三十路ニートエリーチカの居酒屋飲み歩き日記   作:おうかわりん
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(※) 亜里沙ルート プロローグ 09

 大変なことになった。

 私の思い至らぬところで、

 私自身が巻き込まれている。

 

 この感覚は、穂乃果の高校時代。

 μ'sの活動に自分から参加するようになって、

 どちらかと言えば行動を諌めるような立場になってからの感覚に似ている。

 

 某ロックバンドに影響されて白塗りをして、

 理事長からこっぴどく叱られて以降から、私の発言力は低下。

 まあ、絵里ちゃんは常識人だけど常識ないもんね。

 そう、ことりに告げられて。

 なんとかして希(あれ以降のまとめ役)に発言力の復活を目論んだところ。

 

 まあ、エリちは口を開かなければ真面目やからなあ。

 それ以降希のサポートは得られず。

 ニートになってから、ちょくちょく頼られるようになって、

 現在に至るわけだけど、あの。

 私の高校時代ってそんなにポンコツだったかしら?

 

 私はにこが頼んでくれた(お金も払ってくれた)

 タクシーに乗りながらシェアハウスに帰っているわけだけど。

 A-RISE復活祭にはできるだけ参加しないぞと心がけながら、

 とりあえず一緒に踊りましょうというツバサのLINEを黙殺し

 タクシーの運転手さんの興味有りげな視線を華麗にスルーし

 窓の外を見つめたまま、いかにしてハニワプロとかUTXに行かないようにするか

 そんなことを考えていた。

 

 エトワールに帰った時には、

 心配げな朝日ちゃんが玄関先に出ていた。

 ついでに善子さんも。

 私が着てからというもの、なにを意識しているのか

 厨ニが復活しつつある善子さんだけど、

 髪の毛をバッサリ切って以降(当人いわくルビィちゃんに影響されたらしい)

 真面目な会社員モードでいればこれほど話しやすい人もいないので

 できれば、そのままのあなたでいてって思っている。

 

「ああ、澤村さん、よかった、連絡がないからどこかで腱でも切っているのかと」

「ごめんなさい、ちょっと色々あったのよ」

 

 こころちゃんを道端で拾ってから本当に色々なことがあった。

 にこの甘言に乗せられたというべきか、A-RISEが一日限りの再結成なんてことになり

 その準備に忙殺されかねない状況になりつつあるけど。

 私の本業はあくまでもシェアハウスの管理人(ついでにアイドルの指導)

 ツバサの友人とかそういうのはあくまで副業、添え物である。

 

「このまま昼までに帰ってこなかったら、どうしようかと」

「ん?」

「善子さんが昼食の材料を買ってきてくれたは良いんですが」

「……うん」

 

 なんか、新しい問題の予感。

 

 シェアハウスの中に入ると、冷蔵庫に入り切らなかったと思われる。

 そんな野菜やら何やらが台所に置きっぱなしになっていた。

 とりあえずお酒とか飲み物のたぐいは冷蔵庫から取り出し、

 ナマモノを必死になって冷蔵庫にぶち込み、仕上げに消臭剤を撒いておいた。

 

 善子さんは張り切って(方向性は間違ってるけど)パーティをしようとしてくれたらしい。

 当人いわく、私の歓迎会とのことだったけど、料理も何もかも主催者が準備しなければならない。

 まあ、その気持ちだけは受け取っておくにしても、

 カレーの材料だけは如実に避けているあたり、朱音ちゃんの対策はバッチリである。

 

 それはともかく。

 にこのところでだいぶ過ごしてしまった(些末な処理に巻き込まれた)ので、

 もう昼食の準備をしなければいけない時間だ。

 理亞さんは徹夜エロゲーでもやっていたのか起きてこないけど、

 なにか食べたいと言った時に料理がないと、文句を言われかねない。

 

 まあ、細かいことにグチュグチュ言われるのは慣れているので、

 そんなに気にするべき問題でもないけれど。

 

 朝日ちゃんと善子さんに何を食べたいのか訪ねたところ、

 さっぱりしたものがいい! という宣言があったので、

 うどんを茹でる準備をしておいて、野菜やらなにやらを刻んでおく。

 これだけだと食べごたえがないので、スーパーで惣菜でも買ってくるかな?

 冷蔵庫の中身とにらめっこをしながら考えていると、

 階段を降りる音が聞こえてきた。

 

「澤村絵里!」

 

 目が合って早々名前を怒鳴られる。

 充血した眼で睨みつけられると流石にドン引きするけど、

 どうやら彼女も眠っていた所を起こされたらしい。

 

「プロデューサーから電話あった! あなたとんでもないことをしてくれたわね!」

「そのことについては、なんていうか、私の知り合いが如実に関わっており、当人黙秘を」

「ええい! 黙りなさいな! 朝日! 善子! あなた達も関係のある話よ!」

 

 台所にぞろぞろと集まったメンバーを見渡して、

 理亞さんは口を開いた。

 

「まだ日取りは決まってないけど、A-RISEが一日限りの復活をするそうよ」

「おー、それはすごいですね!」

 

 朝日ちゃんが反応をする。

 善子さんはあまりことの重大さに気づいていないのか、

 どちらかと言えば早く昼食を食べたいみたいな顔をしているけど。

 

「そして、その準備のためにハニワプロでレッスンをするそうです」

「もしかして、それって見学できるんですか?」

「見学どころじゃない……! 私たちも一緒にトレーニングできることになったの!」

 

 うん?

 

「ええ、どうしてそんなことに!?」

「それは……まあ、大人の事情があるのよ」

「私たち大人だけど」

「黙りなさい善子! とにかくこのチャンスを生かさない訳にはいかないわ!」

 

 大興奮の理亞さんに対し、善子さんと私はひたすらテンションが下がる。

 どうせ、どこぞのデコのリーダーがレッスンするならみんなで!

 とか言って、じゃあ、期待株(ハニワプロの中では)の私たちに一緒に踊らせて

 パワーアップをさせようという魂胆なのかもしれないけど。

 

 まず、ツバサたちと踊ろうものなら私の正体がバレかねない。

 それだけでも面倒くさいのに、やたら好感度の高いA-RISEのリーダーが私とベタベタしようものなら

 理亞さんに後ろからカッターナイフで刺されかねない。

 

 今日は平日で亜里沙も仕事をしているだろうから、

 理由はわからないけどハニワプロに行く訳にはいかない、行ったら刺されちゃう。

 

「澤村絵里! あなたも行くのよ!」

「昼食の準備が忙しいし」

「そんなもの全部食べてやるわよ!」

「善子さんの買ってきた材料も食べないと」

「全部食べてやるわよ!!」

 

 理亞さんが強引だ。

 朝日ちゃんは本当に期待たっぷりといった感じで、

 こちらを見てくるけど、

 私は正体を隠さなければいけないという使命感と

 亜里沙にバレたら、何を言われるかわからない。

 そんな恐怖感にひたすら悪寒を覚えていた。

 

 とはいえ、昼食は採らないといけないし(揚げ玉で我慢した)

 理亞さんはやたらハイテンションで「Shocking Party」を鼻歌で歌い。

 テレビでは日本相撲協会が相変わらず問題を起こしており、

 貴乃花親方の仏頂面を眺めながら、このまま何事もなければいいけど。

 なんて考えていた。

 

 その願いが叶うことは絶対に無いだろうな。

 予感めいた確信を得て、時間は流れていく。

 

 重い足取りでハニワプロに向かい、

 相変わらず大きなビルだなあ、なんて現実逃避をしながら中に入り、

 以前に入ったレッスンルームの数倍を誇るVIPルームに行った。

 というのも、以前対応してくれたプロデューサーさんに促されるままに

 入ったその場所で待っていたのは――!

 

「来たわね……澤村絵里と愉快な仲間たち!」

 

 ちっちゃいくせにオーラが半端ない(理亞さんが卒倒しかけた)

 綺羅ツバサと愉快な仲間たちが偉そうな感じで立っていた。

 私は頭痛を感じつつ、できるだけ仲間を全面に押し出し、

 女性としては高めの身長をできるだけ屈ませていた。

 

「恥ずかしがらなくても良い、私たちは同志だ」

「そうよー、これから一緒にレッスンする仲間だもの、緊張せずに、ね?」

 

 ちなみに、学校を早退することになって参加している

 エヴァちゃんと朱音ちゃんの表情は意外にも明るい。

 口では姉と一緒に練習なんて! とか言っていたけど

 めちゃくちゃ嬉しそうな笑顔を浮かべていたので何も言えなくなってしまった。

 なお、エヴァちゃんにA-RISEのことを説明するのには二〇分かかった(理解しているかは怪しい)

 

「今日はよろしくおねがいします」

 

 一応年長者として挨拶。

 事前の打ち合わせでは理亞さんに全部任せようということにしたのだけど、

 生A-RISEに舞い上がって言葉が出なくなってしまった彼女には荷が重く 

 しょうがないから、卒業式時の希と同じような三つ編みにした私が対応する。

 

「右から、統堂朱音、エヴァリーナ、津島善子、栗原朝日、えーっと、以上」

「ふっ、主役は最後に紹介するということね」

「恥ずかしがらなくても良いんだぞ、澤村絵里」

「そうよ、澤村絵里さん」

 

 自分を紹介しないと、今後共澤村絵里と連呼されかねないので

 渋々、自分がお味噌であることを宣言しつつ名乗った。

 ちなみにだけど、今日は仕事があったのに付き合ってくれている理亞さんは

 さっきから興奮した様子で、Wonder zoneを口ずさんでいる。

 それはA-RISEの曲じゃない。

 

「それにしても朱音、こんなところで会うとはな」

「ふん、足を引っ張らないでよね! あなた方は時代おくむがむが!」

 

 暴言を吐こうとした朱音ちゃんの口を、朝日ちゃんと一緒に押さえる。

 よもや口論になろうはずもないけど、問題は少ないほうが良い。

 まあ、ちっちゃいことで怒るA-RISEのメンバーはひとりもいないんだけどね? 

 近くで聞いているちっちゃいツインテールの核弾頭が怖いだけだからね?

 

「エヴァリーナです、えーっと、Aries?」

「A-RISEだね、Ariesだとおひつじ座ね」

「えーと、私は絢瀬絵里以外のスクールアイドルには、とんと疎く」

 

 A-RISEの三人から半信半疑みたいな視線で見られる。

 一応、正体を隠したほうが良いというのは知っているみたいだけど

 私=絢瀬絵里というのに気づいていないという事実は疑っているようだ。

 いや、私も実際ドッキリなんじゃないかと思ってるんだけどね?

 

「……みんなは、絢瀬絵里は好き?」

「ふん、当然じゃない!」

 

 朱音ちゃんの台詞に姉が凹む。

 いや、昔はお姉ちゃんお姉ちゃんと可愛くて……というのは後日談。

 

「エヴァは、絵里みたいになりたくてアイドルしてます!」

「そう」

 

 綺羅ツバサさん、そこで私を見ても仕方ないよ?

 なんか、目のハイライトが消えてヤンデレっぽい態度を取られても困るよ?

 

「朝日さんも、善子さんも?」

「はい、UTX卒業生の私が言うのもアレなのですが」

「見た目からして格好良く、目立つ! 金髪! 抜群のスタイル!」

 

 善子さんが興奮している様子でも、小原鞠莉さんという上位互換がいた気がするんだけど?

 高校時代の私の身長とそれほど変わらなかったはずだし、スタイルだって……。

 

「そう、じゃあ、私が知っている、絢瀬絵里さんのポンコツエピソードを」

 

 綺羅ツバサ先生の課外授業が始まる。

 

「高校一年生の時、アコースティックギターにハマったエリー」

「ちょ、誰から聞いたのよそれ!?」

 

 μ'sのメンバー(希は除く)でさえ知らない情報に、私は全力で止める。

 

「まあまあ、良いじゃない澤村さん。澤村さんにはなんにも関係ないでしょ?」

 

 理亞さんに羽交い締めにされたのと、

 誰も止める気配すらなく、耳をダンボにしていたので

 私は諦めて、ツバサの話を促した。

 

「当時から生徒会に出入りしていた彼女は……」

「……」

 

 一時期、本気でグループサウンズにハマった私は、

 当時懐メロ好きだった先輩たちに声をかけ、ギターで曲を弾くという活動をしていた。

 今に思えば聞けたもんではないレベルの演奏と、歌声が生徒会室に響き渡り

 職員会議で問題視された。

 

 何度ともなくやめるように言われたものの、

 どうせならもっと大掛かりにと悪乗りした先輩と一緒に

 体育館でゲリラコンサートを開き、1週間ずっと反省文を書かされ続けたことがある。

 ちなみに、希はその時の出来事をきっかけにSENTIMENTAL StepSを作った、意味がわからない。

 

「さすが絢瀬絵里……! 私には想像できない行動をする……!」

 

 心底感服したといった感じで朱音ちゃんは言っていたけど

 黒歴史を掘り起こしてきたツバサにはなんとかして逆襲したい。

 

 その後、談笑に花が咲いたものの、

 レッスンの先生が入ってきて、みんなの表情が真剣なものに変わる。

 私は知る由もなかったけど、その先生、業界でも指折りの厳しい人らしく、

 アイドルの間ではハートマン軍曹とあだ名されているとか。

 

「お前らは屑だ!」

 

 レッスン開始なり、そう宣言した先生は、ひとりひとりに(理亞さんは逃げようとしたけど捕まった)

 トレーニングメニューを課し、日頃からわりと鍛えている私でさえもキツかった。

 以前準備体操でさえキツそうだった運動不足の朱音ちゃんは早々に悲鳴をあげ、

 レッスン終了後の1時間は誰も口を開くことがなく、

 疲れも取れた頃に

 いったい誰のせいでこんな目に遭っているのか! 澤村絵里のせいだ!

 などというツバサの音頭で、理不尽に責められた。

 

 朝日ちゃんが一番私の悪口を言ってた。

 

 

 ハートマン先生のトレーニングメニューをこなせるようになるまでには

 およそ1週間の時が必要だった。

 さすがのA-RISEのメンバーはあんじゅを除いて3日くらいで慣れたみたいだけど

 私たちはハニワプロから帰ってから夕食を食べる気力もなく、

 順番にお風呂に入って死んだように眠り、朝になったらハニワプロに向かい

 休憩時間にゾンビのように食事を摂るという日々が続いた。

 おかげでシェアハウス内の仕事はほとんどこなさずに済んだけど、

 日々、膨らんでいく私への呪詛の言葉に、冷や汗をかきながら日常を過ごした。

 

 8日目にはトレーニングに加えてダンスのレッスンも始まった。

 

 一ヶ月後にA-RISEの一日限りの復活ライブをUTXのコンサート会場で

 開くことが決まって急ピッチで準備が始まったとにこから聞いた。

 なんでも、業者が勢揃いで突貫工事を行っているらしく、

 事故が起こったらハニワプロのせい(真顔)と通話越しに言われる。

 なお、お客はマスコミ関係や競争率が200倍以上の確率でチケットをもぎ取った生徒たち。

 その生徒の選考には、芸能プロダクションにスカウトされそうなレベルの高い生徒だった

 などという噂もあるらしいけど、

 元が、二代目A-RISEを作るために先代が努力するというコンセプトだから致し方ない。

 少しでも、見ている人たちの琴線に刺さるよう……

 

 という裏の意図は、私とA-RISE以外のメンバーには伝えられることはなかった。 

 

 いつの間にかにグループのリーダー格扱いされている自分に、苦笑いしつつ。

 ついでに言えば、理亞さんが練習に参加したせいで、A-RISEの前座でアンリアルの出演が決まり

 ルビィちゃんが二日目からレッスンに参加し始めた。

 善子さんは大変喜び、なおかつ張り切っていたけど、

 いつの間にか二人の間には会話が無くなっていった、今後が心配である。

 

 トレーニングも2週間が過ぎ。

 シェアハウスに帰った以降にも会話がポツポツと出るようになってきた

 そんな日のこと。

 

「……強化合宿?」

 

 レッスンも順調にこなせるようになってきた我々の次の課題は

 グループ間の交流不足である。

 なんて話を南條さんから聞いて、いや、私たちは別にステージに出ないし

 と思いながらトントン拍子で軽井沢にまで連れてこられた。

 

 学校を長い間休むことになった朱音ちゃんとエヴァちゃんには気の毒だ!

 と思ったけど、二人はむしろ学校に行かないことを喜んでいたので何も言えなくなった。

 途中みんなで乗り込んだバスの中でも、

 朝日ちゃんが心配そうに二人の成績の話題を出したけど、

 いざとなればアイドルとして食べていく! と朱音ちゃんが言って英玲奈が泣いた。

 

 高校に行かないという宣言を嘆いたわけではなく、

 自分のできなかったことをしてくれると信じての行動らしかったけど。

 そもそもA-RISEがアイドル業界から引退したのはあんじゅの結婚が……。

 

 あと、よく分からないんだけど。

 私たちの合宿に、きぐるみを着たプロデューサーがついてきている。

 一言も声を発さず、交流はスケッチブックに書かれた文字のみ。

 それと、理由もなく私を避けてる。

 

 私が隣に立つ機会があると、さささと移動をしてしまうし

 きぐるみ越しだからわからないけど、真剣な態度で会議している最中に出くわしたら

 理亞さんにドロップキックを食らった。

 なんでも、彼女が全幅の信頼を寄せるPらしいけど、私にとってはただの胡散臭いきぐるみだった。

 

 あんじゅと一緒に料理当番に指名された私は、

 レッスンを10分間だけ免除され、みんなの食べるメニューを作る。

 食事をするのはアイドルのみで、スタッフは外で食べるらしいけど

 どうせ合宿っぽくするならみんなで調理すればいいのにと思わないでもない。

 

 まあ、シェアハウスのメンバーは包丁を握ったら危ないレベルで疲れてるみたいだから

 何ができるわけでもないんだけどね……。

 

 今日も今日とて、材料だけはふんだんに用意されていたので

 ちょっと凝ったメニューを用意した。

 レッスンで死んだようになってるみんなが、一瞬だけ生気を取り戻した目をしたので

 あんじゅと一緒に密かに喜んだ。

 だけど、食事の際に会話がなくて、お通夜ムードだったのは解せない。

 せめて美味しいの一言くらいあれば良いんだけどねえ……。

 

 交流が目的のはずなのに、レッスンで疲れて会話どころじゃない。

 そんな生活が1週間続き、そろそろフォーメーションや振り付けの確認に入る

 なんていうことになった。

 やれやれ、これからはA-RISEやアンリアルの二人とは別行動かなー?

 とかなんとか、善子さんと話していると、

 南條さんに声をかけられた。

 

「では皆さんも」

「ん? え、私たちは別にA-RISEのパフォーマンスとは関係も」

「ハニワプロは無関係の人間をレッスンに参加させるほど暇ではありません」

 

 ……?

 

「ええっ!?」

 

 全員で顔を見合わせながら、驚きの声を上げる。

 

「もしかしてこれは……」

 

 もしかして。

 A-RISEの復活ライブを踏み台にした

 私たちのデビューライブなのでは?

 

 ……いやいや!

 

「ば、バックダンサーとしての出演ですよね?」

「はい?」

「さ、澤村さん! 裏方ですって! バックダンサーなんて恐れ多い!」

 

 朝日ちゃんが慌ててる。

 自分たちの実力が飛躍的に上がっているとは言いつつ、

 知名度もない、それどころか存在自体を知られてない。

 よもやそんな連中を舞台にあげようとなんて

 

「安心してください、地獄はこれから始まります

 地獄のレッスンが……ね?」

 

 悪魔のような笑みを浮かべた南條さんに言われて、

 意識を失いそうになったけど、こちらを見ていると思わしききぐるみと目が合って

 お姉ちゃん大変なことになりそうだよ、と遠くにいる妹に向けてメッセージを飛ばした。

 



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