三十路ニートエリーチカの居酒屋飲み歩き日記   作:おうかわりん
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鹿角理亞ルート 31

 これから天王寺璃奈ちゃんに会いに行く。

 過去に鹿角理亞ちゃんのコトをジャギと称したことがある。

 確かによく切れるナイフみたいに尖っていた彼女が赤ん坊であるとか、

 子どもの前を通ると怯えたように泣き出す出来事があり、

 それを観ればジャギのようである、と判断するのはおかしくはない。

 SaintSnowを聖闘士星矢! と言ってしまったのもそうであるし、

 Aqoursの添え物みたいな扱いをしたという周囲のチョンボもあるにはある。

 自身のことはそれほどでなくとも、聖良さんのことに関しては沸点が微妙に低い。

 

「相変わらず鉄仮面みたいな感じなんでしょうか?」

「今までもだいたい鉄仮面ではあったから、

 いきなり変貌するかって言うと疑問ね?」

 

 いつの間にかに愛想も態度も口調も整えられ、

 完全無欠の美少女化しているとなれば確かに驚く。

 きれいな理亞ちゃんへの変貌ぶりも確かに驚くではあったんだけど、

 彼女はバックグラウンドを私が把握していることもあり、

 飛び抜けて驚いたかと言われるとそうでもなかったり。

 理亞ちゃんとはまだエンカウントをしていないはずだけども、

 幼なじみ属性メインヒロイン科の上原歩夢ちゃんあたりを観ると、

 もしかしたら何かしら反応があるかもしれない。

 

「待ち合わせ場所は……なんでとらの○なだったの?」

「敷居が高いそうですよ、アニメ○トだと」

「ヲタ系ショップは確定なのね……」

 

 正体が露見することを恐れて優木せつ菜状態ではそっち系ショップに行かない彼が、

 一度姉であるツバサと一緒にメロンブッ○スに行ったことがある。

 何でんなことを知っているのかというと、

 面白そうだからという理由で朱音ちゃんやエヴァちゃんと一緒に尾行したから。

 ツバサが私の尾行に気が付かないわけがないので、

 恐らく把握しつつ邪魔したら容赦しねえぞ的な態度ではあったとは思うんだけど。

 年頃の弟を伴い容赦なく18禁同人誌のコーナーに乱入し、

 最初のうちは主導権を握り、セクハラまがいな言動でいじっていた彼女も、

 開き直った雪菜クンに逆襲された結果、チラッとこっちを見て助けを求めたので、

 貸し一つだかんね! と思いつつ、何食わぬ顔をして3人でツバサを助けた。

 ――が、後日に成人向け同人誌コーナーに妹を連れて行ってしまったことを英玲奈が把握し、

 お前らは処女のくせにふしだらな! と周囲の面々に聞こえるように言い放たれ、

 場所がUTXだったことも手伝い、綺羅ツバサ処女説は一気に知れ渡ることになった。

 結果的に彼女の人気を神格化されるレベルまでに跳ね上げたけど、

 ツバサは全く嬉しくなさそうである。

 

「……あのボードを持ってこっちに近づいてくるの理亞ちゃんの知り合い?」

「確かに鉄仮面ではないですが、本末転倒じゃないですか?」

 

 無表情を仮面みたいに貼り付けていると称される璃奈ちゃんであるけど、

 さすがにスケッチブックみたいなボードを顔に付けるのは大チョンボじゃないのか。

 それにあれではスクールアイドルとしてデビューした時に前が見えない。

 トークに励む手もあるけど、彼女のコミュニケーションスキルはエヴァちゃんレベル。

 

「おまたせしたの」

「……そのボードは」

「さすがの絢瀬絵里さんも気づいたと見えるの」

 

 見えなければおかしい。

 誰しもが顔にボードをくっつけてれば、

 あれ? あの人だれだっけ? と思うことはあるかもしれない。

 しかしながらそんな素っ頓狂な知り合いは存在しないし、

 第一そんなコトをする人間がいると思わなかった。

 認識を改めなければならないけど、改める必要もない気がする。

 永遠にんなことする人は天王寺璃奈ちゃん一人であってほしいし。

 

「今の私はこんな表情をしているの」

「表面に浮き上がっていないから、表情と言うより心情というのが的確だけど、

 ウッキウキなのはわかったわ、そのチンパンジーみたいな絵から察するに」

「失礼なゴリラなの」

 

 璃奈ちゃんの発言は今日も尖ったナイフみたいに鋭い。

 今のは嫌味を言ってしまった私も悪いではあるんだけども。

 

「ところで絵里さん、しつけられてない野猿みたいな人は?」

「……あえて尋ねてしまうけれど、それは鹿角理亞ちゃんのことでいいの?」

「あの鋭い眼光、歯に衣着せぬ発言、暴力的な態度、

 小ゴリラと表現するのが的確なの、理亞という名前はちょっと華美なの」

「ちなみにこっちの人知ってる?」

「きれいな人なの、わたしが会った中でもトップクラスなの」

「ちなみにナンバーワンに綺麗な人って?」

「優木せつ菜」

「……いや、たしかに綺麗だけどね? それ、いちおう美人っていうか

 男の人だからね?」

「自己紹介させてほしいの、わたしは天王寺璃奈」

 

 埒が明かないと判断したのか、璃奈ちゃんは私をスルーして理亞ちゃんに挨拶。

 虹ヶ咲の面々は何かと雪菜クンに好感度高めで、

 高確率でハーレム作ってたけど、なびいている印象がないのが璃奈ちゃんだった。

 口で”へんたい”とか”掘られればいいのに”という彼女も

 もしかしたらツンデレという線もある、今後に注目したい。

 

「はい、璃奈さん」

「あなたの名前を教えてほしいの、璃奈ちゃんメモリーに入れておくの」

「ふふ、もう登録されているから更新するだけでいいですよ?」

「こんな美少女はメモリーに記憶されてないの」

「どうもこんにちは、小ゴリラです」

「……?」

「鹿角理亞といえば、わかりやすかったですか?」

 

 かたん、という音を立てて璃奈ちゃんボードが地面に落ちた。

 私は初めて璃奈ちゃんが驚愕する表情を見、

 あ、鉄仮面じゃないんだなっていう感想を抱いた。



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