Fate Kaleid Divider   作:オスミルク

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ナイトメア後日談

朝 衛宮家リビング、士貴は冬木教会へ行く予定が何故かリズとリビングで対戦ゲームをしていた。

寝坊してしまった為 すこし遅い朝御飯を食べて、いざ出掛けようとしたのだがリズ姉ちゃんに誘われてしまったからだ。

昨日 というか今日の午前の事もあり、断るのが申し訳なかった為つい はい と答えてしまった。

 

向かい合うように殴りあっている二人の男性 、よくある2Dの格闘ゲームだ。

勝率は五分五分といったせいもあり、オレも地味に楽しんでいた。

 

一勝負終ったのを区切りにリズ姉ちゃんが口を開いた。

「ねぇ士貴 レインコート って持ってる?」

 

「持ってるけど どうしたの急に?」

 

ちょっと見せて と言うので普段 物を入れている、キャリーバックを持って来て中を見せる。

 

「あれ? 違う...」

 

と首を傾げる、黄色のレインコートを広げて何かを確認するが、更に首を傾げた。

「...コレ以外 ホントに無い?」

 

「と言うかオレの持ち物って全部この鞄に入っているよ?」

 

服は基本別だけど趣味で作った木彫りのナイフや骨董品の類いも全てこの中だ。

兄ちゃんにも部屋に飾って良い、とよく言われるが鞄に入れて置くのは便利だし ただ整頓されたのを眺めているのも好きなのだ。

 

「あれ~…?」

 

と気が付いたら荷物を全てひっくり返して中を覗き込んでいたので流石に止める。

 

「ねぇ 姉ちゃん全部出されるのは片付けるのも面倒だし 困るんだけど...」

 

「...ごめん 」

 

そう、一言謝ると荷物を元に戻し始める。

やはり、というか当然というか。どこか浮かない顔をしているが、何も言わないでおこう。

これ以上言うのは墓穴を掘りかねない。

 

「とりあえず他になにも無いなら持って帰って良い?」

 

「うん、ありがと」

 

リビングを出て、

 

なんとか誤魔化せたかな? と ホッと胸を撫で下ろす。

 

そう、この中には間違いなくリズ姉ちゃんと対峙した時のレインコートや木のナイフが入っているのだ。

他にも見られて困る 偶然見つけた古い魔術品や幾つかの武装品も きちんとこの中に入っている

 

ただ、リズ姉ちゃんが見つけていないだけで嘘は何一つ言っていない。

 

それはやはりこの鞄に魔術的な細工があり。

面白い事に 中で手を広げればその分、中だけが拡がり外は何も変わらないと言う魔術品なのである。

とりあえず 某青い狸の猫型ロボットの四次元ポケットを想像してほしい。

 

その特性を利用して、中に区切りを仕込みそれを鞄の中に押し込む事で見せたくない荷物をその区画事で隠すことが出来ている。

 

実質この鞄は上下左右と中央で五個分以上の容量が有るため今のところ物を収納しておく場所には困っていない。

 

…のだが、鞄を部屋に戻して、話を少し変える。

 

現状とりあえずリズ姉ちゃんを誤魔化すのは多分何とかなったが問題はセラさんだ。

 

起きた時にはセラさんは居なかった、もしかしなくても教会に行った可能性が高いだろう。

 

可憐先生が、そう簡単にオレの事を話すとは思えないが、なんせ人を虐めたり苦しんでいるのを見るのが趣味の人だ。

ついうっかり とか言ってオレの事を書かれたレポートとかをばら撒いたりしてそうで怖い。

 

そんでしまいには「言ってませんよ?ついうっかり貴方について書いてあったような気がする紙を彼女の前に落としてしまっただけです」

 

とか言いそうだ、被害妄想甚だしい かもしれないなが、悪い方へと考えてしまうのは今までの人生経験のせいだ。

 

朝寝坊してしまったのは失敗だった。

コレでも小4だ、さすがに深夜まできちんとした睡眠が取れず、その後馬鹿みたいな戦闘を繰り広げて 早起きできる筈もないが、あの後の夢魔の処理を見れ無かったのは最悪だ。

 

...セラさんに会いたくないなぁ。

 

とりあえず今はリズ姉ちゃんとのゲームに戻って現実から目を背ける事にしよう…。

 

憂鬱なゴールデンウィークの始まり方だった。

 

 

 

 

同時刻 場所は変わって冬木教会 ソコに二つの女性の影があった。

 

「ご協力ありがとうございました 貴女方のお陰でこの夢魔を捕らえられ然るべき処罰を与えることが出来ます」

 

一人は教会に合った修道服を着た、金色の目をした白く長い髪をした年若い女性と。

 

「...本当に士貴君は関係無いのですね?」

 

もう一人はよく有る婦人服を着た白い髪の赤色の目をした女性だ。彼女は疑惑の瞳で修道服の彼女を睨んでいた。

 

「はい、先程も言わせて貰った通りただの小学生を危ない事件に巻き込む様な事は私自身本意ではありませんし一般人に神秘について漏らすのは教会でも許されておりませんので...、

 

まさか貴女は衛宮 士貴が ただの小学生では無く とでも言いますか?」

 

そう修道服の彼女は笑った。

これ以上は墓穴を掘るぞ と言外に語る。

もしも私が本当に衛宮 士貴について知らなければ情報を渡す事になる。

少なくてもただの小学生ではないと。

彼の性格上 ほんの少し関われば深くまで首を突っ込んでコチラ側に来る事になる。

 

それは衛宮家の大人達が恐れている事の一つだ。

 

「...分かりました 今はその言葉を信じます。」

彼女は撤退を選んだようだ、そのまま失礼しました と教会を出ていった。

 

それも そうだろう、衛宮家には現状様々な悩みの種があるが、今最もその芽が芽吹いているのは 士貴だ。

彼は みる ということに関して神がかり的な才能を持っている。

 

例えば 一目見ただけで人の肉体的な障害を見抜いたり。

 

例えば 難しく巧妙な手品の種を見破ったり

 

例えば 数日前に付けられた足跡からそれを着けた人物の体重や体格を正確に見破ったり

 

例えば バラバラにされた複数人の死体をそのそれぞれの人物に仕分けしたり。

 

例えば 街角で見かけた連続誘拐殺人犯の居所を見付けたり...。

 

例の 一番最初以外は全て本当に彼が異能に目覚める前にした事だ。

 

ほんの少しの神秘に触れるだけでも■■の近くまでたどり着くでしょう、

 

まあ、すでにたどり着いているかもしれませんが…。

 

 

 


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