書きたかったから書いて
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後悔はしている

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双子の弟の憎しみ

2人の女性 僕は彼女に彼女を殺させる

 

僕はゲームをしていた ただのゲーム

 

姉はゲームに捕らわれた 僕はゲームに囚われた

 

帰ってきたとき 姉の顔から憎しみめいたものを感じた

 

ずっと前から微かに抱いていた思いが僕の内側に沸き起こった

 

この思いはそのその目の奥からかすかに感じる狂気で確実になった

 

だから実行に移すことにした これは正当防衛なんだ

 

もう一人の女性 友達だった彼女と鹿をさばいているとき

 

命の話をした 僕が狩のように人を追い詰めるのかなと言うと

 

彼女は言った きっとできるだろうね けれどそういうのは

 

最低な人がやることだよ 私たちは命の意味を理解しながら

 

追い詰めるんだから 嫌いな人にはならないで

 

僕はやはり抱いてしまった どうすればいいのかわからなかった

 

そしてあることが起こったとき 僕はひらめいた これを逃せば次のチャンスはない

 

彼女に 彼女を殺させる。 姉は言った あんたは悪くないって でもそれは嘘だよ

 

本当のことを言ってくれたのは友達の方だった ありがとねってそれは僕の方もだった

 

だから僕は彼女達に貰ったもの、与えられたものを返してあげたかったんだ

 

姉さんは 僕に憎しみを与えてくれた だから今度は命をもらいに行く

 

そしていま姉の頭を友達が狙っている

 

裏工作ともいえない子供のいたずらははすべて失敗してまったく思い通りには行かなかったが

 

想定した範囲の中には着地できそうだ 僕はスポッターになって彼女が殺しを犯す横で

 

彼女が死ぬ瞬間を見ることができる その瞬間を誰よりもはっきりと僕は目撃する

 

撃たれたあとのピトフーイは何を思い何を感じるだろう

 

引き金を引いた後のシャーリー 君は何を思い何を感じ

 

それがどんな表情を作るだろう

 

それはかつて僕が思ったこと感じたこと浮かべた表情と同じだろうか

 

姉の顔など興味はない 姉の変化よりも 友達の変化のほうがより興味深いからだ

 

 

 

 

ゲーム後に姉と連絡をとった 声からは何かよくわからない喜びが感じ取れた

 

その喜びが 僕を出し抜いた事によるのか 他の何かなのかそれはわからなかった

 

 

 

 

姉の周囲の人から話は聞いていたと伝え 僕はおめでとうと言った

 

僕と姉は、孵化したようだった 子供のころから一緒に遊んだりしていたが

 

どこまで行ってもお互い内側で育っていた

 

ともかく企てはすべて失敗に終わった

 

姉は自殺などしなかったし友達は命中させることはできたが

 

十分なダメージは与えられなかった

 

その直後に僕と友達は二人そろってゲームオーバー

 

スポッターではなく周囲を警戒する役なら防げたことだが

 

当然それは論外だ

 

唯一の収穫は友達の変化だった

 

撃破された後ロビーで彼女と会ったがハッキリとした変化があった

 

それは人を撃てるようになった変化であり

 

彼女の心の中に彼女が軽蔑していたものが生まれたようだった

 

姉に仲間を殺されたときは害獣だと言っていたが

 

ハッキリと人と認めた 僕は彼女の顔を忘れない

 

人を殺したくてたまらない顔をしている

 

隠していてもわかる それはかつてSAOで感じたこと

 

五感を超えて フルダイブ型だからこそ感じれる

 

彼らの彼女らの深みを 僕は確かに感じた

 

だからいまも感じれるようになったんだろう

 

だが

 

姉はもう自殺はしない もうゲームでは殺人はできない

 

擬似殺人というゲーム 殺し合いごっこだけが延々と続く

 

だがそれでも それでも僕は彼女にチャンスを与えてあげたかった

 

鹿をさばいた時のあの会話以降 彼女が人殺しを軽蔑しているのを知って

 

どうやって人殺しにしようか考え続けてきた

 

だからそれは諦めよう

 

 

 

 

姉と二人でそれぞれコントローラーを持ってかちゃかちゃいわせながら

 

テレビ画面を凝視していた 自然と瞬きが少なくなり猫背になってゆく

 

姉は不意に言った 好きな人がいるな

 

意味がわからなかった いや正確には思考停止していた

 

どういう意味かと聞くと 僕が連絡してきたときから

 

そして今日会った時に確信したらしい 恋をしていると

 

僕は否定した 誰を好きになったっていうんだ

 

いま夢中になっている人がいるでしょ

 

否定しようと そうしようとして

 

僕は気付く そういえば友達の事をよく考えていた

 

ああ そうだ… 恋をしているんだ…

 

僕は僕に嫌悪した 恋に 愛に 恋している自分自身に

 

違う これは恋じゃない これは恋より利己的

 

これは依存だ 彼女をどうやって鍛えよう

 

彼女に何を教えよう 彼女をどこに連れて行こう

 

素敵なお姉様からアドバイス

 

あんたの場合は好きになったらすぐ告白なさい

 

僕は急に惨めになった どこかへ逃げたい

 

どこかに身を隠したい

 

 

 

だから彼女から離れることにした

 

危険だ 自分にとって 自分の美学に反している

 

自分の好きなことではない

 

彼女が好きでも 自分は自分を好きではないから

 

 

 

 

 

 

 



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