ヤンデルモンスト〜書いたら出るを添えて〜   作:千銀

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新年はルシファーの代わりにマナが出ました。


サプライズ(マナ)

 

 

 

アパートの向かいの一軒家。俺は栄養ゼリーやアイスなんかを買ってインターホンを押した。

 

 

 

「……………。」

 

 

反応はない。家の電気もついていなかった。

 

 

 

(はぁ……。)

 

 

俺は溜息をついて自分の住むアパートに戻った。

 

 

 

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「…………………。」

 

 

自分のアパートに戻ってきてドアをひねる。閉めていたはずのドアの鍵は開いていた。

 

 

部屋の電気はついておらず、真っ暗なまま部屋の奥へ進んだ。

 

 

部屋の電気をつけても誰もいない。買ってきたものを冷蔵庫に入れようとしたとき、ドタドタと部屋を駆ける音がした。

 

 

 

「わっ‼︎」

 

 

「………………。」

 

 

突然後ろから抱きつかれた。が、俺は気にせず買ってきたものを冷蔵庫に入れる。

 

 

 

「むぅ〜!驚いてくれません‼︎」

 

 

「マナ……風邪じゃなかったのか。」

 

 

金髪にピンクのリボンが似合う少女。俺が住んでいるアパートの向かい側の一軒家に住んでいる子だ。

 

 

 

「ご挨拶です〜♪」

 

 

「日本じゃしなくていいから。」

 

 

マナが挨拶と称して俺の頰にキスをしてきた。

 

 

 

「お兄さんにしかしませんから大丈夫です!」

 

 

「ほら、夕飯作るからどいて。」

 

 

「は〜い!」

 

 

マナはいつも俺を驚かそうとしてくる。理由を聞いてみると、俺の驚いた顔が見たいそうだ。

 

 

あいにく、俺は驚いても表情は変わらない。両親には目つきが怖いとよく言われた。

 

 

マナとはあることがきっかけで親しくなった。まぁ合鍵を渡すほどには。大学から家に帰ると、マナがよく家にいる。

 

 

親は心配するのではないかと聞いたが、仕事でいつも遅いし、親もこのことを了承しているそうだ。それでいいのか。

 

 

マナの両親は俺が襲うとかは考えなかったのだろうか?べつに襲いたいとは思わなかった。後先を考えない獣に身を落とした覚えはない。

 

2人分の食事を作ってテーブルに置いた。一応バランスの良い食事を作ったつもりだ。

 

 

 

「マナは病み上がりだし栄養ゼリーとかの方がいいんじゃないか?」

 

 

「大丈夫です!これから沢山ご飯を食べないといけませんから!」

 

 

「……そうか。」

 

 

2人で食事をする。テレビの音だけが部屋に響いた。

 

 

 

「……そうだ。」

 

 

「?どうしたんですか?」

 

 

「高校はどこにしたんだ?」

 

 

マナは今年受験生だ。受験も終わって、結果は選んだ高校すべてに合格。どこを選んだか聞いてみた。

 

 

 

「ここから一番近い高校です!」

 

 

「そうか。」

 

 

「お兄さんと同じ高校ですね!」

 

 

「そうだな。」

 

 

食事を終え、しばらくテレビを見た。時計が9時を指したあたりでマナは帰る準備をした。

 

 

 

「お邪魔しました。」

 

 

「今日はゆっくり休めよ。あとこれ。」

 

 

俺はマナに栄養ゼリーやアイスを渡した。マナは今日、吐き気や頭痛がするとかで暫く学校を休んでいた。

 

 

「はい!お休みなさい!」

 

 

「…………!」

 

 

「I love you〜♪」

 

 

マナは俺の頰にキスをして帰った。俺は食器を洗い、冷蔵庫から缶ビールを取り出して一口煽った。

 

 

 

「……まっず。」

 

何で俺の周りはこんなものを平気で飲んでいるんだ……。

 

 

(そう言えば……あいつなんの病気だったんだ?)

 

 

思い当たるものをいくつか考えたが、まぁ治ったのならいいだろうとそれ以上考えなかった。

 

 

 

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あれは私が学校からの帰り、急な大雨に遭って帰れないと途方に暮れていた時でした。

 

 

 

「あのォ〜…。これ貸しましょうか?」

 

 

お兄さんは私に傘を貸してくれました。なぜ貸してくれるのか聞くと、彼女さんが他の男の方と一緒に帰っているのを見たからだそうです。

 

 

 

「いいんですか?」

 

 

「俺には必要ないんで。」

 

 

「Thank you…ありがとうございます。」

 

 

後日、彼にこと傘を返そうと彼を探した。意外なことに、彼は私の家の向かい側のアパートに住んでいました。

 

 

それから私とお兄さんは仲良くなっていきました。そして、ある日……

 

 

 

「お兄さん!Happy Birthday!」

 

 

私はサプライズでお兄さんのために小さなパーティーを開きました。

 

 

 

「はは…。他人に祝われるというのは…いいものだな。」

 

 

お兄さんが見せた驚いた表情と、目つきの悪い顔からは想像もつかないような優しく、柔らかい笑顔でした。

 

 

そのときに私は気づいたんです。私はお兄さんのことが好きなんだって。お兄さんの笑った顔をもっと見たいって思いました。

 

だから私はお兄さんにサプライズをして笑わせようとしましたが、なかなか手強いです。

 

 

でも、今度のは凄いんです!お兄さんが絶対に驚くサプライズを用意しました!

 

 

 

「えへへ……。」

 

 

少し膨らんだお腹を撫でると、トクントクンと暖かい音が聞こえました。

 

 

ねぇ…お兄さん………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、高校生になる前にママになっちゃうんです。

 

 

お兄さんは眠っていても、私のナカに沢山注いでくれました。とっても気持ちよかったです。

 

 

お兄さんはどんな顔をしてくれるでしょうか。きっと泣いて喜んでくれますよね♪

 

 

 

「今度は2人で私達の子供のサプライズパーティーをしましょうね♪お兄さん。」

 

 

もっともっと、笑った顔を私に見せてください…。

 

 

 

 

 





もうマナはいいです(4体目)


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