Fate/Apocrypha Lost   作:紫 カナメ
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第十節 悪鬼羅刹の復讐鬼

ラーヴォルバ城塞から少し離れた森の出口付近_

 

鉄のアサシンの攻撃を受けたが銀のセイバーと銀のアーチャーの連携攻撃によってアサシンから離れて隠れることに成功した。

 

「アニムフィス、セイバーとアーチャーと共にアサシンを足止めをしている間にその少年だけでも逃がすんだ。」

 

「え…ですが他に鉄のサーヴァントが潜んでいる可能性が…!」

 

「森の出口に護衛のホムンクルスが居る。彼らと一緒にこの場から逃げ出せれば少年は助かる」

 

「……月夜くん」

 

「…だいじょうぶ、ここからはしればすぐにたどりつける」

 

「そうですか…では、その作戦を実行しましょう」

 

「待て、セイバー」

 

「はい」

 

と、セイバーは腰に差していた刀を一本鞘ごと取り出して月夜に渡した。

 

「護身用に持っていてください。その刀は私の愛刀のひとつ、加州清光(かしゅうきよみつ)です。」

 

セイバーは真っ白な長い帯を二本取り出して刀の鞘の二ヶ所にくくって背負う様に月夜の背中に刀を当て、腹の少し上の辺りでしっかりと結んだ。

 

「扱い方は難しいと思いますが必ず貴方の力になると私は信じています」

 

「ありがとう、セイバー…」

 

「いえ、」

 

「では、始めましょう」

 

 

 

「どこに行ったんだろう?もっと遊びたいのに…」

 

アサシンは頬を膨らませて月夜達を探していた。コツンっと小石を蹴りながらつまんなそうな顔をしていた。

 

「おサムライのお兄ちゃんもどっか行っちゃうし、同じ匂いを辿ってみたら違かったし、つまんないなぁー」

 

と、ふらふらしているとがさごそと音が聞こえた。

現れたのは、銀のセイバーと銀のアーチャーだった。

 

「あぁ!みーっけ♪」

 

アサシンは無邪気な笑みを浮かべて二人に襲いかかってきた。

 

その隙に遠くに隠れていたアニムフィスとガーディナは月夜を森の出口に向かってアサシンに気付かれない様に走れと指示を出した。

 

月夜は必死に出口に向かって走り出した。

その間にセイバーとアーチャーは一気に攻撃しだした。

 

「あはははっ!……あれ?この匂い…」

 

「「??」」

 

「間違いない!おサムライのお兄ちゃんの匂いだ!お兄ちゃんが近くにいる!」

 

「お兄ちゃん?」

 

「うん!お兄ちゃんはとっても強くてこの前たくさんの魔法使いさんを八つ裂きにして綺麗な血の海を作ったんだ!」

 

「「!!??」」

 

「お兄ちゃんの名前はね、鉄のセイバー…じゃなかった。『鉄のアヴェンジャー』っていうんだ♪」

 

「!? 月夜くん…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…えぐっ…はぁ…!」

 

月夜は必死に走り、出口に向かっていた。

セイバーから護身用に貰った刀を背負い、アニムフィスとガーディナの言われた通りに後ろを振り返らず真っ直ぐ走った。

 

あと少しで出口だ…!と思った直後、ラーヴォルバ城塞の方から爆発音が聞こえた。月夜は驚いて顔を後ろに向けた。

城塞の方から煙が立ち上ぼり、また何度も爆発音が響いた。

 

ガッ

 

「わっ!?」

 

ドサッ

 

余所見をして月夜は何かに躓いて倒れた。

 

「いたた…ん?」

 

ふと、鉄の様な臭いがして手に濡れた感触があった。躓いたものを見てみると、上半身と下半身が斬り裂かれた死体だった。

 

「!? うわああっ!!?」

 

と、辺りを目を凝らして見てみると、あちこちに斬り裂かれた死体がいくつもあった。

 

「ぁ…あぁ…!?」

 

月夜は恐怖のあまり立ち上がれなくなった。その時、奥の方から足音が聞こえた。

 

「誰だ?」

 

奥の方から現れたのは、露出している部分が全く無い黒い重圧な甲冑に黒い蟲の様な怪物の頭部を模した黒い兜を被り、顔の上半分を隠している毛先が黒と灰色の長い白髪の男だった。男の手には黒い靄で刃の部分が覆い隠された大太刀があった。

 

「…子供?何故こんな所に…」

 

「ぁ…」

 

「…キサマ、このホムンクルス共の仲間か?何故ここにいる?」

 

男は月夜の首もとに黒い靄で覆われた刃を向けた。

 

「お…おれ、は…」

 

「……ふん、まぁ良い。先程の爆発…アサシンが銀のサーヴァントを二騎見つけた様だな」

 

と、男が言った瞬間、月夜の背筋が凍った。

このままこの男を行かせれば…アニムフィス達は……

 

「っ…!」

 

月夜は勇気を振り絞って立ち上り、背負っていた刀を抜いた。

 

「……なんのつもりだ?」

 

「…らさきは…」

 

「!」

 

「ここからさきは、いかせない!」

 

月夜が刀を構えた瞬間、刀に魔力を集中させた。

青い光を纏った刀を男に向けて振るったが、あっさりと避けられた。

 

「…強化の魔術か、…だが、動きも鈍いし握りが甘い!」

 

ドカッ

 

「かはっ…!?」

 

大太刀で腹部を殴打され、月夜は吹っ飛ばされ木に背中を打ち付けた。

 

「あぐ…っ!」

 

それでも諦めずに月夜は立ち上り、刀を構え直した。

自分がここでこいつを止めないと、アニムフィス達が殺される…

 

「そんなのは…いやだ!」

 

「!」

 

突然、月夜の体に大量の魔力が溢れ、刀に集中した。次第に月夜の髪の毛先の色が黒から灰色に変わって目の色が濃い瑠璃色からワインレッドに変わった。

 

仮想宝具(かそうほうぐ)疑似展開(ぎじてんかい)!」

 

溜まった魔力が刃に集まり、打刀から太刀の刃に変わった。月夜は刀を男の胸部を狙って大きく振るった。

 

「っ…」

 

男は大太刀で光の刃を止めたが、月夜の魔力が強すぎて甲冑と兜にビキビキッと亀裂が走った。

 

あと少しで男の刃を弾くことが出来る__しかし、

 

バチバチッ!

 

「!? がぁっ…!?」

 

突然、月夜の体に電撃を浴びた様な痛みが襲いかかり、光の刃は消え、月夜は刀を落として膝を付いて座り込んだ。

 

「っ…ぐぁ…!」

 

「…大量の魔力を一気に使ったのが仇となったな、小僧」

 

男は大太刀を持ち上げ、月夜に向かって振るった。

 

「っ…!!」

 

月夜は目を瞑り、歯を食い縛った。

 

ザンッ!ブシャァッ

 

「……あれ?」

 

痛みが無い…?

 

恐る恐る顔を上げてみると、誰かが自分を守る様に覆い被さっていた。

 

「げほっ…」

 

月夜を守る様に覆い被さっていたのは、銀のセイバーのマスター、ガーディナだった。

 

「ガーディナ、さん…!?」

 

「……キサマは、銀の陣営の…」

 

「はああぁぁぁっ!!」

 

その直後、銀のセイバーが現れ、男に斬りかかった。だが男は刃を上手く使い、セイバーの攻撃を弾いて距離をとった。

 

「マスター!月夜さん!ご無事ですか!?」

 

「お…おれはだいじょうぶ…だけどガーディナさんが…!」

 

「!?…傷が深い…早く手当てをしないと…!」

 

「…その羽織、俺と同じ日ノ本(・・・・・)の英霊か。『誠』と書かれた青い羽織、そして今の三段突き…新撰組の病弱で若き天才剣士_沖田総司(おきたそうじ)だな。まさかこんな小娘だったとは…」

 

「日ノ本の…貴様、何者だ?その黒い甲冑に刃を隠した大太刀…一体いつの時代の英霊だ?」

 

「………俺に真名など無い。黒化された時、生前の記憶を半分も失ったからな。」

 

男は大太刀を地面に突き立て、鍔に手を乗せた。

 

「今の俺の名は…復讐者(アヴェンジャー)。常世の神をも滅する邪神の化身…『邪神アヴェンジャー』だ。」

 




次回_第一章完結







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