この鎧武者に祝福を!   作:竹内蔵人
次の話 >>

1 / 3
この冒険者運命の出会いを!

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 オッス、俺カズマ。日本から女神によって異世界に転生された勇者候補だ。

 しかし、今の俺は今まで類に見ない危機を迎えていた。

「なんで、こんな森に一撃熊がいんだよぉぉぉ!!!?」

 俺は今、危険なモンスターとして有名な一撃熊に森の中で追い回されていた。

 

 こうなった経緯は一時間前まで遡る。

 

「……テメェ、今何つった?」

「何度でも言ってやるわよ!あんたなんて私達がいなかったら何もできない最弱職じゃない!それなのに女神である私に歯向かおうなんて頭が高いのよ!」

 俺はパーティメンバーといつものように依頼を受けに来ていたのだが、何故かそのパーティメンバーである。アークプリーストと口論をしていた。

 原因はなんだか忘れた、しかし、今思うとくだらない理由だった気がする。

 そして、その口論の相手は俺がこの世界に持っていける特典として連れてきた女神アクアだ。つっても女神っていうのは名前だけで実際はただの穀潰しだが……。

「テメェ!俺がお前等をまとめんのにどんだけ苦労してんのかわかってんのか!?おつむが弱いアークプリーストに、爆裂魔法しか使えないネタ魔法使い、攻撃力皆無のドMクルセイダー!こんなメンツでやってイケてるのは誰のおかげだと思ってだ!?」

「ちょっと、待ってもらおうか、ネタ魔法使いとは私のことですか!?いいでしょう受けて立ちます、表に出なさい!」

 背の低い、紅魔族の少女先程言ったネタ魔法使い、めぐみんまで話に入ってくる。

 俺は無言でめぐみんに近づき、眼帯を思いっきり引っ張った、

「あっ、あの、それは勘弁……。」

 めぐみんの言葉を最後まで聞かず俺はその眼帯を離した、当然ゴムが一気に伸縮するわけで。

「あぁぁぁ!!目が、目がぁぁぁ!!」

 目を痛めて、床に転げ回る羽目になった。

「だっ、大丈夫かめぐみん!?おいカズマ流石にやりすぎでは……」

「黙ってろ、変態!」

「クゥゥゥゥ!!」

 めぐみんを心配し、近づいてきた変態クルセイダーダクネスを言葉で人蹴りする。

 当然、変態にとってはご褒美なわけで床で悶える。

「もう限界だ!俺はソロでやらせてもらう、お前らは好きにするといい!おねぇさん、このクエストお願いします!」

「あっ、はい」

 俺はそのまま森に出るというゴブリン討伐のクエストを受けてギルドを出た。

 

 ゴブリンに関しては割とあっさり片付いた、初級魔法を組み合わせた目くらましや足元を凍らせたりと言う搦手だったが最弱職の俺には上出来だった。

 しかし、イレギュラーが起きた。そう一撃熊に遭遇してしまったのだ。

 

 そして、話は現在に戻る。

 

「ハァハァ、畜生、もう走れねぇ……。」

 俺は息を切らしてその場に立ち止まる。

「……一撃熊は?」

 振り返るがそこになやつはいない。

「たっ、助かったぁ〜……」

 俺は安心しその場にへたり込む。

 しかし、

「ここどこだ?」

 滅茶苦茶に走り回ったせいでどうやら俺は迷子になってしまったらしい。

 

『……………。』

 

 ん?

 

『……………。』

 

 何だ今の?

 

『……………。』

 

 まただ……。

 

『……………。』

 

 俺を、呼んでいるのか?

 

 俺は謎の音に誘われ、森の中をあるき始めた。

 そしてたどり着いたのは一つの切り株の前だった。

 その切り株には2つのものがおいてあった。布の袋と、よくわからない黒い物体、刀の形をしたレバーがついてるが何だこれ?

 袋の中身は、いろいろな果物や花の形をした錠だった。この形、ひょっとしてこの黒いのにセットするのか?

 などと考えていると突然目の前にジッパーが現れた。

「へ?」

 俺は驚きの余り、それしか言えなかったがそのジッパーがジジジと開いていき、俺が通れるくらいの穴が空間に空いた。

 

『……………。』

 

「入れってことか?」

 こんな訳のわからない穴に?でも、どっちみち俺迷子だし……。

「……畜生!男は度胸だ!」

 そう言って、俺は空間に空いた穴の中に飛び込んだ。ここで拾った訳のわからない二つのものと一緒に。

 








感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。