ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?〜雷霆兎は道化と踊る〜   作:bear glasses

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まさかの夢の試練編スタート


継承試練《ゴッド・ハンド》ー起ー

ーーーーー

 

ここは、どこだ?白亜色の建材の宮殿⋯?

 

僕は確か、《黄昏の館》に戻ってきて、晩御飯を食べて、床について⋯

 

『ここはお前の夢の中だ。ベル・クラネルよ』

「っ!?」

 

気付くと、目の前に白と金の入り交じった髪が特徴的な牛骨の仮面の精悍な青年が現れた。

 

「⋯貴方は?」

『私か?私は残りカスのようなものさ。名前など無い。そうさな⋯折角の牛骨の仮面だ。《ミノス》とでも呼ぶといい』

「ミノス、さん」

『うむ。さて、何故私が夢の中に現れたのか。だが、有り体に言えば《継承》の為だ』

「《継承》?それは一体⋯」

『簡単な事さ。貴様には未発現の《スキル》がある。()()()()()()()()()、な』

「ーーーー!?」

 

思わぬ言葉に愕然とする。()()()()()()()()()

 

「どう⋯いう⋯」

『それ程貴様の置かれた状況が特殊だということだ。《スキルの継承》など、本来ならば出来るはずがないのだからな』

 

と。そこまで言ってミノスは頭を振り

 

『まぁ、これ以上話しても時間の無駄だ。今からお前には十の試練に挑戦してもらう』

「十の試練⋯?」

『ああ。精神世界とは言え強さは本物。戦闘には貴様のスキルも適応される。心してかかるが良い。さて、無駄話もこれくらいにして、そろそろ挑戦してもらおう』

「え、ちょっと!もう少し話w『スタート』」

 

パチン!

とミノスが指を鳴らすと、突如として場面が転換した。

 

 

 

ーーーーーー

ところ変わって

 

「⋯ここは、ダンジョン⋯!?」

 

気付くと、自分の衣服もダンジョン時のそれとなっている。

 

『Grrr⋯⋯!!』

「⋯!」

 

唸り声と共に、奥からモンスターらしきものが現れる。

 

「⋯獅子!?」

 

そう、それは獅子だった。しかし、唯の獅子ではない。その巨躯は並の獅子を凌駕し、あふるるような威圧感は獣のそれではない。

 

「モンスターか!」

『GruA!』

 

叫び声と共に飛びかかってくる獅子にナイフを突き立てる。ナイフはその獅子の身体にめり込み、皮膚を斬りさくーーーーことは無かった。

 

「な、なぁっ!?」

 

刃が、通らない!?

 

『Goa!!!』

 

瞬間、飛んでくる爪を回避し、体勢を立て直す。

 

「刃が通らない⋯!?」

 

単純にナイフの切れ味が足りない?いや、それにしたっておかしい。切れ味が足りないにしろ、表面を少し斬るくらいはする筈。でなければあそこでナイフが折れるなりしていたはずなのだから。

 

「刃が通らない獅子⋯ダンジョン⋯」

 

斬撃無効(現時)の獅子、そしてダンジョン。この条件に符合するモンスターは()()()()()()()

 

「《ネメアの獅子》⋯?迷宮神聖譚(ダンジョン・オラトリア)の断章『十戒の試練(ゴッド・ハンド)』最初の敵の?」

 

英雄アルケイデスに討たれたとされるモンスターが、何故!?

しかし、僕の困惑などお構い無しに、獅子は僕に襲いかかる

 

『Grrrrrrraaaaa!!!』

「⋯クソっ!」

 

僕はナイフを仕舞って徒手空拳に移る。

どうやって討伐する?

・伝説通り『絞め落とす』

 ステイタスが足りない。却下。

・殴り殺す

 逆に出来るのか?

・体内に魔法を放って内部からグシャグシャにする。

 採用

 

『Gooooooaaaaaaa!!!!』

「【雷霆よ、鳴り響け】【ロスト・ケラウノス】!!」

 

爪で斬り掛かる獅子をよそに、付与魔法(エンチャント)を全身に行い、そのまま爪を避ける。

 

『Grrrrrrrruuaaa!』

 

避けた僕に噛み付きにかかる獅子。僕はそれと呼吸を合わせてーーーー

 

『Gya!?』

 

獅子の下顎を蹴り上げた。僕は勢いそのまま上げた足に力を乗せて、そのまま獅子に叩きつける。

 

『Gyyyyyyyyyii!?Gaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!』

 

獅子は怒り狂ったように咆哮し、僕に襲いかかる。

 

「【遺されし我が身に来たれ雷霆】!【灰塵すら残さず焼き尽くせ】!!」

 

僕はそれを避けながら、詠唱を続ける。

 

「【失われし大いなる雷光(ひかり)よ】!」

 

獅子は僕を睨みつけながら歯軋りをしている。

好機!

 

『Ga!?』

 

僕は拳を歯に叩きつけ、牙ごと殴り砕き、拳を口内に侵入させる。

 

「【輝け】、【ロスト・ケラウノス】!!」

 

 

そのまま雷は獅子を焼き、身体を破裂させた。

 

 

 

「⋯はあっ、はあっ、」

『クリアだな。ベルよ』

 

疲れて息を整えていた僕に、ミノスはの声が響く

 

『さて、次だな』

「ちょっと!?」

 

無慈悲なことを言うミノスさんに思わず声を上げてしまう

 

『ここは夢の中だぞ?疲労感くらいすぐ操作出来る』

「な、なるほど。でもーーー『ヘイスタートォ!』ふざけんな!?」

 

 

 

また、場面が転換する。そこにはーーーーーーー

 

 

『ヴモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

「⋯ミノタウロス」

 

なんの悪夢か、天然武装(ネイチャーウェポン)と思われる白亜の巨大な両手斧(ラブリュス)を持った巨大な角に通常のミノタウロスよりも長めの毛を持った、()()()()のミノタウロスの強化変異種が現れたのだ。

 

ふと、自身の背中に違和感を感じ、背中に手を伸ばすと。

 

「⋯大剣?」

 

そう、それは大剣だった。Ηφαιστοs(ヘファイストス)のロゴが刻印された、獅子の意匠が鏤められた大剣。不思議と重さは感じ無い。更には、()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()

 

『ヴモアア!』

「っ!?気を抜いてる場合じゃない!【雷霆よ、鳴り響け】【ロスト・ケラウノス】!」

 

身体に雷が迸る。

 

『ヴルルルルル⋯ヴモォオオオオオオ!!』

 

ミノタウロスは、両手斧を振りかざし、僕に斬り掛かる。普通ならギリギリで避けて反撃すべき、だけどあれが伝承通りならばーーーー!!

 

 

「【雷霆よ、鳴り響け】【ロスト・ケラウノス】」

 

右手の大剣にも雷を装填、そのまま跳躍し、早めの回避行動を取る。

 

1拍遅れて、ミノタウロスの斧は地面に叩きつけられた。その瞬間。

 

ドガン!

 

と言う音ともに、叩きつけられた地面の半径1mが地面に()()()()()

 

「やっぱりあの天然武装(ネイチャーウェポン)は」

 

ーーーー牛人の重力斧(ミノス・グラビトス・ラブリュス)

 

伝説に置いて英雄アルケイデスを苦しめた、強力な天然武装。

 

「スゥーーーーー」

 

落ち着け。多分この試練は調整されてる(敵が弱体化している)。恐らくレベル1に過ぎない僕でもクリアが出来るように、多少は弱くなっている。しかしそれは死力を尽くせば(殻を破り続ければ)の話。

 

「ハァーーーーー」

 

勝利を得るための条件は3つ

・一撃も受けない事

・魔石を砕いて確殺する事

・短期でケリを着ける事

 

『ヴゥルルルルルル⋯ヴモォオオオオオオオオ!!!』

「ーーーー行くぞ」

 

斧をもう一度振りかぶり、攻撃モーションに入るミノタウロスの胸元に飛び込む。

 

『ヴモッ!?』

 

右手の大剣で、ミノタウロスの胸を横一文字に斬り裂く。

 

『ヴモアアアア!?』

 

そのまま後ろによろめくミノタウロスに、大剣の突きをかます。

 

『ヴモォオオ゛オ゛!!!』

 

間一髪で避けようとしたミノタウロスだが、右角を大剣が捉え、右角を斬り飛ばしながら、ミノタウロスを押し込む。

倒れかけているミノタウロスの胸部を足場に高くジャンプし、空中で回転。大剣を地に向けて、ミノタウロスの魔石がある胸部に向かって落ちる。

 

『ヴゥウウウヴモ゛ォオオオオオオ゛オ゛オ゛!!!!』

 

ミノタウロスは殺されまいと斧を向けて大剣を弾き飛ばそうとする、が。

 

「【雷霆よ、鳴り響け】【ロスト・ケラウノス】」

 

左腰に差してあった『自分のナイフ』に付与(エンチャント)を行い、投げつける。

 

『ヴモァアア!!』

 

それは斧を持っていた腕を地面に縫い付け、反撃を不能にした。

 

「おぉぉおおおおおお!!!!」

 

大剣は胸部を突き刺し、貫通した。

 

『ヴ、ヴモォオオオオオオオオ!!!!!』

 

しかし、ミノタウロスはまだ抵抗している。

僕は素早く大剣を引き抜き、掲げ、全ての雷を大剣に集約し、唐竹割り。

 

『ヴmーーーーーーー』

 

その一撃は今度こそミノタウロスの魔石を砕き、ミノタウロスを灰へと変えた。

 

 

ーーーーーー

 

ベルの夢のとある場所。

 

『まさか、1度も死なずに2つ目をクリアするとはな⋯』

 

ミノスは驚きと称賛を込め、言葉を漏らした。

 

十戒の試練(ゴッド・ハンド)も残り8つ。ベルは我が奥義(■■■■■■■)を得る事ができるだろうか⋯』

 

 

 


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