ボクの名は   作:茉宵 悠瑠璃

1 / 1

 ぶつからなきゃ伝わらない事だってあるよ。例えばボクがどれだけ本気(血に迷ってた)かとかね。

 なんか夢に出てきたから起きてすぐ書いた。反省はしてる。ぼくもう眠いよ…



 きっと寝る前に引いたガチャで11連中高レアのユウキが3人出てきたからだ(なお、3人ともダブった模様)


ボクの名は

ボクの名前

 

桐ケ谷 木綿季

 

 

 ボクは自分の名前が嫌いだった。名前を書くたびに「なんて読むの?」と聞かれることが嫌だった。とうとう小学3年生の時に思い切って母にどういう意図で名前を付けたのか尋ねたのだ。

 

「木綿と書いて『ゆう』と読むものはね、お祭りの道具の材料に使われるの。そしてそれを作る季節はお祭りを楽しみにする時間。そんな時間を駆け抜けるように生きていって欲しいから、じゃダメかな?」

 

 明らかにはぐらされた気がして、ムッとして本当の所は、と尋ねてみたのだが。

 

「そうだね、貴方が気付いたら、かな。」

 

 やはりはぐらかされてしまった。

 

 まだ幼かった私は悶々とした日を送りながらも、そう時間の経たないうちに忘れてしまっていた。幼い日の疑問が再び現れたのはこのコンクールのテーマの『家族との絆』という言葉を見た時のこと。私に付けられた名前には一体何が込められているのか、応募を思い至った日のボクにはそれを知ることが何よりも両親との間にある見えない繋がりを文字で表せる気がしたのだ。

 

 先ず、ボクは名前をネットで検索してみたののだが、当然の如く求める言葉は出てこない。段々と苗字、季の字の順に削っていて意味を探していくうち、何年も前に母が口にした意味に解釈できる説明は見つけられた。だけど、ボクが知りたかったのはそういう物ではない。もっと違う何かなのだと解っていた。

 

 それから数週間は悶々とネットの海に映った月を救うかのように探してみたが、これと思う記事は見つからない。そして、当時話を聞いていなかった父に話を聞いた。勿論、教えてくれそうにない母には内緒で、だ。

 

「母さんも内緒なら、俺も詳しいことは言えないな。だけど、そうだな。母さんの普段の何気ない行動にヒントがあると思うぞ。」

 

 そんなヒントになるかどうかも怪しい言葉に少しばかり失望しながらも、素直に父の言葉に従ってみる事にした。

 

 例えば、母は極端に嫌がる癖に父と一緒の時だけはホラー特集などを見て悲鳴を上げる。そして決まって隣に座る父にしがみ付いている。両親の友人たち曰く「何時もの事」らしいが、試しにこういった所から観察してみると母は同時に胸元の十字架も握りしめていた。これに気付いた時はそれほど気に留めていなかったが、母方の家の墓参りに行った時、日本風のお墓だという毎年当たり前に見てきた筈の事との差異に違和感を抱いた。

 

 その夜、ボクは今までボク自身が目にしたことのあるキリスト教絡みの物事は何だっただろうか、と考え続け、ある一つの場所へ向かう事を決めた。交通機関を乗り継いで向かったことなんて皆無だったからちゃんと辿り着けるか心配だったが、杞憂に終わった。目的地が近付くに連れて、瞼の裏に浮かぶのはそこに行くときだけは何処か子供じみた会話をする両親の姿。

 

 

『YUKI』

 

 毎年訪れるキリスト教系のお墓。そこにボクの求める名前があった。名前のすぐ横に書かれた亡くなった年と両親の年齢を照らし合わせてみれば、その人が亡くなったのはまだ両親が高校生くらいの歳の頃だった。

 

 そうして、確証を得たボクは母にボクの仮説を話して『答え合わせ』をしてもらった。

 

「ボクの名前は母さんたちの亡くなった友達の名前、なんだよね?」

 

「えぇ、そうよ。」

 

 母は教えてくれた。その少女の事を。

 

『紺野木綿季』

 

 生まれた直後に輸血パックからHIVに親子共々感染し、HIVキャリアとして陰湿な虐めを受け、両親と死別し

、同様にして感染した双子の姉にも先立たれ、一人遺されていた少女の事を。

 

「大切な、友達だったんだね。だから…。」

 

「いいえ、それだけじゃないわ。」

 

 語られたのは当初想像した苦しみや悲しみに打ちのめされた少女の話では無かった。それは苦しんで、悲しんで、どんなに絶望しても、周囲に笑顔をもたらそうとし、懸命にその短い命を駆け抜けた少女。それはまるで密かな冒険譚。

 

「人と苦しみや悲しみは比べられない。でも、自分の命に全力で向き合ったかは自ずと判る。貴方には、何度立ち止まっても良い、だけど自分の人生を全力で走り抜けて欲しい。そう思って、その名前を貰った…ううん、託したの。」

 

 今はもう、自分の名前を尋ねられるのが苦ではない。むしろ、この名前を名乗れることが誇らしいのだ。だって、この名はボク自身を生き抜くは託された『ユウキ』のシルシなのだから。

 

 

「ボクはね、ユウキっていうんだ。よろしくね。」

 

 





 何れ再開する彼女たちの思い出に平和が続いている事を願って。

 そして、私の二度寝が快眠であることも願って(暑いの苦手)。






感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。