刺殺・斬殺系ヒロインに好かれています   作:ゆっくりシン
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中々ネタが浮かんでこない最近この頃。
主人公よりもその周りにいるキャラの方がスペックが高いせいもあって、主人公よりサブキャラとかを視点にした方が長く書けることに気付きました。
・・・・・・どうしよう。このままだと主人公の座が奪われそうだ。主にモブ(三沢)に。


14話 『暇人合コン』

 

 現在、平日木曜日の昼間。

 普通なら学校に行っている時間だが、現在絶賛休校一週間目である。

 事件が起きたのが先週の火曜日。

 休校決定が先週の木曜日。

 冬花と佐野さんと服部が家に来たのが今週の火曜日。

 つまり、あれから二日経過したというところだ。

 課題もあらかた終わってしまい、暇を持て余していた時にほとんど鳴る事のないスマホに連絡が入った。

 内容は、

 

『藤原~、暇? ならちょっと駅前の‘‘あの‘‘カフェまで来て~』

 

 と言う高橋からのモノだった。

 やる事もなかった俺は、駅前の繁華街にあるカフェまで向かった。

 ・・・・・・今思うと不思議なものだ。

 数か月前までは、誰ともかかわりを持とうとせず、連絡するような相手もいなく、遊びに誘われたとしても無視をしていたのに。今では友達もできて、ちょくちょく遊びに行くようにもなった。

 きっかけはやはり『あの事件』だろう。

 俺は少し思い出す。

 二日前に服部が言った言葉を。

 

「『アレ』ってどうやったの?」

 

 俺には一切の記憶がない部分。

 少し精神論になるが、あの時の俺はボコボコにされながらもただ倒れては駄目だという思いだけで立ち続けていた。

 五十嵐は俺を殴りながらも諦めるように促していた。

 『あの事件』の根本的な問題に一切のかかわりのない俺たちにすぐに引くように、すぐに逃げるようにずっと言い続けていた。

 五十嵐の周りにいた連中は口封じのために俺たちを始末したがっていたが、リーダーである五十嵐の言葉を渋々だが承諾していた。

 その連中も三沢たちが抑え込み、あとは五十嵐だけになった時も五十嵐は俺たちを極力傷つけたくないような様子だった。

 それでも俺が食い下がったため、気絶させようとしてきていた。

 何度も殴られ。何度も蹴られ。

 俺の記憶はそこで終わっている。

 気がついた時は病院に居た。

 この辺がどうなったのかは現在、外伝で綴っている所だ。

 うん、昔語りやメタい話はここまでにして物語を進展させるとしよう。

 

 

 

 

 

 

「で、何の用だ」

 

 駅前のカフェには高橋と三沢がいた。

 店の奥側にある窓際の席に二人は座っていた。

 

「いや、ちょっとな」

 

 と高橋。

 

「オイ、まさか事情説明してなかったのか」

 

 と三沢。

 二人は並んで座っていたため、俺は向かい側の席に座った。

 

「で、三沢。何で平然とお前がいる」

 

 お前はモブキャラだろう。

 

「本編じゃモブだけど外伝では主人公orメインキャラだろ。だから不自然じゃないと思うんだけど」

「メタい」

 

 そう言って少しため息を吐いた。

 だが、その後にクスリと笑っていた。

 楽しい。

 数か月前まで忘れていた感覚だ。

 と、まあ。懐かしさに浸るのは後にしよう。

 

「人を呼び出しておいて何の用だ?」

 

 俺がそう言うと、高橋がガバッと立ち上がり、楽しそうな顔をして宣言した。

 

「合コン行こうぜ」

「死ねぇ!!」

 

 顔面を全力で殴り飛ばしてやったのは言うまでもないだろう。

 高橋はバランスを崩して後頭部を強打し、弧を描くかのように倒れて動かなくなる。

 俺は高橋を無視して三沢に視線を向ける。

 

「お前は乗り気なのか?」

「いや、俺も数分前に到着して知らされたばかり・・・・・・」

 

 三沢はそう言いながらも高橋から聞き出した事情を説明してくれた。

 なんでも、高橋がSNSで知り合った女子―――実際の性別は不明―――と会う事になり、何がどうなったか詳しい事は分からないが、合コン形式でやる事になったらしい。

 で、三体三での合コンをしたいけど人数が足りないから俺たちを呼んだらしい。

 

「どうする? このバカ(高橋)を縛り上げて吉田―――高橋の彼女―――にでも突き出す?」

「突き出したいのも山々だけどそうすると相手の方に悪い気もしてさ。だって、向こうはなにも知らないだろうし。すっぽかした形になるのは迷惑がかかるからな」

 

 うん。マトモだな、コイツ。

 高橋よりもコイツがメインキャラの方が良い気がする。

 

「じゃあ、行くのか?」

「暇だしね」

 

 三沢はそう言いながら高橋のポケットからスマホを取り出し、気絶しているのを良いことに指紋認証で勝手にロックを解除して中のチェックを始めた。

 数分の後、三沢はにやりと笑うとスマホをしっかりと元の場所に戻した。

 

「何かあったのか?」

「あった。まあ、行ってみれば分かる」

 

 三沢はそう言って高橋を担ぎ上げる。

 俺は高橋の分の荷物を持ってカフェを出る。

 ちなみにだが、このカフェの親会社も三沢の親が経営する企業だそうだ。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ここ?」

「ここ」

 

 あるいて五分ほどしただろうか。

 俺たちの目の前にはある店。それは、カラオケ店だ。

 これは、後々聞いた話だがこのカラオケ店も三沢の親の会社が経営する企業だそうだ。

 ・・・・・・一体いくつの業界に手を出しているんだ?

 三沢が受付に行くと、予約を取っていたらしく、すんなりと通された。

 予約した本人が気絶し、担がれて現れたことに受付の方がかなり驚いていたが、ツッコミを入れることなくスルーしてくれた。

 多分、厄介事に巻き込まれるのが嫌だったのもあるだろう。

 部屋は二階らしく、俺たちは階段をゆったりと上る。

 

「で、高橋。いつまで気絶したフリをしているんだ?」

「あ、バレてた?」

 

 三沢の言葉に高橋はひょいっと顔を上げる。

 と、同時に三沢に階段から投げ落とされそうになっていたが、それは無視していいところだろう。

 ハッキリ言って俺は乗り気じゃないし。

 というか今すぐにでも帰りたいのが本音だ。

 そもそも、俺は人づきあい事態が苦手なのだ。だからこそ誰とも付き合おうとしていなかったのに周りでは大小の事件は起きるわ、なぜか頼られるわ。ホントに散々な日常を送ってきていた。

 二人は階段を最大限に使って大喧嘩を始めている。

 手すりを足場に使って跳び、その拳を振るう高橋。その一撃をかわしながら高橋の襟をつかみ、背負い投げをする三沢。

 階段下に投げられた高橋は空中でその身をひるがえし、キレイに着地する。

 三沢は壁を蹴って勢い良く跳び、高橋に空中でフックを喰らわした。高橋は首を回して威力を殺す。

 何度見ても思うが、この二人は一般人のスペックをあっさりと越えているよな。

 今もなんかドラゴ〇ボールで見るような殴り合いしているし。

 『あの事件』の時だって俺よりもコイツらと‘‘あのメイド‘‘がほとんど表立って活躍し、俺がやった事なんて陰に隠れてコソコソと動き回っていただけで、本当に表立って動いたのは‘‘アイツ‘‘とぶつかった時以外ほぼ無い。

 うん。やっぱりコイツらのスペックは世間一般からして絶対におかしい。

 三沢に関しては『あの事件』の時も、その前の‘‘アレ‘‘の時も滅茶苦茶活躍していたからな。

 ・・・・・・あれ? 三沢ってモブだよな?

 普通にメインキャラすら凌駕しているぞ?

 俺がそんな事をポケーっと考えながら二人の争いを見ていたが、やっと決着がつく。

 高橋渾身の右ストレートが放たれる。三沢は身をかがめ右ストレートの射線を潜り、クロスカウンターを決めて高橋をノックアウトした。

 二人の身体的スペックはほとんど一緒だが戦闘のセンスやとっさの判断力は三沢の方がわずかだが優っている。

 なので、喧嘩の勝敗はほとんどの確率で三沢が勝つ。

 高橋が勝つのは多くて三回に一回ぐらいだ。

 俺は床に大の字になって倒れている高橋を見ながら大きなため息をついていた。

 

「三沢、やりすぎ」

「・・・・・・スマン。つい、いつもの癖で」

 

 俺は店員がいるであろうレジカウンターの方をチラリと見たところ、店員は見て無ぬふりをしていた。

 うん。まあ、あんな常人にはできないような動きをして喧嘩するヤツらに率先して関わろうと思う人間はいないだろうからな。

 賢明な判断だろう。

 

「ほら、さっさと高橋起こせ」

「おう」

 

 三沢は高橋の頬を何回かペチペチと叩いて起こしてやった。

 高橋は後ろ頭をポリポリと掻きながらのっしりと起き上がった。

 その後ブツブツと文句を言っていたが俺たちは無視して階段を上がった。

 

 

 

 

 

 

 206号室。

 そこが待ち合わせの部屋らしい。

 高橋は屈伸をしたり、なぜか宙返りをして嬉しそうにしている。

 もし、ここを吉田にでも見られでもしたら『吉田美咲ちゃんファンクラブ』の方々に袋叩きにされるだろう。

 ってか、これで浮気ととられる行動何回目だ?

 俺が知ってるだけでもここ一ヶ月で三回はしてるからな。

 しかも全員学校で可愛いと言われてる女子ばかり。

 それでいて未だに刺されたりしてないから凄いと思う。

 三沢はと言うと何故かニコニコしている。

 ああ、これは何か良からぬことを考えているときの顔だ。

 俺はこの後の展開を軽く察しながら―――想像しながら―――も三沢の後に続いた。

 で、206号室の前でウキウキとしている高橋。

 深呼吸をし、体を再度ほぐした後、勢いよく扉を開けた高橋は速攻で引きずり込まれた。

 扉が閉まり、中から何やら争う声が聞こえたが、俺と三沢はその音が止むまでスマホゲームの無料ガチャを回して暇をつぶした。

 数分で静かになり、俺たちは206号室へと入った。

 中には吉田と酒井―――三沢のメイド―――と冬花がいた。

 冬花と吉田の仲が良いのは知っていたが、どうやら酒井とも何かしらの関係で出会い、仲良くなっていたようだ。

 

「三沢、どうやって気付いた?」

「SNSでのやり取り。‘‘アイツら‘にこの街の事は色々と探らせてるからな。少しの情報でも大体の事は分かるよ」

 

 何さらっと言ってるんだよ。

 まあ、『あの事件』の時もそのおかげで事が上手く進んだのもあるけど、改めてコイツを敵に回してらいけないと思うきっかけにはなったな。うん。

 俺はとりあえず女子三人から詳しい話を聞いた所、

 

1・また高橋が浮気行為をしようとしていると吉田が感付いた。

2・友人二人―――冬花と酒井―――に相談する。

3・二人が同時に「とっちめちゃおう」と発言。

4・計画を立て実行に移す。

5・今に至る。

 

 ざっくりだがこういう事らしい。

 天罰としか言えねえ。

 とりあえずここまで来たんだから、と時間いっぱいまで歌う事になった。

 俺は余り歌う事が得意ではないためジュースを飲んだりして時間を潰しただけだが。

 ちなみに、高橋は冬花が持っていた荒縄でグルグル巻きにされて地面に置かれていた。

 時折、吉田が構っていたがあれは・・・・・・何とも言えないな。

 以前、俺は『知らない人が見たら、吉田が高橋になついているだけの様にも見える』と言ったが、あれは誤りだと訂正しよう。

 一見そう見えるが、実際は吉田が高橋を逃がさないようにそうしているだけだと。

 俺は女性特有の闇に恐怖しながらコーラを飲んだ。

 

 

 

 なお、これは後々知った話なのだが、吉田はもともと高橋のストーカーだったらしい。

 何で付き合うようになったまでは教えてもらえなかったが、どうやら吉田は軽い束縛系ヤンデレ気質があるらしい。

 怖ぇ。

 

 

 




主人公よりスペックの高いモブとは一体・・・・・・。





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