ラブライブ!サンシャイン!! 黒澤家長男の日常   作:アドミラルΔ

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ツンデレは正義


津島善子は否定したい

──────

 

「そういえば2人でお話するのは初めてですね。同じ学校に通う善子さんに聞きたいのですがもっと銀と仲良くなるにはどうしたらいいと思います?」

 

「なんで私に聞くのよ」

 

あまり話さない人と2人きりだから気まずいな…なんてことを考えてたら向こうから話しかけてきた。しかもはぐらかすことが出来そうにないしあまり話したくない方の話題だし…

 

しかし…聖良さんは友達の友達の姉だから絡みにくのよね…いくらsaint Aqours snowとしてグループを一時的に組んだとはいえあれも理亞とルビィがいてこそのものだったから…わたしはその手伝いをしたに過ぎない。いやむしろこれは最初の方に表面上のガワだけで聖良さんと喋ってしまったことも尾を引いているのかもしれないけど…

 

「善子さんは恋において百戦錬磨だから相談した方がいいって言われたんですけど違いますか?」

 

「誰よ?そんなこといったの」

 

年齢=彼氏いないの私に百戦錬磨という言葉は当てはまらないどころのことじゃないと思う。まあ言い方を変えて無敗というのならあってるのかもしれないけど…

 

「え?理亞を経由したルビィさんと花丸さんと銀からですよ?」

 

「彼奴等め…!」

 

そんなの話を盛ってるに決まってるでしょ!なんて言えないし…というかそもそもあんたはあいつから美人美人って言われてるでしょうが!仲良くなるもくそもないわよ!ルビィとずら丸に並ぶ高位置じゃない!

 

「ま、そうねツンデレ…というのはどう?」

 

「つんでれ…ですか」

 

昔からのライトノベルだとメインヒロインがツンデレというのが圧倒的に多い。最近は全肯定系のヒロインに押され気味だけどそれでもツンデレの破壊力は今なお健在といえる

 

「好きなのにあえて嫌いという態度を取ってみるてのもいいんじゃない」

 

「そんなことをして意味があるんですか?」

 

王道と正道でここまで突き進んできたこの人にはからめ手という考えがあまりないのかもしれない。いや…まあツンデレは正統といえば正統なんだけどそれはあくまで私たちの中の世界であって一般人からすればそれは逸脱しているものに見えるだろう

 

「えぇ単純な好きの方向では効かないやつやそもそも浴びるほど受けているやつもいるのよ。だからこそ少しテイストを変えてみる。例えばあまいスイカにしょっぱい塩をまぶすように」

 

「なるほど…スイカに塩をですか…」

 

「こういうのは“ギャップ”だから差が大きいほどいいのよ。だからこそ思いっきり銀のこと嫌ってあげたら?」

 

「なるほど…そうと決まれば実践あるのみですね!」

 

そして本当に嫌われてくれたらなんて…私はやっぱり腹黒くどこまでも一般人なんだろう。満面の笑みで去っていたその背中を見送る時にそんな考えが渦巻いてしまうあたりが本当にそうだと。私は邪という言葉に惹かれるはずなのに…王道に対する邪道を選択する自分自身をどこか嫌悪しているように思えた

 

 

「銀!」

 

「ん?どうしたんだ」

 

「私は銀が大嫌いです!どうです?好きになりました?」

 

満面の笑みで大嫌いと言われて好きになった?と言われて正気を保てる人間など存在するのだろうか?いやいない。しかもそれをやってるのが俺の周りの数少ない常識人の聖良っていうのが最高に頭の痛いポイントだしな…

 

「やばい…この世界においてのとんでもないバグ見つけちまったんだが」

 

──────

 

 

「結局善子のイタズラか…」

 

聖良さんが包み隠さず話したのか私は銀に呼びつけられた。その横に座っている聖良さんはさっきまでの自信満々だった表情を失い少ししゅんとしていた。きっと本気で好きになってくれると勘違いしてたのね…

 

「ふん」

 

「聖良は変なところで純粋なんだからあまり変なことを吹き込むとこういうことするからやめてくれよ」

 

困ったように言う銀の顔は本当に聖良さんを心配しているように見える。だいたいあなたはAqoursのマネージャーなのにどうしてsaint snowにも目を向けるの?もっと私たちを見て欲しいのに…もっともっと私だけを見てくれたら

 

「随分優しいのね。聖良さんには」

 

「は?」

 

「つまり…私には何もしないくせに聖良さんには蝶よ花よって扱いなのね。どうせ私みたいな女にはそういう扱いがベストってこと?」

 

言葉に切れ味があるとしたらきっと今は最高に研がれた状態と言っていいと思う。それほどまでに私の感情はささくれだっていたのだ。あぁほんとにやってられない

 

「…参ったなこりゃ」

後頭部を軽く掻きながら困った表情をしている。別にその表情にさせたかった訳じゃないんだけど、私の口はもう止まらない。日頃の嫉妬や鬱憤が決壊したダムのように溢れ出てくる。だからあん「なるほど…善子さんも銀のことが好きなんですね」

 

「…は!?」

 

なんてことをいうのこのひとは

 

「好きなんですね」

 

「はぁぁぁん!?んなわけないでしょ!!」

 

好意をバラされたからか私の口は止まらない。否定の言葉が決壊したダムのように溢れ出てくる。いや好きだけど好きであると認めたくないからだ

 

「好きなのに嫌いな態度をとるのでしょう?」

 

「ちがっ!?」

 

そういえばそんな話もしたような気がする。好きなのに嫌いだと否定するのがツンデレだと言った。しかしそれがバレてるならもはや私の言葉は墓穴にしかなんないわね

 

「ツンデレとはそういうものなのですよね?」

 

「違わい!これは本当に嫌いなだけで…!」

 

「真のツンデレとはこういうものでしたか」

 

感嘆したような表情でこちらを見られるとまるで私が本当のツンデレかのようになっちゃうじゃない!私はあくまでこいつとは普通に接してるだけで…

 

「違うっての!!私は嫌いなんだから!」

 

さっきまでとは少し違いしゅんとしていた聖良さんは元気に、私から嫌いと言われ続けている銀は項垂れていた。いやそんなめちゃくちゃ嫌いなわけじゃないんだけどその売り言葉に買い言葉というか…なんかごめん

 

「あと申し訳ありませんでした」

 

函館に招待された時のように頭を下げられた。けれど理由が全くわからない。まあこれが好意をバラしてごめんなさいというなら死んでも許さないけどね

 

「え?」

 

「あなたは本当に銀が好きなんですね」

 

もう何度目かの押し問答。さすがに銀に対して嫌いと言いすぎたので少しは私も自粛した

 

「だから…」

 

「いや分かります」

 

「私には銀しかいませんけどきっと善子さんも銀しかいないのでしょう?それなのに好きだから仲良くする方法を教えてなんてひどかったです」

 

年下に対して自らの非を認め謝罪するというのは誰にでもできる事じゃない。けれどこの謝罪はどこかズレているような気がしてならない。謝ってるから許してあげたいんだけど許した先の着地点が分からないからだ

 

「もう…違うっての!そんなに銀が好きだって認めさせたいなら証拠でも出してみなさいよ!」

 

単に好きそうだから…では話の筋が通らない。きっとそのあたりを重視する聖良さんだからこそこういうことが効くのだ

 

「さっき私が伺う前に言っていた独り言はこんな感じだったですかね?」

 

…?

 

「まったくほかの子ばかりにうつつを抜かせて…いつまで私を放っておくのよ。私のことをさも特別扱いして勘違いさせといていざとなったら目移りってこと?はいはい分かっるわよ…どーせ私みたいなサブカルぶった自称堕天使の女は優先順位最下位ってことくらい!」

 

「……」

 

 

「…私に輝いた世界を教えてやるから俺を信じてくれって言ったくせに…ばか」

 

妙に芝居がかった…そしてどことなく私を真似たイントネーションと声で、私が“独り言”で言っていた事を一言一句暗唱して見せた。き、聞かれてたの?

 

「んなぁ!?そそれどどどこできききいてたのよ」

 

「善子さんのいるところへいざ入ろうとしたらこういうことを仰っていたのでつい…聞き耳を」

 

申し訳なさそうな顔がさらに私の焦りを加速させていく。思考は巡り脳が熱暴走を起こしてる気もしてきた。やがて人は限界を迎えると考えることをやめて足の方に力を貯めていく

 

「…うわわわわぁん!もういやぁ!」

 

「え?善子さん!どこへ行くんですか!」

 

走った。この現実から逃げたくてだ。私は堕天使だから魔術でなんとかなるなんてことも思い浮かばず、ただ私は私という存在が消え去ったらいいのにと思いながら走った。このまま光の速度を超えて過去に戻りたいとかそんな非現実的なことばかりが目の前を襲ってくる。もはやそれすらからも逃げたくて私はただただ走った

 

 

 

「マネージャーをしてるグループの子からめちゃくちゃ嫌いって言われた…俺これでも仲良い方かなと思ってたのに…」

 

 

 

 


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