Fate Kaleid Divider   作:オスミルク

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ナイトメア第6話

「へー、そんな事が有ったのかー」

 

ポリポリと3時のおやつを食べながら今の原因を聞く。

 

ようは夢魔がイリヤにオレが事故に遭った時の夢を見せてトラウマが想起したんだろう。

 

まったく、嘗められたものである、セカンドオーナーの不在がここまで深刻な事になるとは...。一応 可憐先生からマキリと言う人が代わりに管理していると聞いたが、たかが夢魔の被害がこんなにも深刻になるとは思わなかったのだろう。

 

「だ、大丈夫か? 士貴 目がすわってるけど...」

色々考えていたら隣にいた兄ちゃんが、顔をひきつらせながら聞いてくる、気づかぬうちに恐い顔をしていたようだ。

取り敢えず大丈夫だと言っておこう。

 

「にしてもほんっっとに申し訳無いです。

そんなことになってるとは知らずに呑気にしててごめんなさい」

 

「いっ、いえ別に学校に行っちゃったのは別に良いんですよ? ただタイミングが悪かっただけなんですか...」

 

そうセラさんは言ってくれるが只でさえバレれば心配どころの騒ぎではない事をしているためこういう時にまで心配をかけたくはない。

 

今日この後 夢魔 退治をしに行くなどと バレようものならセラさんが発狂しかねない。

決してバレないように しよう...。

 

だが取り敢えずそれより先に。

「あのさイリヤ いい加減離れてくれないか?」

 

左腕にしがみついたこの姉をどうにか せねばなるまい。

「…やだ」

一言でバッサリと断られる。

 

セラさんに助けを求める意味で目線を向けるが優しそうな目で返されるだけだった。

 

次にリズ姉ちゃんに目線を向けるが我関せずとポリポリと3時のおやつを食べているだけだった。

 

ついでに兄ちゃんに目線を向けるが目をそらされた。

どうやら 助けは無いらしい...。

まぁ、しばらくしたらイリヤも勘弁してくれるだろう。

 

 

その後風呂まで勘弁してくれなかった。

 

 

そして夢の時間が始まる。

 

 

 

 

 

時間が進み、夜9時 健康的な小学生ならば既に寝る準備を済ませ布団に入っていてもおかしくない時間だろう。

オレも例外ではなく既に布団に入っていた。

 

セラさん達が何か言いたげだったが特に気にせず寝始める

 

微睡みに身を任せ、現実と夢が入れ替わる。

 

意識は有るのに脳は働かず、目の前の異常を現実として受け入れる。

 

 

そうだ、自分はいつもの道で家に帰っている。

 

 

途中 転んだのか座り込んで泣いている女の子が居たので声をかけた。

 

だいじょうぶ?

 

すると女の子は赤く泣き張らした目をこちらに向けて、コクリと頷いた。

しかし、膝や手の平から沢山血を流していたので近くの公園に行って少女をベンチに座らせて近くの水道でハンカチやティッシュを濡らして顔などにも着いた血を拭き取ってあげる。

すると女の子はとても驚いた様な顔をして少女は逃げる様にその場を去って行った。

それを心配しながら見送る。

 

まぁ気にしても特に意味はないか...

そう思った。

 

自分も公園から出て帰路に付く。

そして少女との再会はその直後だった。

交差点、赤く光った信号と立ち止まっている少女と駆け出す自分...。

先程出会った少女を突き飛ばして少女の代わりに眼前から来る車に跳ねられた。

 

 

痛いなぁ...

 

年相応に軽い自分の体は簡単に跳ねとんで道路に突っ伏した。

 

そんな中で道路を這いつくばって突き飛ばした女の子を探す。

そして少女は直ぐに見つかった、

そして少女は驚愕と憎悪の籠った、目で自分を見下ろしていた。

 

先ほどまで一切喋らなかった少女が少女とは思えない程の掠れた声を発する。

「ナンデい間タは助たノ」

一瞬少女が何を言っているの分からなかった。

「イ可でアノトキはナニモしてくれなかったタノニイマサラ」

 

声がでない。

 

「あなたダケ生きのびるナンテ許サナイ、アナタ丈ガ幸セにナルナンテユルサナイゆるさないアナタハワタシ達ト同じ様な形にナラナクちゃいけないダケどワタシ達じゃデキナイ、ダカラここで死ンデ」

そう少女が音を発して、あぁそうか とそこまで言われてようやく分かった。

少女....、いや少女達は自分を殺しに来たのんだ。

今少女達が言ったようにおれだけか平穏な世界を生きるのは許さないと せめて死ねと。

死んでくれと。

おれを殺しに来たのだ。

あぁ、おれはもっと早く気づくべきだった。

手の血が着いたにしては妙に血が多かった事。

泣き張らしたにしてはあまりにも目が赤すぎた事を。

少女の顔に見覚えが有った事を。

 

あの時の━━━━

どうやったかは分からないけど、どうにかこうにか人間の体を頑張って作っておれを殺す為に無い筈の頭を使って考えて。

おれを殺しに来たんだ。

 

 

だからやはり、オレを殺す権利を持つのはあの子達だけなんだろう...。

 

だから…

「だから、この思い出に侵入して挙げ句の果て 俺の家族にまで手を出した、てめぇを許さない.....!!」

オレはそのまま立ち上がり少女の形をした夢魔の指で切りつける。

 

「...ガッ!… ニ...ッ!!」

 

そして半身をバッサリと切られた馬のような怪物に変容する。

 

あぁ、最悪な気分だ。

好きな食べ物に毒物でも仕込まれたような最悪な気分だ。

 

コレにもコレなりの事情が有るのだろう。

とか、コレにとって人間に悪夢を見せるのは美味しいご飯を作る様なモノだから仕方がないのかな?

とか、考えていたがやはり衛宮 士貴はコレを許す気にはなれない

 

さっさと殺してカレンさんに引き渡そう。

 

いきなりの事で悲鳴すら上げられなかったらしいが憎悪の籠った目で此方を見てくる。

 

「ニン...ゲン ッ!! ゴトキが!! コロシテヤル!!」

 

「それは無理だな」

 

しかし関係はない、そのまま指突で念入りに殺しておく。

例え分体だろうがこの夢魔は本体との関係が濃すぎる、直ぐにでもこの 死 は夢魔の本体まで届いて致命傷ではすまない死が本体を襲う。

放置しても直にこの夢魔は死ぬが念のため確認しておこう。

 

目を覚まして一言

「行くか...」

 

これが致命的ミスになる事をオレはまだ知らない。

 


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