(没作品集) 異世界転生譚-1st. World Trigger   作:無狼

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どうもこんにちは、夜種王です。
ずっと数年前から執筆がしたく、TRPGの創作活動と相まって設定を固めるだけで今まで小説創作をしないで日々を過ごしていました。

ようやく取れた休暇を使い、初めて執筆した小説作品を投稿したいと強く思い、ワールドトリガーの二次小説を書かせていただきました。

ここからようやく原作キャラクターが登場してきます。
原作忠実さよりも、雰囲気やオリジナリティを追求して「自分の思い描くワールドトリガーと、その世界で狭間に経つ転生人」を描いていきたいと考えています。

直感でその日の感情に任せて執筆するタイプの人間の為、これまで描いた雰囲気や会話などは各話数で違うかもしれません。
私は自分が楽しめるかどうかをモットーで執筆したいため、これからも独特な展開となっていくのかもしれません。

今後ともよろしくお願いいたします。それでは続きをどうぞ…


「ただの無敵に留まらない、転生人の在り方を。」


P:ESD/DATA04 ⦅PSR/RV⦆

[PROFILE]

[EDICT,SANCTION DOCUMENT/DATA04]

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[PROFILE:SECRET RECORDS/2013.12.--] ⦅READER/VIOLET⦆

[音声記録-会議室ログ]

 

ここはボーダー上層部の会議室。

ボーダー本部司令の最高責任者である城戸正宗を筆頭に、

本部長の忍田真史と補佐を務める沢村響子。

本部開発室長の鬼怒田本吉。

メディア対策室長の根付栄蔵。

外務営業部長の唐沢克己。

 

そして警戒区域の外縁に存在する支部の、

基地南西部玉狛支部の林藤匠。

基地北部および山頂より防衛を担当する本目支部。

 

同じく鈴鳴、綿鮎、弓手町、早沼、久摩各支部長は不在の為いない。

 

ここでは「"イレギュラー"ゲートの発生」について議論されている中、名実ともに実績を挙げてきた迅悠一(自称実力派エリート)が召喚された所から会話ログが抜粋されている。

 

 

迅 「迅悠一、お召しにより参上しました。」

迅にとってはこの先の話が「見えている。」 彼には少し先の未来が見えている。

いつものように飄々としながらも重要な部分を話せるように、ふざけた態度を見せながらも未来をどう動かすか終始考え事をしながら会議に参加している。

今回招集されたのもおそらく、ボーダーの存続に大きな影響をもたらす異常事態だからこそ、迅という貴重な人材が呼ばれたのだろう。

 

城戸「…揃ったな、本題の続きだ。」

「本日、警戒区域外に開いたイレギュラーゲートの状況およびネイバー(近界民)への対応策についてだ。」

「本部長。」

忍田「…今日の未明、警戒区域外に(ゲート)が発生。」

「嵐山隊の報告によれば、2人のネイバーらしき人物と共に十体のトリオン兵が確認されている。」

「被害は最小限に抑える事に成功したが、その門の場所が問題だ。」

沢村「こちらが門の位置と現在の状況です。」

 

会議室内にデジタル3D映像が流される。これは「本目」がそれとなく導入させたトリオン稼働型立体モニターだ。

専用のモニター画面が用意されている本部作戦室と同じ仕様と通常のデータ映像写真や、ボーダーの全情報にアクセスできる生体トリオン認証が必要なそのモニターから、今回イレギュラーゲートに関する調査資料と研究結果が次々と展開されていく。

展開された地図情報や開発本部の研究データから一目でわかる事は、「誘導装置が正常に起動されている」にも拘わらず、ボーダー管轄の警戒区域に門が出現しなかった事がわかる。

 

沢村「この通り、本来警戒区域で発生させるよう誘引する誘導装置が機能していたにも関わらず、今回警戒区域外にゲートが2件も続けて報告されています。」

 

鬼怒田「開発部総出であたっとるが、原因がつかめん。」

「トリオン障壁によるゲートへの強制封鎖を検討しておる。」

根付「どんな手段を使ってでもイレギュラーゲートをどうにかしないと、第一次近界民侵攻の恐怖(トラウマ)が再燃しますよ。」

「直ぐにでも封鎖すべきです! 被害が大きくなる前に解決すべきです!」

唐沢「……」

本目「……」

 

林藤「……それでおまえ『も』呼ばれたわけだが、どうだ。迅。」

 

迅 「……」

迅は全員の未来を見ていく。

迅悠一には全ての可能性を見る事ができる。避けて通れない未来からたった一言で変わってしまう未来まで。

 

だが迅にも苦手とする相手がいた。

本目支部長。

沢村本部長補佐よりも更に若い、林藤支部長も迅悠一も「ボーダー創設前」から会ったことがある若き青年。一般的な隊員と比べ物にならないトリオン量もそうだが、それよりも「前世の記憶を持つ」という聞いたことのないサイドエフェクト。

陽の出を知らない冬の寒さに似た眼差しに不相応な落ち着き。支部長のスーツ姿には似合わない若さ、何よりも「殺気」。「余裕」。「諦念」。「”先を識る者だけが持つ目”」。

 

年齢にそぐわない前世の記憶を持っているだけでなく、ボーダーの支部創設に大きな影響を与えたうら若き本目支部長は、その支部スタンスが防衛専門と一見すると堅実で公正な支部に見えるが、その支部にかかわる情報がこの場にいる全員を含めても知らない謎が多い。

本来前線に出ず事務やスカウトを主としてこなすのが支部長のあるべき姿だが、支部長本人が「部隊長」としてボーダーの防衛前線で活動しているだけでなく、その活動時期が全て「夜」であること、非常時にのみ「数日間にも渡る防衛シフトを組む」特異性から、このボーダーに所属する全隊員とのコンタクトも限られている為に『本目支部長と本目支部を知らない』者がいるほどだ。

 

直接的な情報ソースが少ない本目支部長と本目支部を知るA級隊員以上の関係者は、「ボーダー内の風紀監視と夜間防衛だけしてるよくわからない連中」としか知らないことが大半だ。

この事はこの場にいる全員が知っている。

 

 

…近い年齢にあたる身長158cmの風間蒼也よりも更に背が低い本目支部長は「それらの経緯」(素性が分からない)で苦手ではなかった。

 

 

迅のサイドエフェクト「未来視」は数秒先の確定した未来から不確定の数年数十年先の事までの未来が視える。

対して彼は「過去から現在」までを視る事ができるためか、自分が得た未来の情報を知ったとしても彼のサイドエフェクトを通じて知られてしまい、「本目の未来が視えない」のは「それ」が干渉しているからなのではと迅は解釈している。

故に迅悠一は本目建悟支部長を苦手としていて、「未来の不確定要素」として常に警戒している。

同時に「未来が分からないということは、未来を変えられる影響力が強い」とも考え、矛盾した信頼も寄せている。

 

迅は全員の未来が見えた。だが本目が関わる未来だけは見えない。

いつものように迅は内心冷や汗をかくも、一つ良い未来が見えた。

 

それは決して人が死なず誰もが幸せになれるものではない。

誰も死なないなんて都合のいい話は無い。迅自身がよく知っている。

自分が助けられない場面なんていくらでもあったのだから。

だから迅は一人で苦しむ。自分一人ではできないことがあるから、このボーダーに入った。二人になればお互いを助けられる。3人になれば誰か一人を助けられる。

迅は暗躍を趣味とした。その意味は「一人ではあまりにも非力だから」。誰か一人でも助けてもらえる人がいれば、手伝ってくれる人がいれば、悪い未来を一人で変えられなくても皆でいい未来に変えられるから。

 

迅は例え「未来を自己都合で書き換えられる力を持ってしまった」本目でも、快く協力をしている。本目も迅の事をよく知っているからこそ、何かと相談していることが多い。それが「古くからの付き合い」でもあるから。

 

 

迅「まかせてください。イレギュラーゲートをどうすればいいか探ればいいんでしょ?」

迅は予知した未来を吟味してから、その言葉を紡ぐ。

 

「イレギュラーゲートを強制封鎖してください。」

「おれのサイドエフェクトがそう言ってます。」

 

迅の目配せから、本目はトリオンの秘匿通信で迅のトリガーに干渉する。

 

本目『俺は関わるべきか、迅。(未来を変えてもいいか)

 

 

迅悠一のもう一つの未来の選択が今、ここで下された。


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