稀代の暗殺者は、大いなる凡人を目指す   作:てるる@結構亀更新

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大幅に遅れて申し訳ないです。
次からは定期的に……と言いたいところなのですが、実は今年高校受験を控えておりまして、二ヶ月に一回あげられればラッキーぐらいのペースになってしまうと思われます。
お気に入り登録していただいている方、読んでいただいている方、本当に申し訳ないのですが、理解していただけると嬉しいです。

でも、どんなに遅れても連載停止はしませんし、終わったらまたすぐ戻って来ます!
待っててくれたらすごく嬉しいです。


天使か、それとも悪魔か

「クリティカルヒットアンドダウン!勝者、カルト!」

 

レフェリーのその言葉にものすごい勢いで沸き立つ会場。グサグサと突き刺さる視線がとても気持ち悪い。

 

でもまあ、そんなことはおくびにも出さず、観客席に向かって笑顔で手を振る。まあほら、一応子供の見た目だし。それなりに愛嬌ある様子を見せるべきかと。ていうかそうじゃないと怪しまれるし。

そうそう、カルトは学んだのですよ。ちゃんと演技してないとロクな目に遭わないってね。

 

 

ぺらっと張り付いたような笑顔を浮かべながら、気づかれないように小さく息を吐く。はー、疲れた。

 

 

天空闘技場に来てからおよそ一ヶ月。現在はどうにかこうにか100階到達。

50階あたりから勝率がだいぶ落ちてきて、なんだかんだ結構時間がかかっちゃった。が、まあ念なしでやってるってことを考えると、仕方がない気もする。だってまだ身体レベル子供だし。

 

ってまあ、いうほどそうでもないんだけど。

 

てくてくとリングを降りて退場しつつ、ぺちっと腕に触れる。

幼児についてたらちょっとビビるほどの上腕二頭筋。骨密度も多分異常。体幹とか内側の筋肉に至っては、キルア多分超えてる。

普通に鍛えたらたかだか一ヶ月でこんなになるわけないんですけどねー。

 

普通にやれば。

 

人体には超再生という不思議現象が存在する。

例えば腕をおればその分次に生える腕はより強い骨になったりとか。筋断裂させれば、いきなりマッスルフォームになるとか。

こういうのは、どんな人間でも実行可能だ。非能力者であったとしても。

 

じゃあそれを念能力者がやればどうなるか。

 

能力者が本気を出して体内に練レベルのオーラを流せば、骨折なんて1日あれば治る。筋肉なんて本当にすぐ。

そんな回復機能に加え、そもそも念能力を使い始めた時点で、成長速度は著しく早くなる。しかも僕は思いっきり成長期。

まあここまで来れば自ずと答えは見えてくるだろうけど。

 

まず朝起きたら両腕の骨を折る。そのまま腕の筋肉を酷使するようなトレーニングをして腕を徹底破壊。この際激痛が走るけど、それすらも痛覚無視の訓練。恐るべきゾル家。

でまあ、朝食はいつも通り毒入り。最近僕はこれに対抗するため、肝臓にオーラを集めて毒素分解する方法を編み出した。んだけど、訓練なので使用禁止の令がヒソカから出た。解せぬ。

そしてどうにかポイズンクッキングをクリアしたと思ったら、体になんか電極つけられて電流に慣れる訓練。最近は雷レベルの電流流されてる。なんで僕、死んでないんだろ。真面目に不思議だ。

んで、それと同時進行でマラソンだのなんだの、基礎体力作り。なんで1日にフルマラソン3回走るのか意味わからん。

この時点でだいたい生命エネルギーが枯渇するんだけど、まだ午前が終わっただけ。

ポイズンお昼ご飯をお腹に突っ込んで、午後は念能力の制御訓練。

基本的な系統別修行を延々と繰り返して、苦手な変化系とかもやらされてる。主系統の操作に至っては、練だけでひよっこ念能力者とだったらやりあえる感じ。放出も結構いい感じで、その辺の砂の粒で車の装甲は突き破れる。すでに人間は捨てた模様。

これをやってノルマ達成する頃には、腕がだいたい回復してるから、今度は足を折る。

何言ってんだって感じだけど、僕も何言ってるかわかんない。

で、足折ったら腕の筋トレして、腹筋して、いろいろして、そして倒れるように寝る。そして気がつくと朝。

 

これを無限ループで繰り返してた僕はそれなりにすごいと思うんだけど、いい加減練習メニューを軽くするつもりはないのかヒソカに小一時間ぐらい問い詰めたいところだ。

マジでそろそろカルトちゃん泣いちゃうぞ!?

 

まだ折れたままの腕をぶらぶらと振りながら、ロビーを歩く。探すはヒソカ。

そーだよ、しかも腕折れてるから最近の試合、足しか使えないし。蹴りでダウンさせるとか結構キツイのよ?いい加減手刀ぐらい使わせてくれよー。

 

ぶつぶつと脳内でそんな恨み言をつぶやきつつ、目立つ赤髪高身長を探す。

目をキョロキョロとさせると、即座に目につくヒソカ。もはや歩くランドマークタワーとかに改名するべきだと思うんだが。

 

まあそんなことは置いといてだ。

トテトテとヒソカに走り寄って、後ろから突撃する。

 

「ヒソカー、終わったー。」

 

そう言いながら鳩尾にオーラを込めた人差し指を突き付けようとすると、ヒソカが華麗にかわして、逆に指を掴まれる。

やべ、笑ってるけど目が笑ってないぞー。明らかに品定めしてるやつだぞー。この戦闘狂がー。

 

「……僕さ、気づいたんだよね。なんだかんだヒソカと兄さんって兄さんのほうがサイコなのかなーって思ってたけどさ、方向性違うだけで、どっちもどっちだったよ。むしろ兄さんの方がわかりやすいだけマシかも。ってなわけで、兄さんとチェンジ……」

 

重々しくそう切り出して兄さんチェンジを願う。あれ?これってもう何回目?

っていうか、珍しくヒソカの反応が薄い。なんか携帯弄ってるし。あれれー?

 

………いやいや、別に反応ないから寂しいとかじゃないし?むしろ願ったり叶ったりだし?こんなやつこっちから願い下げだし?

 

……はあ、いいや。疲れるから考えるのやめよ。

 

と、そんな一人討論会をしていると、やっとヒソカの顔が携帯から離れる。

ったく、携帯依存症の変態ピエロなんていろいろぶっ飛んでるわ。

 

「キミの兄さんから途中経過報告の依頼が入ったんだけど♢」

「え!兄さんくるの!ホント!チェンジ?チェンジか!やった!」

 

ふっひょい、これでやっと兄さんにリターンか。そしてピエロとはオサラバ!

ルンルンとスキップしながら喜びの舞を踊っていると、ヒソカからの冷たい視線が刺さる。

くっ、何故だ!なぜこんなにも心が傷む!

 

「……そのままバカ踊りしたままでいいから最後まで話は聞いてくれるかな♡」

「もちです!もち聞きます!だから早くにーさん!」

「イルミから、特殊技の完成状況についての情報が欲しいって言われてね♣︎だからキミのその能力の詳細を……」

 

ヒソカのいたって普通なはずのその言葉が耳に入った瞬間、脳内のハイテンションが勢いよく停止する。それはもう、180km走行の車が急ブレーキ踏んだみたいな。

 

ん?んん?

 

今ヒソカ、なんて言った?

ていうか、どういう意図で言った?

僕の解釈違い?

 

脳内でクエスチョンマークが飛び交う。思考がそれだけで覆い尽くされる。

だってだって、意味がわからない。

 

『キミのその能力の詳細を………』

なんどもその音が脳内でリピート再生される。

 

ちょ、ちょっと待って。

ぐるんぐるんにオーバーヒートしようとした脳を一旦止める。時には思考停止することも大切。

 

すってーはいてー。何回か深呼吸を繰り返して、きちんと脳に酸素を送る。考えるためにはまず冷静にならないと。

パニックNG。冷静沈着頭脳明晰、その名は名探偵カルト!いや、名暗殺者?まあそこはどーでもいいや。

方向性間違えた気もするけど冷静にはなったし。

 

さてさて、じゃあ冷静になったところで考えよっか。

 

ヒソカのさっきの口ぶり。それを踏まえて考えると、なかなか衝撃の事実が判明する。

特殊技。その能力。それらの単語が何を示すか?

まあ普通に考えたらねえ。

 

僕はもう既に何らかの能力を作ってるってことになる。

 

これは、ちょっとっていうかかなりっていうかものすごくマズイかもしれない。

さっきまでルンルンだった心が、一瞬にしてブレイクされる。

 

そもそもこの天空闘技場に来た目的には、念能力の開発っていうところも含まれてる。

上層にいるであろう念能力者たちの能力を参考にして、きちんと吟味して考えるために。

 

制約と誓約。効果範囲。系統の向き不向き。応用力の有無。燃費の良し悪し。能力のバランス。メモリ。

 

パッと思いつくだけで、これだけのものを考慮して作る必要がある。

もちろんフィーリングが一番大切なのはわかってるけど、得た発想を形にするにはこれらの思考を踏まえることが絶対条件。兄さんからそう教わった。

だから安易には絶対に決めない。そう考えて、きちんと構想が固まるまでは能力を作るはずはなかった、んだけれども。

 

ヒソカの顔をちらりと見やる。

余裕綽々。きっと僕のこの反応も想定内ってことだろう。

 

「……ねー、ヒソカ。ヒソカから見て、僕の能力ってどういう効果に見える?」

 

小さくため息をつきながらそう問うと、ヒソカの表情が確信を得たものへと変わる。

うーん、やっぱりここまで予想済みか。さすが戦闘狂と言わざるを得ないぜ。

 

「単純な回復速度の向上。それから体内への局所強化♢明らかに絶や凝、硬とは一線を画すレベルだね♡」

「ちなみに発現はどれぐらい?」

「実質的な訓練を開始してからおよそ一週間ってとこ♠︎その時期から考えても、キミが無意識下に構築してた発の可能性が高い♣︎」

 

ヒソカの口から改めて出てきた言葉に、ちょっと落ち込む。

無意識下に構築する発。それはまさにフィーリングのみで作られるものであり、念能力として完璧なものではない。だけど、その術者の性質や性格に一番適してるのは、こうやって生み出される発である場合のほうが多いっていう。

でもまあ、それが一番能力としていいって断言できるわけじゃない。から、僕はその方法にはあんまり頼りたくなかった。

 

でもまあ後の祭りか。

 

できちゃったものはしょうがない。消せないし。

それより実態を考えるほうが先だ。

 

うーん、とまずは具体的な能力の効果。

ヒソカの情報から推測すると、その能力は単純な回復系。回復系の能力、つまり再生力の強化。部類的には強化系に類するはず。

が、しかし、僕は操作系だ。

無意識下だから向かない系統を選んじゃったって可能性もなきにしもあらずだけど、ちょっと考えにくい。

 

っていうか、そもそも僕、その能力いつ使ってたんだ?

 

まあ普通に考えて、訓練で折った腕の回復とか、そんな感じだろうなあ。

限界を超えた無茶な訓練に体が限界に達して、能力を作ってどうにかするしかなくなっちゃったんだろう。それだったら無意識下での発現にも納得がいく。

あとは部分的な強化。それにも心当たりがある。

 

肝臓。内臓器官の機能上昇。

 

毒分解のために編み出した方法。

あれ、応用技の組み合わせのつもりだったけど、その流れでうっかり発になっちゃったか、もしくは回復速度向上にしか使えなかった能力を応用しちゃったか、まあそういう事態が起きてたんだろう。時系列的には多分後者。

 

そっかー、あの回復速度、念能力者としてのアドバンテージだと思ってたけど、普通に発だったのか。

 

んー、でもそうだとしたら、能力の詳細、だいぶ想像がつく。

肝臓を強化しようとオーラを動かした時、僕はいったい何を望んだか。

確か、こうだったと思う。

 

他の内臓に回しているエネルギーを肝臓に集中させて、分解に使うエネルギー濃度をあげる。

 

つまり僕の能力は回復系じゃない。

体内の、エネルギーの操作。強いて言えばそうなる。

 

強化系の回復とは本質的に異なるものだ。

強化系は一部の回復を強化する、100%を120%にする能力。

でも僕のは、違う。

 

普段はバランスよく分配してるエネルギーを一つの効果に絞る。例えるならばレンズで光を集めるような。そんな能力。

100%は100%のまま、それが一部に集中特化される。

まあつまり、例えば肝臓の分解速度を上げたら、胃の消化吸収の速度は下がるし、腕の回復に力を入れれば、足の擦り傷は治りにくくなる。そういう能力。

 

便利な能力ではあると思うんだけど、使うの大変そうだなあ。物凄い戦闘考察力が要求されそう。

 

イヤイヤ、マイナス思考はよくないね。ここはとんでもないゴミ能力じゃなかったことを喜ぼう。

うんうん、だって下手したら不慣れな強化系能力とかだった可能性もあるし。むしろ操作系でレアな回復能力を得れたことを感謝するべきだ。

 

………うん、まあ全然使える能力だし。別に悲観することはないはず。

それに操作の有効範囲は体内だけ。結構制約も狭いし、メモリ的な問題はないでしょ。そもそもゾル家は単純に適性が高いから、メモリだって通常より広いはず。わけわかんない能力ガバガバ作るなんてことをしなければ、問題なーし。

 

ていうかこれ、他人には使えるんだろうか。

うーん、使えたら相当便利だけど、無理げだよなー。でも使えたら便利だしなあ。仲間の回復とかできたらかなりお得な能力にカウントできるはず。

どうにか制約を組み替えて……

 

手を触れた時?いいや、なんかゆるいし、戦闘中とかには履行しにくい。ある程度遠距離でも可能で、かつ、厳しめの制約。

えーと、なんかあるかなあ。

 

考え込んでいると、ふとあることが脳内に浮かぶ。

周。自分以外の物体にオーラを付与する技。

 

これ、いけるかも。

 

オーラを付与した人間には行使可能。これだったら自分には常に条件を満たすし、ちょっとぐらいなら離れた場所の味方にも支援できる。

それに、ある程度格下相手なら、相手の纏を突き抜けて無理矢理周をすることも可能かも。許容してない相手にオーラを付与するのはだいぶ浪費エネルギーが多くなりそうだけど、遠距離から楽に殺せる分いい。

 

いや?ていうかそれが可能ならば、非能力者にはほぼ無敵じゃない?

だって非能力者だったら周をレジストすることなんてできないし、そのままいい感じに心臓止めちゃえば、病死っぽく見せられるはず。

暗殺者の能力としては、この上ない。

 

おー、無意識下に使ってた割には結構いい能力じゃん。

んじゃあ、制約だけ付け足してっと。

 

脳内で能力データを纏め上げると、ヒソカの方へと向きなおる。

 

「ヒソカ、多分わかった。能力の詳細と制約については。」

 

そう言うと、ヒソカの目が期待するように吊り上がる。

戦闘狂としては、戦いの根幹となる念能力の詳細は気になる情報なんだろうなあ。まあそれぐらいは僕だって一応認識してる。

能力を知ってるアドバンテージは、この世界の戦闘にとって、とっても大きい。

 

「だから、教えない。」

 

将来の敵に貴重な情報を与える気はない。いくら兄さんにだって、能力の詳細は伝えない。

ていうか多分、ヒソカの言ってる兄さんからの依頼なんて十中八九嘘だ。情報の大切さを兄さんが理解していないはずがないから。

 

 

「もうそんな嘘に騙されるほど素人じゃない。」

「ああ、バレちゃった♢?」

「白々しいなあ。最初からここまで想定済みなんでしょ。僕に能力の発現を気づかせるのが目的。違う?」

 

いい加減これぐらい長期間一緒にいればわかる。

こいつは史上最悪で最低の愉快犯だ。

 

だから愉しむためなら、自分にとって不利益となることでもするし、いくらでも道化になる。

こいつにとって一番愉しいと予想される未来は、僕が自分の能力を正しく理解して、正しく使い、強くなること。

 

そして、そうやって成長した僕を、さらに上回る力で捻りつぶすこと。

 

それがこの男にとっての最大の喜びであり、最大の興奮。

その人間が努力して積み上げて来たものの一番のピークを、無残に崩す。その快感を味わうためならば、一時的に護衛したり、教育したり、それぐらいの手間は惜しまない。それがヒソカの本質。

 

ほんっとうに合意主義者の兄さんとは、真逆の性質だ。

 

はあ、と小さく嘆息する。やっぱりヒソカと一緒にいるっていう選択は間違いだったかなあ。

いや、でもこいつの隣が一番早く強くなれるポジションだってことはよくわかってる。

今の僕に足りてない近接戦闘術。それのトップレベルに君臨してるのは、間違いなくヒソカだから。

 

まあ盗めるもんだけ盗んで、あとは逃げよっと。

 

まあ結局そうなる。っていうかそれ以外の選択肢がないっていうね。この理不尽っぷり。

 

「……ヒソカがまともな師範代だったらなんの問題もないのに。」

「ボクじゃ不満かい?」

「だいぶ。弟子といずれ戦って殺す気の師匠とか、ほんっとうに望んでないよ。」

 

そう言いながらヒソカの目に微妙に浮かぶ猟奇的な光を再確認。

やっぱり野生の肉食獣みたいな目だ。しかもトチ狂ってる。

 

……やっぱり今からでも逃げるべきか?一回覚悟しても、この目見るとダメな気がしてくる。

 

いーや、それは良くない。

ぶんぶんと頭を振ってその思考を振り切る。

 

よし、まあそれはともかくとして、早くマイルームに戻ろうか。

100階クリアで手に入れた個室。フワッフワのベットに高機能家電の数々。文明の利器が限界まで詰め込まれたパーフェクトルームだ。

 

「うん、じゃあ今日はもう終わりでいいよね。僕は部屋に戻るから………」

 

そう言いながら手をひらひらと振って立ち去ろうとすると、足が動かないことに気づく。

 

あー、またあれか。

げんなりと肩の力をぐでっとぬいて凝をすると、右足と地面がピンク色のオーラで固定されている。

 

「……ヒソカ、早くとってよ。僕もう寝たい。」

「キミ、ここにきた主目的覚えてないのかい♡そろそろ到着するよ♢」

「誰が?って、あ!」

 

やっべ、完全に忘れてた。

天空闘技場にいる理由。それは強さの追求がメインじゃなくて……

 

「キルアのお守り、だったか。」

「今日には入る予定らしいね♣︎いろいろ確認したりしなくていいのかい?」

「…………わかった。ちゃんと仕事はする。兄さんからの命令だし。」

 

完全におやすみモードに向かっていた心をどうにか持ち直して、仕事用に切り替える。

えーと、確か兄さんの命令は………キルアを念能力者と接触させないこと、だっけ?

んー、あとは単純な身体保護かあ。どーしよ。

 

とりあえず第一フロアで待ち構えて、最初の試合のマッチングが念能力者に当たるっていう不幸な事故を阻止しないとだよね。今のキルアがどのぐらい強いかはわかんないけれど、普通に強い人からパンチもろにもらったらヤバイだろうから………

あ、あの能力使ってみようか。

キルアは非能力者。周を蹴られることはないだろう。とりあえず回復できる状況にしとけば、怪我の回復とか早くなるだろうし、最悪心臓停止しててもすぐ活性化できるから問題ない。

それに僕の能力の練習にもなるし。

 

よし、決定。

まずはマッチングの相手はよく見て確認して、ヤバそうだったら手を出す。キルアに周の付与だけして発動条件を満たした状態で見守る。

うん、我ながらなかなか理にかなったいい方法じゃないか。

 

よし、じゃあ早いとこキルアに近づいてオーラだけ付与しちゃおうっと。視認できる範囲にまで近づけば、オーラは投げつけられる。

操作系はオーラを放して操作する周と相性がいい。

そう考えるとこの能力、思いつきにしてはなかなか良かったじゃん。

 

あー、なんかせっかく能力作ったのに、この能力とか呼ぶのなんか寂しいなあ。やっぱカッコいい名前は異能力には必須だと思うのよ。

いざ発動するときに、名前を叫びながら、みたいな。いいわー、憧れー。

となると、名前考えなきゃ。

 

えーと、回復系だから……あ、でも敵に対してはただの即死能力だしなあ。超格下限定だけど。

立場によって効果が正反対の能力。暗殺者のためにあるような、綺麗な殺し方を可能とする能力。特徴はこんな感じ?だとすると………

 

 

 

透明な猛毒(フォーリングダウン)

 

 

 

頭の中に文字列が唐突に浮かぶ。

フォーリングダウン。堕天。確かに回復と攻撃っていう二面性を持つこの能力には、天使と悪魔が混在してる堕天使、似合ってるかも。

 

初能力にしてはずいぶんトリッキーだけど、まあ全然使える能力だし、応用力も高い。

これでまた一歩、念能力者に近づいてきたと言えるかなあ。

 

まあそれはともかくとしてだ。

一回能力のことは片隅に追いやって、てくてくとエレベーターホールに向かって足を進める。

 

我が兄であるキルア。一応命令されてるし、早いとこ見に行かないと。

まあ腐ってもゾル家の跡取り候補。それは兄さんより潜在能力が高いってことを指す。

 

どんな化け物なのか、ちょっと気になるなあ。

 

 

 

 




【透明な猛毒(フォーリングダウン)】

周や纏などによって術者のオーラをまとっている生物の体内エネルギーの操作を可能とする。一部の治癒 能力を大幅にあげたり、特定の部位だけに筋力を集めてブーストさせることなども可能。ただその際、他の部分のエネルギーは著しく低下しているため、使いどころが難しい能力。そのことを利用して病死に見せかけて殺すことも可能。(エネルギーを一部に100%集めてしまえば、心肺停止に追い込める、とか)

制約 術者のオーラを纏っているもの以外には使用不可。
(基本、オーラ量がよほど上回っていない限り能力者にオーラ付与は不可能)

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