(没作品集) 異世界転生譚-1st. World Trigger   作:無狼

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第10話「狼悪魔/芽生者」

私は知っている。宿敵の一柱が一つ、悪魔「フェンリル」を。

この猟犬はフェンリルの眷属に過ぎない。

 

もっとも、猟犬と「形容」しているに過ぎないが・・・

この存在達も、「元々は人間だった」のだ。

 

 

「私たちと違い、『生きる喜び』を奪われた者たちだ。私と同じ、な。」

 

小神林、いや御厨は・・・言っている事が理解できないながらも、体勢の復帰ができたようだ。

「そこの君は2階の患者達の避難を頼む。」

「え、ええ、わかったわ!」

 

白衣の看護婦は運良く「猟犬の背後」に居たために、ここから離れる事は簡単だった。

 

 

建悟「・・・今の狙いは君だ。私から離れるな。」

御厨「え?あぁ、うん・・・・・・トリガー、オン!」

 

御厨は現場から一線を引いたとはいえ、今の上位A級隊員に引けを取らない。

「創始期の戦闘体」のフォームか。懐かしい、4年ぶりだな・・・彼女も本気ということか。

 

御厨「ルミネセンサー・・・いえ、ティーダロスの猟犬だっけ?」

  「こいつらはトリオン兵器が有効よ。・・・貴方の異現能力も有効。」

建悟「弱点は、精神体だろ。」

御厨    「精神体よ。」

建悟「・・・傍離れるなよ。」

御厨「分かってる。」

 

今の私には視える。

わざわざ視認しなくても、脳内に周りの『膨大な生命』の寿命が、入り込んでくる。

御厨の残りの寿命は1分に伸びた。・・・周りにも、多くの生命の寿命時間が見えてくる。

 

これを打開する方法は一つ、私の「心臓」に隠された秘密。Xnij(俺)の黒トリガー。

別の世界線の私や、あの世界の「小神林」が託してくれた記憶が無かったら・・・・・・

私はおそらく、ここで御厨を失っていただろう。

 

・・・多くの【この世界】を渡り歩いてきた私の記憶が、流れ込んでくる。

今の私は、分散した私の記憶や経験が、今ここに集っている。そのいずれも・・・

「全員/皆/友/同胞/仲間/同僚/大切な人/好きな人/嫌いなアイツ/ボーダー/みんなを」

「みんなを、救ってくれ」

 

 

建悟「・・・・・・ありがとう。御厨。」

御厨「え?」

 

きょとんとする御厨をよそに、右腕から無理矢理引き抜いた、出血した血液から・・・血鎖を。パチンコで放つように、「その猟犬の何か」に向けて押し投げる。

 

建悟「・・・・・・」

それを引き寄せて、たぐり寄せる。

引き寄せたその存在は・・・・・・

 

猟犬。送り狼。野犬。

形容するなら、これらの言葉が似合っているだろう。

私には「人間」に見える。私もまた、その片鱗を歩みつつある状態だから、人なのだと分かる。

 

この人達は、見た相手の精神世界において「捕食者のイメージ」を引き出す事に長けている。相手の心に揺さぶりをかけることで、自身が「食物連鎖の頂点」にあると錯覚させるためだ。また、恐怖に陥った対象の方が甘美な味わいになる。

 

脳内でエンドルフィンや脳内麻薬が分泌され、結果的に麻薬のような痺れる甘味になるからなのだろう。

その経緯はおそらく、「彼らも元は、人間だったから」なのだろう。人の記憶が忘れられないのだ。

 

私は「ティンダロスの猟犬ども」の殖え方どころか性質こそ違えど、原質は同じだ。

私もまた、姿形こそ人間だが、心の中身がほぼ同じ。私は、私自身を「人」として引き出している。

 

 

御厨「出たね・・・ルミネセンサー、いえ、猟犬。」

  「・・・みんな、貴方に迷惑してるのよ。」

 

「・・・・・・」

猟犬は答えず。応えず、御厨の動きをまず封じようと、ドロドロとした青い酵素液を飛ばす。酵素液は御厨に当たらず、建悟の血鎖壁によって落とされた。

 

・・・酵素液は血鎖壁を溶かし、病室の床を徐々に溶かしていく。

 

建悟「詳しい訳は後で話す。・・・外に出るぞ。」

御厨「ええ。こっちよ、こっちなら。」

 

病室の壁を御厨のトリオングレネードと、「血刃」の槍で壁穴を造る。

すぐ隣の病室から廊下に出ると、左右から2,3体の猟犬が、刃舌を二人の心臓に這わせる。

 

建悟「・・・(あと10秒)」

御厨「ひぁっ!! シールド、こういう時にほしい・・・ね!」

 

間一髪のところで、御厨の双剣が御厨の胸元をギリギリと音を立てて護る。

・・・左手に「界境防衛機関」が見える。あそこまで、離れよう。

 

建悟「つかまれ!」

御厨「!」

 

私は御厨の腕を掴んで、窓と壁ごと・・・ぶつかる勢いで、2階から飛び降りた。

 

 

 

 

御厨「え?こんなところまで・・・っ!」

やはり。今ここに来ているのは5体か・・・目の前のこいつが、トリってか。

 

建悟「Summon:Sever.」

両手から、1対のフランベルジュ=ツヴァイヘンダーを、自らの滴る血で造りだす。

長さ3メートル。厚み1メートルのそれぞれを、片手剣のように二つ、天地に構える。

 

同時に、空から落ち続けている体から、強い違和感を覚える。

レッドワインのバトルドレス(ドレスシャツとトラウザーパンツ、黒のインナーとネクタイ)

に身を包まれ、左側の髪が白くなる。茶系の左瞠が赤く充血して、涙血が伝う。

空っぽの右窩は、『万物を見渡せる』ようになる。水色燐光の魔素が、補ってくれる。

 

地に構えた左剣で御厨を護り抱きながら、天から・・・焔状剣が挑戦者を、断つ。

 

御厨「・・・!?」

  「あ、建悟・・・その姿、だめ、無理、しちゃ・・・」

建悟「・・・」

 

まだ、寿命が1秒しか延びない。猟犬どもの出現する居場所はなんとなく分かっても、

その位置と寿命は『見えない。』・・・となると、後ろか。

 

 

建悟「Summon:Unichain"Charon"」

 

背後に向けて、乱雑に「血鎖刃」を放ちまくる。

無差別の攻撃は、後方の病院の窓や壁に一部当たってしまったようだが・・・御厨を守れれば、それでいい。

 

だが、なおも迫る嫌な予感<デジャブ>。

右手で振りかぶりつつ、左腕で抱えた御厨を遠くへ、体を反らす。

 

「・・・!」「~!」「・・・」

 

2体は命中、意地悪く1体だけは捕食者の舌で精神を抉ろうとしたらしいが・・・届かず。

残る1体は、勢いに身を任せてこちらに突進してきた。間に合わないな。

 

 

建悟「がっ!」

突き落とすつもりか。かといって、落下から護ろうとすれば御厨が危ない。

いくら戦闘体トリオンでも、奴らの「捕食行為」や舌は「直接精神に届く。」

・・・落下によるダメージは考慮しなくて良くても、奴らの攻撃だけは避けなくてはならない。

建悟「くそ。どうすれば・・・!」

更に食らいつこうとしてきた。・・・私の状態は「トリオン体状態」とはいえ、

擬似に近い状態であり、ほぼ生身に近い性質と痛覚の状態が特徴の黒トリガーだ。

間合いが間に合わない。・・・致命傷や御厨が食らうよりは、左腕で。

 

「!!!」

「が、アァァァァ!ッそがぁ!」

「この、離れろ!建悟から!」

 

御厨が全弾、弾手のMP5kを猟犬の頭にめがけて撃ち放した。

しかし、なおも食いついて放さない。

 

「(どうするか考えろ、・・・腕を切り落とすか?)」

残る右腕で、トリオン体の左腕ごと猟犬を断とうとした所で・・・・・・

狙撃手の弾丸が「猟犬の核」を貫いた。

 

・・・そのまま、私と御厨は、界境防衛機関の離れの病院前へと静かに落ちていく。

――――――――――

「・・・。」

界境防衛機関の屋上から一人、ゲート発生のサイレンが鳴り響く中で、その男は立っていた。

狙撃手として名誉ある、「ナンバー2」の成績を誇る男が、防衛出動前に偶然二人の状況を見つけていた。

 

今日も変わらず、その「何か」を精確無比に射抜く。

 

「・・・よく見える的だ。」

 

彼はなんでもなかったかのように、彼の3人の仲間と合流しに向かった。

 




ただいま投稿させていただきましたが、
うーん。何か違う…

強引で申し訳ありません、
2018年当初と、今現在描きたいプロットがあまりにも異なってしまった為、

雑な時間の飛ばし方となってしまう事をご容赦ください。

というのも、2次創作として作り始めたのに、
何か違う…? と感じた事もあり、
おそらくそれが気力低下へと繋がっていたのかもしれません。

強引ですみません、原作の時間軸に入らせていただきます!

ーーーーー
2019.2.25

んー、おそらく「設定を世界観で描写」しようと試みた所、
拘り過ぎて「設定に追われる」描き方に追われたのかもしれません。

これを一度リセットして「描きたかった、原作との繋がり」を、
「RE:第一章」として、同小説内で区分を分けさせていただきます。

次回、文字通り「存在しなかった」かのように、
建悟自身が「別世界のワールドトリガー」に訪れる形となります。
時間軸は…原作通り、空閉遊真が日本に訪れた頃か、その直前か。

原作の主人公と同じように、今後彼は「初対面」としての仲間たちに、
どう向き合っていくのか…本来描きたかった、
ワールドトリガーの転生主人公の物語を語らせていただきます。

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