狩人と、ゼロの主従   作:蜜柑ブタ

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タイトル通りの奴が、ココット村に侵攻してきます。

筆者は、現在(2018/10/15)、まだシェンガオレンと戦ったことありません。

なので動画を参考にしました。


第五十六話  砦蟹の侵攻

 

 

 セエは、時々思う。

 老山龍ラオシャンロンが来ないことがどんなに平和なのかと…。

 何かに追われている言われているラオシャロンが、悪なわけではない。モンスターにはモンスターの事情があるのだ。人間の方がむしろ勝手なのだろう。

 

 しかし、過酷な大自然は、人間が築いた楽園を簡単に壊していくのだ。

 

 

「シェンガオレン?」

「別名、砦蟹(とりでがに)。ラオシャンロンの頭部の骨をヤドとする巨大なモンスターだ。その被害は、ラオシャンロンと同等じゃ。」

「なぜ、そのモンスターが…。まさか…。」

「そのまさかじゃ。シェンガオレンが、この付近に接近しておるという報告があった。」

「この村に?」

「侵攻方向がまだハッキリしておらんから、断言できん。だが用心に超したことはない。……念のためじゃが、準備をしておいてくれるか?」

「…ですが、なにが必要なんでしょう?」

「シェンガオレンは、ラオシャンロンと同等の歩く災害じゃ。同じアイテムを揃えておくと良いじゃろう。」

「分かりました…。」

「もしも…、シェンガオレンが接近してくると分かったら…、あの二人も連れて行くのじゃ。」

「なぜです?」

「セエ、お前も初めて遭遇する相手じゃ、小さいながらも力は必要じゃろう。」

「……守ることは出来ません。」

「それでよい。あの二人も、分かっておるはずじゃ。」

「二人にも伝えておきます。」

「うむ。そうしてくれ。」

 セエの言葉に村長は頷いた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 村長との会話の後、すぐに家に帰ったセエは、すぐにサイトとルイズに伝えた。

「とりでがに~?」

「そう。砦のように巨大で強固なモンスターだ。俺もまだ見たことがない。」

「それってラオシャンロンと同じぐらい?」

「聞いた話だと、ラオシャロンの頭の骨をヤドにしているから、同じぐらいの脅威だ。」

「蟹っていうか…、ヤドカリ?」

「まあ…そうとも言えるかも?」

「俺達も参加するんですね?」

「ああ…。村長も二人を連れて行けって…。」

「でも…セエさんも戦ったことがない相手なんですよね…。勝てる見込みがあるんですか?」

「…ない。」

「そんな! もし失敗したら…。」

「村は…踏み潰されることになるだろうな。」

「そんな!」

「ラオシャンロンの時もだけど、村人全員は、避難する。建物を踏み潰されたとしても、生きていれば…復興は出来る。」

「……けど…!」

「砦を守る兵士達もみんな全力は尽くす。そして、俺達ハンターも。」

「セエさん…。」

「……どうすればいいの?」

「ルイズ…。」

「私達は、何をすればいいの。教えてください。」

「ラオシャンロンの時と同じアイテムを揃える。まだ…、シェンガオレンが来るとは決まったわけじゃないが、準備を整えておいてくれ。」

「はい!」

 こうして、対シェンガオレンのための準備を整えることになった。

 

 

 その後、件のシェンガオレンの侵攻方向がココット村だと分かったのは、二、三日後だった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そして、ラオシャンロンの時と同じ砦のエリアに来た。

 すでに地震が起こっている。それだけで、シェンガオレンがどれだけ巨大なのかが分かる。ただ、ラオシャンロンに比べると、やや地震の大きさは小さいように思える。それは、おそらくシェンガオレンがラオシャンロンの頭をヤドとするから本体はラオシャンロンそのものよりは小さいからなのかもしれない。

 しかし、それでも足踏みだけで地震が起こるので、地震を起こすほどの巨大なモンスターが来れば、人間の集落などひとたまりもないことは間違いないのだ。

「そういえば、村長とギルドからの話で…、シェンガオレンは、ルートを決めて徘徊する習性があるらしいんだ。」

「なんでまたココット村に…。」

「さあ? モンスターの考えることは分からない。」

「そうですよね。」

 やがて、地震が徐々に大きくなってきた。

 そして……。

「デカッ!」

 巨大で長い足を持つ蟹…シェンガオレンが霞の向こうから姿を現わした。

「そ、想像以上だわ!」

「行くぞ、二人とも!」

「は、はい!」

 いつもラオシャンロンを迎える高台から砦の中に移動し、侵攻するルート上に出る。

 霞の向こうからシェンガオレンがゆっくりとやってくる前に、大タル爆弾Gをルート上に置く。

「げ…。」

 思わず変な声を出してしまったセエ。

 っというのも、ラオシャンロンと違い、シェンガオレンは、数本の足で本体を高い位置で支えているのだ。つまり、爆弾を置いた位置に足が来ない。ラオシャンロンなら、真ん中に置けば弱点である頭を爆破できたのに…。

「くそっ!」

 セエは、シェンガオレンの足がやや離れた爆弾の位置に来たとき、小タル爆弾を置いて爆破した。

 距離が離れていたため、大ダメージにはならず、シェンガオレンは、そのまま侵攻を続ける。

「二人とも! 足の位置に気をつけて爆弾を!」

 セエは、大剣を抜いて、シェンガオレンの足を切りながら叫んだ。

 サイトとルイズは、言われたとおり爆弾の位置を調整し、シェンガオレンの足が次に踏み込まれた瞬間を狙って爆破させた。

 途端、シェンガオレンの足が一本、赤くなり、シェンガオレンが立ち止まった。

 しかし時間をおくと、すぐに侵攻を始める。

「か、硬い!」

 サイトは、双剣で足を切りつけるが、その硬さに驚愕した。

 ルイズは、遙か頭上にある本体を狙って撃つ。

 デカい! 高い!

 そう思いながらルイズは、必死に上に向かって撃っていた。

 すると、岩壁の方から岩が振ってきた。

「うわわ! なんだ!?」

「砦の兵達が岩を落としてるんだ!」

「俺達がいるんだぞ!?」

「そんなこと言ってられないんだ!」

 とにかく、みんな必死なのだ。

 しかし、それをあざ笑うように、ゆっくりとした歩調でシェンガオレンは歩いて行く。

 やがて、シェンガオレンのもう一本の足が赤くなった。

 途端、シェンガオレンが足の節を折り曲げ、巨大な本体部分を地上に降ろした。

 チャンスだ!っとばかりに、セエとサイトは、本体を攻撃した。ルイズも撃ちまくった。

 しばらくして、シェンガオレンがゆっくりと曲げていた足を持ち上げて再び立ち上がった。そしてまた侵攻を開始する。

「ちくしょう! 止まれよ!」

「まずい…。エリアを移動される…。急ごう!」

 シェンガオレンが、次のエリアへ移動してしまい、三人は急いで砦に戻り、シェンガオレンが来る予定の次のエリアへ移動した。

 そして、次のエリアでも爆弾を使う。そして攻撃する。それを繰り返した。

 次の侵攻エリアでもそれを繰り返し、足を折って降りてきた本体を攻撃した。しかしそれでもシェンガオレンは止まらない。

 やがてココット村を守る最後の砦の前に来た。

 最後の砦の前に来たシェンガオレンは、その大きな鋏を振り上げ、砦を攻撃し始めた。また強力な酸も吐き出す。

「倒れろ! 倒れろ!!」

 セエは、叫びながらシェンガオレンの足を攻撃した。

 サイトもルイズも必死に攻撃する。

 やがてシェンガオレンの足がまた折り曲げられて本体が降りてきた。

 セエの斬撃がヤドに当ったとき、ヤドであるラオシャンロンの頭蓋骨が一部壊れた。

 タイムアップの時間(砦の耐久力の限界)が迫ったとき……。

 ついに、シェンガオレンが倒れて絶命した。

 三人は、ハーハーと荒い呼吸を繰り返し、へたり込んだ。

「や、…やった!」

「やった…! 俺達の勝ちだ!」

「私達、やったのね…。」

 三人は、それぞれ喜び合った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「よくぞやったぞ、お主ら!」

 村に帰ると、避難していた村長や村人達が出迎えてくれた。

「…もう…ダメかと思いました。」

「うむ。ようやった、ようやったのう…!」

 村長が涙ぐみながら頷いていた。

 村人達も口々に、賞賛の声をかけてくれた。

 セエ、そしてサイトとルイズは、お互いの顔を見て、笑い合った。

 

 

 こうして、砦蟹…シェンガオレンの緊急クエストは、終わった。




一応弱い個体だったので、なんとかなりました。
これが上位だったら……。
ところで、シェンガオレンがルートを決めて徘徊するという習性があるというのを見たので、ココット村の方面に侵攻を決めてしまったという風にしましたが…、あり得ますかね?
イビルジョーは、環境適応能力が高いので現れる可能性は高いことは分かっているのですが。

砂漠に現れたイビルジョー討伐は、まだなので、砂漠にはまだ行けません。

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