陸戦専門の提督が鎮守府に着任するそうですよ?   作:人民の敵

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《第6話》水雷戦闘総隊第1中隊、出撃す!

『鎮守府西方約200kmのプルワト島沖にflagship級多数を擁する敵水雷戦隊が接近中。水雷戦闘総隊第1中隊及び第1潜水隊は直ちに出撃し、プルワト島に駐留する友軍部隊と連携しこれを迎撃・補給基地攻撃を阻止せよ』

 

 鎮守府にその報が届いたのは起床後の点呼が終わった瞬間だった。出撃命令が出された水雷戦闘総隊第1中隊及び第1潜水隊の娘たちは急いで出撃準備に取り掛かります。

 

 水雷戦闘総隊第1中隊第2分隊に所属する私、綾波は僚艦の長波ちゃん(水雷戦闘総隊では艦型や駆逐隊を出来るだけ分解して編成されています)と共に出撃地点に向かい、水雷戦闘総隊旗艦及び第1中隊長を務める阿武隈さんの所に向かいました。

 

「第1中隊、点呼します!!」

 

 私たちが着いた時には既に第1分隊・第2分隊・第3分隊の全員が揃っていました。

 

「第1分隊、旗艦朝潮、2番艦不知火。出撃準備完了!」

 

「第2分隊、旗艦綾波、2番艦長波。出撃準備完了!」

 

「第3分隊、旗艦雪風、2番艦時雨。出撃準備完了しました!!」

 

 全員の返答を聞いた阿武隈さんは、海を向き言いました。

 

「よし、水雷戦闘総隊第1中隊、出撃します!!」

 

 

――――――――――

 

 

「水雷戦闘総隊第1中隊及び第1潜水隊、全員出撃しました」

 

 部隊の出撃を見送った涼月が執務室に戻ってきた。

 

「了解。では作戦指令室に移動する」

 

 俺は机から立ち上がり執務室を出る。涼月を伴い、地下3階の更に深部にある作戦指令室に向かう。作戦指令室に続く通路にはパスワード付きの扉が3つあり、しかもそこにはそれぞれ常に2人ずつの艦娘が警備し、さらに機関砲まで配備されている。

 

「提督、お待ちしていました。どうぞこちらへ」

 

 作戦指令室付の大淀が室内へ導く。俺は机に座り、ヘッドフォンを装着する。すると、目の前の液晶に当該作戦水域の衛星画像と進軍中の我が水雷戦隊の画像が出てくる。作戦水域の衛星画像には我が方の電探の索敵範囲が表示されている。

 

「作戦指令室より作戦行動中のスコードロン1へ。これより作戦指揮を開始する」

 

『スコードロン1、了解。よろしくお願いいたします』

 

 第1中隊長の阿武隈が答える。

 

「スコードロン1はそのまま西進し、プルワト基地の第8補給線守備隊と合流。ただし、Dトルーパー1は途中でスコードロン1と分離し、侵攻中の敵部隊に長距離雷撃を実施した後、可能であればスコードロン1と再合流し反復攻撃を実施せよ。分離のタイミングについては別命する。どうぞ」

 

『スコードロン1、了解』

 

 俺は作戦部隊との無線を一旦切り、プルワト島の補給基地本部へ連絡した。

 

「トノアス基地作戦指令室よりプルワト補給基地本部へ。応答を求む。どうぞ」

 

『こちらプルワト補給基地本部。敵水雷戦隊の接近により補給線を喪失。Gゲリスン8が出撃し、補給線を再確保したものの、敵部隊の攻勢により撤退し、プラップ環礁に一時避難中。直ちに救援を求む』

 

……既に敵部隊に攻撃され、包囲されたか。

 

「トノアス基地了解。そちらに1個水雷戦隊及び1個潜水隊を基幹とする救援を送った。到着までプラップ環礁を死守せよ」

 

 俺は再び作戦部隊へ無線を送る。

 

「作戦指令室よりスコードロン1へ。状況が変わった。作戦計画を変更し、スコードロン1及びDトルーパー1は全速力で西進、プラップ環礁で包囲されている第8補給線守備隊を救出、その後包囲線を瓦解させ撤退する敵部隊を追撃、これを撃滅せよ」

 

『スコードロン1、了解。前進速度を最大戦速に変更し、プラップ環礁へ向かいます』

 

 

―――――――――

 

 

「艦隊最大戦速!!目標、プラップ環礁沖」

 

 鎮守府を出発し、少ししてから阿武隈さんがそう指示を出しました。

 

「阿武隈さん、目標はプルワト島沖では!?」

 

 朝潮ちゃんが阿武隈さんに言います。確かに、私たちはプルワト島沖に接近した敵水雷戦隊を叩くために出撃しました。

 

「友軍が包囲されたの!」

 

 その言葉で私たちの顔から表情が消えました。深海棲艦に包囲されたということは敵部隊と交戦し、敗走。その後追撃を振り切れなかったということ。つまり救援を急がなければその部隊は―――

 

「……補給線を確保する部隊と、友軍を救援する部隊。第1中隊を二手に分けるというのは」

 

 第1分隊の不知火ちゃんが言いました。確かに、そうすれば友軍を救援し補給線を奪還するという2つの任務をこなすことが出来ます。

 

『残念だがそいつは無理さ』

 

「「「!!!」」」

 

 突然提督の声がして、私たちは驚きました。周りを見回しますが、提督はいません。すると―――

 

『上を見て』

 

 その言葉を聞き上を向いてみると―――1機の偵察機が飛んでいました。

 

『百式司令部偵察機を無線式に改造してスピーカーとカメラを取り付けた代物さ。何しろ僕は直接前線の様子を見ないと気が済まない性分でね』

 

『それで話の続きだが――部隊を二分し、別々の任務を遂行するというのは愚策だ』

 

「しかし……作戦を遂行するなら―――」

 

『もちろん―――充分な兵力、武器弾薬及び補給線が確保され、部隊の隊員の練度が高い場合は有効な作戦だが、今回のように敵の具体的な兵力も分からずこちらの兵力及び兵站が充分とは言えない状況でそれを行えば―――待つのは部隊の壊滅さ』

 

 壊滅、というところを提督は強調しました。

 

『よって君たち第1中隊には、全力でプラップ環礁に向かい友軍を救出して欲しい。出来る限りのことはする。リミットは第8補給線守備隊が壊滅した時。恐らく―――彼女たちが壊滅したが最後、プルワト島の補給基地は陥落する』

 

「………私たちには水雷戦闘総隊の最精鋭部隊としてのプライドがあります。絶対に友軍を救出し、敵を撃滅してみせます」

 

 阿武隈さんは提督にそう応えました。私たちはその言葉に各々目を見合わせ、頷きます。

 

『その覚悟、天晴れだ。未熟な指揮になるが、君たちなら必ず作戦目標を達成し、プルワトを救ってくれると期待しているよ』

 

 阿武隈さんは一度百式司令部偵察機をキッと見つめた後、私たちの方を見ました。

 

「第1中隊及び第1潜水隊へもう一度告げます。私たちの目標はプラップ環礁。敵水雷戦隊を捕捉攻撃し包囲下にある友軍を救援、敵を追撃しこれを撃滅します!!」

 

「「「はい!!」」」

 

 私たちは敬礼で応えました。

 

「行きます。艦隊西へ!!」

 

 第1中隊の戦いが今、始まりました。




……トノアスの阿武隈は凛々しいですね(・・;)
本家の「あたしの指示にしたがって下さい……したがってくださーいぃぃ!!Σ(ノд<)」はどこへ行ったのやら

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