(没作品集) 異世界転生譚-1st. World Trigger   作:無狼

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作者こと無狼です。
いつもご愛読されている方には、
こちらを拝読していただきありがとうございます。


ここ最近は不安定な投稿スピードでありましたが、
9月は恐らく週2〜3の投稿頻度となるかもしれません。



このシリーズの完結を重視する為、
他2nd〜4thと外伝につきましては、
気まぐれで投稿しておりますが。


特に外伝は創作資料を元に、
オリジナルのファンタジーテイストを出す為、
ふっとアイディアの場面が浮かんだ時に、
気まぐれで投稿する可能性が大となります。



さて、この1stシリーズは、本当にブレッブレですね。
今もそうですが、私の「異世界に逃げ込みたい」
「だが出来ないから、創作したキャラで自己投影」
なんて、しょうもない動機から始まったものではありましたが…


本目建悟もとい、空(うろ)の記憶は全てではありませんが、
「ワールドトリガー」での記憶を取り戻しつつあります。
葦原先生の作品は、本当に作り込みやすく、
処女作として本当に選んで良かったと感じております。


次回、「本来の時間軸ではありえない」
某国との接触、衝突が起こるかも…?しれません。


RE第13話 「嵐の前の静けさ」

 

 

 

橋下さんにあーだこーだ言われ、

医療チームの診察室まで連れてこられた。

…今は担当医の先生に、検査の結果を聞かされている。

 

無論、橋下も付き添いでその場に居る。

 

 

「ーーーえ〜、貴方の今の状態はですね、」

「自分が言うのもなんですが、医学的に不可解なのですよ。」

 

「なのに、何の異常も認められず、正常な数値とデータを示している」

「既に多量失血と臓器破裂で即死に等しいにも関わらず、」

「完治した事も驚きを隠せません、…ですが、」

「だからこそ、絶対安静にしていただきたいのですよ。」

 

 

…だが、私に止まっていられる時間はあまり無い。

すぐにでも動きたいのだが。

(…そろそろ、遊真たちと合流しないと、先の未来が危うい。)

 

 

「ですから、安静にしてください。貴方の身体が一体、」

「どんな状態になっているのか、ただでさえ分からない状態なのですよ!」

「いつ倒れてしまうのか分からないんです!」

 

 

珍しく、医者が怒っている。…見るまでもなく、

患者の容態を悪化させない、使命からくる気持ちだろう。

 

 

「とにかく、明日まで、明日までじっとしてください。」

「いいですね? 空さん。」

 

 

…はいはい、分かりました。

 

 

橋下「……。」

 

 

 

そうして、私は橋下の付き添いのもと、

元いた病室のベットまで連れ戻された。

 

 

…無言だった看護師の橋下さんが、やっと口を開いた。

 

 

橋下「…"無理をしないといけない"ことがあるのでしょう?」

「聞かせてちょうだい。今じゃないと、だめ?」

 

 

…あぁ。

私には未来が見える。その時の為に、今、やらないと。

 

 

橋下「…もう。」

「何を言っても、聞かないんでしょう?」

「分かりましたから、無理はしない、ね。」

 

 

分かった。ありがとう。

…橋下さんはどうするのですか?

 

 

橋下「私?わたしは…適当な時に言うから。」

「また大怪我して戻ってきたら、その時は許しませんから。」

 

 

ははっ、これは気をつけて帰ろう。分かりました。

 

 

橋下「分かってたら、おとなしくしてくださいよ…」

 

 

ではすみません、…また後ほど。

 

 

 

 

気ままな空の言葉と共に、彼は橋下に握手したかと思うと、

音も無くその場から消えた。

 

残された橋下はため息をつきながら、ひゃっ、と冷たく、

…なぜかキンキンに冷えたカフェオレ缶が"握らされていた"。

 

 

「え、えぇ…?」

ただ、困惑するしかなかっただろう。

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空は"回収されたトリガーホルダー"を転移で、

「医療チームの貴重品ロッカー」から回収しつつ、

2階の生活居住区の部屋までテレポートして戻ってきた。

 

 

「…確か、昨日三輪隊と遊真が戦ったんだよな。」

「とすると、確か…ええっと、なんだっけ…」

 

 

何度か繰り返したはずなのに、覚えていない。

同じ事を延々と繰り返しているはずだから、体が、

そこへ向かえと意識的に動けと叫ぶ。

 

 

だけど、頭が拒むように、思い出せない事もある。

たかが人間の器なのだ、無理な時もある。

 

 

「…とりあえず、向かうか…?」

 

 

ボーダーのワイシャツと黒ズボンに着替え、

財布とiPhone5を持ち、黒の革靴を履いていく。

 

 

 

 

次の一歩を踏み出した時には、

とある有名な洋菓子店まで、一瞬でテレポートして、

わざわざ三門市外にまで足を運んでいた。

 

また別の店にも訪れ、"馴染みの美味い店先"で、

もっちりふわふわなサンドイッチ用のパンと、

ちょっとお高い豚肉を使ったトンカツを購入して。

 

 

いつか見慣れた、空(建悟)のボーダーの故郷。

懐かしき、我が玉狛支部へと足を運ぶのであった。

 

 

------

 

 

 

 

「…久しいな。」

 

 

気がつけばお昼まえ。

出来立てのトンカツがまだ、ほかほかと湯気を立ち昇らせる。

 

 

林藤さんや迅は覚えてなかったけど、レイジさんなら、

小南さんなら、烏丸さんなら、宇佐美さんや陽太郎なら、

みんな、覚えているんじゃないかって、

 

 

そんな、淡い希望を抱きもしたが、頭の"予感"が拒む。

 

 

そうだ、迅や林藤さんが忘れていたんだ。

 

 

私のことなんか、誰も覚えていないんだって、

 

 

理性が語りかけるも、頭が拒む。予感が募る。

 

 

 

「……。いや、新しい道を生きるって決めたんだ。」

「今更、過去に浸るのは…もう、よそう…」

 

 

気持ちを新たにして、懐かしの玉狛支部に訪れる。

闇を引きずる錨は手放すのではなく、

手元に引き寄せて、抱えていこう。

 

 

---

 

 

「ごめんくださいー。」

 

 

"初めて訪れる"玉狛支部の扉を開け、玄関先で尋ねる。

…今も昔も変わらない、この"家"…本当に懐かしい…。

 

 

……でも、誰も返事が返ってこない。

 

 

「…留守だろうか?」

「ごめんくださいー!」

 

 

全員出払っているのだろうか、うーん?

こういう時、ハッキングして玉狛支部の把握システムに

入り込んでアプリをダウンロードしてしまえばいいのだが…

クローニンが警戒してか、独自のネットワークサーバー、

めちゃくちゃセキュリティ構築してるからなぁ…。

 

 

「(…仕方ない、か。)」

 

 

両手にさげた紙袋…10人分のトンカツサンドと、

14人分のラムチョコボールの箱を玄関先に置いて、

扉を開けて帰ることにした。

 

 

「むっ、おまえは…なにものだっ!」

 

 

 

けれども、懐かしい、あの声が聞こえてきた。

死んでしまったが為にもう、元には戻れないが、

この世界では迎えてくれる温かい人たちがいる。

 

 

だから、私は例え現実に戻れなかったとしても、

この世界で生き続けたい。その願いが、今なのかもしれない。

色んな事があったはずだが、忘れている。

 

 

…けれども、現実逃避だと己の中で知っていても、

この世界では、私自身の手で守りぬきたい。

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