完全に詰まってた。
今回は、ブラックピアスGを作るため、ハードクラスのバサルモス討伐に挑む。
流血注意。
サイトの怪我が治ってから、話し合い、ハードクラスのバサルモスから、ブラックピアスGの素材となる岩竜の翼を手に入れるために挑むことになった。
「ハードだけに…、やっぱヤベェんですよね?」
「攻撃力も体力も、倍以上だからね。グラビモスの幼体とはいえ、大きいし。」
「それは、もはや幼体って言えるんですか?」
「大きな赤ちゃんもいるってことさ。」
そんなこんなで、準備を整え、ハードクラスのバサルモス討伐クエストに挑むことにした。
「もう口酸っぱくして言うけど、こういうクエストって、必ずしもその素材が手に入るとは限らないから。」
火山エリアに行く途中の馬車の中。セエがそう言った。
「分かってますよ。」
「そうかな~?」
じ~っと、セエがサイトを見つめた。
サイトは、居心地悪そうにそっぷを向いた。
そんな様子を見て、ルイズは、クスッと笑った。
「ルイズもだぞ?」
「え~?」
「油断すると、死ぬからな。なにせ、相手は、毒を持ってるし。」
「あ…。」
「ほら。」
言わんこっちゃないと、セエは、首を振った。
***
やがて、馬車は、火山エリアのキャンプ地に到着した。
準備を整え、自動マーキングスキルでバサルモスのもとへ向かう。
「さて、どれだ?」
大きな岩が点在する火山岩で出来た開けた場所。そこがバサルモスの生息区域だということは分かっている。
バサルモスの生態は、岩に擬態することだ。そのため、近寄ってもピクリとも動かず、こちらが攻撃を仕掛けないと動かない。
逆に言えば、それは完全なる大きな隙であり、爆弾を仕掛ければ大きなダメージを狙えるのだ。
「ルイズ。どれだ?」
「えーと、地図で見ると、ここ…。」
「あれか。」
エリアの出入り口から見て、左方向、真ん中。
「じゃ、頑張れ。」
セエは、傍観に徹するためエリアの端に行き、サイトとルイズは、タル爆弾を用意した。
そして、動かないバサルモスの傍に、設置できるだけ設置し、小タル爆弾を点火した。
そして大急ぎで逃げる。
そして、大爆発。
そして、地面から姿を現わすバサルモス。
黒煙が舞う中、大ダメージを受けたバサルモスが黒煙を吐きながら吠え、突進してきた。
サイトとルイズは、二手に分かれ、それを避ける。
ルイズは、距離を取ってライトボウガンを構え、サイトは、双剣を抜いた。
するとバサルモスが、その巨体から紫色のガスを放出した。毒ガスだ。
風もなく、そしてサイトもギリギリで射程距離に入らなかったため、毒は受けなかった。
毒ガスが消えたところで、サイトは、接近し、腹を狙ってガキン、ゴキンっと、刃を当てた。
「サイト! バサルモスの攻略法は覚えているか!」
「あ!」
セエが声をかけ、ハッとしたサイトが剣を収めて、バサルモスに対して背中を向けた。
その背中を見て、鳴き声を上げて猛ダッシュをかけようとするバサルモス。サイトは、他の岩の方へ向けて走った。
追って来るバサルモスの体の翼部分が岩に接触し、岩が爆発した。
バサルモスは、苦しげに鳴き声を上げた。
ルイズは、水冷弾を撃ち続けていた。
サイトは、距離を保ちながら、バサルモスの注意を自分に向けさせる。そして突進を誘い、岩へと導く。そして接触させて岩を爆破させ、バサルモスにダメージを与えた。
やがて岩がなくなり、サイトは、剣を抜いて、バサルモスの下に入り込んで腹を切りつけた。
爆発が効いたのか、いとも簡単にバサルモスの腹の甲殻が剥がれ落ち、赤い肉が露出した。
露出した肉に、遠慮無く剣を突き出す。それだけでバサルモスは、悲痛な鳴き声を上げる。
次の瞬間、バサルモスが睡眠ガスを吐き出した。
「ぐっ…。」
避ける暇も無くサイトは、ガスを吸い込んでしまい、その場に倒れてしまった。
そして、続けざまに毒ガスまで吐いた。
「サイト!」
「気にするなルイズ! 撃て!」
眠っているうえに、毒まで喰らったサイトをルイズが心配するが、セエが攻撃の手を緩めるなと声をあげた。
やがてサイトが目を覚まし、そして自分が毒をもらっていることに気づきよろめいた。
そして慌てて解毒薬を飲み込もうとして…、ブオンッと振られたバサルモスの尻尾の攻撃を受け、吹っ飛んだ。
「がっ!」
サイトは、吐血しながら地面を転がり、立ち上がろうとした。
バサルモスは、猛ダッシュによる突進をして、サイトを轢いた。
サイトは、血を流しながら再び地面を転がり、ピクピクっと痙攣した。
「起きろ、サイト!」
「ぐ…ぅ…。」
猛ダッシュにより、かなり距離が離れたバサルモス。
動きがのろかったのが幸いした。その隙になんとか起き上がったサイトは、回復薬グレートを飲み込み、解毒薬も飲み込んだ。
バサルモスが再び猛ダッシュによる突進を仕掛けてきた。
「う、おおおおおおおおおおおお!」
サイトは、その突進を避け、バサルモスが止まると同時に、バサルモスの露出した肉に剣を再び攻撃を加えた。
バサルモスは、断末魔の鳴き声を上げ、絶命した。
「っしゃあ!」
「サイト!」
「だいじょうぶだ、ルイズ。」
「さ、剥ぎ取り剥ぎ取り。」
お互いの無事を確認し合う二人に、セエがそう急かした。
そして、一行は、無事に岩竜の翼を手に入れた。
***
「あとは、王族カナブンがいるわけだけど……。」
セエは、二人を連れて、農場に来た。
「地道に行くしかないか。」
「……えー。」
「もっと手っ取り早くはできないの?」
「王族カナブンは、希少でね。高い値段で売れるし、中々取れないんだ。けど、農場なら時間はかかるかもしれないけど危険を冒さず採れる。」
「地味ねぇ…。」
「仕方ねぇよ。」
「じゃ、サイト。虫の木、行こうか。」
「げっ!」
サイトは、大きな虫の木を指差されて、嫌そうに声を漏らした。
「ほら、嫌がるな。地道も大事。」
「分かってますよぉ!」
「ルイズは、そっちの茂みを探してみて。見つかるかもしれないから。」
「はーい…。」
二人は、不服そうに地味で地道な作業をした。
結局、王族カナブンを必要な数集めるのに、数日をかかった。
さらに、必要素材である、カンタロスの刃羽を手に入れるため、ハードクラスの、巨大昆虫大発生というクエストに挑み、地道に巨大昆虫ランゴスタを退治して、報酬でカンタロスの刃羽を入手した。
そうして、ようやく……。
「やっと出来たな。」
「ご注文の、ブラックピアスGです。」
「やったな、ルイズ!」
「ええ、サイト!」
やっと、ブラックピアスの上位であるブラックピアスGを作ることが出来たのだった。
強敵と戦うクエストと、地道に素材集めをする苦行と、どっちが辛いでしょうかね?
微々たるものですが、ルイズの防御力はこれで少し上がりました。
問題は、サイト。ここからどうするか……。
現在リオソウルの初期を装備しています。