アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙   作:桜川凛

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(※) 飲み会編 エピローグ 03

 海未と理亞さんがお風呂に入り終わったあと、亜里沙がお風呂に入る。

 

「亜里沙さん、思ったより元気でよかったです」

「ええ、本当に。絵里、魔法でも使いましたか?」

「べーつーにー? ちょっとお姉ちゃんしただけよ」

 

 本当に久しぶりに姉らしくしたから、ちょっと緊張をしてしまったけどね……。

 

「ん……そういえば、ファンディスクに出てきた綾乃の妹って……」

「綾乃……ああ、絵里に似ている」

「いえ、ネタバレになるので詳しくは言えませんが、その、詩衣のことが好きで……」

「は、恥ずかしいですね、私の高校時代にはよく懐かれたものです」

「私、もしかして上司の想い人とお風呂に入ったのを見せつけてしまったのでは?」

 

 私と海未は必死になって目をそらした。

 まさかこのことで関係が険悪になるとは思えないけど、ポジティブにもなれない自分がいた。

 

 数十分してから亜里沙がお風呂から戻る。

 理亞さんが多少視線を揺らし気まずそうにしていたけど

 

「理亞ちゃん、昨日はありがとうございました、感謝の言葉が止まりません」

「いえ! 普段からお世話になっているんですからあの程度のことは当然です!」

「じゃあ、今度は温泉にでも行って背中でも流してもらおうかな?」

「もちろんです! ぜひやらせてください!」

 

 理亞さんと亜里沙の様子を微笑ましそうに見ていた海未だけど、やがて小さく欠伸をした。

 

「少し寝る?」

「完徹など本当に久しぶりでしたし、緊張の糸が途切れて一気に眠気が」

「海未さん! 私のベッドで寝てください!」

「ひい!?」

 

 いま悲鳴を上げたのは海未ではなく理亞さん、どうやら何かを思い出したらしい。

 先に上げた亜里沙をモデルにしたキャラは、ヤンデレとかじゃない……よね……?

 

 

 夜。

 私は自分の部屋で何故か正座をさせられていた。

 

「あ、亜里沙? 私ちゃんと寝たし、お酒も家で飲んでないし、悪い事してないんだけど……」

「どこで寝ました?」

「さ、さあ、ね、寝ぼけていたから……」

 

 嘘だ。

 私はとある人物と一緒のベッドに入った挙句、その後食事までともにして、お風呂も……。

 

「昨日は温泉だから許しましょう、みんなで入るものです。でも、私の家のお風呂はちょっと小さいです」

「そ、そんなことないわよ、二人入る余裕は十分に」

「聞きますが、海未さんと姉さんは同棲しているカップルですか?」

 

 口をパクパクと動かしたまま、私は何も言えなくなってしまった。

 一緒にお風呂に入りながら、仲良く背中を流しあいっこする   ○

 一緒に食事を取りながら、ついふざけてあーんしてもらう    ○

 一緒にベッドに入ったまま、抱きしめ合うようにして寝てしまう ○

 

「とあるゲームがあります」

「へ、へえ……な、なにかしら?」

「ダイヤモンドプリンセスワークス もっとH!」

「あ、亜里沙、ふ、不健全じゃない?」

「これに、もしも綾乃と詩衣がカップルだったらというのがあります」

「へ、へえ……でも二次元と現実を一緒にしてはいけないわ、創作は創作よ?」

「私だって! 私だってあーんしてもらいたい! 背中の流しあいっこしたい! ベッドで一緒に寝たい!」

「そ、そう……でも、内容はゲームなんでしょ?」

「姉さん、もしも海未さんに手を出すなら、亜里沙を倒してからにしてください、でないと……ノコギリが」

「は、ハラショー……し、死んでも手を出さない……」

 

 

「さて、話を戻しましょう。お姉ちゃん足を崩して」

「ふう、なんだか寿命が縮まっちゃったわ」

「父と母は、1週間後やってきます」

 

 体に緊張が走る。

 

「希さんからのLINEで、お姉ちゃんが選ぶのは3通りの未来です」

「え、ええ、昨日も聞いたわ」

「ツバサさんのマネージャーになる、海未さんのお世話になる、そして」

「そして、亜里沙が勧める場所に行く、だったかしら?」

「はい、本当は雪穂にお姉ちゃんのお世話をしてくれないかと頼んだんですが」

 

 いま穂むらでは穂乃果が帰ってきて大変なことになっているらしい。

 もちろん看板娘を争ってとか血なまぐさい話でなく、

 バイトでもいいから働かせてくださいと頭を下げる穂乃果を雇うか雇わないかで大論争をしているとか。

 

「私の知り合いにシェアハウスをしている子たちがいます」

「シェアハウス……なんだか堕落しちゃいそうね、気が抜けてしまいそう」

「会社で持っているシェアハウスにアイドルが5人共同生活をしているのですが」

「え? もしかして本当にダメダメになっちゃったとか?」

「恥ずかしい話ですがそうです、一人を除いてですが」

「まさか……その彼女たちを矯正しろとでも言うつもり?」

「そんなわけ無いです」

 

 はあ、と一つ息をつく。

 流石に私にそんな荷の重い仕事なんてやらせるわけ無いわよね。

 

「管理をして貰いたいんです、イメージとしては女子寮の管理人でしょうか」

「規律を守り、ちゃんとしているかどうか見るってこと?」

「理解が早くて助かります。もちろんお給料は出ますが……強制はしません、気が向いたらで構いませんから」

「私が行かなかった場合は?」

「性根が治らなければ、4人は解雇の可能性が高まります」

 

 ゴクリとつばを飲んだ。

 

 

「才能はあります、性格に難がある子もいますが、素直な子ばかりです」

「亜里沙……」

「以前、3人組のアイドル候補生の子と会いましたね?」

 

 ええと……確か、オトノキの制服を着た子が二人と金髪の子だったか。

 

「彼女たち、姉さんのダンスを見てから人が変わったようにレッスンに取り組むようになりました」

「な、なんでそんなことを知っているの?」

「ツバサさんから聞いたんです」

「顔広いわね……亜里沙……」

 

 私がそう言うと、亜里沙はなんとも言えない表情を見せる。

 

「お願いします。まずは一ヶ月だけで構いませんから……」

「頭を上げて、亜里沙」

「嫌です、お姉ちゃんの返事を聞くまで頭は上げません」

「……」

 

 私の選択は――


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