狩人と、ゼロの主従   作:蜜柑ブタ

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一対の巨影(村長)、リベンジ。

双剣に変えたので、片手剣で足りなかった攻撃力が格段に上がったかと思う。


第三十六話  一対の火竜を狩ろう その2

 

「武器は?」

「持ちました!」

「回復薬は?」

「グレートも含めて揃えました!」

「鬼人薬や硬化薬は?」

「グレート系全部揃えました!」

「閃光玉は?」

「持ちました! 予備のためを作るための素材も持ちました!」

「よし! アイルーキッチンでご飯食べてから出発だ!」

「はい!」

 そして、アイルーキッチンでしっかりと食事を摂って、三人は、残るキークエストである一対の巨影をクリアするため、出発した。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 森と丘に到着し、支給品を取り、どちらかは分からないが、近場にいる飛竜のマークがあるところへ向かった。

「! リオレイア!」

 近場のエリアにいたのは、リオレイアだった。

 エリア内にいたアプトノス達が一斉に逃げ出している。

 リオレイアは、そんなこと気にせず、ボーッとしているようだった。

 何もせずボーッとしているだけの相手を殺すのは、なんとなく気が引ける。

「時間が無いから急がないと。リオレウスもいるんだ。」

「…はい。行こう、ルイズ!」

「ええ!」

 二人は、武器を抜いて走った。

 リオレイアがその足音に気づいて振り向く。

 そしてバインドボイスを放った。

 近場まで来ていたので耳をやられる。

 バインドボイスを放ち終えたリオレイアが、ブンッと尻尾を振り、耳を押さえているサイトをなぎ払った。

「ぐっ!」

 サイトは、痛みを堪え、転がりながら体勢を整え立ち上がると双剣を構えてリオレイアの尻尾の付け根を狙って切りつけた。

 試し切りはしたが、片手剣以上に軽い剣の感触を感じながら、サイトは、凄まじいスピードで剣を振り続け、リオレイアを切りつけ続けた。

 ルイズも、離れた位置から弾を撃つ。

 リオレイアがルイズの方を向き、口をパカッと開けた。

 火球が来る!っと感じたルイズは、ライトボウガンを下げ、横に逃げた。その直後、ルイズがいた場所を火球が通り過ぎた。

「おおおおおおおおおおおおおおおお!」

 サイトは、鬼人化を使い、リオレイアの腹の下で乱舞を行った。

「サイト! スタミナに気をつけろ!」

 セエが声をかける。

 やがてrリオレイアの尻尾が切断された。

 怒り状態になったリオレイアは、乱舞を終えてスタミナが切れたサイトに向かって牙を向け、その左肩に噛みついた。

「サイト!」

 ルイズが急いでリオレイアの顔を狙って弾を撃ちまくった。

 数発当たり、リオレイアは、サイトを離して首を振った。

 ドスネイルの片方を持ったまま、出血する左肩を押さえながらリオレイアから離れていくサイトは、自動マーキングスキルでもう一つの飛竜のマークがこちらに移動してくるのを見た。

「マズい!」

 リオレウスが来るっと一瞬焦るが、ふと我に返る。

 思い出されるのは、セエがやった挟撃のイャンクック(青)でのセエの戦い方だ。

 一匹より、二匹の方が戦いやすい…。なぜなら二匹の飛竜は、協力しているわけではないからだ。

 今回のクエストの雄火竜リオレウスと、雌火竜リオレイア。おそらく番ではないだろう。

 やがてリオレウスがバサバサと翼を羽ばたかせながら舞い降りてきた。

 リオレウスは、すぐにこちらの存在を認識し、攻撃してくる。

 ……リオレイアに攻撃が当たるのを無視して。

「こっちだ!」

 サイトは、回復薬グレートを飲みながらリオレウスを挑発し、誘導した。

 うまく、リオレイアに攻撃が当たるように。

 サイトが先にやった攻撃ダメージもあり、やがてリオレイアが足を引きずって飛び去っていった。

「ルイズ! リオレイアを仕留めに行くぞ!」

「待って!」

 逃げ去っていったリオレイアを追い、襲ってくるリオレウスを無視して巣へ急いだ。

 巣に行くと、リオレイアがぐーすか寝ていた。

「今度こそ…!」

 怨みはないが、さらなる高みに行くためだと覚悟を決めたサイトが剣をリオレイアに振り下ろして叩き起こした。

 起き上がったリオレイアは、途端に怒り状態になり、容赦なくサイトに襲いかかる。

 怒り状態の攻撃を避けながら、時に食らいながら、時に閃光玉を投げつけて目を回させながら攻撃を繰り返し、やがてリオレイアは息絶えた。

 時間にして、前回リオレウスだけを仕留めた時よりも早く倒せた。

「すっげぇ…、武器ひとつでここまで変わるんだ…。」

 サイトは、手にしている双剣ドスネイルを見つめてそう呟いた。

「急いで剥ぎ取りをして、残るリオレウスを倒しに行こう。」

「はい!」

「あと、さっき切り取った尻尾の剥ぎ取りも忘れずにね。」

「あ、はい。」

 剥ぎ取りに余念がないセエであった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 リオレウスは、場所を変え、巣の近くに来ていた。

 リオレイアと違い、リオレウスはしょっちゅうエリアを移動する習性があるのだ。

「急ぐぞ、ルイズ!」

「分かってる!」

 サイトとルイズは、巣の出入り口の高台から飛び降り、リオレウスに向かって行った。

 リオレウスが宙を飛び、火球を放ってきた。

 ルイズは、距離を取り、宙を飛ぶリオレウスに照準を向けて撃った。

 やがて降りてきたリオレウスが猛ダッシュによる体当たりをしてきた。

 サイトは、剣を交差させて防御し、ルイズは、横に逃げてそれを避けた。

 リオレウスがルイズに身体を向けて火球を放った。

 ルイズは、さらに横に逃げて避け、弾を込めて撃つ。

 サイトは、鬼人化し、リオレウスの翼の下に入って乱舞を行った。

 翼を切られ、翼の爪が折れる。

 よろめいたリオレウスは、翼をはためかせ、宙を飛び、そして別のエリアへ移動してしまった。

「追うぞ!」

「ええ!」

 その後、何度もエリアを移動するリオレウスを追い、攻撃を繰り返し、時に攻撃を食らいながらも攻撃の手を緩めず攻め続けた。

 やがてリオレウスが足を引きずって飛び去っていった。

「よっしゃ! 巣だ、巣に行くぞ!」

「分かってるわ!」

 二人は、巣に急ぎ、セエは、順調な状況にほくそ笑んだ。

 リオレウスは、リオレイアの死体の隣で寝ていた。

「おらぁ! 起きろ!」

 サイトが剣を振り下ろし、リオレウスを叩き起こした。

 起きたリオレウスは、怒り状態になり、激しくサイトとルイズを攻め立てた。

「今よ!」

「おおおおおおおおおおおおおおおお!」

 ルイズが閃光玉を投げつけてリオレウスの目を回させた。そしてサイトが鬼人化して乱舞を行った。

 それを何度か繰り返すと、リオレウスは、断末魔の声をあげて息絶えた。

 クエスト終了のファンファーレが鳴り、クエスト達成がなった。

「や…った…。」

「やったわよ、サイト! 私達…、勝ったのよ!」

「ルイズ!」

「サイト!」

「さ、剥ぎ取り剥ぎ取り。」

 抱き合おうとした二人に、セエがいつもの調子で剥ぎ取りを急かしたのだった。

「もう、水を差さないくださいよぉ。」

「?」

 そう言われても、空気が読めないセエは、首を傾げたのだった。

 渋々剥ぎ取りしていて…。

「あ、尻尾忘れてた。」

 リオレイアの切り落とされた尻尾の剥ぎ取りを逃したのだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 村に帰ると、村長がニコニコしていた。

「うむ! よくぞやったのう!」

「はい!」

 褒められてサイトとルイズは、喜んだ。

「では、村長。」

「うむ! では、お主らにモノブロスを狩る権利を与える!」

「もの…ブロス?」

「村長クエストでしか狩れない、希少な飛竜種だ。」

「えっ?」

「その飛竜を見事狩ることができれば、お主らを一人前のハンターとして認めよう!」

「本当ですか!?」

「やりましょう、サイト!」

「おう!」

「その前に…、休もう。疲れただろう? 二人とも。」

「あ…。」

「そうね…。なんか…力抜けたかも。」

「ルイズ。」

 言われて緊張の糸が切れたルイズがへたり込んだので、サイトが肩を貸した。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 家に帰ると、甘い良い匂いがした。

「にゃー。お疲れ様ですにゃ。」

「トウマ。」

「疲れたときには甘い物がいいにゃ。今日は腕によりをかけたにゃよ。」

「おおー、美味そう!」

「手を洗って、お祝いにゃ。」

 そして手を洗ってきた三人と、トウマを含めたアイルー達で、モノブロスの狩りの許可が下りたことへのささやかなお祝いをした。

「なんで、モノブロスっていう飛竜が村長さんのクエストだけなんですか?」

「確か…、村長が現役のハンターだった頃にたったひとりで倒したって言われてるんだ。」

「それだけ?」

「あと、住んでる場所が限られてるってのもあるから、乱獲ができないんだと思う。今じゃ村長がココット村の一人前のハンターになるための条件にしてるんだ。」

「じゃあ、集会所のクエストはないってこと?」

「うん。ない。ディアブロスはあるけど。」

「でぃあ…?」

「そのうち戦うことになるよ。」

 そう言ってセエは、お茶をグーッと飲んで、お代わりをトウマに要求した。

「にゃははは、嘗めてかかると痛い目に遭うにゃよ?」

「別に嘗めてなんて…。」

「いいや。お前らは、今、楽観視してるにゃよ。二匹の火竜を倒した余韻がそうさせてるにゃ。」

「モノブロス…強いからなぁ…。」

「えっ…?」

「俺…、何回やられたっけ? ああ…、アイツ(モノブロス)に刺された傷が疼く気がする。」

「…えっ?」

 腹の辺りを摩るセエの姿を見て、サイトとルイズは、顔を見合わせたのだった。

 トウマは、その様子を見て。

「ほらニャ。」

 っと呆れた様子で言ったのだった。




セエは、基本空気が読めない。

モノブロス…、カッコいいけど強いよなぁ…。
角は、折るか、折らないか…。でも素材集めのためには、折らないといけないし…。
あと、白モノブロスも控えているし。
この緊急クエストをクリアしたら、今度はラオシャンロンが待ってるし…。

結構なスピードでキークエストをクリアしてるサイトとルイズですが、あくまでまだ村長クエストなので、まだまだまだまだです。今のままじゃハルケギニアに戻っても返り討ち必須です。
G級クエスト到達と、クリアが当面の目標かな?
でも…、果たして片手剣と双剣とライトボウガンでG級まで上れるのだろうか?
大剣と双剣でGに上った私が言うのも何ですが…。

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