ステンドグラス   作:ポタージュスープレックス

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え た っ て な い よ !


原作12年前

 原作まで残り12年。

 ルフィ周辺の環境が動き出す。

 

 いよいよ『ONE PIECE』が始まる。

 

 俺はこの1年、13年前~12年前に起こるイベントを調査していた。

 

 ハンコックは王下七武海に加入したらしい。

 ローはベポ、シャチ、ペンギンに出会ったと聞いた。

 これは『ONE PIECE』第一巻の時系列からきっかり13年前、今から一年前に原作の中で起こった出来事である。

 

 つまり、原作通り。ここまでは。

 アラバスタでも原作通りの話が進んでいる。

 何も問題はない、そう安心していたのだが。

 

 しかし、

 『のらギツネ』が生まれなかった。

 

 ニセチョッパーのことである。

 

 原作では超新星篇の13年前に生まれているはずののらギツネが生まれなかったのだ(・・・・・・・・・)

 

 人ですらない、ただの小動物である彼が生まれようがどうしようが大きく影響はしないだろう。

 

 だが、この小さな『分岐点』によって、違う世界線になった。たしかにこの時原作は揺らいだ(・・・・・・・)のだ。

 

 海列車の因果から数年。『ONE PIECE』の世界では強大な運命によって、改変は出来ない、ONE PIECE(ひとつなぎの大秘宝)を見つけでもしなければ原作の流れが大きく変化することなどないだろう、そう結論づけていた。

 

 だが、それは違ったのだ。

 

 こののらギツネの生まれなかった世界線(・・・・・・・・・・)が後々どう影響するのかは俺にもわからない。

 

 

 

 

 

 ゲッコー・モリアがカイドウに敗北を喫し、魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)に籠もったのが数ヶ月前の話。

 

 仲間達を失ったことにより心に深い傷を負った彼は、二度とこんな思いをしないように、と最低限の幹部を新たに集め、その他は全てゾンビ兵という極端な海賊団を作り上げることになる。

 

 ゾンビ兵─────。モリアの能力である『カゲカゲの実』は、相手の影を切り取ることができ、それを別の誰かにつけることにより、その者は元々の影の持ち主の技術や人格を得ることができる。無生物にも影はつけられる。

 これを利用し、影を集め、死体に付ける。

 ゾンビの出来上がりである。

 

 これを作るには、腕のいい医者が必要だ、ということで、ちょうど今日(逆算した)舞台から転落死する女優、ビクトリア・シンドリーの復活と引き替えに、モリアはシンドリーにオネツであるドクトル・ホグバックを仲間に引き入れることになる。

 

 彼の多大な戦力は喉から手が出るほど欲しい。

 その為に年単位でしか公表されていないONE PIECEの時系列を踏まえ、周辺調査を行い、恐らく今日であろうというアタリをつけたわけだ。数日のズレはあるだろうが、今月には事故がある。

 そもそも、モリアは強い。仲間に入れたい。

 

 しかし、現実はそう上手くいかない。

 

 彼は海賊王になる、という野望があるのだ。

クロコダイルもそうだが、王下七武海のくせしてなんでやねん。

 

 

 といっても、クロコダイルやドフラミンゴに比べればモリアはそう難易度が高くない。

 

 さっき言った通り、彼はとても仲間思いなのだ。

 

 仲間に恩でも売ればすぐに心を開くだろう。

  

 流石に王下七武海相手に少数精鋭は厳しいので、今回にピッタリな助っ人も呼んである。

 

 話は変わるが、今年はタイガー・フィッシャーの死ぬ年でもある。アーロンがグレるのもそれが原因である。

 

 

 どちらも穏便に済ますけどな!!

 

 

 

 

 愛しのシンドリーが舞台から落ちた、との連絡を友人から受けた。

 

聞いた瞬間は目がチカチカしてまともに立つこともできなかったのだが、とにかくそこまで行かなければ、と気を奮い、舞台まで行った。

 

 基本、シンドリーの劇は彼女の初めての公演の最初から今まで余すことなく見ていたわけなのだが、今日に限っては何故だか重要な仕事が入ってしまい、やむなく仕事を取ったのだが、この矢先にこれである。

 

 泣きたい。

 

 死んだ、との報告はないので、無事を祈って走る。

 

 劇場のドアを殴り開けて入れば、舞台でシンドリーが劇を続けていた。

 

 なんとなく横を見れば胡散臭い優男が立っていた。なんだお前は。

 

「あなた、ドクトル・ホグバックですよね?」

 

 何故だか俺の名前を知っていた。

 

 

 一体どこからそんな個人的な情報を。ますます胡散臭い。

 

「私が誰かって?シンドリーちゃんのファンです」

 

 

 

  俺は彼と固い、堅い、硬い握手を交わした。

 

 

 

 

 いやぁ、よかったよかった!もしホグバックが独占欲の強いやつだったら終わってたな!この俺、ケリーは注射が苦手なんだ!

 

 

 アレからもうホグバックとはマブダチである。

 ファン同士上手くいけそうだ。グラスから言われていた医者の術の指導を頼む、っていうのも快諾してくれた。いやぁいやぁ、よかったよかった!

 

 

 

 

「誰だお前は」

 

 年がら年中真っ暗なせいで顔がでよく見えない。

 

 なんとなく見えてきたが、相手はたったの四人のようだ。

 

 

 

 『金色の液体』、『黒色の棒』、『透明の粒』、『斑模様の体』がなんとなく見えた。

 

 まずいぞ、これは。ペローナ達を呼び寄せる時間すらも………。

 

 

 蝙蝠の血が混ざっている俺様は、気配を読み取れる能力がある。ハーフやクォーターではなく、ほんのちょっぴりなので、それもなんとなくに等しいのだが。

 

「スリガラス」

 

 よく通るような声と共に飛来してきた極小の粒を影ではじく。いくつか体に当たってしまったが、そんなの気にする余裕もない。次の攻撃がくる。

 

 黄金の液体だ。影で瞬間移動を試みるも、失敗した。

体が動かない。

 

 最後の足掻きとばかりに影で誰かを切りつけるも、敢えなく切り返されてしまった。

 

 俺様も衰えを感じざるを得ない。

 カイドウと張り合った俺様が、まさかこんな、呆気なく死ぬなんて。

 

 

 情け無くて泣いていると、四人のうちの一人が手を伸ばしてきた。

 

 情けないことに俺様は怯えて目をつぶってしまったわけなのだが、その俺様の手を取ったやつはこう言った。

 

 

「俺と一緒に海賊王にならないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 フィッシャー・タイガーの船に突然現れたグラスは、そのまましばらくタイガーの船に乗るという。

 

 奴隷少女のコアラが心配らしい。

 

 

「すみません働きますから、手を休めず掃除しますから、すみませんすみません、何があっても泣きませんから殺さないでください。役に立ちますから殺さないでください」

 

「お前ら一体何したら子どもがこんなになるんだよ」

 

 冷めた目でグラスがタイヨウ一味に問いかける。

 

「いやいやいや!勘違いすんじゃねーぞ!元々こんなだったんだからな!オメー適当抜かして俺らの性癖決めてんじゃねーよ!」

 

 即座にツッコむアーロン。人間を下等生物と見下している彼だが、タイガーと仲のいいグラスに対しては多少フランクになっている。

 

 勿論グラスは原作の内容が大体頭に入っているので、本気にしているわけではない。

 

 それを置いても異常なのだ。この少女の行動は。

 

 気がつくと、ぼろ布で床を拭いている。ぼろ布というか、自前の服というか。

 

 不憫なのでグラスがこの船にやってくる途中で子どもの服を買ってきたのだが、『私はこれで充分だ』と言い、頑なに着ない。

 

「よくみろ」

 

 フィッシャーがそう言い、拳銃を海に投げ捨てる。

 

「俺たちは誰も殺さねぇ………!!!」

 

「行くぞお前ら……こいつは必ず、故郷へ送り届ける!!!」

 

 泣き崩れるコアラに、グラスが言った。

 

「んじゃあ、はい。これ着ろよ」

 

「」

 

 涙目で固まるコアラを代弁して、タイヨウの海賊団船医のアラディンが言う。

 

「正直、お前のそのおべべは相当センス悪いぞ」

 

グラスは考えることをやめた。

 

 

 

 

「あたし村のみんなに言うよ!!魚人にはいい人達がたくさんいるって!!」

 

 無事母親と再会し、一味と別れることになったコアラがいう。

 

 アーロンは悪態をついているが、満更でもなさそうな顔である。

 

 その帰り道、なんの前兆もなく銃声が鳴り響いた。

 

 銃声の先、タイガーと直線上にいる海兵の元へ目線が集中し、一瞬後にタイガーの元へ視線が集まる。

 

 

 彼の心臓部分には透明な厚い板が張り付いており、そこに銃弾は埋まっていた。

 

 

「このときのために俺はついてきていたんだ」

 

 思考を停止していたはずのグラスがいきなり喋り始めたことに一同は驚愕した。

 

 

 

 

◆世経 朝刊

 

速報

  海軍中将ボルサリーノ、全治二年の大怪我!?

 

海軍中将、ピカピカの実のボルサリーノは、先日、とある島にて何者かに暴行を受け、全治二年の傷を負ったらしい。犯人は一体何者なのか。これを受けて政府は、市民の夜道について注意喚起を行っている。

 

 

 

 




本日の改変

・シンドリー生存
・モリアと主人公が同盟
・タイガー生存

あと、『黒色の棒』ですが、名前出せませんでしたがリョーマです。今まで別行動していましたが今回で合流です(当たり前のように不老手術)

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