 コラさんは自らの兄…ドフラミンゴに銃口を向ける。

 

 ローが入ってる宝箱に合図をするコラソン。

 

「ウソをついて悪かった……」

 

 俺に向けて言っているのだろう。

 

 

「お前に嫌われたくなかったもんで……!」

 

 知ってる。そんなことは……。

 

「今頃何言ってるんだ! そんな事とっくに知ってるよ……!」

 

 咄嗟に言葉が出た。でも伝わることはない。

 さっきコラさんが俺の帽子に付けた“凪”のせいで、どんなに張り上げても俺の声は届かない。

 

 

「……? つまらねぇ冗談言ってねぇで、質問に2つ答えろ!オペオペの実はどこだ!ローはどこだ!」

 

 どちらもここ。コラさんの背中、樽の中。俺だ。

 

 途端に怖くなった。声が出ない。仮に出てもドフラミンゴには聞こえないわけだが。

 

「オペオペの実は……ローに食わせた、あいつはもう能力者だ。……今頃は“鳥かご”の外だろうさ 。“海軍本部”の船に保護されてる頃だ。もう手だしはできねぇ」

 

「若様!確かにさっき”少年を保護”と海軍が通信を……」

 

 ベビー5の声がする。

 

「なぜ早く言わねェ!」

 

「ローのこととは……」

 

 俺はここにいる。何の偶然だろうか。

 

「確認を急ぐぞ! “鳥かご”を解除する、出航の準備だ! 事実なら、海軍の監視船を沈めてローを奪い返す!」

 

「よせ……。ローを追ってどうする……」

 

「ローをどうするだと?……オペオペの実を食ったなら、おれの為に死ねるように教育する必要もあるな!」

 

 背筋が凍った。そんなのは嫌だ。折角コラさんのお陰で治ったんだ。

 

「まったく余計な事しやがって。なぜおれの邪魔をするコラソン!なぜおれが実の家族を二度も殺さなきゃいけねぇんだ!」

 

 カチャリ、と銃口を向ける音がする。

 

 おいコラさん……大丈夫か?

 

「お前におれは撃てねェよ……お前は父によく似ている」

 

 大丈夫だって言ってたよな。コラさん……。

 

 ついさっきの会話を思い出す。

 

『いいか、ロー。海賊ってのは宝箱を見ると、必ず自分の船へ持ち帰る。つまり、ここにいれば必ず外へ出るチャンスがくる!それを逃すな!』

 

『コラさんは?』

『バカ……ドフィの狙いはお前と“オペオペ”の能力だ。……それにおれはドフィと血を分けた兄弟。そりゃブチ切られるだろうが……殺されやしねぇさ』

 

『“凪”』

 

『“お前の影響で出る音は全て消える”の術だ! じゃ……となり町で落ち合おう」』

 

 

『おいロー』

 

 

『愛してるぜ!』

 

  あの下手な笑顔を見て、とっても安心した。もっとコラさんと喋りたくなった。樽の中でも不安にならなかった。

 

 なのに……約束が違うよ!殺されないって言ったろ!

 

「ローは、お前に従わねぇよ。3年後に死ぬって運命にあいつは勝った……自分を見失い狂気の海賊の元へ迷いこんだあの日のローじゃねぇ」

 

「破壊の申し子の様なお前から得るものは何もねぇ!もう放っといてやれ!あいつは自由だ!」

 

 ドンッ!ドンッ!

  撃たれた音がした。

 

 俺が死ぬわけでもないのに何故だかコラさんとの思い出が走馬燈のように蘇る。

 

 

『もう一度言ってみろ!誰がモンスターだ!』

 医者に殴りかかるコラさん。

 

『わー転びながら燃えてる!』

 すっころんでタバコの火が燃え移り、火だるまになるコラさん。

 

『な?安眠できただろ?』

 ナギナギの実の素晴らしさを説くコラさん。

 

  ドサッ……という音がした。それはまるで、コラさんが倒れたような。

 

 

 

 

 自分が死んだらローに掛けた“凪”が解けてしまうので、最期まで気を強く。

 

 宝箱から出てドンキホーテ海賊団(ファミリー)の海賊船から泣きながらはなれていくローが見えた。

 

 まだ凪の効果があるので、ローの泣き声は気がつかれていないようだ。

 

 ロー……。もうお前を縛るものはなにもない。

 

“白い町”の鉄の国境も……。短かった寿命も。

 

 誰もお前を制限しない。

 

──────意識が途切れそうなそのとき。

 

 目の隅っこに武装色の塊が高速飛行しているのが見えた。

 

 

 

 

 

 ──────もう目を覚ますことはないな、と思っていたが、“次”があったようだ。目を向けると、見慣れたまだら模様の帽子を被った少年と、その横にいる青年がいた。こっちは知らないな。いや、どっかで見たことはあるな。……それより。

 

 

「ロー!無事だったのか!よかった!」

 

「こっちの台詞だコラさん!よかった!間に合った!」

 

 間に合った?そう言えば俺は二回も撃たれた。武装色も使えない為、俺は常人と耐久力が変わらない。

 何故生きているのだろうか。

 

「それに関しては俺が説明しよう」

 

 ローの隣にいた青年が口を開いた。よくよく見ると、あの悪名高い“海賊”、スライド・グラスだった。

 

「言っておくが、お前を治療したのはこいつだからな。オペオペの実の能力者がいて本当によかったよ」

 

「そうなのか?」

 

「ああ!こいつの言うとおりに能力を使ったらコラさんが生き返ったんだ!生きててくれてありがとう!」

 

「こちらこそありがとう。そうか……ローが……。

……それで……スライド・グラス、なんの真似だ?俺は海兵だ。そして俺は瀕死だった。それを“能力を取得したばかり”のローに治させて……どうやったんだ?」

 

「助けたことについてはただの趣味だ。なんで能力取得したてのローに治させることができたのかっつーのは、以前俺の仲間だった船医がオペオペの実の能力者だったからっていうだけだ。ラッキーだったな」

 

 なんだこいつは。説明下手か。

 

「とにかく命の恩人なんだよな。何か恩を返せるようなことはあるか?」

 

「そうだな……。じゃあ……」

 

 

◆海軍本部のとある一室

 

 

「無事だったか……!ロシナンテ……!」

 

 帰ってきたロシナンテに対し、泣いてひっつく白髪アフロのおじさん(センゴク)

 

「……はい。おかげさまで。で、その……」

 

「あぁ、海賊に助けられたんだってな。しかもあのグラスに」

 

「はい、それで」

 

「ああ、奴はどんな見返りを求めてきたんだ?」

 

「それが……その、何も……。どんなお返しをしたらいいんでしょうか」

 

「うぅむ。スライド・グラスか……。連絡は取れるのか?」

 

「はい、一応……。」

 

「うむ。………仕方ない、これを渡してこい」

 

「なんですか?これ」

 

 コラソンがそれを広げて見ると、大きくて四角いハンコを押したような模様が付いていた。

 

 胃薬と思わしき粉を一掴み口に突っ込み、センゴクは一言。

 

「海軍の極秘機密だ」

 

 コラソンはわかっていないが、これは“ロードポーネグリフ”。世の中では“カイドウ”と“ビッグ・マム”以外に所有しているものは知られていないが、極秘で海軍が回収していたのだ。

 

「いいんですか?こんなもの……」

 

 コラソンは『渡すものがこんなものでグラスが満足するのか』という意味合いだったが、『海賊にこんなものを渡していいのか』という意味で受け取ったセンゴクが「大丈夫だ」と断言したことにより、この勘違いは何かの支障を起こすことはなかった。

 

(閑話休題)

 

 

 

 暫くはゆっくりと船旅をしようとしていたら、海軍が接近してきた。

 

 ヤベェと思い、逃げようとしたが、乗っているのがコラソンだったため、何か別の用だろうと考え、思いとどまった。

 

 話を聞くと、この前の礼として手土産を持ってきたという。

 なんと“ロードポーネグリフ”の写しだった。

 まさか海軍が保有しているとは。

 

 

 

 アレ?もう俺ONE PIECEに行けるんじゃあないか?

 

 一つはカイドウ、一つはビッグ・マム、最後の一つはゾウ。“ロードポーネグリフ”の全ての場所はこれでわかった。

 

 ただ、なぁ。今の俺じゃあ四皇の領地に忍び込んで抜け出せる程の度量も勢力もない。

 実行に移すのはもっと先になるだろうな。

 

 

 ぼうっ、と考え事をしている俺を心配したコラソンが顔色を覗き込んでくる。大丈夫だという旨を告げ、それからコラソンに礼を言い、お返しに一瓶の酒を渡し、そして別れた。

 




今回の改変

・改変しても大きなイベントはやってくるというこじつけ追加
・ロシナンテ生存
・最後のロードポーネグリフを所有しているのが海軍
・センゴクさん、白髪へ
・ロードポーネグリフの写しを手にした主人公

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