(没作品集) 異世界転生譚-1st. World Trigger   作:無狼

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RE第3話「外の世界の彷徨者」

「・・・おまえ、三輪か。それに、米屋・・・」

 

三輪「・・・なぜ俺たちの名を知ってる。」

三輪「お前は誰だ?」

  「・・・名は、忘れた。」

 

米屋「へぇ、じゃあ坊主の兄さん。」

  「ここで何をしていたんだ?」

 

  「・・・わたしか。記憶を、探してる」

三輪「記憶?」

 

  「あぁ、わたしの記憶だ。」

米屋「そっか、兄さんは目の前の事」

米屋 「そこで何があったか知ってる?」

 

  「・・・モールモッドのことか?」

米屋「そそ。これ、兄さんがやったのか?」

三輪「・・・。」

 

  「・・・・・・。そうだ、と答えれば?」

米屋「・・・へぇ。この数を?」

 

  「気がついたら、現れた。ただ斬っただけだ。」

三輪「・・・お前を連行する。ご同行願おうか。」

 

  「ああ、こちらこそお願いする。」

三輪「(コイツ、ネイバーにしては、抵抗の意どころか・・・)」

米屋「おっと、手間が省けて助かるぜ。」

 

  「"界境防衛機関"の開発室の、聴取室までか?」

三輪「!・・・さあな。」

米屋「・・・なんでそんなこと知ってるんだ?兄さん」

 

 

「なぜ、か?」

「・・・城戸司令に、世話になったからだ。」

 

 

三輪と米屋は、顔を見て考えを照らし合わせる。

城戸司令と関わりがある、と嘯く

この男の事は知らないからだ。

 

何らかの関わりがあったのかもしれないが、

ただの嘘で俺たちを欺こうとしている、

その可能性があり得るからだ。

 

 

三輪「・・・。(蓮、奴の情報、どうだ?)」

三輪隊の作戦室のオペレーターに、問いかける。

 

月見「(ダメね。顔情報と音声で、該当するものが無いわね。)」

米屋「(マジかよ、つーことは誰だ、この兄さん?)」

三輪「(出任せかもしれん。警戒は解くな。)」

  「(古寺、奈良坂、違和感を感じたら迷わず、撃て。)」

 

 

 

  「・・・私はブラック・トリガーの使い手だ。」

  「界境防衛機関のトリガー遣いではない」

「その判断は、正当だろう。」

三輪「・・・何を言っている?黒トリガーだと?」

米屋「へぇ。兄さん、随分詳しいんだね。」

 

 

  「詳しい、か。・・・そうだ。月見は元気にしているのか?」

  「奈良坂もどうだ?古寺は狙撃、ちゃんと上手くなったか?」

 

 

月見 「!?(なっ、私の名前を?)」

古寺 「!(えっ、なんで)」

奈良坂「・・・。(やけに詳しいな)」

"向こう側"でそれぞれ、共有聴覚による音声で驚く3人。

 

 

三輪「・・・なぜ、そのことも知っている?」

米屋「・・・(古寺だけ言われてるぞー)」

古寺「(う、うるさいです)」

 

 

「なぜ、なぜか・・・よく覚えていないが、」

「全て、失ったわけではない、」

 

 

「・・・・・・。」

5人は、その男の次の言葉に、息をのむ。

 

 

「わたしは、かつて・・・復讐を誓った。」

「きがつけば、宇宙を漂い、ここに、墜ちた。」

「・・・未来から、ここに迷い込んだ。・・・おそらく。」

 

 

三輪「おそらくとはどういうことだ?」

 

 

「・・・よく憶えていない。からだ、混乱で、まだ落ち着かない。」

 

 

米屋「・・・いわゆるタイムスリップってやつか?」

 

 

「そうかもな・・・それで、ハッキリとしないが・・・」

「知ってるのだと思う。・・・考える時間が欲しい。」

 

 

三輪「・・・・・・。」

米屋「・・・マジか。」

 

 

二人とも何も言えなくなったように、

向こう側の3人も思考が止まってしまった。

トリガーの音声機能で、5人でやりとりを行う。

 

 

米屋 「(なぁ、これどうするよ。)」

三輪 「(連行する事に変わらん。ネイバーでなくとも、味方とは限らん。)」

古寺 「(一度、ボーダーの中で話を聞くのはどうでしょうか?)」

奈良坂「(・・・。)」

月見 「(とにかく情報が欲しいわね・・・放置するわけにもいかない。)」

三輪 「(不穏な動きを見せたら、始末だ。異論は無いな?)」

三輪隊「(オーケー)」

 

 

 

 

三輪隊による監視下で、界境防衛機関の本部まで連行した。

途中、影浦隊と鈴鳴第一と合流したが、それぞれ解散してもらう。

 

やはりあの男は「おぉ、影浦か・・・辛く無いか?」などど、言っていた。

北添も絵馬も、来馬も村上も別役の名を知っていたが、

それぞれ困惑するだけだ。

 

だが、その誰にも労いや心配の声を掛けている。

 

この男、「ブラック・トリガー」を持っているとか言っていたな。

・・・何らかのSEか?なぜ名前に、「特定」の事を知っている?

それにこの男の右目、白眼帯をしている…目でも失ったのか。

 

 

 

 

とにかく、この男は何もアクションを起こさないまま、

開発室の特別聴取室に入った。

 

ここなら、ミラーガラスで城戸司令が来ても、

姿を見せずに話が聞ける。それに、ここには

「トリガーの活性化を妨害する」ギミックもある。

 

今は鬼怒田本部開発室長と、

チーフの寺島が「男」の情報を抜き出している。

俺たちもこの場に「ミラー越し」に同行させてもらっている。

 

 

寺島 「では、始めますよ。」

男  「・・・よろしく。」

 

鬼怒田「さっきも聞いたが、」

「自分が何者なのか分からんのだな?」

男  「ああ・・・分からない。」

 

鬼怒田「なぜ、モールモッドの事を知っておる?」

男  「・・・私が倒したからだ。」

「それの記憶も、戦い方も、思い出せた。」

 

鬼怒田「あのゲートとモールモッドは、貴様が起こしたものか?」

男  「違う。気がついたら、急に現れて、襲われた。」

 

鬼怒田「なら、貴様は気がつく前、どこにいた?」

男  「・・・宇宙にいた、もっと前は、」

「今より未来か、別の世界か・・・」

 

鬼怒田「確かに"上から落ちてきた"そうだな。」

   「だが未来に別の世界ぃ?何を言っているんだ。」

   「証拠はあるのか?証拠は。」

男  「・・・無い。だが、今とよく似た世界だった。」

 

鬼怒田「ふん、とてもだが信じられんな・・・」

   「だが、なぜわしの名だけでなく、」

「雷蔵の事まで知っている?」

寺島 「あ、気になります。」

男  「・・・昔、自分の専用の、」

「"ノーマル"トリガーを手がけてもらったからです。」

 

男  「自分のトリオン能力では出力が大きすぎて、専用のものを。」

   「寺島さんは、その頃の私のトリガーを」

   「鬼怒田開発室長には、戦闘体の研究を、それぞれ。」

 

寺島 「へえ、どんなものを僕は作っていたんだい?」

男  「・・・他者のトリオンを保存『させた』弾を扱う、シューター。」

   「カメレオンの設置型、浮遊板を足下に生成させるもの、」

   「テレポーターの座標指定型・・・など。」

鬼怒田「・・・保存させた弾だと?」

 

男  「本来、自身のトリオンによって射出させるトリオンを、」

   「自分以外のトリオンで『設定させた』弾薬を扱うものです。」

   「・・・今のC級隊員レベルでも、B級上位に食い込むほど、」

   「戦術的運用も、部隊数も、今より遙かに多かったです。」

 

鬼怒田「・・・他者のトリオンで扱うだと?どういう意味だ。」

   「いや、エネルギー変換をさせるなら出来なくはないが・・・待てよ」

寺島 「トリガーに頼らないトリオン出力器ならどうでしょう。」

   「簡易ナイフや簡易銃としてだったら、その応用でいけるかと。」

鬼怒田「そうだな、トリオン体でなくともそれだったら、扱えるが・・・」

 

男  「・・・ブラックトリガー、実験用仮想室で試しても?」

   「少なくとも、私はあなた方に敵意はありませんし、」

   「私もなぜ過去の世界にいるのか、よく分からないのです。」

   「・・・今の私の状態も、どうなっているのか。それすら分からず。」

 

鬼怒田「む?まぁ・・・よいか。」

   「わしはまだ、お前を信じたわけではないからな。」

 

 

 

会話が終わり、あの男が出てこようとする前に、三輪は一言告げる。

 

三輪 「鬼怒田開発室長。あの男と手合わせを願いたい。」

鬼怒田「ぬ、三輪か?ああ、いいぞ。」

米屋 「あ、俺からも頼むよ。ずっと気になって仕方ないぜ!」

鬼怒田「お前はもう少し、血気を抑えんか・・・」

 

 

 

 

こうして、男は開発部の案内で、「実験用仮想室」の仮想空間に案内される。

男にとって「イレギュラー」な三輪隊と、仮想戦闘を行う事だろう。


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