聖隷でありドラコンである死神が来るそうですよ?   作:紫最槻鱗

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はい、2話目です。

最近またテイルズにはまりました。
アイゼンイケメンだけど残メンでもあって、そこが好きでもあります。
口調があやふやなところもあると思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。





死神と問題児の邂逅

 

 

 

 

ずっと穢れが自分を犯し続けているのを知っていた。

 

 

故に、ドラゴンに成っても仕方がないと受け入れていた。

だが妹が、エドナが俺に囚われ続けてしまったらと、苦しめてしまったらと思うと恐ろしかった。

だからアイツが、ザビーダがドラゴンに成った俺を殺してくれると約束をしてくれ、安心した。

故に、こうなることは分かっていた。

 

ドラゴンに成り、穢れに犯され続けた身体は自由に動かせなくなった。

エドナが苦しむ顔を見ていた。

ザビーダが悲しみながらも俺を殺そうとしているのを見ていた。

エドナの仲間が俺をドラゴンから聖隷に戻そうとしているのを知っていた。

そしてそれがきっと果たされないであろうことも、知っていた。

 

こうなると分かっていた。

これが、俺の最期だと分かっていた。

だから、そんな顔をするな。

これは、俺が望んだことだ。

勝手だか、曲げるつもりはない。

ただ、最期に

 

「 エドナ、苦しませて、悲しませてすまない。

ザビーダ、約束を守ってくれてありがとう。

今の導師達も、ありがとう。

 

エドナ、いつも、いつまでも愛している。

ずっと笑っていてくれ。

お前なら大丈夫だろう。

ザビーダ、お前には迷惑を掛けたな。

お前と親友になれて良かった。

そしてスレイと言ったな、その仲間も、どうかエドナを頼む。

賢く、大人びてるが、本当は泣き虫なんだ。

どうか、支えてやってくれ。」

 

俺の声が届いたかは分からない。

それでもきっと大丈夫だろう。

アイツらは自分の舵を自分で取っていける。

身体が軽くなる。

意識が離れるのを感じた。

 

そして

 

自分が死んだのが分かった。

死んだのに意識があるのは不思議だが何処か懐かしく、何処か温かいのはなぜだろうか。

 

『僕はベルベットと一緒に此処を見てるよ。

だからアイゼンはそっちでいっぱい楽しんでね。

アイゼンの流儀に反するかもしれないけど、これが僕の流儀なんだ。

ドラゴンと聖隷両方の力はきっと役に立つと思うから。

だから、いつかまた会おうね。

ゼッタイにベルベットや皆で。

それまで行ってらっしゃい、アイゼン。

僕に生き方を教えてくれた不器用だけど優しい人。』

 

唐突にそんな言葉が聞こえた。

この声も懐かしく、自分の知っている者の声だ。

 

それを聞き届けた直後、

 

自分の身体が空へ

 

投げ出されたのを

 

感じた。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

そこは何処までも続く海のように広大な空だった。

青く、蒼く、世界を見渡せるのではないのかと思うほどに広く、下界がよく見える。

そんなところに突然、4つの影が出来た。

それらは重力に沿って律儀に地上に墜ちていく。

 

 

「うおああああああああああ‼」

 

「きゃぁぁああああああああ‼」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

「にゃ"ぁぁぁああああああ‼」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ?!」

 

4つの悲鳴が、いや、1つ猫の悲鳴が混じった5つの悲鳴が空に響く。

 

1人はヘッドホンをした金髪の少年。

1人は大きなリボンをつけた髪長の少女。

1人は猫を抱き抱えた短髪の少女。

1人は黒いコートを着る金髪の男性。

 

最後の男性だけ純粋な悲鳴ではなく、「どう言うことだ」と言うニュアンスで声を上げている。

 

落ちる

 

墜ちる

 

落ちる

 

墜ちる

 

落ちる

 

墜ちて落ちて墜ちた先に水の膜が有り、4つの影が減速する。

そして、その下に有る湖に、4つの水柱が立った。

 

 

 

バシャァ!

湖から4つの影が出てくる。

幸い、足のつく深さだったようだ。

各々が別々に陸へ上がる。

 

最初に声を上げたのは髪長の少女だった。

 

「信じられない‼

いきなり人を空に放り出すなんて!

下に湖がなければ、そのまま地面に叩きつけられて即死よ!!!」

 

次に金髪の少年が声を上げる

 

「全くだ。

どこの誰だか知らねえが、ふざけたことをしてくれやがる。

場合によっちゃあゲームオーバーコースだぜこれ。

石の中に呼ばれた方がましだ。」

 

「それでは動けなくって?」

 

「俺は問題ない。

一応確認しとくが、お前らもあの手紙を読んだのか。」

 

他の2人は各々で服から水を払っているようだ。

その2人に関係なく話は進んでいく。

 

「まずそのお前という呼び方をどうにかしてくれないかしら、目付きの悪い学生くん。

私は久遠飛鳥よ。

以後気をつけて。」

 

「そこで猫を抱きかかえている貴女は?」

 

飛鳥が短髪の少女に顔を向ける

 

「春日部耀。以下同文。」

 

耀は素っ気なく返し

 

「そう、よろしく春日部さん。

それで、見るからに野蛮で凶暴そうなあなたは?」

 

それを流した飛鳥が金髪の少年に顔を向ける

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。

見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。

粗野で凶悪で快楽主義と3拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で、適切な態度で接してくれよ、お嬢様。」

 

十六夜は、それはそれは愉快そうに答え

 

「……説明書を用意してくれたら考えてあげてもいいわ。」

 

「マジかよ、なら今度作っとくから覚悟しとけ。」

 

この二人は性格的に合いそうで合わなそうだ。

 

「ええ、良いわよ。

で、そこの黒コートの貴方は?」

 

次は貴方と飛鳥が黒コートの男性に顔を向ける

 

「アイゼンだ。」

 

彼もまた耀の様に素っ気なく返す

 

「そう、よろしくアイゼンさん。」

 

 

そのやり取りを草むらで聞いていた者が居た。

兎の耳をもつ、青い髪の少女だ。

 

(うわぁ皆さん、問題児ばかりですね。

しかしあの黒コートの方、人間では有りませんよね?

と言うか、よく分からない種族の方ですねえ、あれ?なんかドラゴン?とか混ざってませんかあれ?ん?

まあ、今考えても仕方がありませんね。

…ハア、もうこの時点で黒ウサギの心は折れそうですよぉ。)

 

そして、彼等の余りの協調性の無さに項垂れていた。

自分で呼んだのに理不尽である。

 

 

ところ戻って問題児達

 

「で、呼び出されたはいいけど何で誰もいねえんだよ。

この場合、手紙に書かれた箱庭の事を説明する人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうね。

何の説明もないままでは動きようがないもの。」

 

「……この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかと思うけど」

 

(全くです。)

 

「…あなたがそれを言うのかしら?」

 

飛鳥も黒ウサギと同じ気持ちだったらしい。

 

「-少しいいか」

 

今まで何かを考えていたようなアイゼンが3人と心の声+1の話に割って入る。

 

「なんだよ、アイゼン。」

 

「俺は手紙を貰っていない。

だからその手紙について聞きたい。」

 

(!?手紙を貰っていない?!

しかし………いえ、手紙が近くにあり読んだのを忘れている可能性も。

いや、けどあの方そんなことするような人には………うーん。)

 

「はぁ?そうなのかよ。

つっても、招待状みてぇなもんだぜ。

人とは違う力を持ってるから箱庭に来いってな。」

 

「結構強引だな。」

 

(うぅっ黒ウサギも分かっているのです。

強引なことは、しかしこのままでは私達のコミュニティが………)

 

「俺はそんだけたぜ。

おい、お嬢様と春日部はどうだった?」

 

「私も十六夜くんと同じよ。

手紙を読んだら急に空の上よ。

勘弁してほしいわ。」

 

「…私も同じ。」

 

「そうか、助かった。」

 

それ以降、またどうするかと言う話し合いに4人は戻る。

それを聞いていた黒ウサギが仕方がないと言う風に

 

(では、そろそろ)

 

と草むらの外に足を踏み出そうとした瞬間。

 

「――仕方ねぇ。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」

 

その言葉により踏み出そうとした足を勢いよく戻した。

 

(なっなっなっ!きっ気付いて居たのですか!!!???)

 

心臓を捕まれたように視線が此方を向くのを感じる。

黒ウサギがビビったのを感じたかのように十六夜はニヤニヤと、飛鳥はうっすらと、耀は何処か愉しそうに笑い、アイゼンはそんな3人と黒ウサギに呆れたように溜め息をついていた。

 

「なに、貴方も気づいていたの?」

 

「当然。

かくれんぼじゃ負けなしだぜ? 

そっちの二人も気づいていたんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でもわかる。」

 

「俺の領域に居るんだ、当然だな。」

 

「………へえ? 面白いなお前ら」

 

(うわ~ん、出るタイミングを失ってしまったのですよ~。)

 

「で?出てこいよ」

 

4人の視線が草むらに集まる。

 

(うぅ~仕方ないですね。

覚悟を決めましょう。)

 

「や、やだなぁ御4人様。

そんな狼みたいな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ? 

ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。

そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便にお話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「早く話せ」

 

「あっは、取りつくシマもないですね♪

あと最後の方、その威圧感勘弁して頂けると助かるんですけど……。」

 

「知らん」

 

草むらから出てきたのは黒ウサギ。

あと黒ウサギの格好を詳しく言うと、16、17歳頃の露出の多い服を着たうさみみ生やした少女である。

バンザーイとふざけた格好を取りながらも、しかしその目は冷静に4人を観察している。

 

(肝っ玉は及第点。

この状況でNOと言える勝ち気は買いです。

御1方それ以上の方もいますが、まぁ、扱いにくいのが難点ですね。)

 

まあそんなことを考えていたからか彼女は、背後に迫る耀も、それを愉しそうに見つめる十六夜と飛鳥にも、唯一自分をただただ冷静に観察しているアイゼンにも気付かなかった。

だからこうなったのは黒ウサギの自業自得である。

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

耀が黒ウサギの耳を力一杯掴む。

十六夜と飛鳥は然り気無く耀の隣に回った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを! 

まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとは、いったいどういう了見ですか!?」

 

「好奇心のなせる業」

 

「自由にもほどがあります!」

 

「へえ? このウサ耳って本物なのか?」

 

「………。じゃあ私も」

 

今度は十六夜が右から、飛鳥が左から耳を掴んで引っ張る。

 

「ちょ、ちょっと待―――!」

 

────キャァァァァァァーー!

 

黒ウサギの絶叫が森に響いた。

 

 

 




と言う訳で邂逅編でした。

テンプルですねこの流れは。
不定期更新なので今回の様に結構早く更新したり、もしかしたら次は何ヵ月も後になるかもしれませんが、次も読んでいただけたら嬉しいです。

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